ECサイトのカート機能選択のポイント

 2018.08.20  株式会社システムインテグレータ

これからECサイトを運営する、あるいはすでに運営している企業にとって月商3,000万円とうのは一つのボーダーラインと言われています。大手ECモールの楽天市場では、2017年に月商3,000万円を超えていた店舗は735店※1でした。同時期の楽天市場全体での店舗数が4万4,602店※2なので、月商3,000万円を超えている店舗は全体のわずか1.64%ということになります。

このボーダーラインを超えるためにECサイトとして強化すべき機能のひとつがショッピングカートでしょう。ECサイトでの商品を購入するタイミングは、運営者にとっても勝負のポイントです。ここでユーザーを逃してしまうか、あるいは確実に購入へ繋げられるかどうかでECサイトの売り上げは大きく変わります。

本稿では、ECサイトのショッピングカートを選択する上で知っておきたい提供形態(パッケージ型、オープンソース型、クラウド型、低コスト型)の違いと、ショッピングカート比較のポイントをご紹介します。

ECサイト構築基本ガイド

月商3,000万円を超えるために

この一つの目安となる売上を超えるためには、購入率を高めるためにECサイトにはいくつかの機能や工夫が必要になります。その主なものを紹介します。

商品の推奨

1回の顧客のサイトへの訪問に対して、購入する確率や一回の買い物の数を増やすための施策です。たとえばレコメンデーションの機能により、閲覧した商品あるいは購入したことのある商品に関連性の高い商品や類似商品を勧める機能です。

また、単に購入履歴や閲覧履歴などからアルゴリズムにより購入確率が高い商品をレコメンドするだけでなく、最近ではAIを組み合わせてパーソナライズするものも出てきています。

関連情報の表示

閲覧中の商品に関して、口コミの情報や最短での配送可能日時など、より購入時に必要となる情報を先回りして表示します。顧客が購入というアクションを行うにあたり必要な情報をわかりやすく表示しておくことがポイントとなります。また口コミの集まる仕組みは、商品そのもののコンバージョン率を高めるだけでなく、サイトそのものへのエンゲージメントを高めることにもつながります。

サイトの分析

当然のことながら、サイト全体の販売の分析も欠かせません。顧客のセグメントによる売れ筋の分析や、サイトへの流入経路による違いなど、ユーザーの行動を流入から購入までを分析し、より購入率を上げる工夫をすることができます。

具体的には詳細のアクセス分析を行う仕組みと、販売実績や在庫状況などを踏まえた分析を行う仕組みの両方があるべきでしょう。アクセス分析により、サイトの導線上の落とし穴を防ぎ、販売実績の分析により、商品計画、在庫計画の最適化を行い売上の改善につなげます。

ショッピングカート

購入までの最後のプロセスを受け持つのがカートの機能です。せっかく商品を気に入って頂いたとしても、決済方法が限られていたり、会員登録がわかりづらかったり、配送日時の選択が出来なかったり、すると他のところで買おうと他所にお客様が流れていってしまいます。また、個人情報を入力する箇所でもあるため、セキュリティがしっかりしたサイトであることも顧客にわかりやすく伝わっていることも重要です。

具体的にはドメイン認証ではなく、企業認証のSSL証明書を使い、通信が暗号化されているだけでなく、このサイトの運営企業そのものを明示することが重要となります。カゴ落ちが増えないように、カート周りもしっかり考慮して作り込むことがポイントです。

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提供形態の違いについて知る

このように、購入の最後の重要なプロセスを受け持つショッピングカートですが、大きく分けてパッケージ型、オープンソース型、クラウド型、低コスト型という4種類の提供形態があります。それぞれにメリット・デメリットがありますので、まずは特徴を知り、運営環境に応じて提供形態を選択することが大切です。

パッケージ型

ECサイトを構築するために、CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)およびショッピングカートが統合されたソフトウェアを購入し、サーバーにインストールするタイプの提供形態です築するために、CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)およびショッピングカートが統合されたソフトウェアを購入し、サーバーにインストールするタイプの提供形態です。

パッケージ型のメリットはその自由度の高さから、独自のカート機能を実装できたり、きめ細やかな動線設計が可能なことです。商品の掛け合わせによる割引や多様な決済方法導入など、ECサイトの要件にほぼ100%合わせられるのはパッケージ型だけでしょう。

オープンソース型

概要としてはパッケージ型と同じですが、オープンソースソフトウェア(OSS)なのでソフトウェアを無償でインストールできます。

オープンソース型のメリットはソフトウェアが無償なので初期投資を抑えられる点です。自由度も高いので、ITリテラシーがあれば独自のカート機能を実装できます。

クラウド型

クラウド型とはインターネット経由で提供されるソフトウェアのことで、パッケージ型やオープンソース型のようにソフトウェアをサーバーにインストールする必要がありません。つまりショッピングカートを資産として購入するのではなく、サービスとしての利用する形態です。

初期投資を抑えられ、かつ運用負担も非常に軽いのでIT人材が不足していたりIT人材がいない企業にとって有効な選択肢になるでしょう。加えてランニングコストも安価に抑えられる可能性があります。しかし、定型的なソフトウェアを利用する形を取るため、ショッピングカートとしての自由度は低いでしょう。オプション(有償)で機能を追加したりもできますが、その結果運用費用が割高になることも少なくありません。 [RELATED_POSTS]

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ショッピングカート比較のポイント

構築する、あるいは構築しているECサイトの規模や売上目標金額などに応じてパッケージ型、オープンソース型、クラウド型、低コスト型のどれを選ぶかはそれほど悩む必要はないかと思います。ポイントは、同じ提供形態の中でもどういったポイントで製品を比較するかです。ここではショッピングカート比較時に注目していただきたい7つのポイントをご紹介します。

1. 総合EC向きか、単品リピート向きか

まず着目すべきポイントが、総合EC向きのものなのか、単品リピートに特化しているのかです。総合ECでは多くの商品から目的の商品にたどり着きやすくするための仕組み、検索機能やレコメンドが充実しているものが多く、単品リピート通販に特化したものは、如何に短いステップで購入が完了出来るかという思想で作られているものが多く、サンプル品や同梱物などのキャンペーンなどを管理する機能が充実しています。同じECであっても、優先するところが異なるので、どちらに向いている製品なのかの判別が必要です。

2. 対応している決済方法

ECサイトで商品を購入するユーザーは、希望する決済方法が無かった場合その70%以上の人が購入を諦めるというデータがあります。そのためECサイトでは多様な決済方法を提供することで売上向上を目指すための基本的な施策です。製品ごとに対応している決済方法は違うので、必ず事前に確認し、比較ポイントに盛り込んでおきましょう。

3. スマートフォン対応の有無

ECサイト利用ユーザーの半数以上はスマートフォンから商品を購入しているといいます。そのため、カート機能のスマートフォン対応は必須でしょう。今ではほとんどの製品でスマホ対応はなされていますが、CMS機能など簡単に編集出来る機能もスマホ対応しているかなどは確認しておくべきです。

4. 投資対効果(ROI)

ショッピングカートは表面上の料金よりも、導入や利用によって得られるROIで比較することが大切です。低コストでも売上向上に繋がらないような製品では、導入しても意味がないためです。例えば、広告を出し、大きな流入が見込めたのに、サーバーがダウンして売上につながらなかった、なんてことがあると本末転倒です。初期費用にばかり意識を向けるのではなく、将来自社の売上を成長させるにあたり必要なことが実現出来るかどうかでコストを判断するようにしましょう。

5. CMSとの連携性

ECサイトはトレンドに合わせて、クリエイティブや紹介文を適宜メンテナンス出来る必要があります。それも、HTMLやCSSなどの知識もない担当者でもメンテナンス出来るのが理想です。製品によっては、CMSのように使える機能を製品の機能としてもっているものと、外部のCMSと連携出来るものとにわかれています。いずれの場合も、どれくらい簡単に、どれくらい自由に編集が出来るのかは確認し、評価するようにしましょう。

6. 販促機能

ECサイトの売上向上のためには、様々な販促活動が欠かせません。例えばメールマガジンであったり、LINEでのメッセージ配信であったり、レコメンドであったり、パーソナライズされたWeb接客であったり、プライベートオファーだったり、時限式のキャンペーンだったり、考えなくてはならないことが山程あります。しかしながらポイントは、行うビジネスによってどの施策がどれくらい利くのかがまちまちだということです。専門性はなくても、ひとまずの機能が内包されている製品を選ぶのか、専門性の高い特化したマーケティングツールと連携し、トライアンドエラーが容易な製品を選ぶのか、将来を想定しどちらを選択すべきか考えるべきでしょう。

7. 料金体系

当然のことですが製品によって料金体系は違います。たとえばライセンスコストが初回のみのものとレベニューシェアのように売上に対してコストがかかるものでは、同じようなサイトで同じような売上であっても、利益構造が大きく違ってきます。また、ライセンスコストについても、サイト単位でよいのか、サーバ台数で必要になるのかなども、収益性に大きく関わってくるのでよく考えて選定するとよいでしょう。

まとめ

ショッピングカートはECサイト運営の要です。そのため、適切な提供形態を選び、比較ポイントを参考に自社にとって適切な製品を選んでいただければと思います。

 

※1「楽天市場」で月商1億円以上の店舗数は159店、3000万円超の出店者数は735店(https://netshop.impress.co.jp/node/4563)

※2楽天の国内EC流通総額は13%増の7775億円【2017年1Qまとめ】(https://netshop.impress.co.jp/node/4302)

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