データマート、データレイクとは?違いや活用事例、導入時の注意点を解説

 2024.09.25  株式会社システムインテグレータ

データ利活用、データ分析基盤のプラットフォームとして「データウェアハウス」「データマート」「データレイク」などがあります。本記事では、データマートとデータレイクについて、それぞれの概要や特徴、導入のポイントなどを初心者にも分かりやすく解説します。

データウェアハウスについては以下の記事もご覧ください。
データウェアハウス(DWH)とは?データレイク、データマートとの違いも解説

データマートとは

データマートは、特定の組織や目的に最適化されたデータ集合体のことです。

より具体的には、データ分析を目的に収集されたデータウェアハウスから、目的にあわせて必要なデータのみを抽出し、分析しやすい形で保存する仕組みです。さらに、データマートにあるデータはBIツール等によりデータの可視化や分析レポートの作成に活用されます。

例えば、営業部門用のデータマートには、顧客情報や売上データが集約されています。営業部門はこのデータマートにアクセスし、効率的な意思決定を行うことが可能です。

データマートの特徴

データマートの主な特徴は、その専門性と使いやすさにあります。

  • 特定の目的のためのデータのみが集約されている
  • データ構造が最適化されており、クエリの実行速度、レスポンスに優れている
  • 複雑なデータベース知識がなくても、直感的に操作できる
  • 組織ごとにアクセス権限を設定できるため、セキュリティに強い

データマートの活用例

データマートは、主に部門ごとの分析や予測に活用されます。

例えば、売上データをもとに、商品別・地域別の売上分析やトレンド予測を行ったり、顧客データをもとに、セグメント分析やキャンペーン効果測定を行ったりすることも可能です。会社や組織の部門レベルで、意思決定の迅速化や業務効率の向上に大きく貢献します。

データマート導入時の注意点

データマート導入時には、いくつかの注意点があります。

  • 明確な目的と要件の定義による、データの品質と整合性の確保
  • データウェアハウス等からデータを抽出する際の、データクレンジングや標準化
  • 適切なアクセス制御の実装によるセキュリティの強化
  • 将来のデータ量増大に向けた拡張性の確保

目的や用途以外のデータが混在すると、パフォーマンスの低下やデータの品質が失われます。データマートを導入する際は、格納するデータを特定し必要なもののみを抽出することが重要です。

データレイクとは

データレイクは、構造化、非構造化を問わず、多様な形式のデータをそのままの形で取り込み、一元管理するシステムです。データウェアハウスとは異なり、データの取り込み時には前処理や構造化を行わず、データの利用時に必要な構造(スキーマ)を適用するため、分析や活用の柔軟性が高いことが特徴です。

データレイクの特徴

データレイクの主な特徴は以下の通りです。

  • 構造化・非構造化を問わず、あらゆる種類のデータをそのまま保存可能
  • 大量のデータを効率的に管理し、データ活用を促進・迅速化
  • きめ細かなアクセス制御により、セキュリティ面の柔軟性向上

データウェアハウスやデータマートと異なり、データを加工せずそのまま保存する点が大きな特徴です。

データレイクの活用例

データレイクは、加工が不要な履歴データや、画像や動画などの非構造化データの保存に適しており、以下の用途で広く活用されています。

  • データ分析や機械学習のための基盤
  • IoTデバイスからのデータ収集
  • 予測モデルの構築や顧客行動分析
  • 製造業での予防保全
  • 小売業での在庫最適化
  • データの長期保存、履歴管理

データレイク導入時の注意点

データレイク導入時には、いくつかの注意点があります。

  • データの品質管理やメタデータの整備をすること
  • 適切なアクセス制御と暗号化を実装し、セキュリティを強化すること
  • 長期的な運用コストも考慮に入れ、適切な規模と成長計画を立てること

データレイクはあらゆるデータが格納できるため、格納するデータ容量が膨大になります。データ容量が多ければ多いほど、必要なデータの抽出に時間がかかるため、データガバナンス(データを扱うためのルールを整備し、きちんとルールを守るよう監視すること)を行っていくことが重要です。

データマートとデータレイクの違い

今回解説したデータマートとデータレイクの違いを、以下の表にまとめました。

比較項目 データマート データレイク
データ形式 主に構造化データ 構造化、半構造化、非構造化すべてのデータ
目的 特定の業務部門やユーザーグループ向けのデータ分析 大量かつ多様なデータを保存し、データ分析や機械学習に活用
スケーラビリティ 比較的小規模、特定のニーズに合わせて構築 大規模、無制限に拡張可能
データの保存 データは加工・整理して保存 生データをそのままの形式で保存
導入・運用コスト 比較的低コスト 初期導入コストが高く、データガバナンスのコストが必要
データのアクセス 特定の用途に最適化され、高速にアクセス可能 全データにアクセス可能だが、データ抽出・分析に時間がかかる
活用例 販売部門の売上分析、キャンペーンの効果測定など ビックデータ分析、機械学習モデルのトレーニングデータの保存など

まとめ

本記事ではデータマート、データレイクの基本知識および違いについて解説しました。

データマートはデータウェアハウスのように構造化されたデータを利用し、特定部門に特化したデータを扱います。これにより、特定のニーズにあわせた効率的なデータ活用が可能になります。

データレイクは、構造化・非構造化問わずあらゆるデータを一元管理します。大量かつ多様なデータを扱えるため、データ分析や機械学習の基盤として大切です。しかし扱うデータ量が膨大となるため、データの抽出に時間がかかります。

特定の用途に使用する場合はデータマート、大量・多様なデータが活用する場合はデータレイクと、上手に使い分けて活用しましょう。


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