データフェッチとは?基礎知識と基本テクニック

 2025.02.10  株式会社システムインテグレータ

Webアプリケーションやソフトウェアの開発において、データソースから必要なデータを取り出す「データフェッチ」は、品質を高めるうえで重要な要素です。本記事では、データフェッチについて解説します。ぜひ参考にしてください。

データフェッチの基礎知識

データフェッチの定義

データフェッチとは、Webアプリケーションやソフトウェアが、データベースなどのデータソースから必要なデータを取得するプロセスのことです。ユーザーに最新の情報を表示したり、動的なコンテンツを提供したりするために使われる処理です。

 データフェッチのユースケース

データフェッチは、以下のような多くのアプリケーション内の機能に使われています。

・ECサイトの商品情報

・SNSの投稿内容

・リアルタイムデータの可視化

・データ分析や機械学習のためのデータ取得

アプリケーションでは、データフェッチの処理時間が応答時間にも影響するため、適切なデータフェッチを行うことが重要です。

同期処理と非同期処理の違い

データフェッチには「同期処理」と「非同期処理」の2つの方式があります。

同期処理は、データの取得が完了するまで他の処理を一時停止します。処理がシンプルですが、データ量が多い場合は待ち時間が発生し、応答時間が長くことがデメリットです。

非同期処理は、データの取得をバックグラウンドで行うため、並行して他の処理を実行できます。これにより、ユーザーはデータ取得の完了を待つ必要なく操作できます。

データフェッチの主な方法

データフェッチの方法として、3種類を紹介します。

 静的データフェッチ

静的データフェッチは、アプリケーションのビルド時にデータを取得し、結果をアプリケーションに埋め込む方法です。

この方法は、データが頻繁に更新されない場合や、アプリケーションの起動時にデータを表示する必要がある場合に適しています。アプリケーションのパフォーマンスを向上させるメリットがありますが、データの更新には再ビルドが必要です。

動的データフェッチ

動的データフェッチは、アプリケーションの実行時にデータを取得する方法です。

ユーザーのアクションに応じてデータを取得し、リアルタイムでアプリケーションに反映することができます。データが頻繁に更新される場合や、ユーザーごとに異なるデータを表示する必要がある場合に適しています。ただし、実装をうまく行わないと、アプリケーションのパフォーマンスに影響を与える可能性があります。

パラレルデータフェッチ

パラレルデータフェッチは、複数のデータ取得プロセスを同時に実行してパフォーマンスを向上させる手法です。特にビッグデータ環境や高負荷のWebアプリケーションで有効です。この手法では、データを並列に取得することで、応答時間を短縮し、システムのスループットを向上させます。

ストアドプロシージャによるデータフェッチの例

ストアドプロシージャとは

ストアドプロシージャは、データベース内に保存された一連のSQL文やプログラムロジックを指します。

ストアドプロシージャを使用することで、データベースサーバー側でデータ処理を行い、クライアントアプリケーションとのデータのやり取りを最小限に抑えることができます。

ストアドプロシージャでのデータフェッチの例

以下は、Oracle DatabaseのPL/SQLを用いた、簡単なストアドプロシージャの例です。従業員情報を格納するテーブル「EMPLOYEES」から、従業員名を取得し、出力しています。

※左端の数値は行番号です。

1 CREATE OR REPLACE PROCEDURE fetch_employees IS

2     CURSOR emp_cursor IS SELECT name FROM EMPLOYEES;

3     emp_name EMPLOYEES.name%TYPE;

4 BEGIN

5     OPEN emp_cursor;

6     LOOP

7       FETCH emp_cursor INTO emp_name;

8       EXIT WHEN emp_cursor%NOTFOUND;

9       DBMS_OUTPUT.PUT_LINE(emp_name);

10 END LOOP;

11 CLOSE emp_cursor;

12 END;

1~3行目で、EMPLOYEESからデータを取得するカーソルを定義します。カーソルを使用すると、1レコードずつ処理を読み込んで実行できます。

5行目にてカーソルをオープンし、6行目~10行目の処理を1件ずつループしています。

ループ内では、7行目にて従業員名を取得、9行目で従業員名を出力しています。8行目は繰り返しの終了条件であり、7行目でデータを読み込んでデータが存在しなかったら(すべてのデータを読み込んだら)ループを抜けます。

データフェッチの実践的なテクニック

エラーハンドリングの実装例

データフェッチの際には、エラーハンドリングを適切に実装することが重要です。PL/SQLでは、例外処理を利用してエラーに対応できます。例えば、特定のデータベースエラーが発生した際に、適切な代替操作を実行したり、エラーメッセージをログに残すことで、システムの耐障害性を向上させます。

非同期処理

クライアントアプリケーションからデータフェッチを行う場合、JavaScriptやNode.js、Pythonの非同期ライブラリを使用することで、フェッチ操作をバックグラウンドで実行し、アプリケーションの他のタスクを続行できます。

キャッシュの活用とパフォーマンスの最適化

データフェッチのパフォーマンスを最適化するためには、キャッシュの活用が有効です。頻繁にアクセスされるデータをキャッシュに保存することで、データベースへのクエリ回数を減らし、レスポンスタイムを改善できます。

まとめ

データフェッチの基本概念から実践的な方法までを解説しました。データフェッチは、Webアプリケーション開発において、ユーザーに必要な情報を迅速かつ効率的に提供するために欠かせない要素です。

本記事では、特にサーバーサイドでのPL/SQLを用いたデータフェッチの手法を紹介し、さらに非同期処理やキャッシュの活用、エラーハンドリングといったパフォーマンス最適化のテクニックについても触れました。適切なデータフェッチの方法を選択し、パフォーマンスや信頼性を重視した高品質なアプリケーションの開発に役立てていきましょう。


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