データレプリケーションの基本、仕組みやメリットなどを解説

 2024.07.10  株式会社システムインテグレータ

データレプリケーションとは、データベースのデータを複数の場所(サーバーやストレージ)にコピーして保持する技術です。このプロセスにより、データの可用性と信頼性が向上し、障害時のデータ損失やアクセスの遅延を防ぐことができます。

この記事では、データレプリケーションの基本とその仕組みやメリットについて解説します。

データレプリケーションとは?

「レプリケーション」は「複製」という意味です。データレプリケーションは文字通りデータを複製することを指し、複数のデータを準備することでデータ損失のリスクを抑えるために用いられます。
似ている言葉に「バックアップ」があります。バックアップは正常な特定時点におけるデータを複製する技術であるのに対し、レプリケーションはリアルタイムでのデータ複製をする技術という点で両者は異なります。

データレプリケーションの種類・仕組み

データレプリケーションにはいくつか形式がありますが、代表的な形式として「同期レプリケーション」と「非同期レプリケーション」が挙げられます。

同期レプリケーション

同期レプリケーションは、複製元および複製先全てへのデータ変更反映を待ってから処理を完了するレプリケーション形式です。
同期レプリケーションの特徴として、複製元と複製先のデータが常に同一になり、データの整合性が高く保たれ、複製元がダウンしても更新データが失われづらいという点があります。一方で、次に紹介する非同期レプリケーションと比較するとデータ更新時のパフォーマンスが低いという特徴もあります。

非同期レプリケーション


非同期レプリケーションは、データの変更が複製元に反映された時点で、複製元のデータ更新処理を完了とみなすレプリケーション形式です。
この形式では、同期レプリケーションに比べるとデータ変更時に複製先からの応答を待つ必要が無いため、更新時のパフォーマンスが向上し、遅延が減少しますが、タイミングによっては複製先と複製元でデータ不整合が起こり得ます。また、複製元のデータが更新された直後に複製元がダウンすると更新分のデータが失われる可能性もあります。

データレプリケーションの重要性、メリット

データレプリケーションの最大のメリットの1つは、データの耐障害性を高めることです。適切なデータレプリケーションがされていれば、1か所でデータ障害が発生しても、他の場所にある複製からデータを復旧することが可能です。地理的な分散も可能になるため、自然災害からデータを保護することも可能になります。


例えば、普段東京のデータを参照しているアプリケーションに対して以下のような仕組みを採用することで、地震などで東京サーバーがダウンしても、東京サーバーのデータ復旧を待たずにシステムを復旧させることができます。
・アプリケーションのデータを大阪サーバーにレプリケーションする。
・東京サーバーがダウンした際にアプリケーションの参照先を大阪サーバーへ自動的に切り替えるよう設定(フェイルオーバー)する。

データレプリケーションの課題と対策

データレプリケーションにはいくつかの課題も存在します。
・複数サーバーを持つことによるコストの増加
・同期処理が走ることによるネットワーク負荷の上昇
・データ漏洩や不正アクセスなどのセキュリティリスクの増大 など


これらの課題は、システムがどこまでのネットワーク負荷に耐えられるかや、ビジネス上データ維持の重要性がどの程度あるのかによって対策が異なるため、現時点でのシステム構成やビジネス課題を整理したうえで検討することが重要です。

まとめ

今回はデータレプリケーションについてご紹介しました。
データレプリケーションは自然災害や障害などからデータを守り、継続的にシステムを維持するために重要な技術です。導入コストや運用コストは少なからずかかりますが、得られるメリットを天秤にかけて検討し、導入の是非の判断を行うのが良いでしょう。


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