ビッグデータの活用が当たり前となった昨今、データベースはビジネスアプリケーションの中核を成すものとなりました。
データベースのパフォーマンスは、アプリケーションの応答性、スケーラビリティ、ユーザーの満足度に直接影響するため、高速かつ効率的なデータベースシステムは、コスト削減、生産性の向上、意思決定速度の向上、自社製品に対する顧客満足度向上などにつながります。
本記事では、データベースチューニングの概要と基本手法、具体例を解説します。
データベースチューニングとは?
データベースチューニングとは、データベースシステムのパフォーマンスを最適化し、リソースの利用を効率化するプロセスのことです。
主なデータベースチューニングには、以下のような方法があります。
・SQLクエリの最適化
・インデックスの設計
・システムパラメータの調整
・ハードウェア性能の調整
今回はこの中から、クエリ最適化とインデックスの設計に着目して解説していきます。
チューニングの具体例①:SQLクエリ最適化
SQLクエリ最適化の方法
効率的なSQLを書くためには様々な手法がありますが、
・不必要なデータの読み込みを避ける
・必要なデータのみを効率的に取得するSQLを書く
・JOINやサブクエリ、WHERE句でのフィルタリングを最適化する
などが主に用いられる効果的な手法となります。
実行計画の分析
クエリに対し実際に行われる処理計画のことを実行計画と言います。DBにはオプティマイザーと呼ばれるものが存在し、オプティマイザーが該当クエリに対して最も効率がよいと思われる計画を選択してくれるのです。
ただしこの実行計画は開発者が予想する最適とは異なることがあるため、想定していた計画で実行されているのかは確認する余地があります。
クエリがどのように実行されるかを示す実行計画を分析することで、インデックスの使用状況や結合の方法など、クエリの実行に関する情報を得ることができ、パフォーマンスのボトルネックを特定することができます。
【具体例】実行計画の分析
例えば顧客テーブルと注文明細テーブルが存在し、これら2つを結合して顧客ごとの注文情報を得たいとき、結合処理に非常に時間がかかってしまっている状況を考えます。
このようなとき、実行計画を見ると意外な事実が判明することがあります。例えば「使用されていると思っていたインデックスが実際には使用されておらず、フルテーブルスキャンが行われていた」などです。
これは自身が書いた結合条件が複雑であったり、インデックスの設計が不適切であったりするとオプティマイザーが最適な処理を見つけることができずに起こります。
このようなときは実行計画を丁寧に分析し、問題を1つずつ解消していくことがパフォーマンス向上への近道になります。
チューニングの具体例②:インデックスの活用
インデックスとは
インデックスは、データベース内のデータを効率的に検索するための構造です。適切なインデックスを設定することで、クエリの実行速度が向上します。
【具体例】適切なインデックスの作成
インデックスを効果的に使用するには、まずクエリに最も頻繁に使用される列を把握します。これらの列に対してインデックスを作成することが重要です。また、使用されるクエリの種類に応じて、適切なインデックスタイプを選択する必要があります。
例えば顧客情報というテーブルがあるとして、顧客ID、顧客名、メールアドレス、登録日時の列を含み、顧客テーブルの検索や結合においては顧客IDが使用される状況を考えます。
このとき、インデックスとしては顧客IDをユニークインデックスとして作成することが望ましいです。逆に顧客ID、顧客名、メールアドレス、登録日時すべてをインデックス設定しまうとクエリ実行計画の選択肢が増えることでオプティマイザーが最適な実行計画を選択しにくくなり、結果としてこのテーブルを使用するクエリが遅くなってしまうことが考えられます。
まとめ
今回はデータベースチューニングについて、その概要や重要性、具体的な方法としてクエリの最適化とインデックスの見直しについてご紹介しました。
データベースのパフォーマンスチューニングは、システム全体のパフォーマンスを向上させるために不可欠なプロセスです。今回ご紹介した、クエリの最適化とインデックスの見直しを中心として、少しずつ検討できるデータベースチューニングの方法の幅を広げていけるとよいでしょう。
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