近年、インターネット上でITリソースを柔軟に利用できるクラウドサービスが急速に普及しています。特にクラウドデータベースサービスにより、自社内にサーバーや大容量のストレージを設置することなく、大量のデータを効率的に保存することが可能です。
本記事では、クラウドデータベースの基本について詳しく解説します。
クラウドデータベースとオンプレミスデータベースの違い
オンプレミスとは、従来のように組織内にサーバーやネットワーク機器を所有してインフラ環境を構築する方法です。この方法と、クラウドデータベースとの違いを以下の表にまとめました。
特徴 |
クラウドデータベース |
オンプレミスデータベース |
初期投資 |
低コスト |
高コスト |
運用コスト |
使用量に応じた料金体系で調整しやすい |
維持管理費、電力費、人件費など運用コストがかかる |
スケーラビリティ |
高い |
制限あり |
管理負担 |
低い |
高い |
導入スピード |
高速 |
遅い |
可用性・信頼性 |
比較的高い |
企業の対応次第 |
セキュリティ |
プロバイダーによる一律の対策 |
企業ごとのセキュリティ対策 |
カスタマイズ性 |
限定的 |
高い |
リソースの柔軟性 |
高い |
低い |
障害対応 |
プロバイダーが対応 |
企業が対応 |
メンテナンス |
プロバイダーが自動で実施 |
企業自身で計画・実行 |
このような違いから、クラウドデータベースにはオンプレミスデータベースと比較して多くのメリットがあります。
クラウドデータベースを利用するメリット
安価かつ短期で導入できる
クラウドデータベースの大きなメリットは、初期投資が低く、迅速に導入できる点です。従来のオンプレミス環境では、サーバーやストレージの購入、設置、設定に多大な時間とコストがかかりますが、クラウドデータベースではこれらの手間を省けます。
インターネットに接続するだけで、数分から数時間でデータベースのセットアップが完了し、ビジネスのスピード感を保つことができます。
どこでも利用できる
クラウドデータベースは、インターネット接続さえあれば、場所を問わずアクセス可能です。リモートワークや出張先、海外拠点からでも同じデータベースにアクセスできるため、業務の柔軟性が大幅に向上します。
運用コストが安い
クラウドデータベースは、運用コストが抑えられます。オンプレミスでは、サーバーのメンテナンスやアップグレードなどの継続的なコストがかかりますが、クラウドデータベースではこれらの運用はプロバイダーが実施します。さらに、自動バックアップや災害復旧機能も標準で提供されるため、追加の保守費用も削減できます。
リソースを柔軟に変更できる
クラウドデータベースは、必要に応じてリソースを動的に変更できる柔軟性があります。ビジネスの成長に伴い、データベースの容量や性能を迅速にスケールアップできるため、需要の変動に対応しやすくなります。
クラウドデータベースの活用例
ECサイト
大規模なECサイトでは、商品情報、在庫管理、顧客情報、注文履歴など、膨大なデータを管理する必要があります。クラウドデータベースを活用することでリソースを柔軟に調整できるだけでなく、スケーラブルなデータ管理が可能になり、ピーク時のトラフィックにも対応できます。
モバイルアプリケーション
チャットアプリなどのモバイルアプリケーションは、ユーザーがどこからでもアクセスできる必要があり、リアルタイムのデータ同期が求められます。クラウドデータベースを活用することでリアルタイム同期が可能です。また、高い可用性とセキュリティを維持し、データを管理できます。
ビッグデータ分析
クラウドデータベースでは、データ分析が可能なサービスが存在します。大規模なデータセットを迅速に処理し、分析できるだけでなく、データ量の増加にも柔軟に対応できます。
クラウドデータベースの例
AWS
Amazon Web Services (AWS) は、クラウドコンピューティング市場で最も広く利用されているプラットフォームの一つです。AWSのクラウドデータベースサービスには、Amazon RDS、Amazon Aurora、Amazon DynamoDBなどがあります。
Azure SQL Database
Microsoft Azure SQL Databaseは、MicrosoftのクラウドプラットフォームであるAzureが提供するリレーショナルデータベースサービスです。このサービスは、オンプレミスのSQL Serverと完全な互換性を持ち、既存のSQL Serverアプリケーションを簡単に移行することができます。
OCI Database
Oracle Cloud Infrastructure (OCI) Databaseは、Oracleのクラウドプラットフォームで提供されるデータベースサービスです。OCI Databaseは、Oracle Databaseの強力な機能をクラウド上で利用できるフルマネージドサービスです。中でもOracle Autonomous Databaseは、機械学習を活用して自動化されたデータベース管理を提供し、パフォーマンスチューニング、スケーリング、パッチ適用、セキュリティ更新を自動で行います。
まとめ
本記事では、クラウドデータベースについてご紹介しました。クラウドデータベースはオンプレデータベースと違い、プロバイダーが管理するハードウェアを利用するため、初期コスト、運用コストを抑えることができます。また、高い可用性や柔軟なリソース調整などが利用できるため、大量データの管理にも活用できます。
クラウドデータベースにはAWS、SQL Databaseなどさまざまなサービスが存在するため、要件にあったサービスを選択することが大切です。
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