データベースのセキュリティ対策とは?リスクとその対策を解説

 2024.12.06  株式会社システムインテグレータ

データベースは企業の重要な機密情報を格納しているため、セキュリティ対策は重要なテーマです。しかし、具体的にどのようなセキュリティ対策を実施すればよいか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

本記事では、代表的なデータベースのセキュリティリスクと、リスクに対応するためのセキュリティ対策をご紹介します。

データベースセキュリティの必要性

データベースに対するセキュリティ対策は重要性を増しています。実際のデータ(※)で見ても、2023年度の個人情報の漏洩件数は過去最多の1万3279件に達し、いくつかの名のある上場企業は是正勧告を受けるまでに至りました。

※日本経済新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA110P40R10C24A6000000/

データベースに保存される情報には、個人情報、財務データ、ビジネスの機密情報などが含まれ、これらの情報が漏洩すると、企業の信用失墜、さらには法的問題が発生する可能性があります。

データベースのセキュリティリスク

データベースセキュリティにおいて、様々な攻撃手法や脅威が存在します。ここでは、代表的なセキュリティリスクについて説明します。

SQLインジェクション

攻撃者がデータベースに対して不正なSQL文を挿入する攻撃手法です。脆弱なアプリケーションがユーザー入力を適切に検証せずにSQLクエリに組み込むことで発生し、攻撃者はデータの閲覧、改ざん、削除が可能となります。
例: シンプルなログインフォームがSQLインジェクションの対象となる場合、攻撃者は「' OR '1'='1」のような文字列を入力し、すべてのユーザー情報を取得できてしまいます。

 OSコマンドインジェクション

攻撃者がWebアプリケーションを経由してサーバーのOSに対して不正なコマンドを実行させる攻撃です。適切な入力検証を行っていない場合、攻撃者はシステムの制御を奪うこともあります。

クロスサイトスクリプティング(XSS)

クロスサイトスクリプティング(XSS)は、ユーザーが閲覧しているWebページに悪意のあるスクリプトを注入する攻撃です。攻撃者は、不正なスクリプトを他のユーザーのブラウザで実行させることで、クッキー情報を盗む、セッションを乗っ取る、フィッシング詐欺を仕掛けるなどの攻撃をします。

ゼロディ攻撃

ゼロディ攻撃は、ソフトウェアやシステムの未公開の脆弱性が発見され、その修正がリリースされる前に行われる攻撃です。攻撃者は脆弱性を利用してデータへのアクセスや破壊を試みます。

ソーシャルエンジニアリング

ソーシャルエンジニアリングは、攻撃者が対象者の心理を利用して情報を引き出す手法です。ユーザーに対する詐欺や偽装の手口を用いて認証情報やシステムアクセス権を取得し、不正アクセスを試みます。

データベースのセキュリティ対策

データベースを安全に保つためには、複数のセキュリティ対策を組み合わせて適用することが重要です。以下に代表的な対策を紹介します。

データの暗号化

データの暗号化は、データベース内のデータを不正アクセスから保護するための基本的な手法です。以下の暗号化手法があります。
•    透過的データ暗号化(TDE): データベース全体を暗号化し、ファイルシステムや管理者による不正なアクセスを防ぎます。
•    データの保存時暗号化: データが保存される際に暗号化し、許可されたユーザーのみが復号できます。
•    転送中の暗号化: データがネットワークを移動する際に暗号化し、内容の傍受を防ぎます(SSL/TLSなど)。

アクセス制御

アクセス制御は、データベースへのアクセスを厳格に管理する手法です。
•    最小権限の原則: 各ユーザーには最低限の権限だけを付与し、過剰な権限を持たせません。
•    ロールベースアクセス制御(RBAC): 役割に応じて権限を割り当てることで、権限管理を効率化します。
•    細粒度アクセス制御(FGAC): 特定のデータベースの列や行に対してアクセス制限を設定します。


多要素認証(MFA)

多要素認証は、データベースへのアクセスに複数の認証要素を要求する方法です。パスワードに加えて追加の認証要素が必要になるため、不正アクセスのリスクが低下します。

監査

監査は、データベースのアクセス履歴や操作の記録を追跡する手法です。監査ログを定期的にチェックすることで、異常な動作を発見できます。

セキュリティパッチの適用

セキュリティパッチを速やかに適用することで、ゼロディ攻撃などの脆弱性を悪用した攻撃を防ぎます。

セキュリティ診断

データベースやシステム全体のセキュリティ状態を定期的に評価し、脆弱性を特定することが重要です。
•    脆弱性スキャン: 自動ツールを使って脆弱性を検出します。
•    ペネトレーションテスト: 専門家がシステムに対して攻撃を試み、セキュリティレベルを評価します。
•    リスクアセスメント: 全体的なリスクを評価し、対策の優先順位を決定します。

まとめ

データベースには、個人情報、財務データ、ビジネスの機密情報などが多く格納されており、その保護は企業の存続に直結する重要な課題です。情報漏洩が発生すると、企業の信用失墜や多大な法的リスクを招くだけでなく、顧客や取引先からの信頼を失うことにもつながります。

この記事で紹介したセキュリティ対策は、データの暗号化、アクセス制御、多要素認証、監査、セキュリティパッチの適用、そしてセキュリティ診断など、多岐にわたります。これらの対策を組み合わせて適用することで、データベースの安全性を高めることができます。また、セキュリティ対策は一度導入して終わりではなく、定期的な脆弱性評価や最新のセキュリティパッチの適用を怠らないようにしましょう。

ぜひ、この記事を参考にして、データベースの安全性を高めるための取り組みを始めてみてください!


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