AlloyDBとは?特徴と仕組み、Cloud SQL/Spannerとの違いを解説

 2025.10.28  株式会社システムインテグレータ

AlloyDBは、Google Cloudで提供されるフルマネージドのデータベースサービスです。PostgreSQLとの互換性を持ち、高い性能と可用性を実現しているのが特徴です。

本記事では、AlloyDBの仕組みや特長、Cloud SQLやCloud Spannerとの違いについて、詳しく解説します。

 AlloyDBの概要

AlloyDBとは

AlloyDBは、Google Cloudが提供するフルマネージドのデータベースサービスです。クラウドネイティブな設計により、以下のような優れた機能を持っています。

  • 従来の標準PostgreSQLよりも優れたパフォーマンス
  • 柔軟なスケーリング(リードプールの水平拡張など)
  • Google Cloudのインフラストラクチャによる高い信頼性と耐障害性
  • 日々の運用管理やメンテナンス作業からの解放による運用コストの削減

これにより、基幹システムやデータ分析など、エンタープライズ向けのシステムにも対応できるデータベースサービスになっています。

Google Cloudは、AlloyDB以外にも、データベースサービスとしてCloud SQL、Cloud Spannerを提供しています。それぞれの違いは以下の通りです。それぞれ特長や用途が異なるため、システムにあったサービスを選択しましょう。

 

AlloyDB

Cloud SQL

Cloud Spanner

概要

PostgreSQLと互換性のあるフルマネージドDB

SQL Server、MySQL、PostgreSQLに対応するフルマネージドDB。

フルマネージドの分散型データベース

特長

OLTP、OLAP両方に対応する優れたパフォーマンス

主要RDBエンジンが利用可能

グローバルでも強整合、GoogleSQL/PostgreSQLを選択可

主な用途

HTAP(トランザクション処理+分析処理)、AI/機械学習

既存DBからの移行

大規模トランザクション処理、グローバルサービス

AlloyDBのアーキテクチャ

image1

参考:AlloyDBの概要

AlloyDBは1つのクラスタによってリソースが構成され、さらにコンピュート層とストレージ層に分かれます。この分離アーキテクチャにより、計算リソース(ノードやインスタンス)とストレージレイヤーで独立してスケールでき、ワークロードの増減やデータ量の拡大にも柔軟に対応できます。

クラスタは複数のノードで構成され、読み書き用のプライマリインスタンスと、読み取り専用のリードプールインスタンスに分かれています。プライマリインスタンスは必須であり、高可用性に設定することでスタンバイを構成し、可用性を高めることができます。リードプールインスタンスは任意でクラスタ内の全リードプールの合計で最大20ノードまで構成可能であり、負荷分散により分析用途などで高いパフォーマンスを発揮します。

ストレージレイヤーでは、データが複数のアベイラビリティゾーンに冗長化して保存されるため、障害発生時も自動フェイルオーバーで迅速に復旧可能です。この仕組みにより、高負荷・大規模なエンタープライズ用途にも十分対応できる堅牢な基盤を提供しています。

AlloyDBの料金体系

AlloyDBの料金体系は、使用したリソースに基づく従量課金制です。単価はリージョンや割引(CUDs)により異なるため、最新の公式料金ページを参照してください。以下は代表的な「Starting at」の目安です。

リソース

単価(USドル/時間)

CPU

$0.06608 / vCPU hour

メモリ

$0.0112 / GB hour

ストレージ

$0.0004109 / GB hour

バックアップストレージ

$0.000137 / GB hour

参考:AlloyDB for PostgreSQL の料金

例えば、CPU2コア、メモリ16GB、ストレージ100GB、1ヶ月=730時間、1ドル145円の場合、(HA構成の一例で)月額約7万円程度となります。 ※2025年9月現在

AlloyDBの特長

HTAPにも対応、優れたパフォーマンス

AlloyDBは、HTAP(Hybrid Transactional and Analytical Processing)に対応しており、トランザクション処理と分析処理を同時に効率よく行うことが可能です。標準のPostgreSQLとの互換性を保ちながら、OLTP/OLAPの双方で高い性能を発揮すると報告されています。

マルチゾーンに対応した高い可用性

AlloyDBは、Google Cloudのインフラを利用したマルチゾーン対応により、高い可用性を実現しています。プライマリインスタンスは高可用性に設定が可能で、障害時は自動フェイルオーバーによりダウンタイムを最小化します。

予測可能な料金体系

AlloyDBの料金体系は、CPU・メモリ・ストレージ・データ転送量などの使用量に応じて計算されます。最新の公式料金ページの単価を前提に概算することで、ピーク時/アイドル時ともにコスト最適化の検討がしやすくなります。

カラム型の実行エンジン

AlloyDBは、プライマリインスタンスとリードプールインスタンスのどちらでもカラム型の実行エンジンを利用できます。列指向での格納・実行により、集計やスキャン主体の分析クエリを高速化します。特に、リアルタイムデータ分析を行う場面で非常に効果的であり、データウェアハウスやビジネスインテリジェンスの分野でも高い性能を発揮します。

AlloyDB Omni

AlloyDB Omniは、オンプレミス環境でもAlloyDBの機能を利用できるように設計されたソフトウェアパッケージです。これを利用することで、企業はオンプレミスでもAlloyDBがもつ強力なデータベース機能を活用できます。

例として、データをオフラインで処理し、必要に応じてクラウド環境に同期するというような利用が可能なため、低遅延でリアルタイムのデータ更新を求められる業務にも対応できます。銀行や医療機関など、データのセキュリティやコンプライアンスを厳格に管理する必要があるユーザーに対しても有効なソリューションです。

まとめ

AlloyDBはGoogle Cloudで提供されるフルマネージドのデータベースサービスで、PostgreSQL互換、HTAP対応など高い性能と可用性を兼ね備えています。特に大規模システムやPostgreSQLベースのシステムにとって、クラウド移行時の有力な選択肢となるでしょう。

Google Cloudでは他にもCloud SQL、Cloud Spannerといったデータベースサービスも提供しています。それぞれの違いを理解した上で、適切なサービスを選択しましょう。


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