リアルタイムデータベースとは?

 2025.03.13  株式会社システムインテグレータ

リアルタイムな分析や処理を行うためには高速に情報反映およびデータ抽出が行える「リアルタイムデータベース」がおすすめです。本記事では、リアルタイムデータベースの特徴、メリットおよび使用例について解説します。

リアルタイムデータベースとは

1.1 リアルタイムデータベースの概要

リアルタイムデータベース(Real-Time Database, RTDB)とは、データの更新・抽出処理を即時に行い、リアルタイムに情報を反映できるデータベースシステムのことです。単に高速な処理を行うだけでなく、リアルタイム性を保証する仕組みが組み込まれています。

特に、レスポンスタイムを厳格に求められる以下のような分野に適しています。

  • IoT(モノのインターネット)
  • 広告配信
  • 医療分野
  • 金融分野
  • オンラインゲーム
  • 監視システム

リアルタイムデータベースでは、高速なデータ処理能力と同時アクセスを実現するため、インメモリデータベース(IMDB)や分散型データベースといった技術が活用されています。また、データの整合性を保ちつつ、応答時間の短縮するためのアルゴリズムが組み込まれていることも多くあります。

1.2 リアルタイムデータベースとRDBの違い

一般的にデータベースとして利用されるのはリレーショナルデータベース(RDB)です。RDBでは、表と表の関係を定義してデータを格納します。リアルタイムデータベースとRDBは、以下のような違いがあります。

比較項目

リアルタイムデータベース

RDB

特徴

即時データ反映を重視

一貫性と整合性の保証を重視

処理速度

高速

(インメモリ技術の活用等をすれば)高速化が可能

データ保存場所(例)

メモリ上に保存(ただしディスクベースのものもある)

ストレージに保存

RDBは整合性を維持しつつデータを格納し、複雑な条件のデータ検索が可能です。しかし、データ反映には一定の処理時間がかかるため、リアルタイム性を求められるアプリケーションには不向きです。それに比べ、リアルタイムデータベースは、更新頻度が高く、データの即時性が求められるシステムに適しています。

2. リアルタイムデータベースを利用するメリット・デメリット

リアルタイムデータベースのメリットとして、主に以下の3点を解説します。

  • 高速な処理
  • 迅速な意思決定の実現
  • ITインフラコストの削減または増大

2.1 高速な処理

リアルタイムデータベースは、基本的にデータをメモリ内に格納して処理を行います。この仕組みにより、従来のRDBのようにディスクベースのデータベースと比較して圧倒的に高速な処理を実現します。

特に、データの即時反映が求められるIoTデバイスやオンライン取引では、一秒単位でのデータ更新が求められます。リアルタイムデータベースを導入することで、システム全体のレスポンスを向上させ、ユーザーエクスペリエンスの向上にも貢献します。

2.2 迅速な意思決定の実現

企業の競争力を高めるためには、データを即座に分析し、迅速な意思決定を行うことが不可欠です。リアルタイムデータベースを活用することで、最新のデータを瞬時に反映・取得し、分析に活用できます。これにより、市場の変化に迅速に対応し、適切な戦略を立てることが可能です。

2.3 ITインフラコストの削減または増大

リアルタイムデータベースは設計上、高速なデータ処理を目的としているため、RDBと比較してシステムを高速化するためのリソース消費を抑制できるケースもあります。

一方で、大量のデータを扱う場合や高性能なハードウェアを用いるケースでは、むしろインフラコストが高くなる可能性もある点には注意が必要です。

3. リアルタイムデータベースの使用例

3.1 行動データ分析・広告配信

企業や研究機関では、大量のデータを瞬時に処理し、リアルタイムで分析を行うことが求められます。例えばマーケティングの分野では、ユーザーの行動データをリアルタイムで解析し、適切な広告を配信することが可能です。

3.2 チャットアプリ

チャットアプリでは、お互いのコミュニケーションをスムーズに行うため、ユーザー間のメッセージの即時同期が求められます。リアルタイムデータベースは、このような即時性が求められるアプリのバックエンドに適しています。これにより、メッセージ遅延のない快適なチャットシステムを提供できます。

3.3 医療分野

医療分野では、患者のバイタルデータをリアルタイムに監視し、異常値を即座に検知する用途等で活用されます。

3.4 金融分野

金融分野においても、株価や市場データのリアルタイム監視、リスク管理などに使われています。ただし、HFT(高頻度取引)では、リアルタイムデータベースではなく、超低遅延処理向けの専用システムが使用されることが多いです。

 

4.まとめ

本記事では、リアルタイムデータベースについて解説しました。従来のRDBと比べ、即時にデータ更新を反映させ、リアルタイム分析や情報共有に役立てます。これにより、以下のような分野で活用されています。

  • IoT(モノのインターネット)
  • 広告配信
  • 医療分野
  • 金融分野
  • オンラインゲーム
  • 監視システム

システム要件によっては、リアルタイムでのデータ反映を求められる場合があるでしょう。そのような場合にリアルタイムデータベースの導入がおすすめです。


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