ERPシステムとは?基幹システムとの違いは?概要や導入メリットをご紹介!

 2023.02.08  株式会社システムインテグレータ

近年、経営リソースの最適化を目的にERPシステムを導入する企業が増加しています。従来の基幹業務システムよりも柔軟性と拡張性に優れたERPシステムを使って経営資源を適切に管理・運用することで、スピーディーで正確性の高い経営判断ができるようになります。しかし、一口にERPシステムといってもさまざまな種類や利用形態があり、導入・検討が難航するケースも少なくありません。
そこで今回は、ERPシステムの種類や導入メリットから、近年のトレンドまで詳しくご紹介します。 

そもそも「ERP」とは

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「ERP(Enterprise Resources Planning)」は企業経営の根本的な要素である資源を最適に活用する計画を指します。企業資源であるヒト・モノ・カネ・情報の統合管理によって、資源を無駄なく活用して生産性向上を図る考え方です。

そもそもERPは「MRP(Material Resource Planning)」と呼ばれる生産管理の手法が発展したたものです。MRPは在庫をはじめとするモノを中心とした管理手法であるのに対し、ERPはモノだけでなく、ヒトとカネも含んだ管理手法です。生産性向上のために有効的に資源を活用するMRPの手法を経営管理の中心機能として適応させたERPを、多くの企業が活用しています。そして、このような経営資源の有効活用に必要な機能を持ったシステムを「ERPシステム」と呼ぶのです。

ERPについては下記の記事でも詳しくご紹介しています。

関連記事:ERPとは?統合基幹システムの種類やメリットなどを解説

ERPにできること

ERPで企業が持つヒト・モノ・カネ・情報を一元管理することで、リアルタイムに経営資源の状態を可視化・把握することが可能になります。企業内のあらゆる情報が集約されているシステムを使えば、市場で急激な需給バランスの変動が起こったとしても、柔軟な経営判断を下すことが可能です。さらに、企業内のみならず物流拠点や海外拠点と連携することで、大幅にリードタイムを短縮し、スピード感ある経営を実現できるでしょう。

基幹システムや業務システムとの違い

ビジネス遂行に必要なシステムとして、基幹システムや業務(情報系)システムがあります。ここからは各システムとERPシステムの違いをご紹介します。

基幹システムと業務(情報系)システムの違い

基幹システムと業務(情報系)システム、両者とも特定の業務の効率向上を目的に運用するものです。そのため広義にはどちらも「業務システム」と呼ぶこともできますが、一般的には適用される業務範囲の違いで区別されます。基幹システムは会社経営の根幹を成すものとして必要不可欠な、どの企業にも共通する基幹業務を担うものある一方、業務(情報系)システムは基幹業務以外の各部門における業務に用いるものです。明確な定義がなく、業種・業態やTPOによって意味合いが異なる場合もあるため注意が必要です。

ERPシステムと業務システムの違い

基幹システムと情報系システムを含め業務システムは、基本的には特定の業務の効率向上を目的に運用するものです。対してERPシステムは経営資源の有効活用を目的として、各業務データを一元管理するものです。どちらも業務の効率化という視点から見れば同じですが、特定業務だけ効率化を目指す業務システムと、全社で業務データを活用して経営資源を有効活用するERPシステムとでは明確な違いがあります。

ERPシステムの種類

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ERPシステムは業務範囲によっていくつかの種類に分類できます。業務の全域をカバーするものから、特定の業務に必要な機能だけを選択できるものまでさまざまです。では、タイプごとに詳しく見ていきましょう。

完全統合型ERPシステム

完全統合型のERPシステムは、主要業務にあたる会計・販売・生産・人事など、企業経営に必要なデータ全てを統合して管理するタイプのシステムです。基本的にERPとしてイメージされるシステムが完全統合型であり、先にご説明したとおり基幹システムとしての役割を果たします。

完全統合型は購買活動から販売活動まであらゆる業務を連携させて管理できる合理的なシステムです。代表的な統合型ERPシステムとしてSAP社のERPや、弊社提供のGRANDITなどがあります。

コンポーネント型ERPシステム

必要な業務システムを組み合わせて導入するタイプがコンポーネント型ERPシステムです。特徴は既存システムに対して新規システムを追加・拡張することが可能な点です。販売管理や生産管理など業務・部門に絞ってシステム導入が可能なので、集中的な最適化を行えます。カスタマイズ性に優れている一方、古い基幹システムとあわせて運用する場合には最新のサービスとの連携が困難なケースにもあり、注意が必要です。

業務ソフト型ERPシステム

業務ソフト型ERPシステムは特定の業務に必要な機能を備えたタイプのシステムです。会計管理システムや生産管理システムなどの業務や部門ごとに最適化されたシステムがこれに該当します。部門ごとや業務ごとの課題解決、業務効率向上を目的に導入される点においては、コンポーネント型ERPシステムと似ています。業務ソフト型は特定の業務に向けて設計されたシステムなので、ほかのシステムと比べて導入コストを安価に抑えられます。

ERPシステムの導入メリット

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ビジネスのグローバル化に伴ってよりスピーディーな経営判断が求められるようになった昨今、ERPシステムを導入することで得られるメリットが競争力の維持・向上につながります。ここからは、ERPシステムを導入することで得られるメリットをさらに詳しくご紹介します。

情報の一元化

先にご紹介したとおり、一般的な基幹システムは業務ごとにデータを個別に管理する仕組みです。

そのため、全社で横断的な情報活用を実施しようとしても障害が多く、情報資産をうまく活用することが難しい場合があります。業務システムごとに蓄積されているデータを経営判断に利用するためには、分析する前に各システムのデータを加工や集約をする必要があるからです。

しかし、ERPシステムでは業務に使用するデータが一箇所に集約されるので、データに変更が加えられたとしても、常に整合性がある状態のデータを使用できます。情報の一元化によって管理する情報の精度は向上し、経営判断に必要な情報を分析する際にも、分析の準備として各業務システムの情報を加工する必要がありません。

データの有効活用

ERPシステムで管理・運用する統合データベースを全社で使用することで、業務データの有効活用を促進できるでしょう。効率的な業務遂行には、各部門が業務で蓄積したデータの分析・活用が欠かせません。しかし、業務システムが個別に業務データを管理している場合、リアルタイムでデータを分析できず、データを有効活用することは困難です。

しかし、ERPシステムであれば社内の業務データを一つのデータベースで管理できるため、必要なデータを即座に取り出すことが可能です。これにより、経営判断から業務プロセスの改善までさまざまな場面でデータを活用しやすくなるのです。

不要なコストのカット

広く知られているERPのメリットに全体最適化があります。これは、部門間で発生するデータ管理業務の効率化を意味しています。あらゆる業務データを一元管理することで、各部門で個別に同じデータを更新する必要はなくなり、無駄な業務を削減することができます。

基幹システムが個別に業務データを管理する場合、同じデータをそれぞれのシステムに入力する必要があるため余計なコストが発生するうえ、データの二重入力といったトラブルの原因にもつながります。そこで、ERPシステムを導入し、各業務データを統合管理すれば、不要なコストの削減が期待できます。

ERPシステムの導入デメリット

情報の一元化や、それによるデータの有効活用など、ERP導入によるメリットをご紹介しました。しかしERP導入にはデメリットも存在します。デメリットを確認したうえで導入を検討しましょう。

システムの選定が難しい

ERPは価格体系や提供形態が多岐にわたっており、国内だけでなく海外のソリューションも多く利用されています。

検討対象となるシステムが多い反面、頻繁に導入や刷新を行うシステムではないためどのように検討を進めれば良いかというノウハウを持った人材が少なく、自社に適したシステムを選定するのが困難です。

導入・保守にかかるコストの高さ

ERPは企業の基幹業務全体を管理するシステムになります。そのため社内システムへの影響範囲が大きく、導入に数百~数千万の費用が必要になることも珍しくありません。提供形態にもよりますが、導入後もハードウェアやアプリケーションの管理などのため保守費用が発生する場合があります。

社内への浸透・理解

ERPを導入した場合、社内システムへの影響範囲は大きくなり、比例してシステムを利用する関係者も多くなります。

システムを新たに導入することで、今まで使用していたツールやシステム、やり方を変えなければいけません。

システムを導入しても社内に浸透せず、適切に利用されなければERPのメリットを得ることができません。社内の十分な理解を得たうえで、適切に利用されるよう推進しなければいけません。

ERPの今後と将来性

近年はネットワーク環境の向上や様々な技術革新が起こり、企業のビジネス環境は目まぐるしく変化し続けています。このような環境においてビジネスを成長させ、競争力を維持するためには、経験や勘に頼った判断ではなくデータ分析結果をもとにしたビジネスの意思決定や課題解決が必要になってきています。

従来、その導入コストや保守費用の高さから、ERPは大企業が導入するものという意識が根強くありました。しかし近年はクラウドサービスを含め、従来のERPより格段にコストを抑えたソリューションも登場しています。

市場の観点から見ても、ERP市場は毎年成長を続けており、特にオンプレミス型よりもクラウド型ERPの採用が増加しつつあります。

今後も企業活動におけるデータ活用の重要性は増していき、ERPの利用も増えていくでしょう。

オフコンからERPシステムへの移行について

基幹システムを老朽化したオフコンからERPシステムへ移行することで、メンテナンス費用の削減や業務効率の向上が期待できます。ここではオフコンからERPシステムへ移行する際の注意点をご紹介します。

オフコンとは?

オフコンはオフィスコンピューターの略称で、1970年代後半から主に事務処理業務向けの基幹システムに使用されてきました。現在は基幹システムをオープン系OSと標準化ハードウェアで構築することが一般的ですが、オフコンを継続使用している企業は少なからず存在しています。

オフコンは柔軟性と拡張性に乏しい「レガシーシステム」としてさまざまな課題が指摘されており、特にメーカー独自のOSや開発言語がオープン系OSと設計が異なる点は影響が大きく、オフコンのブラックボックス化は深刻な問題となっています。そのほかにもオフコンは維持管理費の増大や最新デジタルを活用したビジネスへの対応の難しさなどが問題として挙げられ、デジタル資産を活用したビジネスに対応するためにはいち早くERPシステムへ移行する必要があるのです。

オフコンからERPシステムへ移行における注意点

オフコンからERPシステムへ移行する際にハードルとなるのが、過去の情報資産の棚卸しです。

オフコンは基幹情報システムとして自社事業向けにカスタマイズが繰り返された結果、システム全体が複雑化することは珍しくありません。ERPシステムにオフコンで使用していた財務会計、販売管理、人事給与などのデータを引き継ぐ際、過去のデータを完全に移行することが困難になる場合があります。なぜなら、カスタマイズを繰り返したシステムはデータに不整合を発生させるケースがあるからです。

引き継げなかったデータ利用のためだけにオフコンを維持することは維持費用などの面から望ましくありません。そのため、過去のERPシステム移行前には情報資産の棚卸しを行い、要件を満たす移行先のERPシステムを検討する必要があるのです。

近年のERPシステムのトレンドは?

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これまで、ERPシステムは大企業が構築するケースが一般的で、中小企業は導入しづらいという風潮が一般的でした。しかし、2010年代頃から普及したSaaSを利用して「クラウド型ERPシステム」が登場し、中小企業がERPシステムを導入するハードルは年々低くなっています。

クラウド型ERPシステムはシステムそのものを購入するのではなく、サービスとしてERPシステムを利用する形態のサービスです。ERPシステムを構築するための自社サーバーなどは不要で、インターネット接続環境があればERPシステムを利用することができます。また、維持費用も安価に抑えられ、導入にかかる期間も短縮できる点が特徴です。一方、完成されたシステムを利用するためカスタマイズ性は低く、業務内容を完全にカバーできない可能性もあります。

こうした課題を解消すべく、最近では次世代型ERPとして「ポストモダンERP」も増えているようです。ポストモダンERPは完全統合型ERPシステムとコンポーネント型ERPの利点をあわせ持つシステムです。各業務に最適な新しいサービスと柔軟な連携が可能なため、ERPに関連する機能そのものを最新の状態に保つことができます。ポストモダンERPは、コア業務を中心としたERPシステムを再構築し、不足している機能はクラウドサービスを使って補うといった構造となっています。

中小企業におけるERP導入については、下記の記事でも解説しています。

関連記事:中小企業はERPを導入すべき?メリット、課題、おすすめ製品をご紹介

ERPシステムの導入方法は?

ERPシステムを導入する前には、導入によって達成したい目的や期待される効果を明確にすることが重要です。「経営判断をスピーディーにしたい」「全社横断的な情報共有で効率化を図りたい」など、自社が解決したい課題を分析することで、最適な構成のERPシステムの導入が叶うでしょう。

ERPシステムの導入方法は、大きく2種類に大別できます。では、それぞれの方法を詳しく解説します。

業務にあわせて新たに業務システムを構築する

ERPシステムを業務の基礎として位置づけ、必要に応じて機能追加などを施して新しいシステムを構築する方法です。自社が必要とするシステム要件に対して、導入するERPシステムの機能が目的達成や課題解決に効果があるか否かを吟味し、導入します。

ERPシステムに搭載されている機能だけで自社ニーズを解決できない場合は、自社業務にあわせた機能追加などを行い、自社業務と親和性が高いシステムを構築します。自社業務に最適化されたシステムを構築できる点は大きなメリットですが、改修にかかる費用が膨大になる可能性もあります。

したがって、明らかに不足している機能やコストメリットが大きい機能に焦点を定めるなど、十分に検討したうえでシステムを構築する必要があるでしょう。

導入するERPシステムの機能に業務をあわせる

もう一つは、ERPシステムの機能にあわせて業務プロセスを適応させる方法です。導入したERPシステムに搭載されている機能に対応させた新しい業務プロセスの導入を検討し、システムの機能で得られる効果を分析しながら業務への適用を進めます。業務プロセス自体をERPシステムにあわせて変える方法は、システムの機能や特性を最も活かすことができるとされています。さらに、この方法は導入効果が得られやすいことも大きなメリットです。

ただし、システム導入への理解や全業務プロセスの洗い出しを確実に実施し、システム導入で問題が生じないかを検討しなければなりません。

また、自社の業務フローや登録情報などが特殊な場合、既存のシステムにあわせられないケースもあるでしょう。こうしたことから、導入の際はまず自社の業務を改めて見直すことから始めるのが重要なのです。

ERPシステムの導入プロセス

ERPの導入は大きく以下のような流れで進みます。

  • 導入の目的を明確にする
  • 自社に適したシステム・ベンダーを選定する
  • 実際の導入~運用
  • 社内教育の実施 

何よりもまず、導入の目的を明確にすることが重要です。導入してから「本当にやりたかったことができない」ということが起きてしまうと本末転倒のうえ、適用範囲が大きいためすぐにほかのシステムに変更するというのが困難です。

実際に何を実現したいのかを明文化し、優先順位をつけておくことでその後のシステム選定やベンダー選定にも役立ちます。

また、導入プロジェクトの関係者だけでなく、実際にシステムを利用する現場の関係者にもこの段階から課題や業務改善に関するヒアリングや相談をしておくとよいでしょう。 

より具体的な導入プロセスは以下で詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
ERPの導入メリットと課題は?導入目的や導入プロセスも徹底解説

自社にあったERPシステムの選び方

ERPを選定する際には以下のようなポイントを確認しておく必要があります。 

必要な機能があるか

自社がやりたいことを実現できる機能が備わっているかが重要です。例えば業種特有、業界特有の商習慣や業務がある場合など、対応可能かどうかを事前に確認する必要があります。 

自社向けのシステムか

ERPと一口に言っても、大企業向けのものや中小企業向けのもの、特定業種向けのものや汎用的なものなど、システムによってターゲットが異なっています。自社がターゲットになっているERPの方が親和性が高くなります。 

信頼できるベンダーか

システムの提案や導入支援、サポートまで、長期的かつ密接にやり取りをするのがベンダーになります。こちらが実現したいことを理解し、意思をくみ取って建設的な提案をしてくれるベンダーを選ぶことが重要です。 

コストは見合っているか

自社の実現したいこととコストのバランスが取れている状態が望ましいでしょう。業務改善を実現できてもコストがかかりすぎれば費用対効果が悪く、かといって安さだけでERPを選定すると、やりたいことを実現できない可能性もあります。 

使いやすいか

ERPの真価は、システムが適切に利用されて初めて発揮されます。そのため実際にシステムを利用する人が使いやすいシステムを選びましょう。利用する人が使いづらいと、入力ミスが多くなってしまったりそもそも入力されなくなってしまったりといったことが起き、ERP導入の効果を得られなくなってしまいます。

まとめ

今回はERPシステムについてご紹介しました。ERPシステムは一言で言い表せないほど、さまざまな種類やシステムの構築方法、利用形態が存在します。そのため、システム導入を検討する際には、自社の企業規模やニーズにマッチしたシステムを選定することが極めて重要です。当社は様々な企業へのERP導入実績がございます。ERPに関する疑問やご不明点など、ERPのことなら株式会社システムインテグレータにおまかせください。

ERPシステムをどのように検討すべきかより深く知りたい方に向けて、ERPの基本をまとめた資料も用意しています。お悩みの方は、こちらの資料もあわせてご覧ください。

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