ERPの導入で得られる7つのメリット

 2017.09.11  株式会社システムインテグレータ

ERPを導入することで、企業は多くのメリットを得ることができます。その全てが、現代企業が抱える経営課題を解決するものです。 

しかし、ERPを導入しても、そのメリットを最大限に引き出せない企業がいることも事実です。なぜ、導入したにもかかわらずメリットを引き出せないのか?いろいろな原因がありますが、ERP導入のメリットを「知っているか、知らないか」に起因することもしばしば見受けられます。

ERP導入のメリットを広く理解していれば、ERP導入の目的を明確化することができ、導入後の評価へと繋げることも可能となります。反対に、ERP導入のメリットに対する理解が少なければ、導入目的が不明確となりメリットを最大限に引き出せずに終わってしまうかもしれません。

そこで今回は、ERP導入で得られる7つのメリットをご紹介します。今後、効果の高いERP導入を目指す企業は、ここで紹介するメリットをしっかり理解し、効果の高いERP導入を目指していただきたいと思います。

関連記事:ERPとは何か?MRPとの違いや、管理手法の変遷を解説

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ERPとは?

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ERPは「Enterprise Resource Planning」の頭文字を取った略語で、ヒト・モノ・カネ・情報などの企業経営の基本となる資源要素を適切に分配して有効活用するための計画を指します。ERPの考え方は生産管理手法のMRP(Material Resource Planning)から派生したと言われており、資源を有効活用して生産効率を向上させる考え方を経営の効率化に応用させて誕生しました。

現在ではERPは「基幹システム」と同じ意味でつかわれる場合も多くなっています。

まずは、国内でERPの導入が進んでいる背景と、基幹システム・ERPの違いをチェックしていきましょう。

ERPが広まる背景

日本でERPの導入が広まった1990年代後半は、導入のために大量のカスタマイズが必要で、初期投資と運用の負担は増大せざるを得ない状況でした。そのためERPは大企業が導入するシステムというイメージが先行していましたが、昨今ではERPは中小企業も導入が十分に可能なパッケージソフトウェアとして変化しています。

ERPは以前よりも圧倒的に少ない開発工数で利用できるようにサービスが進化しており、SaaS(Software as a Service)の登場で導入障壁はより低くなりました。

矢野経済研究所が2020年に実施した調査によると、2019年のERPパッケージ市場は前年比7%増の1198億3000万円に成長しています。

基幹システムとの違い

基幹システムはバックオフィス系システムや業務系システムと呼ばれており、基本的には企業が経営活動を行うために必要なシステムそれぞれを指します。例えば、会計・人事・販売などの主要業務に対し、会計システム、人事・給与管理システム、販売管理システムなどです。営業部門と経理部門など異なる部署の間でデータをやりとりする際は、システムを連携させるための手間が必要です。

一方、ERPは企業に存在するさまざまな業務のデータを一元管理することができます。ERPであれば異なる業務での情報更新などもスムーズに行えるため、企業の経営状況などをタイムリーに可視化できるでしょう。つまり、経営層はERPを活用すれば適切な判断を迅速に下せるようになるのです。

基幹システムとERPの違いについては以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
基幹システムとは?メリットや機能、ERPとの違いなどを解説!

ERPの導入で解決できる課題

ERPは企業の経営資源に関する情報を統合管理するシステムです。近年ではERPの高性能化が進んでおり、適切に運用することでさまざまな課題を解決できます。

情報共有に時間がかかっている

部署や業務ごとに異なるシステムを導入しており、連携するための設定やデータ共有を行う作業に時間がかかっている企業は少なくありません。また、データの更新や追加などを行う際には、データの置き場所や更新日時といった情報を会社内に都度共有する手間も必要です。連携が適切に行えていない企業では、部署ごとに情報が更新されるタイミングが異なり、対応が遅延してしまったり、手戻りが発生してしまったりといった非効率的な業務体制になっているかもしれません。

こういったケースでは、ERPを導入することで社内情報を一元管理できるようになり、従来の業務体制を効率化できる場合があります。

ITコストが増大している

インターネットやパソコン、スマートフォンという技術が仕事に必須であるように、年々企業のさまざまなITコストは増大しています。情報管理やシステム面も例外ではなく、クラウド化が進む一方で、レガシーシステムとの混在に頭を悩ませている方も多いはずです。特に、事業を拡大させたり、業務改革で組織の見直しなどがあったりすると、新たにシステムの導入が必要となるケースもあります。今後も企業活動に比例してITコストは肥大化していくと予想されるため、早急に対応策を検討する必要があります。

ITコストの最適化を行わずに運用負荷と管理コストの増大が進めば、経営を大きく圧迫する可能性を軽視できません。そこで、一元的な情報管理を行えるERPを導入すれば、社内に点在するシステムを集約し、無駄なITコストを抑えられます。

ERPの導入が業務に与える7つのメリット

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ERPで企業内の情報を一元管理することで、業務手順の可視化やコスト削減、業務効率向上など多くのメリットが得られるようになります。ここでは、ERPを新規導入することで企業が得られるメリットを7つご紹介します。

メリット1. 統合データベースによる情報活用の促進

ERPを導入すると、今まで分断化されていた複数の基幹システムが統合されることになります。これは、今までサイロ化されたシステムを単純に統合管理することではありません。統合を前提とした設計で構築された基幹システムでありデータベースも一つに統合されることになります。

 統合データベースによってもたらされる最大のメリットは、情報活用が促進することです。昨今、ビッグデータ分析がビジネスの中心になりつつあり、多くの企業でビッグデータ分析のニーズが拡大しています。しかし、現実問題として、分散されたシステム環境では、データ収集や加工に時間がかかり、リアルタイムなデータ分析が行えないという課題が少なくありません。 

一方ERPを導入した企業では、統合データベースによってこうした課題を解決しています。 

複数の基幹システムから生成される各データは、一つのデータベースで管理されます。これにより、データ収集や加工といった作業時間を大幅に短縮でき、リアルタイムかつ正確なデータ分析を実現します。さらに、BI(ビジネスインテリジェンス)との連携によって、データ分析基盤が強化されます。

メリット2. 経営の意思決定を迅速化できる

統合データベースがもたらすメリットは一つではありません。もう一つ、「意思決定の迅速化」という大きなメリットがあります。多くのERPでは「経営ダッシュボード」と呼ばれる機能、あるいはそれに類似した機能を提供しています。

経営ダッシュボードとは、自動車の速度メーターなどが並ぶダッシュボードのように、データ可視化を提供する機能です。経営者は、自分が欲しい情報のみを表示させ、それらは直感で理解できるようメーターやグラフ表示になっていたりします。工夫がこらされています。

この経営ダッシュボードによって、経営者は欲しい時に欲しい情報を確認でき、組織全体のデータを確認しながら経営の舵切りを行うことができます。今までのように担当者に欲しい経営データの作成を指示して、その担当者があらゆるシステムからデータを抜き出し、Excelで加工するなどという無駄な作業がなくなります。 

これにより、意思決定は迅速化し、スピード経営を実践することが可能になります。

メリット3. 業務手順の最適化

組織を横断する業務の流れは複雑です。重要業務であるほど、この傾向は強くなります。こうした業務手順自体が、円滑なビジネス遂行の妨げになってしまっているケースも少なくありません。しかし、人手によってこの業務手順を改善することは難しいのが実情です。 

そこでERPが業務手順最適化に大きく貢献します。 

ERPを導入することで、複数の基幹システムが連携され、業務手順を合理化、視覚化することができます。これにより、まず業務手順のどこに問題があるかを特定できます。さらにシステム上で最適な業務手順を設計すれば、これまで難しかった業務手順最適化が実現します。

メリット4. 業務効率が向上する

ERP導入のメリットとして広く知られているのが「全体最適化」であり、これは各部署や部署間の業務効率向上を意味します。たとえば、基幹システムが統合されていない生産現場では、部品納入時に調達管理システム在庫管理システムに、同一のデータを入力しなければなりません。この時点で、2重のデータ入力作業が発生します。 

多くの企業では、こうした2重3重のデータ入力作業が当たり前のように行われています。そうなるとデータ入力ミスも多く、トラブルが発生しがちです。 

対してERPを導入している企業では、基幹システム同士で連携が取れているので、例えば、調達管理システムに入力したデータが在庫管理システムへ自動的に反映されます。このように二重打ち込み作業やそれに伴う人的ミスと言った非効率かつ業務品質の悪化を防ぐことも可能になるのです。

こうした基幹システム同士の連携は各部署の業務効率を向上させ「全体最適化」や「業務品質の向上」というメリットにつながるのです。

メリット5. 経営判断のための管理会計を強化できる

外部ステークホルダーに経営情報を提示するための財務会計と違い、管理会計は経営判断のための材料です。管理会計は法的な縛りがないため、企業によって異なる管理会計基準が存在するでしょう。

どんな会計基準であれ、大切なことは経営判断の材料として有効な情報を、正確に、迅速に収集できるかどうかです。管理会計で使用するデータは、リアルタイムかつ正確でなければなりません。 

ERPは、正確かつ迅速な情報収集により管理会計をサポートするために、統合データベースによりリアルタイムな情報提供を行います。

メリット6. パッケージによる開発コスト削減と開発期間短縮

独自開発での統合型基幹システムを構築するには、莫大なコストと時間を要します。この代替としてERPパッケージを選定すれば、大幅な開発コスト削減と開発期間短縮が可能です。ただし、大切なことはパッケージでいかに自社要件を満たせるかにあります。

いくら開発コストと開発期間を抑えることができても、現状課題を解決できなければ意味はありません。そのためには、業界業種、そして自社ニーズに対応したERPパッケージの選定が大切です。

メリット7. 整合されたデータやアクセス権限でガバナンスを強化

昨今、企業規模を問わず重要視されているのが「コンプライアンス(法令順守)」です。企業の信頼を守るためには無視できない要素であり、そのためのガバナンス(内部統制)強化が、各企業で取り組まれています。

しかし、従来の基幹システムが分断化されているシステム環境では、ガバナンス強化が難しいという実情もあります。それは各システムにデータが分散しているので、異なった条件に適応するセキュリティポリシーを運用していくことに大きな負担がかかっています。

ERPでは、各データは統合データベースで一元管理され、統合管理されたセキュリティポリシーで企業システム全体を保護することを可能にします。これによりガバナンスも強化され、最適なコンプライアンスを維持することができます。

ERPの導入プロセスは?

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ERPはまとまった導入コストと準備期間がかかるシステムであり、運用を開始するまでに複数の手順を経由する必要があります。ここではERPの準備から初期導入までの流れと、各プロセスの進め方を解説します。 

導入体制を整える

ERPをスムーズに導入するには、導入目的の明確化・スケジュール管理・各部署との連携などを行うための導入体制の整備が欠かせません。ERP導入にあたり、責任の所在を曖昧にしたまま話を進めるのではなく、担当者を選任したり必要に応じて複数名のチームを編成したりしましょう。

関連部署にも前もって説明を実施するなど、企業全体で協力してERP導入を成功させようとする体制の構築が必要です。もし、現場と経営層との間で連携を取らずにERPを導入した場合、運用効率が上がらない、システムが使用されないという結果を引き起こすリスクが高くなります。

また、導入目的によって適切なERPや運用体制は変わってきます。例えば、業務効率化や基幹システムの統合など、ERPの導入目的は企画段階で決め、それにあった体制を整えましょう。

自社に合うERPを選定する

次に、自社に最もマッチするERPを選定しましょう。EPRはさまざまなサービスが登場しており、それぞれに特徴や機能が異なります。導入コストも性能によって左右されるため、闇雲にERPを選んでしまうと思わぬ失敗をしてしまうかもしれません。そのため、まずは各部署の業務フローやデータ管理方式、改善したい課題などの明確化を行って、ERPに何を求めているかをはっきりさせましょう。必要な機能と優先順位が分かれば、ERPの選定で迷わずに済みます。

また、ERPは運用後に新しい機能が必要となるケースも少なくないため、カスタマイズ性の高さも考慮しておくとよいでしょう。ERPの選び方については以下の記事で詳しく解説しているので、導入するERPシステムに悩んでいる方はあわせてご覧ください。

関連記事:成功するためのERP製品の選び方

業務改革を行う

ERPを導入して効果を最大限に発揮させるには、企業の業務改革にも着手しましょう。業務手順の最適化やコスト削減といった効果を効率的に獲得するには、既存業務の無駄を削減すること、ERPの適用範囲を明確化することが重要です。ERPを導入すれば情報の一元管理は可能ですが、既存業務そのもののフローや内容が変わるわけではありません。指標などに使う数値や項目も、適正であるか改めて確認することをおすすめします。また、業務改革が不十分だとERPのカスタマイズ費用が余計に発生してしまうリスクもあります。ERPの機能にマッチするように業務フローなど見直しを行って、費用対効果を最大化できるように準備を進めましょう。

インフラを整備し初期設定を行う

ベンダーとの調整や運用スケジュールが決まった後は、ERPを運用するサーバーやネットワークなどのインフラを整備するプロセスに移ります。インフラはERPを支える屋台骨のため、慎重に整備を進めましょう。もし、ERPの導入後にネットワーク構成の再検討が必要になれば運用負担が一気に増加する原因になりかねません。社内だけでのインフラ整備に不安がある場合は、信頼できるベンダーなど、人の意見を柔軟に聞き入れる姿勢も大切です。また、インフラ整備に割くリソースが不足している企業では、クラウドで提供されているERPの導入を検討してみてもよいでしょう。

次に、インフラ整備が無事に終わったら必要なソフトウェアのインストールなどERPの初期設定を行います。マニュアルを閲覧したりベンダーの助言を聞いたりできるので、焦らずに作業を進めましょう。また、サーバーやネットワークの設定はERPの運用コストに直接影響する要素なので、社内のネットワーク担当者などの関係各所と調整しながら進めることがポイントです。

ルールを策定し社内教育を行う

ERPを効率的に利用するには、運用ルールの策定および社内教育の実施が欠かせません。ルールや社内教育が不足しているとERPの効率的な運用が進まず、業務改善に支障が出ます。反対に、ERPを使用する範囲や使い方などを具体的に策定すれば、ERPが浸透し社内情報を適切に管理できるようになるでしょう。

なお、ERPの導入直後は業務体系が変わるため、現場でのトラブルや使い方に関する質問などが増えることが予想されます。もし手が空かないような場合には、ベンダーによる導入支援サポートを利用するなど工夫してみましょう。

ERP導入を失敗しないためのポイント

ERPは情報管理の効率化やコスト削減を実現できるシステムですが、適切に運用するにはいくつかのポイントを理解していることが重要になります。ここでは、ERPの導入を失敗しないために知っておきたいポイントをご紹介します。

ERPの導入目的を明確化する

まずは、ERPを導入する目的を明確にしましょう。目的が曖昧なままERPのサービス選定や導入を進めてしまうと、さまざまな問題が発生する恐れがあります。ERPに求めている機能が分からなかったり、システム導入後の効果測定を行えなかったり、業務遂行に支障が生じます。

そうした事態を防ぐためにも、具体的な目的を関連するメンバーで話し合って決めておきましょう。例えば、業務効率化を実現して生産性を向上させたい、古いシステムを統合したい、コストを削減したいなどが挙がるはずです。複数の導入目的がある場合は、優先順位を付けておくことをおすすめします。

自社に合うERPを見極める

自社の状況に適したERPを導入するには、搭載されている機能や拡張性、導入コストの高さなどをよく把握しておきましょう。ERPの導入をスムーズに進めるには、カスタマイズやアドオン追加などを少なくできるERPを選ぶことがポイントです。準備期間の長さや導入コストに大きく影響する要素なので、複数のERPを比較・検討することをおすすめします。

ベンダーのサポート体制を確認する

ERPを選定する際は、ベンダーによるサポート体制を忘れずにチェックするようにしましょう。ERPは企業のさまざまな情報を扱い、業務への影響度合いも大きなシステムです。ERPの導入や運用でトラブルが発生した際に迅速に対応するためには、ベンダーによるサポートが欠かせません。サポート体制が手厚いERPであれば、慣れない作業にも焦らずに対応が可能です。

例えば、導入時の機能説明やデモンストレーションといったサポートが充実しているベンダーを選べば、ERPの導入をスムーズに進めやすくなります。特に、ERPを初めて導入する場合、サーバーの準備や導入プランの提案、初期設定代行といったサポート内容が充実しているベンダーを選ぶことをおすすめします。

ERP導入にあたって失敗がないよう、こちらの記事ではポイントを紹介しています。あわせてご覧ください。 

ERP導入の失敗を防ぐために必要な7つのポイント

まとめ

今回は、ERPを導入するメリットや基本的な導入プロセスを紹介しました。

ERPは大企業に限らず多くの企業で導入されており、企業活動を支える柱のシステムとして活用されています。それぞれが独立している基幹システムと異なり、業務のデータを一元管理できるERPはさまざまな企業の課題を解決へと導きます。紹介したERPのメリットを最大限に発揮させるためにも、導入体制を整えたり業務改革に着手したり、怠らずに各種準備を進めましょう。特に、ERPの導入目的の明確化は重要なポイントなので、担当者を中心に関連するメンバーと話し合って認識を揃えることをおすすめします。

ERP導入を成功させて、業務効率化や生産性の向上を実現させましょう。

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