【2024年最新】ERP比較10選&種類や基礎を詳しく解説

 2024.01.25  株式会社システムインテグレータ

ERPにはさまざまな種類のパッケージがあり、それぞれ得意分野や特徴が異なります。また、導入にかかる費用にも差があるため、どの基準でERPを比較すれば良いのか迷う方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ERPの基本を押さえた上で、おすすめのERPを詳しくご紹介します。比較検討の際にぜひお役立てください。

ERP(基幹業務システム)とは

ERP

「ERP」とは、「Enterprise Resource Planning」の略称です。

ERPは、ヒト・モノ・カネといった企業の経営資源を統合的に管理し、効率化を図るための概念を指します。この考えをもとに構築されたシステムが「ERPシステム」または「ERPパッケージ」と呼ばれます。本ブログでは、これらをまとめて「ERP」と記述します。

ERPは、財務管理、人事管理、在庫管理、販売管理など、企業活動に関わるデータを一元化し、効率的な管理を実現します。これにより、業務全体の透明性が向上するとともに、部門間の情報共有が円滑になり、生産性を大幅に向上させることが可能です。

ERPの導入が必要とされる理由

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企業がERPを導入する理由は多岐にわたります。ここでは、実際にお客様からよくお伺いする導入理由を以下にまとめました。

業務効率化

ERPを導入することで、標準化された業務フローが採用され、非効率なプロセスを排除して業務を最適化できます。基幹業務を一元管理することでデータの重複や不整合を防ぎ、二重管理やヒューマンエラーを削減します。これにより、生産性が向上し、企業の限られたリソースを最大限に活用することが可能です。

システム保守の軽減

ERPは複数のシステムを統合し、分散した保守作業の煩雑さやデータ連携の問題を解消します。特に、従来のオフコンシステムでは属人化やブラックボックス化が進み、システムメンテナンスが大きな課題となることが多いですが、ERPはこれらの問題を解決し、安定した運用を実現します。また、クラウド型ERPを選択することでハードウェア管理が不要となり、IT部門の負担軽減にもつながります。

迅速な意思決定

ERPはリアルタイムでデータを収集・分析し、経営層が迅速かつ正確な意思決定を行える環境を提供します。一元管理によってデータの一貫性が保たれ、不整合が解消されるため、経営のスピードと精度が向上します。
近年ではデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を目的として、システム基盤の強化を目指しERPを導入する企業が増えています。ERPは単なる業務効率化やコスト削減のツールではなく、事業成長を支える重要な基盤としてその役割を果たしています。

ERPの種類

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ERPにはさまざまな種類があり、企業の規模や業界、導入目的に応じて適切な選択が求められます。
この項目では大きく「クラウド型」と「オンプレミス型」に分けて解説します。 

オンプレミス型

オンプレミス型は、自社サーバーにシステムを構築する形態であり、セキュリティの高さやカスタマイズ性の優位性が特長です。クラウド型が普及する以前は主流で、現在も多くの企業で採用されています。また、オフライン環境でも利用できるという利点があります。
一方で、システムの管理やメンテナンスをすべて自社で実施する必要があるため、メンテナンスの負担が大きくなる点や、初期費用が高額になるといったデメリットがあります。

クラウド型

クラウド型は、インターネット経由で利用するERPであり、初期費用が低く、システム管理やトラブル対応をベンダーが行うため、運用負担を軽減できます。さらに、サブスクリプション形式で利用するため、柔軟な導入が可能です。
ただし、カスタマイズ性はオンプレミス型に比べて劣り、ネットワーク障害の影響を受けやすい点には注意が必要です。また、長期的にはオンプレミス型の方がコストを抑えられる場合もあります。

国産ERPの特徴

企業が業務効率化やデジタル化を進めるうえで欠かせないERP。その選択において、国産ERPと海外産ERPのどちらを選ぶべきか悩む企業も少なくありません。ここでは、国産ERPの特徴を海外産ERPと比較しながら、詳しく解説します。

日本の制度や規制への即応性

日本企業にとって、日本特有の税制や労務制度に対応したERPの導入は重要です。国産ERPは消費税や年末調整などに標準対応しており、税制や法改正にも迅速にアップデートされるため、追加のカスタマイズがほとんど必要ありません。
一方で、海外産ERPは多国籍企業向けに設計されており、グローバルな税制や会計基準への対応に強みがあります。しかし、日本の独自規制に対応するにはカスタマイズが必要となる場合が多く、その結果、導入コストや期間が増加することがあります。たとえば、消費税の複数税率やインボイス制度については、国産ERPが即座に対応可能であるのに対し、海外産ERPでは専用モジュールやカスタマイズが必要になることが一般的です。

業界や企業規模に合わせた柔軟性

企業の業務内容や規模は多様であり、ERP導入時には自社の業務プロセスへの適合性が重要です。国産ERPは中小・中堅企業や特定業界向けに柔軟なカスタマイズが可能で、特に国内市場向けの流通業や製造業に適したテンプレートが豊富で、導入後すぐに運用を開始しやすい特長があります。
一方、海外産ERPはグローバル標準の業務プロセスを採用し、大規模企業には効率的ですが、中小・中堅企業や特定業界には過剰な機能や高コストのカスタマイズが課題となる場合があります。このため、中小・中堅企業では国産ERPが最適な選択となる場合が多いです。

親和性の高い導入・運用環境

ERPの導入成功のカギは、運用がスムーズに進むかどうかにあります。この点で国産ERPは、日本語に完全対応した直感的なUI/UX設計や、迅速で質の高い国内の導入支援・運用サポートにより、現場への定着がスムーズである点が大きなアドバンテージです。
一方、海外産ERPは多言語対応が基本でグローバル企業に適していますが、日本語環境への最適化が不十分な場合があり、特にサポートが海外拠点から提供される場合には対応のスピードや質が課題となることがあります。

ERP市場について

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ERP市場は、企業のデジタル化が進む中で着実に成長を遂げています。特に国内市場では、中小企業を中心としたデジタル化需要が高まり、ERP製品の導入が注目されています。

国内ERP市場の推移

株式会社矢野経済研究所の調査によると、2023年度の国内ERP市場売上は前年比9.5%増の1,419億8,000万円に達しました。一方、2024年度の成長率は、インボイス制度対応の一巡や新たなトレンドの欠如、一部ベンダーのリソース不足によりやや鈍化すると見込まれています。それでも、DX需要やクラウド移行の堅調な進展により、市場全体は安定した成長を続けると予測されています。

提供形態別では、IaaS/PaaS型ERPが前年比3.8%増の41.9%、SaaS型ERPが1.2%増の15.3%となる一方で、オンプレミス型ERPは前年比5%減少しました。このままクラウドERPの成長が続けば、2025年には市場全体の7割を占めると予想されています。

ERP市場のトレンド

「Fit to Standard」

近年、ERP市場で注目されている「Fit to Standard」という概念は、ERP導入時に過度なカスタマイズを避け、ソフトウェアの標準機能に業務プロセスを適合させる考え方を指します。このアプローチにより、導入コストや期間の削減、保守の容易さ、バージョンアップへの迅速な対応が可能になります。また、業務プロセスの標準化を通じて、効率の向上や部門間の連携強化も期待されます。
この方針は特に経営層から支持され、短期的な課題解決よりも長期的な柔軟性や持続可能性を重視する姿勢と一致しています。

「データドリブン経営」

データドリブン経営とは、意思決定や業務改善をデータに基づいて行う経営手法を指します。この手法により、企業は迅速かつ正確な判断を下し、業務の効率化や新たなビジネスチャンスの創出を実現できます。ERPは、企業内のデータを一元管理し、リアルタイムでの分析を可能にすることで、データドリブン経営を支える重要な基盤として機能します。

「生成AIの活用」

生成AIとは、大量のデータを学習し、新たな情報やコンテンツを生成する技術です。ERPは生成AIの活用に必要なデータ基盤を提供し、財務データやサプライチェーンデータを活用することで、業務の自動化や経営判断の精度向上を実現します。

ERPの比較10選 

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ERPは製品によって対応する業務の範囲が異なります。特定の業界に特化しているもの、連携機能が豊富なもの、あるいは基幹業務以外の機能を兼ね備えているものなど、多岐にわたります。そのため、複数のベンダーから見積もりを取得し、各製品の特長を比較して、自社に最適なシステムを選ぶことが重要です。

本項目では、代表的なERPパッケージを10選ご紹介します。ぜひ、自社の導入検討の参考にしてください。

Oracle NetSuite

Oracle NetSuiteは、Oracle社が提供する中堅・中小企業向けの海外産クラウド型ERPです。世界で37,000社以上の導入実績を持ち、製造業、サービス業、流通業、金融業など、幅広い業種に対応可能な豊富な機能を備えています。BI機能が標準搭載されており、最新の売上状況や財務状況をダッシュボードでリアルタイムに確認できるため、迅速な経営判断をサポートします。また、Oracle社は大手企業向けに「Oracle Fusion Cloud ERP」も提供しており、企業の規模やニーズに応じた選択が可能です。

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OBIC7

OBIC7は、オービック社が提供する中堅企業から大企業向けのERPです。「会計」を中心に、「人事」「給与情報」「販売」「生産」などの多彩な機能が連携し、企業ごとの業務統合と効率化を実現します。導入方法として、クラウド型とオンプレミス型の2種類が選択可能であり、近年では原則ノンカスタマイズによる導入サポートを提供しています。また、国産ERPとしてシェアNo.1を誇る実績があります。

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GRANDIT

GRANDITは、GRANDIT社が提供する中堅企業向けのERPです。11社のプライムパートナーによる「コンソーシアム方式」で運営されており、それぞれの企業のノウハウを活かして作られた純国産ERPです。各パートナー企業が得意とする業界に特化したシステム構築を提案できる点が特長です。

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SAP

SAPは、SAP社が提供する中堅から大手企業向けのERPです。オンプレミス型構築からクラウド型構築、完全なSaaS型ERPまで、幅広い導入形態に対応可能な製品を揃えています。全世界で豊富な導入実績を誇り、業種ごとの特化機能だけでなく、グローバル対応に優れた機能も提供しています。また、各国に販売および導入パートナーが多数存在し、地域ごとのニーズに応じた提案が可能です。

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Microsoft Dynamics 365

Microsoft Dynamics 365は、Microsoft社が提供する大企業向けのビジネスアプリケーションです。2023年度の国内累計導入数はシリーズ全体で800社以上に達しており、その人気が伺えます。特に、Office製品とのシームレスな連携が最大のメリットであり、既存のMicrosoftツールを活用して効率的な業務運用が可能です。
さらに、AIアシスト機能である「Copilot for Dynamics 365」や「Copilot for Sales/Service」が組み込まれており、自然言語を活用したコンテンツ作成、タスクの自動化、高速化を実現します。これにより、企業の生産性向上や意思決定の迅速化を支援します。

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奉行V ERP

奉行V ERPは、オービックビジネスコンサルタント(OBC)社が提供する中堅・上場企業向けの高性能なクラウド型ERPです。Microsoft Azureをクラウド基盤に採用したプレミアムモデル(SaaSモデル)と、動作保証済みのパブリッククラウドで運用できるモデル(IaaSモデル)から選択可能で、高いセキュリティと柔軟性を兼ね備えています。

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ProActive C4

ProActive C4は、国産初のERPであるProActiveで培ったノウハウを集結させたSaaS型ERPで、2021年に提供が開始されました。C4のコンセプトは「Customer(顧客)」「Connectivity(接続性)」「Cross-border(国境を超えた対応)」「Collaboration(協働)」を基盤としており、変化するビジネス環境に対してクラウドを通じてスピーディーかつ柔軟に対応可能です。
また、画面パーソナライズ機能やマルチデバイス対応など、使いやすさにこだわったUI・UXを採用し、業務効率の向上を実現した国産ERPとして注目を集めています。

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GLOVIA iZ

「経営に革新を 企業に変革を」をコンセプトに開発されたGLOVIA iZは、「経営」「会計」「人事給与」「就業」「販売」「貿易」「生産」の7つの基幹業務と現場業務をつなぐフロント基盤を統合した、中堅企業向けの次世代ERPです。クラウドとデジタル技術を融合し、柔軟で効率的な業務運営を支援します。
法改正が頻繁な会計や人事給与の分野ではクラウド環境を活用し、独自業務が多い販売ではオンプレミス(自社導入)を選択するなど、業務に応じて最適な環境を選べる点が特徴です。

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EXPLANNER/Z

EXPLANNER/Zは、50年以上の歴史を持つEXPLANNERシリーズの一部であり、累計3万本以上の導入実績を誇るERPです。業務効率化とグループ全体の最適化を目指し、オンプレミス型とクラウド型の双方に対応可能な柔軟性を備えています。
特にオンプレミス環境では、開発フレームワークの提供により、企業固有の要件に柔軟に対応できる点が特長です。また、クラス呼出方式を採用することで、システム全体への影響を最小限に抑える堅牢な設計を実現しています。

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SMILE V

SMILE Vは、基幹業務システム「SMILE V」と情報系ソリューション「eValue V」を統合したDX対応のERPです。バックオフィス業務の効率化とデジタル化を推進し、多種多様な業種に対応する柔軟性を備えています。オンプレミス型とクラウド型の両方で提供され、特にインボイス制度や電子帳簿保存法改正への対応を強化しています。

さらに、ドキュメント管理やワークフロー機能を組み合わせた統合パッケージとして高い評価を得ており、企業の業務効率化に大きく寄与します。

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ERPの導入前にすべきこと

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ERPを決定した後、導入プロセスを成功させるためには、事前の準備が欠かせません。特に重要なのは、「業務の把握」と「システム理解」の2つのポイントです。これらに焦点を当てて進めることで、円滑な導入と最大限の効果が期待できます。

業務の把握

まず、自社の業務プロセスを詳細に分析し、ERPが管理可能な領域とそうでない領域を明確にする必要があります。各部署へのヒアリングを通じて現状の課題を洗い出し、それを基に要件定義を行うことで、導入目的や期待する改善効果を具体的に設定します。このプロセスを省略すると、目的が曖昧なままシステムを導入し、期待通りの効果を得られないリスクが高まります。

システム理解

選定したERPの特性や機能を正確に把握し、自社業務との適合性を評価することが重要です。デモやお試し期間を活用して現場の反応を確認するとともに、導入後の運用計画を具体化します。さらに、システム普及のための教育体制やマニュアル整備を計画することで、システムの定着率を向上させることができます。

これらの準備を徹底することで、導入後のトラブルを未然に防ぎ、ERPが最大限の効果を発揮できる環境を構築できます。

バックオフィス業務改善ならシステムインテグレータ

多くの企業が直面する人手不足の課題に対し、バックオフィス業務では依然として属人化した作業やアナログ業務が残っており、これが企業の成長を妨げる大きな要因となっています。しかし、バックオフィスの業務プロセスを最適化することで、コスト削減や属人化の解消だけでなく、企業全体の生産性向上にも大きく貢献することが可能です。

株式会社システムインテグレータは、ERPをはじめとする情報システムの導入において豊富な実績を持ち、お客様一人ひとりのニーズに応じた最適な改善策をご提案します。業務プロセスの洗い出しや課題の整理といった導入前の準備段階から徹底的にサポートし、貴社の課題解決を全力でお手伝いします。

バックオフィス業務に関する課題やお悩みがございましたら、ぜひお気軽に株式会社システムインテグレータまでお問い合わせください。私たちは、お客様の業務改善を共に実現するパートナーとして、最善のソリューションを提供します。

まとめ

この記事では、ERPの基礎を振り返りながら、おすすめのERPをご紹介しました。

ERPは、業務効率化や経営資源の一元管理を実現し、企業の迅速な意思決定や成長を支える重要な基盤です。しかし、多数の製品が市場に存在する中で、自社に最適なERPを選ぶためには、業務内容や現状の課題を正確に把握し、要件を明確に定めることが欠かせません。この記事で取り上げた比較ポイントや製品情報を参考に、導入検討を進めていただければ幸いです。

当社、株式会社システムインテグレータは、ERPをはじめとする情報システム導入において豊富な実績を持っています。ERPに関するお悩みはぜひ当社にお任せください。専門スタッフが貴社の課題を丁寧にヒアリングし、最適なソリューションをご提案いたします。

なお、ERPは製品ごとに得意分野や特徴が異なるため、選定時には機能性、操作性、コスト、サポート体制、セキュリティ対策などの比較が不可欠です。当社では、ERP選定のプロセスが円滑に進むよう、詳細な比較やご相談にも対応しております。お気軽にお問い合わせください。


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