ERP比較15選&種類や基礎を詳しく解説|2026年最新版

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 株式会社システムインテグレータ

現代の企業経営において、ERP(Enterprise Resource Planning/統合基幹業務システム)は、もはや単なる事務効率化のためのITツールではありません。
業務プロセスとデータを一体化し、経営判断のスピードと質を高める経営基盤として、その役割は大きく進化しています。
特に2025年から2026年にかけて、ERP選定を取り巻く環境は大きな転換点を迎えています。背景にあるのは、次の3つの潮流です。

第一に、生成AIの進化です。単なる分析・支援にとどまらず、業務を自律的に実行するAIエージェントとして、ERPに組み込まれ始めています。
第二に、ERPをすでに導入した企業による「ERP to ERP」の動きが本格化している点です。過去の導入・運用の反省から、カスタマイズ偏重ではなく、業務の標準化と定着を重視する企業が増えています。
そして第三に、その流れを受けて、必要な機能を柔軟に組み合わせて利用できるコンポーザブルERPが、あらためて注目を集めていることです。

一度導入して終わりではなく、経営環境の変化に合わせて進化し続けられるかどうかが、ERP選定の成否を分ける時代に入ったと言えるでしょう。
本記事では、20年以上にわたりERPの提案・導入を支援してきた株式会社システムインテグレータ の知見をもとに、主要15製品のERPを徹底比較します。

この記事でわかること

  • 主要ERP製品の特徴・違いと、比較する際の重要ポイント
  • ERP市場の最新トレンドと、2025〜2026年に押さえるべき選定視点
  • そもそもERPとは何か、どのような役割を担うシステムなのか

【2026年最新】主要ERP15製品の比較

当社では、ERPを検討されている企業様へご提案を行う中で、「各ERPの違いが分からない」「どれも同じように見える」といった声を数多く伺ってきました。近年は生成AIの活用が進み、ERP製品に関する情報自体は、以前と比べて容易に入手できるようになっています。
一方で、似たような情報が溢れていることや、AIが生成した情報の正確性を見極める必要があることから、情報の整理や取捨選択に難しさを感じている方も多いのではないでしょうか。

本セクションではERP選定において候補となる主要15製品の詳細を、20年以上の実績を持つSIerとして整理しました。 

  • 「どのような思想で設計されているERPなのか」
  • 「どのような企業・業務に適しているのか」

といった視点も踏まえながら、まとめています。

※本記事では、外付けパッケージとの組み合わせは対応業務領域に含めていません。
※対応機能は本記事作成時かつ当社調べとなりますので、詳細は各製品ベンダーへお問い合わせください。

Oracle Fusion Cloud Applications

Oracle Fusion Cloud Applicationsは、財務会計、サプライチェーン(SCM)、人事(HCM)、顧客体験(CX)など、企業活動に関わる主要業務を単一のデータモデルで統合するクラウド型(SaaS)ERPです。
フロント業務からバックオフィス、経営管理(EPM)までを一気通貫でカバーできる点が大きな特長で、大手企業を中心にグローバルでの導入実績を拡大しています。

本製品は「AIネイティブなSaaS」として設計されており、業務データとAIを前提としたアーキテクチャを採用しています。Oracle Cloud Infrastructure(OCI)を基盤とし、四半期ごとのアップデートを通じて、最新のテクノロジーや機能が継続的に取り込まれる点も特長です。

特に近年は、ロールベースのAIエージェントを各業務領域に組み込み、業務プロセス全体の自動化・高度化を進めています。
また、GX(グリーントランスフォーメーション)やコンプライアンス対応など、グローバル企業に求められる要件への対応機能が充実している点も評価されています。

項目 内容
企業名 Oracle
提供形態 SaaS
対象企業規模 中堅企業~大手企業
対応機能 販売、調達在庫、債権債務、会計、人事給与、生産、SC、HCM、CXなど
AI機能 ・Oracle AI Agent Studio:業務に応じたAIエージェントの開発・展開・管理を支援。
 ・ロールベースAIエージェント:SCM、HCM、CXなどの業務領域で、自律的な業務実行を支援。 

Oracle NetSuite

Oracle NetSuiteは、財務会計を中核に、販売・在庫管理、購買管理、CRMなどの主要業務を単一データベースで統合するクラウド型(SaaS)ERPです。堅・中小企業を主なターゲットとしつつ、グローバル展開や急成長フェーズにある企業にも対応できる柔軟性を備えています。

2016年にオラクルが買収して以降、NetSuiteはOracleのクラウド戦略の中核製品の一つとして位置づけられており、世界219カ国以上・約42,000社以上で採用されています。
SaaSでありながら高いカスタマイズ性を持ち、ノンプログラミングで画面項目の追加・修正が可能な点や、厳格なアクセス制御機能が高く評価されています。

近年は、AIおよび生成AI機能の強化にも注力しており、財務例外検知やデータ入力支援、意思決定支援といった領域でAIを業務に組み込む取り組みが進んでいます。
日本市場向けには、日本語対応のAI機能や業種別テンプレート(SuiteSuccess)の拡充を通じて、導入スピードの短縮とROI向上を支援しています。

項目 内容
企業名 Oracle
提供形態 SaaS
対象企業規模 中小企業~中堅企業
対応機能 財務会計、販売・在庫管理、購買管理、CRM、プロジェクト管理、経営分析など
AI機能 ・NetSuite AI機能群:財務例外検知や入力支援を通じて、日常業務を支援。
 ・Prompt Studio / Text Enhance:生成AIによる業務文書作成や入力作業を支援。 
 ・生成AI API(SuiteScript連携):独自業務に応じたAI機能拡張を実現。 

SAP Cloud ERP(SAP S/4HANA Cloud Public Edition)

SAP Cloud ERPは、SAPが提供するSaaS型の次世代ERPであり、同社の中核製品であるSAP S/4HANAをパブリッククラウド(SaaS)として提供する形態です。グローバル標準の業務プロセスと最新テクノロジーを前提に設計されており、中堅企業から大手企業まで幅広い導入実績を持ちます。

SAPは2025年を「AIをジネスで本格活用する年」と位置づけ、AIを前提としたERPへの進化を加速させています。その中核となる考え方が、業務プロセスを標準化しながら導入・運用を行うFit to Standardです。過度なカスタマイズを抑え、標準機能を最大限活用することで、導入期間の短縮や品質向上、運用負荷の軽減を実現すると同時に、継続的な機能拡張やAI活用の恩恵を受けやすい経営基盤を構築できます。

また、生成AIアシスタントJouleをはじめとしたAI機能が製品に標準で組み込まれており、設定・開発・運用といったERPライフサイクル全体を支援します。Jouleは要件定義や設定作業、ABAP開発の補助などを通じて生産性を高めるだけでなく、将来的には複数のAIエージェントが連携し、業務プロセスを自律的に実行・最適化する世界観を見据えています。

項目 内容
企業名 SAP
提供形態 SaaS
対象企業規模 中堅企業~大手企業
対応機能 販売、調達在庫、債権債務、会計、倉庫管理、輸送管理、サービス管理など
AI機能 ・Joule(SAP生成AIアシスタント):要件定義や設定、業務操作を自然言語で支援。
 ・AIエージェント/エージェントビルダー:複数AIエージェントによる業務プロセスの支援・自動化を実現。 

Microsoft Dynamics 365

Microsoft Dynamics 365は、Microsoftが提供するクラウドベースのERP/CRM統合型ビジネスアプリケーションスイートです。財務会計、販売、購買、在庫、生産、サプライチェーン、人事、CRMなど、企業活動に関わる主要業務を共通のデータモデル上で統合管理できる点が特長です。

製品ラインは、中堅~大手企業向けの「Dynamics 365(Finance/Supply Chain Management など)」と、中堅中小企業向けの「Dynamics 365 Business Central」に大別されており、企業規模や成長フェーズに応じた選択が可能です。いずれの製品も、Microsoft 365やAzure、Power Platformとの高い親和性を持ち、日常業務で利用するツールと基幹システムをシームレスにつなぐ業務基盤として活用されています。

また、生成AI「Copilot」をはじめとしたAI機能を各業務領域に組み込み、入力作業の支援やデータ分析、意思決定の高度化を支援しています。Power PlatformやMicrosoft AppSourceを活用することで、業界特化型の機能追加や業務自動化にも柔軟に対応できる点から、拡張性と操作性を重視する企業に適したERPといえます。

項目 内容
企業名 Microsoft
提供形態 SaaS(オンプレミスでの構築も可能)
対象企業規模 Dynamics 365:中堅企業~大手企業 Business Central:中堅中小企業
対応機能 財務会計、販売、購買、在庫、生産、サプライチェーン管理、人事、CRM、プロジェクト管理など
AI機能 ・Copilot/AIエージェント:入力作業や業務実行を自律的に支援。

Infor

Inforは、業界特化型ERPを強みとするグローバルERPベンダーです。 Inforの最大の特長は、汎用ERPをカスタマイズして導入するのではなく、業界ごとの業務プロセスや商習慣を標準機能として組み込んだERPを提供している点にあります。これにより、過度なカスタマイズを行うことなく導入でき、将来的な保守・アップデートやシステム刷新の負担を抑えることが可能です。

製品は、大規模組立製造業向けの「Infor LN」、中規模組立製造業向けの「Infor SyteLine」、プロセス製造業向けの「Infor M3」を中核とし、これらを業界別にスイート化した「Infor CloudSuite」としてSaaS提供しています。日本では、自動車、機械、食品・飲料、ファッションなどの分野を中心に採用が進んでいます。

また、Infor OSを基盤としたデータファブリックにより、ERP内外のデータを一元的に集約・活用できる点も特徴です。これにより、AIや分析ツール、サステナビリティ対応(ESG/CSRD/ESRS)を含めた経営・業務データの高度活用を前提としたERP基盤を構築できます。

項目 内容
企業名 Infor
提供形態 SaaS(オンプレミスでの構築も可能)
対象企業規模 大手企業(製造業中心)
対応機能 販売、調達在庫、債権債務、会計、生産、CRM、ESG対応機能など
AI機能 ・Infor GenAI:生成AIによるテキスト生成や要約を通じて業務を支援。

HUE

HUEは、ワークスアプリケーションズが提供する大手企業向けの国産ERPであり、日本企業特有の複雑な業務要件に対応することを前提に設計されています。
ユーザー企業の約7割が年商1,000億円以上を占めるとされ、導入案件は必然的に大型化する傾向があります。こうした大手企業の要件に応えるため、HUEは「Fit to Japan Standard」を掲げ、90%以上の業務フィット率を実現しています。すべての要件を標準機能で網羅しているため、バージョンアップや法改正、OS・ブラウザ更新への対応も追加コスト不要で標準保守の範囲内で提供されます。

近年はAI活用にも注力しており、「HUE AI」を中核に、RAG対応のAIチャットボットやMicrosoft Copilotとの連携を実現しています。

項目 内容
企業名 ワークスアプリケーションズ
提供形態 SaaS
対象企業規模 大手企業
対応機能 財務会計、管理会計、債権・債務管理、固定資産管理、資金管理、経費精算、購買・調達管理、販売管理、製造原価管理、プロジェクト収支管理、リース会計、インボイス/電子帳簿保存対応など
AI機能 ・HUE AI:業務効率化・分析・自動化を支援。
 ・Microsoft Copilot連携:ERPデータを活用した入力支援、業務自動化、インサイト提供を支援。 

Biz∫

Biz∫は、NTTデータ・ビズインテグラルが提供する中堅企業~大手企業向けの国産ERPです。
会計・販売・人事といった基幹業務を幅広くカバーし、標準機能で90%前後の業務カバー率を実現している点が大きな特長です。特に会計領域では、ノンカスタマイズでの導入実績が多く、短納期かつ高品質なERPとして評価されています。

また、intra-martをベースとした強力なワークフロー/開発基盤を備えており、AI、OCR、RPAなどのデジタル技術と組み合わせることで、バックオフィス全体の業務効率化と最適化を支援します。
ライセンス体系は「必要な業務モジュール × 指定ユーザー数」に基づいており、スモールスタートから段階的に拡張できる柔軟性を確保しています。さらに、複数会社利用を前提とした設計により、グループ共通の基盤を持ちながら、会社単位での個別運用にも対応可能です。

業界・業種・業務特性に応じたテンプレート拡充にも注力しており、Biz∫Optimaを含め、IT業界向けのプロジェクト採算管理テンプレートや製造業向けの生産管理テンプレートなど、パートナーと連携した業界特化型ソリューションを継続的に強化しています。

項目 内容
企業名 株式会社NTTデータ
提供形態 オンプレミス、IaaSまたはPaaS
対象企業規模 大手企業
対応機能 財務会計、経費精算、販売管理、購買管理、在庫管理、人事給与など
AI機能 ・生成AI活用の研究開発:ERP業務への生成AI適用に向けた検証・実証実験を継続的に実施。

OBIC7

OBIC7は、株式会社オービックが提供する中堅企業~大手企業向けの国産ERPです。
会計を中核に、人事・給与・就業、販売、購買、在庫、生産、経営分析などの業務機能をコンポーネント単位で導入できるERPとして設計されており、必要な業務から段階的に組み合わせて導入できる柔軟性を備えています。

最大の特長は、開発・導入・運用・サポートまでをすべて自社で担う製販一体のワンストップ体制にあります。コンサルティングから稼働後のサポートまでを一貫して提供することで、品質と信頼性を確保しており、スクラッチからの基幹システム刷新においても安心して利用できる体制を構築しています。
また、250業種以上・1,200種類超の業務ソリューション(テンプレート)を有しており、業界特有の商慣習にも高い適合率で対応できる点が評価されています。

AIについては、仕訳入力の自動化や需要予測など、業務負荷の軽減や生産性向上といった実務に直結する領域を中心に活用されており、堅実な業務改善を支える技術として位置づけられています。

項目 内容
企業名 株式会社オービック
提供形態 オンプレミス、IaaSまたはPaaS
対象企業規模 中堅企業~大手企業
対応機能 財務会計、人事・給与・就業、販売管理、購買管理、在庫管理、生産管理(組立・プロセス)、固定資産管理、債権債務管理、経営分析など
AI機能 ・仕訳入力自動化:会計業務の入力負荷を軽減。
・需要予測:販売・在庫計画の精度向上を支援。 

GRANDIT

GRANDITは、GRANDITコンソーシアムが提供する国産の統合型ERPパッケージです。日本企業の商慣習に即した設計とWebベースの高い操作性を特長とし、70社超のパートナー企業が参加するコンソーシアム形式により、市場ニーズや制度改正を迅速に反映した機能拡張が継続的に行われています。
会計、人事、給与、販売、在庫、製造などの主要業務を幅広くカバーし、IaaS環境でのクラウド運用や他サービスとの柔軟な連携にも対応しています。

さらに、「コンポーザブルERP」をコンセプトとした新バージョンGRANDIT V4の提供により、標準機能を軸にしながらも拡張性と将来適応力を高めています。SIer11社が有する知見・ノウハウが継続的に反映される点も、コンソーシアム型ERPならではの強みです。

項目 内容
企業名 インフォコム株式会社(GRANDITコンソーシアム)
提供形態 オンプレミス、IaaSまたはPaaS
対象企業規模 中堅企業~大手企業
対応機能 財務会計、資産管理、経費精算、人事給与、債権債務管理、販売管理、在庫管理、購買・調達管理、製造管理、プロジェクト管理など
AI機能 ・生成AI活用の研究開発:ERP業務への生成AI適用に向けた検証・実証実験を継続的に実施。

GLOVIA

GLOVIAは、富士通株式会社/富士通Japan株式会社が提供する、日本の商習慣に適合した国産ERPブランドです。企業規模や業務特性に応じて、大手企業向けの「GLOVIA SUMMIT」、中堅企業向けの「GLOVIA iZ」、中堅・中小企業向けの「GLOVIA きらら」といった複数のラインナップを展開しています。

近年は、従来製品である GLOVIA smart の会計・人事給与モジュールの保守終了(2025年9月)を背景に、クラウド対応を強化した「GLOVIA iZ」への移行需要が本格化しています。2024年以降は販売パートナー経由での提供体制も拡充されており、移行案件の増加に対しても安定した対応が可能な状況です。

一方、大手企業向けの GLOVIA SUMMIT では、既存顧客のバージョンアップに加え、大型プロジェクトが継続しており、経営管理・グループ会計領域を中心に採用が拡大しています。SaaS型を中心に好調な GLOVIA きらら も含め、GLOVIAは企業の成長ステージに応じた選択が可能なERP群として位置付けられています。

項目 内容
企業名 富士通株式会社 / 富士通Japan株式会社
提供形態 オンプレミス、SaaS(一部業務領域で提供可)
対象企業規模 中小企業~中堅企業
対応機能 経営管理、財務会計、人事給与、販売管理、生産管理(組立・プロセス)など
AI機能 ・生成AI活用の研究開発:ERP業務への生成AI適用に向けた検証・実証実験を継続的に実施。

EXPLANNER

EXPLANNERは、日本電気株式会社(NEC)が提供する国産ERPシリーズで、起源となる「APLIKA」まで含めると累計30,000本超の導入実績を持つロングセラー製品です。最新の 「EXPLANNER/Ax」 は、販売・債権・債務・会計・人事・給与の6つの基幹機能を統合し、多様な業種・業務に共通化して対応できる設計を採用しています。

2024年以降は、旧バージョンからのリプレイスを中心に EXPLANNER/Ax が成長を牽引しており、拡張性や操作性への期待の高さが評価されています。また、建設業向けの 「EXPLANNER/C」、製造業向けの 「EXPLANNER/J」 など、長年蓄積してきた業種ノウハウを活かした業界特化型提案が可能な点も特長です。

近年は、クラウドサービス連携を実現する 「EXPLANNER LINK」 を軸に、勤怠管理、経費精算、デジタルインボイスなど周辺SaaSとの連携を強化しています。これにより、オンプレミスを中心としながらも、バックオフィス全体を段階的にクラウド活用へ拡張できるERPとして位置付けられています。

項目 内容
企業名 日本電気株式会社(NEC)
提供形態 オンプレミス、IaaSまたはPaaS
対象企業規模 中小企業~中堅企業
対応機能 財務会計、人事給与、販売、固定資産、債権債務、購買、在庫、物流、生産(組立・プロセス)など
AI機能 ・生成AI活用の研究開発:ERP業務への生成AI適用に向けた検証・実証実験を継続的に実施。

PROACTIVE

PROACTIVE(プロアクティブ)は、SCSK株式会社グループが掲げる「デジタルオファリング集団への変革」を象徴する、AIセントリックなデジタルオファリングサービスです。従来、個別に展開されていた製造業向け atWill や建設業向け PImacs などの知財・業務ノウハウを統合し、AIネイティブな次世代型ERPを中核とした形で再構築されています。

PROACTIVEは、単なるERPパッケージ導入ではなく、経営層との対話を通じて経営課題を整理し、最適な業務・業界特化型ソリューションを提示する「オファリング」として提供される点が大きな特長です。会計・人事給与領域ではクラウド(SaaS)化が進む一方、販売管理や生産管理では顧客固有要件を反映したオンプレミス構成が選択されるケースも多く、ハイブリッド構成を前提とした柔軟なERP活用が進んでいます。

中堅企業をコアターゲットとし、卸売・商社、製造、建設、サービス業といった業界での実績とノウハウを強みに、高度な経営判断と業務効率化・自動化の両立を支援する次世代ERPとして位置付けられています。

項目 内容
企業名 SCSK株式会社
提供形態 オンプレミス、IaaSまたはPaaS、SaaS
対象企業規模 中小企業~中堅企業
対応機能 財務会計、人事給与、販売管理、生産管理など
AI機能 ・AIダッシュボード:生成AIとBIを活用し、経営サマリーやアクション案を自動生成。

mitocoERP

mitocoERPは、Salesforce上で動作するクラウドネイティブなERPとして、株式会社テラスカイが提供するSaaS型ERPです。他社ERP(オンプレミス/クラウド)からの乗り換えを中心に、中堅企業を軸として導入が拡大しており、Salesforce基盤の柔軟性や価格競争力、将来的なAI活用への期待が評価されています

最大の特長は、CRM(顧客情報)とERP(基幹業務)を同一のSalesforceプラットフォーム上で一元管理できる点にあります。商談・受注から請求、会計、アフターサービスまでの業務プロセスとデータを分断なくつなぐことで、横断的な分析と迅速な意思決定を可能にします。販売・購買・在庫・フィールドサービス管理には、富士通の GLOVIA OM を採用しており、テラスカイが国内独占販売権を保有しています。

近年は、Salesforceの自律型AIである Agentforce と連携したAI活用にも注力しており、会計業務を中心にAIエージェントの実装が進んでいます。さらに、データ連携基盤である mitoco X を含めた拡張により、Salesforce基盤へのシステム集約と業務自動化を加速させるERPとして位置付けられています。

項目 内容
企業名 株式会社テラスカイ
提供形態 SaaS
対象企業規模 中小企業~中堅企業
対応機能 会計、人事・給与、ワークフロー、販売・購買・在庫(GLOVIA OM活用)、フィールドサービス、CRMなど
AI機能 ・mitoco Agent 会計:Salesforceの自律型AIと連携し、自然言語による会計伝票検索・照会、決算帳票(BS/PL/CF)出力を支援。

奉行V ERP

奉行V ERPは、株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)が提供する、中堅企業・中小企業を主対象とした国産ERPです。近年はSaaS型の奉行V ERP クラウドを中核に据えた展開が進んでおり、2025年2月にはオンプレミス版の販売を終了し、クラウドシフトを本格化させています。

コンセプトは「つながる」であり、会計・販売・人事などの業務データの連携、外部サービスとの柔軟な接続、ノーコード/ローコードツールを活用した個別・独自業務との連携を軸に設計されています。これにより、業務データの自動集約と業務プロセスの一体化を実現し、中堅企業のDX基盤として機能します。

また、グループ企業への導入実績が豊富なOBCは、奉行V ERP クラウド Group Management Model を提供しており、2026年3月期に向けてはAIエージェントを活用した連結会計支援に注力しています。さらに、新リース会計基準への対応や、API・ノーコード連携による他社ソリューションとの接続強化など、法制度対応と拡張性の両立を図りながら進化を続けている点も特長です。

項目 内容
企業名 株式会社オービックビジネスコンサルタント
提供形態 IaaSまたはPaaS、SaaS
対象企業規模 中小企業~中堅企業
対応機能 財務会計、管理会計、人事給与、販売在庫管理、固定資産管理、債権債務管理など
AI機能 ・連結会計支援:AIエージェントを活用し、管理連結や決算早期化を支援。
 ・リース会計識別支援:AIにより新リース会計基準への対応をサポート 

スーパーカクテルCore

スーパーカクテルCoreは、株式会社内田洋行が提供する中堅企業・中小企業向けERPで、特に食品業(製造・卸売・小売)や化学業といったプロセス製造業・流通業に強みを持つ製品です。食品業界で求められるトレーサビリティや原価管理、在庫・物流管理といった要件を標準機能で網羅しており、業界特化型ERPとして高い評価を得ています。

本製品の大きな特長は、販売管理にとどまらず、生産管理・原価管理・庫内物流(WMS的機能)までを一体でカバーできる点にあります。生産設備や店舗、物流機能を併せ持つ企業の業務を一気通貫でデジタル化できるため、近年は販売管理単体ではなく、生産管理を含めた提案が増加し、案件の大型化が進んでいます。

2024年12月にはスーパーカクテルCoreシリーズの最新バージョンが販売開始され、従来機能の強化に加え、周辺ソリューションとの連携や需要予測機能が拡充されました。原材料価格や人件費の高騰、物流2024年問題など、厳しさを増す経営環境を背景に、生産・原価・物流・販売を横断した業務データの活用による生産性向上と経営判断の迅速化を支援するERPとして進化を続けています。

項目 内容
企業名 株式会社内田洋行
提供形態 オンプレミス、IaaSまたはPaaS、SaaS
対象企業規模 中小企業~中堅企業
対応機能 販売、購買、在庫、債権債務、生産、原価、庫内物流など
AI機能 ・生成AI活用の研究開発:ERP業務への生成AI適用に向けた検証・実証実験を継続的に実施。

ERPの最新トレンド【2026年版】

矢野経済研究所の調査によると、国内ERP市場は2024年に約1,684億円規模へと成長しています。この背景には、企業のIT投資の目的が、従来の抽象的なDX推進から、データドリブン経営や意思決定スピードの向上を見据えた経営基盤の整備へとシフトしていることが挙げられます。

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こうした変化の中で、近年のERPは単なる業務効率化のためのシステムではなく、業務プロセスとデータを一体化し、経営判断のスピードと質を高める経営基盤として位置付けられるようになっています。日々の業務データがリアルタイムに蓄積・可視化され、経営判断に直結する情報基盤としてERPを活用しようとする動きが、企業経営の中で強まっています。

その結果、経営においてもデータやAIを活用し、意思決定の高度化や業務の自動化を進める取り組みが広がっています。単にデータを「見る」だけでなく、データをもとに判断し、実行までをつなげることが求められるようになってきました。

こうした要請に応える形で、現在のERP市場では従来とは異なる変化が起きています。AIエージェントによる業務の自律化、ERP to ERPによる業務標準化の再構築、そして変化に柔軟に対応できるコンポーザブルERPへの注目など、ERPは再び大きな転換期を迎えています。

以下では、こうした背景を踏まえ、2026年に向けて押さえておくべきERPの最新トレンドを整理します。

AIエージェントの実装:定型業務から「自律型業務」へ

ERPが経営基盤として再定義される中で、まず大きく変わり始めているのが、AIの役割です。
これまでのERPにおけるAI活用は、OCRによる入力補助や仕訳候補の提示など、人間が行う作業を効率化するための「補助」にとどまっていました。

しかし2025年以降、AIは「AIエージェント」として、業務を自律的に判断し、実行までを担う存在へと進化しつつあります。
AIエージェントはERP内のデータを常時監視し、ルールや制約条件を踏まえたうえで、処理を完結させる点に特長があります。
例えば在庫管理の領域では、従来は担当者が在庫状況を確認し、発注点を下回ったタイミングで手動で対応するのが一般的でした。

これに対しAIエージェントを活用することで、需要予測をもとに在庫状況を判断し、あらかじめ設定された予算や条件の範囲内で、発注判断からサプライヤーへの依頼までを自動化できるようになるとされています。
現在、こうした将来像を見据え、自社のERP製品にどのようにAIエージェントの考え方を取り込むかについて、各ERPメーカーが検討・実装を進め始めています。

  • マネーフォワード
    2025年4月に「Money Forward AI Vision 2025」を発表。経費申請や支払依頼を支援するエージェント機能を提供し、申請・承認プロセスの自動化を推進しています。
  • オービックビジネスコンサルタント
    奉行シリーズにおいても、AIを活用した業務プロセスのさらなる自動化・高度化を今後の方向性として掲げています。

生成AIとERPの関係性については、以下の資料で詳しく解説しています。
https://products.sint.co.jp/backoffice/resource/ai_erp 

ERP to ERPによる業務の標準化と現場定着の重視

一方で、こうしたAI活用を進めるうえで、改めて浮き彫りになっているのが「業務プロセスの整理・標準化」という課題です。
ERP市場の成熟により、導入検討は「初めてのERP導入」から、既存ERPを刷新する「ERP to ERP」へと移行しています。
過去のERP導入において、現場定着が進まず、カスタマイズやアドオンで対応してきた企業では、保守・メンテナンスの負荷増大や、他システムとの連携、AIなど新技術の実装に苦労しているケースが少なくありません。

こうした反省から、現在は標準機能を前提とした業務設計と、現場に無理なく定着させることを重視する企業が増えています。
ERPは導入すること自体が目的ではなく、導入後に継続的に使われ、業務に根付くかどうかが成功の分かれ目となっています。
業務の標準化は、ERPを長期的に使い続けるための前提条件であると同時に、結果としてAI活用や業務自動化を進めやすい基盤にもなっています。

Fit to Standardの考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。
 https://products.sint.co.jp/backoffice/blog/fit-to-standard 

コンポーザブルERPの再注目

業務の標準化を前提としながらも、事業や経営環境の変化に柔軟に対応できるかどうかは、次世代ERP選定における重要なテーマとなっています。
こうした要件を背景に、SaaS型ERPに加え、機能を組み合わせて利用できるコンポーザブルERPが注目を集めています。

コンポーザブルERPの特長は、必要な領域から段階的に導入できる点にあります。

  1. スモールスタートと投資の最適化 
    会計や在庫管理など、優先度の高い業務から導入し、企業の成長や事業拡大に合わせて人事、CRM、生産管理などを順次追加できます。初期投資を抑えつつ、投資対効果を確認しながら拡張できる点が特長です。
  2. 最新技術の即時取り込み
    AIエージェントなど新たな技術が登場した場合でも、ERP全体を刷新することなく、該当する機能やモジュールのみを差し替えることが可能です。
  3. ビジネス環境の変化への即応性
    APIを介して異なるSaaSや自社開発アプリを柔軟に連携でき、新規事業の立ち上げやM&Aによる事業再編時にも、システムが足かせになりにくい構成を実現できます。

コンポーザブルERPについては、以下の記事で詳しく解説しています。
 https://products.sint.co.jp/backoffice/blog/composable-erp 

ERP導入を成功させるポイント

ここまで見てきたように、ERPは業務効率化ツールではなく、経営基盤としての役割を担う存在へと進化しています。
経営戦略や業務改革と密接に関わるため、ERP導入においては計画性と実行力が重要となります。
本章では、ERP導入を成功に導くための5つのポイントを整理します。

プロジェクト体制の整備と意識づけ

まず大切なのは、プロジェクトの「旗振り役」を明確にすることです。経営層やリーダー層が率先して関与し、現場メンバーに対して「会社全体で取り組むプロジェクト」であるという意識づけを行う必要があります。
また、現場のキーパーソンをプロジェクトメンバーにアサインすることで、現場との連携を強化し、実行力を高めることができます。

スコープと要件定義の明確化

ERP導入の目的は「ERPを導入すること」ではなく、その先にある経営目標の実現です。たとえば中期経営計画や業務改革の方向性と整合性をとったうえで、ERPに何を求めるのかを明確にしましょう。
この目的意識がブレなければ、スコープや要件の優先順位も自然と整理され、導入後の効果を正しく評価しやすくなります。

Fit to Standard / Fit & Gap の方針決定

導入アプローチの選定も重要です。標準機能に業務を合わせる「Fit to Standard」にするのか、自社に合わせてシステムをカスタマイズする「Fit & Gap」にするのか――この方針は、経営的な判断軸に基づいて決める必要があります
この判断は、RFPの内容やベンダー選定の基準、予算やスケジュールにも大きく影響するため、初期段階での明確化が求められます。

現場の巻き込みとチェンジマネジメント

システムだけが変わっても、現場の業務が変わらなければERP導入は成功とはいえません。現場の理解と協力を得ながら、業務プロセスの標準化や改善を進めることが重要です。
そのためには、プロジェクト初期から現場を巻き込み、「なぜ変えるのか」「どう変わるのか」を丁寧に伝えるチェンジマネジメント(変革管理)が不可欠です。

製品・ベンダー選定のポイント

製品の機能やスペックだけでなく、「誰と一緒に導入するか」も成功の鍵です。ベンダー企業としての実績はもちろん、プロジェクトマネージャーやエンジニアなど、実際に関わるメンバーのスキルや対応力も重要な評価ポイントになります。
比較検討時は、評価シートなどを活用し、導入目的に必要な条件を整理したうえで選定を行いましょう。

 【基礎】今さら聞けないERPの定義と導入メリット 

本記事の締めくくりとして、ERPの基本概念と、それが企業にもたらす本質的な価値について改めて整理いたします。

「ERP」とは

「ERP」とは 「Enterprise Resource Planning(企業資源計画)」 の略称です。企業資源計画とは、 ヒト・モノ・カネ などの経営資源を統合的に管理し、業務の効率化を図る考え方を指します。この考えに基づいて構築されたシステムが 「ERPシステム」または「ERPパッケージ」 と呼ばれます。本ブログでは、これらをまとめて 「ERP」 と記述します。

ERPは、企業の業務プロセス全体を統合管理するシステムです。会計、販売、購買、在庫管理、人事などのさまざまな業務を 一つのシステムで管理 できるため、部門ごとに分散していたデータや業務が統合され、 業務効率の向上 につながります。

ERP、基幹システム、業務システムの違い

 「ERP」と聞くと、「基幹システム」や「業務システム」といった言葉もあわせて登場することが多いですが、それぞれはどう違うのでしょうか? 

企業活動における業務

結論から言うと、ERPは「基幹システム」や「業務システム」の一種であり、それらの中に含まれる存在で、業務システム > 基幹システム ≒ ERP(統合管理型の基幹システム)で図式化することができます。

業務システムとは?

まず「業務システム」は、この中で最も広い概念です。企業活動におけるさまざまな業務を効率化・自動化するためのシステム全般を指します。 たとえば、以下のようなものが「業務システム」に該当します。

  • 経理システム
  • 営業支援システム(SFA)
  • 顧客管理システム(CRM)
  • 勤怠管理システム
  • グループウェア
  • マーケティングオートメーション(MA)ツール
これらはすべて、特定の業務領域を支援するために導入されるシステムです。

基幹システムとは?

「基幹システム」は、業務システムの中でも特に企業の中核業務を支える重要なシステムを指します。その運用が止まると、事業全体に大きな影響が出るような業務領域(例:販売管理、在庫管理、会計、人事など)を担うシステムが該当します。 重要なのは、「基幹システム」は必ずしも統合されていなくても良いという点です。複数の個別システムで構成されていても、それらが企業の根幹業務を担っていれば「基幹システム」と呼ばれます。

ERPとは?

ERPとは、企業の基幹業務を統合的に管理するためのシステムです。販売・購買・在庫・会計・人事などの部門ごとの情報を一元的に管理し、業務間の連携を強化することが特徴です。 つまり、ERPは基幹システムの業務を 「統合的」に管理するためのツールであるという点が、最大の特徴です。

ERP導入におけるメリットとは

ERP導入を検討する企業が期待しているのは、単なる業務効率化ではありません。 ここまで見てきたように、ERPは経営基盤として再定義されつつあり、業務プロセス、データ、そして将来的なAI活用を支える土台としての役割が求められています。

ここでは、こうした前提のもとでERPを導入・再構築することで、企業がどのような価値を得られるのか、主なメリットを整理します。

ERPの特長

属人化やアナログ業務の解消

ERP導入前によく見られる課題として、古いシステムを使い続けており、業務の実態や法改正にシステムが追いついていないケースが挙げられます。
その結果、システムで対応しきれない部分を手作業やExcelで補完し、現場に負担が集中している企業も少なくありません。

また、業務ごとに異なるシステムを利用していることで、二重入力や転記作業が発生し、業務が属人化しているケースも多く見られます。
特にERP to ERPの検討企業では、過去のカスタマイズやアドオンによって業務やデータの構造がブラックボックス化しているケースもあります。
ERPを導入・再構築することで、業務とデータを統合・一元管理し、不要な重複作業や手作業を削減できます。

業務フローが整理・標準化されることで、「特定の人にしかできない業務」が減り、ヒューマンエラーの抑制や業務の再現性向上にもつながります。
その結果、組織全体の生産性が高まり、限られたリソースをより価値の高い業務へ振り向けることが可能になります。

データ統合による意思決定の迅速化

ERPは、売上、在庫、購買、財務、人事など、企業内のさまざまな業務データを一元的に管理します。
これにより、部門ごとに分断されていた情報がリアルタイムで可視化され、全社横断での状況把握が可能になります。
例えば、売上の変動を在庫や購買データとあわせて確認し、要因を即座に把握したうえで、部門間で迅速に対応策を検討するといった動きが可能になります。
従来のように複数の資料を突き合わせて分析する必要がなくなり、経営判断のスピードと精度が向上します。

さらに、BIツールなどと連携することで、統合されたデータをダッシュボードやレポートとして可視化し、業績管理や将来予測といった高度な分析にも活用できます。
こうしたデータ基盤が整備されていることは、AIや高度な分析を業務や経営判断に活かすための前提条件ともなります。

ビジネス環境変化への対応

企業を取り巻くビジネス環境は、制度改正、市場変化、テクノロジーの進化などにより、年々スピードを増しています。
従来の業務システムでは、こうした変化への対応が追いつかず、現場の手作業や運用負荷が増大してしまうケースも少なくありません。

ERPは、業務プロセスの標準化とデータの一元管理を通じて、変化に強い業務基盤の構築を支援します。
消費税率の変更や電子帳簿保存法などの制度対応においても、システム側で対応できる範囲が広がり、現場の混乱を最小限に抑えることが可能です。
クラウド型ERPであれば、アップデートを通じて常に最新の状態を保ちつつ、法制度やビジネス要件の変化にも柔軟に対応できます。

さらに、コンポーザブルな構成を前提とすることで、事業や組織の変化に応じて機能を組み替えながら、経営基盤そのものを進化させていくことも可能になります。
ERPは、環境変化に対応するための「一度作って終わりのシステム」ではなく、成長にあわせて育てていく経営インフラとしての価値を持っています。

ERP導入前に知っておくべきデメリットとは

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ERPは、業務効率化にとどまらず、経営基盤として企業全体を支える重要なシステムです。
一方で、その役割が大きいからこそ、導入にあたっては事前に理解しておくべき注意点やリスクも存在します。

ERP導入を「成功」に導くためには、メリットだけでなく、デメリットや導入時の難しさを正しく把握したうえで、現実的な計画を立てることが不可欠です。
ここでは、ERP導入において見落とされがちな代表的なデメリットを整理します。

コスト算出が難しい

ERP導入にかかるコストは、製品ライセンスや導入支援費用だけでは完結しません。
インフラ、ミドルウェア、データ移行、教育・定着支援など、複数の要素が組み合わさるため、初期段階で総額を正確に把握することが難しいのが実情です。
特に、業務に合わせたカスタマイズやアドオンを前提とした場合、導入コストが当初想定よりも大きく膨らむケースも少なくありません。

ERP to ERPの検討企業では、過去のカスタマイズ資産をどこまで引き継ぐかによって、費用構造が大きく変わる点にも注意が必要です。
近年はクラウド型ERPの普及により、月額課金モデルが一般化していますが、その場合もクラウドインフラ費用や利用状況に応じた従量課金が発生します。

そのため、導入前には要件や前提条件を整理したうえで、複数ベンダーから見積もりを取得し、短期的な費用だけでなく中長期的な費用対効果(TCO)を見極めることが重要です。

導入に時間がかかる

ERP導入は、製品選定から本稼働までに長い期間を要するプロジェクトです。
製品選定フェーズでは、情報収集、RFP作成、ベンダー評価、社内合意形成など、多くの工程を経る必要があり、企業によっては検討開始から決定までに1年以上かかることもあります。

製品決定後も、要件定義、システム設計、データ移行、テスト、ユーザートレーニングなどを段階的に進めるため、導入期間は数カ月から1年以上に及ぶのが一般的です。
現行システムの保守期限や法制度対応など、導入期限が決まっている場合には、逆算したスケジュール設計と現実的な導入計画が求められます。

近年では、スモールスタートや段階的導入、特定業務からのパイロット導入など、リスクを抑える進め方も選択肢となっています。自社の状況に応じた導入アプローチを検討することが重要です。

業務プロセスの見直しが求められる

ERP導入において避けて通れないのが、業務プロセスの見直しです。
ERPはあらかじめ標準化された業務プロセスを前提に設計されているため、現行業務との間にギャップが生じるケースが少なくありません。

導入アプローチとしては、標準機能に業務を合わせる「Fit to Standard」や、必要な部分のみ調整する「Fit & Gap」がありますが、いずれの場合も現行業務をそのまま移行できるわけではありません。
特にFit to Standardを採用する場合は、業務の進め方そのものを見直す必要があり、現場への影響も大きくなります。

一方で、安易なカスタマイズは、導入コストの増加や運用負荷の増大につながり、将来的なアップデートやAI活用の妨げとなるリスクもあります。
そのため、どの業務を標準に合わせ、どこを自社の強みとして残すのかを見極める取捨選択が、ERP導入成功のカギを握ります。

デメリットは「失敗要因」ではなく「設計上の注意点」

ここで挙げたデメリットは、ERP導入そのものを否定するものではありません。
むしろ、ERPを経営基盤として活用するために、事前に向き合うべき設計上の注意点と言えます。
これらを理解したうえで導入計画を立てることで、自社に合った導入アプローチの判断にもつながります。

まとめ

本記事では、ERPの基本的な役割や種類を整理したうえで、2026年に向けたERP市場の最新トレンドや、主要ERP製品の特徴、導入時に押さえておくべきポイントについて解説しました。

近年のERPは、単なる業務効率化ツールではなく、業務プロセスとデータを一体化し、経営判断のスピードと質を高める「経営基盤」として、その役割を大きく広げています。 AI活用やERP to ERPによる再構築、コンポーザブルな構成といった動きは、こうした役割変化を背景に進んでいます。

一方で、ERP導入は企業全体に影響を及ぼす重要な取り組みであり、製品選定や導入アプローチを誤ると、十分な効果を得られない可能性もあります。 自社の業務内容や課題を正しく把握し、標準化と柔軟性のバランスを見極めたうえで、目的に合ったERPを選定することが不可欠です。

本記事で整理したトレンド、メリット・デメリット、比較の視点を参考に、 自社にとって本当に価値のあるERPとは何かを見極め、将来を見据えたERP導入・再構築の検討に役立てていただければ幸いです。

この記事の著者 

原田 紗希(Saki Harada)
株式会社システムインテグレータ ERP営業部 マーケティングチーム 

システムインテグレータ入社後、関西地区を中心にERP「GRANDIT」の提案営業・導入支援を担当。
2022年にはインサイドセールス部門の立ち上げに参画し、ERPに加えOBPM NeoやAI製品などの新規リード獲得・商談化に従事。2024年よりマーケティング部門に異動し、顧客との接点創出やコミュニケーション強化を目的とした各種施策に取り組んでいる。


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