ビジネス環境の変化が激しい昨今、データ活用の重要性はますます高まっています。しかし一方で、データを分析・活用できるスキルを持った人材が不足しており、やりたくてもできないという状況にお困りではありませんか?
そこで今回は、SAPが提供するSAP Analytics Cloud(SAC)についてご紹介します。SAP Analytics Cloudは、計画や予測分析を可能にするソリューションですが、分析統計の知識がない人でもデータ分析をしやすい仕組みが備わっています。具体的な機能や活用方法について詳しく解説しますので、ぜひお読みください。
SAP Analytics Cloud(SAC)とは?
SAP Analytics Cloudは、SAP社が提供するあらゆるアナリティクス機能を備えたSaaSソリューションで、大きく「ビジネスインテリジェンス(BI)」「機械学習・予測分析」「予算策定・管理」の3つの役割を持っています。SAPのクラウドプラットフォームに構築されているため、ユーザーはインストールなど不要ですぐに利用することができます。
企業が意思決定を行うには、蓄積されたデータを可視化し、それをもとに将来予測を立てることが必要です。SAP Analytics Cloudは企業が意思決定をするために必要なデータの収集・管理機能や、AIを活用した予測分析機能などを搭載しています。
SAP Analytics Cloudは予算や計画管理、データ分析などをワンストップで提供することで、経営管理の業務効率化と迅速な意思決定を支援するツールといえます。
SAP Analytics Cloud(SAC)の歴史
1990年に「Business Objects(BO)」という製品が登場しました。これは企業がデータを可視化・分析し、意思決定をサポートするためのツールで、ユーザーが自身でデータを扱えるBIツールの先駆けとなったソフトウェアです。
2008年にBusiness ObjectsをSAP社が買収しました。その後、Business Objects をベースに機能追加やクラウドへの移行などを行い、2017年に「SAP Analytics Cloud」と名称新たにリリースしました。SAP Analytics CloudはBI機能だけでなく、計画や予測分析機能も統合したクラウドベースのプラットフォームとしてリリースされました。
SAP Analytics Cloud(SAC)の機能
それではSAP Analytics Cloudの「ビジネスインテリジェンス(BI)」「機械学習・予測分析」「予算策定・管理」のそれぞれの機能についてみていきましょう。
ビジネスインテリジェンス(BI)
BI(ビジネスインテリジェンス)とは、企業内のデータを収集・統合・蓄積し、これを分析することで経営戦略の意思決定を支援する手法を指します。データを経営に活用する重要性は増していますが、適切に活用するためにはデータの統合・管理を行う仕組みと、そのデータを分析・可視化するツールが必要です。ERPは主にデータの統合管理を担当し、BIツールはデータを分析し、グラフなどでわかりやすく可視化します。
SAP Analytics Cloud(SAC)はBI機能として、データの傾向や特徴をわかりやすく確認できる多様なチャート(グラフ)を提供しています。
ユーザーは直感的に分かりやすい画面でレポートの作成ができます。データの絞り込みやドリルダウン・ドリルアップなども容易に実施でき、データの可視化・共有が可能です。
また、データの可視化だけでなく、さらに高度な分析を可能にする機能も搭載しています。それが予測分析機能です。
機械学習・予測分析
SAP Analytics Cloudは機械学習によって、統計解析の知識がないユーザーの分析業務を機械学習によってサポートしています。
例えばチャートの特定の部分をクリックすることで、その値に影響を及ぼしている要因や他のデータとの関係性などを自動で発見してくれます。
また、統計解析の知識を持つユーザーに対しても、より高度な予測分析を簡単な操作でできるような機能も提供しています。予測分析における便利な機能をいくつかご紹介します。
スマートインサイト
データ分析を効率的に行えるように支援してくれる機能です。データの気になる箇所(ポイント)をクリックすることで、その値に影響を及ぼしている要因を自動的に生成してくれます。
データブレンディング
様々なデータソースを読み込み、そのデータを関連付けさせてチャートやダッシュボードを作成できます。例えばSalesforceのデータと、ローカルのCSVデータをブレンドさせてデータを活用することができます。
予算策定・管理
SAP Analytics Cloudは企業の予算管理・計画に関する業務全体をカバーしています。
予算の入力や集計・按分、予実管理や修正だけでなく、予算の実績と計画までも統合的に管理します。
高度な分析機能を活用することで、予測値を用いたシミュレーションや、改善施策の立案などを可能にしており、予算の計画へ反映させることが可能です。
SAP Analytics Cloudを活用することで、企業の予算管理業務全体を高精度な分析を実施しつつ改善から実行のサイクルを回すことができます。
AIの活用
SAP社が提供するAIアシスタント「Joule(ジュール)を活用し、効率的なデータ分析やリスク評価などを実施できます。
Jouleは言語処理系の生成AIを利用しているため、ユーザーは自然言語を使用して質問することで求めているデータに関する回答を即座に得ることができます。
まとめ
企業が今後効果的な戦略を立案するためには、データの活用が欠かせません。そのためには、まずデータ基盤を整える必要があります。多くの企業では、未だに業務ごとにバラバラのシステムを利用しており、データが分散しています。まずはERPなどを活用し、活用しやすくなるようにデータを統合管理できる仕組みを整えるのが良いでしょう。
ERP導入の基本について解説した資料もありますので、ぜひ併せてご覧ください。