SAPの会計モジュールとは?財務会計(FI)と管理会計(CO)の違いについて解説

 2024.06.20  株式会社システムインテグレータ

企業の運営において、会計業務は収支の把握や財務報告のために欠かせない重要な業務です。

しかし、膨大なデータを管理し、正確な帳簿を維持することは非常に手間がかかります。そのため会計業務を効率化するために、多くの企業では専用の会計システムやERPを活用しています。

今回は、日本でも多くの企業で導入されている統合型ERP「SAP」が提供する会計管理機能について詳しく紹介し、会計業務をどのように効率化できるのか解説します。

SAPの会計モジュールとは?

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SAPは多岐にわたる業務を効率的に遂行できるよう、あらゆる業務に対応できるモジュールを用意しています。

SAPの会計モジュールは、企業の会計業務を効率化し、管理を強化するためのもので、大きく「財務会計(FI)モジュール」と「管理会計(CO)モジュール」の2つがあります。

会計モジュールは販売管理(SD)や購買・在庫管理(MM)など他のモジュールとも連携しており、会社の販売部門が商品の売上に関するデータをシステムに入力すると、会計モジュールがそれを適切な勘定科目に振り分け、会計処理を行います。

また、登録されたデータや情報を統合的に分析・活用することが可能なため、経営判断に役立てることもできます。

財務会計(FI)モジュールと管理会計(CO)モジュールの違い

SAPの財務会計(FI)モジュールは、企業の外部報告を目的とした会計処理や財務取引の記録を担当します。具体的に貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書といった財務諸表を出力する機能があります。財務会計は対外的に経営状況を示す必要があり、作成のルールが決まっているため、正確なデータ処理とあわせて適した形でレポートを作成する必要があります。

一方、管理会計(CO)モジュールは、企業の内部経営やコスト管理を目的とし、社内部門間の原価計算や業務プロセスの分析に重点を置きます。原価、費用、収益などを分析することで、社内向けの財務レポートを作成します。自社の業績を把握し、経営戦略を立案・実行するために必要な情報をまとめてくれます。

関連記事:財務会計とは?システム導入による効率化のポイント
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財務会計モジュールのサブモジュールの機能

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財務会計モジュールは4つのサブモジュールから成り立っています。それぞれの機能について詳しくご紹介します。

GL(General Ledger:総勘定元帳)

GLは、FIの中心的なサブモジュールです。企業の財務データを統合した総勘定元帳の位置づけです。

他のモジュールと連携し、会計伝票が自動仕訳されて転記されます。また、直接伝票を入力する際も、仕訳のパターン登録機能や反対仕訳機能などの機能を活用することで入力の負荷軽減が可能です。

GLから貸借対照表や損益計算書などのレポートを出力することが可能です。

AR(Accounts Receivables:売掛金管理)

ARは、売掛金管理を行うモジュールです。販売管理モジュールと連携し、請求書の作成や支払い状況の確認などを行い、入金があった場合に自動で売掛金の消込処理などを実施します。

AP(Accounts Payable:買掛金管理)

APはARと逆で、買掛金管理を行うモジュールです。

仕入れや購買業務の一般的なプロセスをサポートするため、購買・在庫管理モジュールと関連しています。受領した請求書をもとに、支払い処理や買掛金の消込処理などを自動で実行します。

AA(Asset Accounting:固定資産管理)

AAは、固定資産管理を行うモジュールです。有形の固定資産に限らず、無形固定資産や繰延資産なども管理が可能です。

資産の取得、移動、売却、減価償却などのプロセスを管理し、資産の価値や損益を把握します。

管理会計モジュールのサブモジュールの機能

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管理会計モジュールも3つのサブモジュールから成り立っています。それぞれの機能を解説します。

OM(Overhead Management:間接費管理)

OMは、間接費管理を行うモジュールです。製造には直接関係ない、もしくは直接対応付けられない費用を集計し、関連する各部門に配賦します。例えば工場の照明などの電気代や、複数の製品に必要な塗料などの消耗品などが間接費に当たります。

PC(Production Cost:製造原価管理)

PCは標準原価計算と実際原価計算を実施するモジュールです。

標準原価計算とは、あらかじめ決められた基準(標準)に基づいて製品や半製品の原価を計算することです。材料費や加工にかかる労務費・経費などをもとに、製品を作るのにかかる金額を計算します。

標準原価計算はあくまで計画段階の理論値であるのに対し、実際原価計算は実際にどれくらい費用や作業時間がかかったかをもとに算出される原価のことです。実際原価を計算することで、標準原価との差を分析し、どこに想定以上のコストや時間がかかっているかなどを分析することができます。

関連記事:原価計算とは?方式からシステム化のポイントを解説

PA(Profitability Analysis:収益性分析)

PAは製品軸や組織別など、様々な軸で収益性の分析ができる機能です。販売管理モジュールや財務会計モジュールと連携して獲得した収益の情報と、原価情報などを合わせて分析することができます。

SAPの会計モジュールを活用するメリット・デメリット

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財務会計や管理会計に特化した専用の会計システムと比較し、SAPの会計モジュールを活用するメリットは、データの一元管理が可能であり、業務効率が向上することが挙げられます。

SAP S/4HANA Cloud Public Editionは整合性が担保された統合ERPです。これをコアシステムとすることで、蓄積された取引データの即時可視化や、データに基づいた経営戦略立案や経営判断が可能になります。

また、多言語・多通貨・各国の法制度への対応もしているため、ビジネスの海外展開や会計基準の変更など様々な変化に対応できます。

最新技術を常に取り入れ、業務の自動化を推進する機能などを継続的に開発・リリースしているため、将来的にさらなる利便性の向上が期待できます。

一方でデメリットとしては、他の会計システムと比較して導入費用が高いことや、システムの対象範囲が広いことがあげられます。
会計システムは会計のみにフォーカスしたシステムですが、SAPは企業全体の業務最適化を目的にしたシステムです。そのため導入の際の影響範囲は大きくなり、検討事項も多くなります。しかし、適切な導入・運用ができれば経営効率の向上が期待できます。

SAP S/4HANA Cloud Public Edition 導入ならシステムインテグレータ

SAP S/4HANA Cloud Public Editionは、SAPが提供するクラウドERPソリューションです。導入に際してサーバーやストレージなど大規模なITインフラを社内に整備する必要がなく、中堅企業もERPの基本機能をサービスとして利用することができます。

SAP S/4HANA Cloud Public Editionをご検討の際はぜひ株式会社システムインテグレータにご相談ください。約20年にわたるERP導入のノウハウをもとに、最適な業務改善を実現します。

まとめ

今回はSAPの機能の中でも会計モジュールについて焦点をあてて解説しました。SAPを活用することで会計業務を大幅に効率化できるだけでなく、企業全体の業務効率化や経営判断へのデータ活用なども可能になります。

SAPを含むERP導入の進め方について詳しく解説した資料もありますので、こちらもあわせてご覧ください。


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