日々の経理業務においては、手作業でのデータ入力、長時間の承認プロセス、不正防止のチェックなど、多くの負担が存在しています。もちろん多くの企業ではこうした課題を解決するための経費精算システムなどを導入されていることでしょう。
経費精算システムも多く存在していますが、本記事では経費管理や精算業務を効率化する「SAP Concur」についてご紹介します。
SAP Concurとは
SAP Concurは、独SAP社のグループ会社である株式会社コンカーが提供する経費管理と精算業務を効率化するクラウドサービスです。
SAP Concurを活用することで、企業は経費や出張の申請、承認、精算などの業務を自動化でき、業務負担の削減や業務効率の向上を実現します。また、データ分析機能を活用して業務改善や経営判断に役立てることが可能です。SAP Concurは、世界中の多くの企業に採用されており、その実績と信頼性が高く評価されています。特に出張や経費精算の分野で強みを持っており、9年連続シェアNo.1 を誇っています。
経費精算における課題
経費精算とは、業務に関係する活動で発生した経費を、領収書をはじめとする必要書類から不足なく正確に計算して払い戻しを行う作業です。経費精算においては、領収書の管理や申請、承認、精算の手続きが煩雑で、従業員や経理部門に多くの工数を要します。
SAP Concurで実現できること
経理業務では、未だに手作業によるチェックや紙の回覧、押印などの業務フローが多く残っており、業務負担の大きさや生産性の低さが課題となっています。SAP Concurを活用することで経理業務の負担を解決することができます。
プロセスの自動化
SAP Concurでは、経費申請や精算のプロセスを自動化することで、従業員や経理業務の効率化を実現します。また、経費ポリシーを設定することで規定に違反していないかのチェックも自動で実施でき、コンプライアンス面も強化が可能です。さらにデータ分析機能を活用し、経費や出張の最適化やコスト削減を進めることができます。
他のアプリ・サービスとの幅広い連携
SAP Concurの大きな特徴として、幅広いアプリやサービスとの連携があげられます。交通系ICカードやクレジットカード、PayPayといったQR決済機能など、さまざまな決済方法と連携が可能です。
タクシーアプリとの連携も便利な機能です。タクシー配車アプリで決済を行うと、その明細データが自動的にSAP Concurに連携されます。日付、金額、支払先情報などがすべて自動的に入力され、手入力で経費精算を行う必要がなくなります。また、自動連携された情報の改ざんはできないようになっているため、企業の経費管理をより効率的にしつつ、企業ガバナンスの向上にも繋げることができます。
SAP Concurが提供する機能
SAP Concurは、経費精算や出張管理などに特化したソリューションをそれぞれ展開しています。ここでは代表的なソリューションについてそれぞれ提供されている機能をご紹介します。
Concur Expense
Concur Expenseは、経費精算業務を効率化し、運用コストを削減するためのクラウドサービスです。従業員がスマートフォンで領収書を撮影することで、データ入力と承認申請が自動で行われます。自動化されることで経費精算時における不正や入力ミスなどの防止にもつながります。
コーポレートカードやQRコード決済アプリとも連携可能なため、連携されているカードやアプリを活用することで自動的に経費の明細がシステムに送られる仕組みになっています。
カード連携や領収書の読み取り機能は以下で提供されています。
IC Card Integration
SuicaやPASMO、nimocaといった交通系ICカードとの連携機能。利用履歴は自動でConcur Expenseへ連携されます。また、従業員とICカードが紐づいているので二重登録は発生しません。
ExpenseIt
モバイルアプリに搭載された領収書の読み取り機能。領収書を撮影し、メールに添付して送信するだけで経費明細を自動で作成できます。
Concur Invoice
Concur Invoiceは、請求処理の業務を効率化する機能を持ったソリューションです。
電子化された請求書を自動的に読み取り、支払い依頼を自動的に登録します。自動的に規定の確認なども行うため、経理業務担当者は支払い依頼を確認し、支払処理を実施するだけです。
電子帳簿保存法、インボイス制度にも対応しており、自動的にタイムスタンプの付与などを実施するため、紙の請求書も保存する必要がありません。
Concur Travel
Concur Travelは、特に海外出張を得意とした、出張管理に特化したシステムです。海外出張の際のホテルや飛行機、レンタカー予約をこのシステムから行うことができ、支払いも自動でシステムに反映されます。
ホテルやレンタカーなどは、あらかじめ設定しておくことで企業ポリシーに基づいた情報のみが提供されるようになっており、企業、従業員も安心して予約や利用をすることができます。
また、以下のような機能やアプリも提供されています。
Concur Request
出張申請の機能。規定外の旅費を選択した場合にアラートを出す、出張先の治安情報を獲得して危険対象地域の通知などを行います。
TripIt Pro
旅程を管理するアプリです。フライトや宿泊先、周辺情報など旅程に関する情報をまとめて管理できます。スケジュールはもちろん、現地の交通手段や飲食店情報、フライト遅延の通知なども行ってくれます。
Intelligence
Intelligenceは分析レポート機能です。SAP Concurを導入することで、通常の会計システムでは得られない、勘定科目や日付、接待交際費の同席者、航空券の航空会社や目的地など詳細な情報を獲得できます。データがすべて統合されているため、レポートの作成や分析が非常に容易になります。
Intelligenceは200を超える標準レポートを提供しているほか、カスタムレポートの作成も可能です。さらに、分析レポート作成の支援サービスも提供しているだけでなく、日本市場向けには、日本独自の業務プロセスを考慮した分析レポートも用意されているため、ユーザーは自分のニーズに応じたレポート作成が容易に行えます。
SAP Concur導入のメリット
SAP Concur導入のメリットは、経理管理業務の効率化です。ペーパーレス、キャッシュレス、承認レス、入力レスを実現し、経費精算から支払いまでの全工程を自動化します。
他の経費精算システムと比較して、ICカード連携やスマホでの領収書読み取りなどの機能は共通していますが、「Concur Travel」では海外出張に特化した機能が多く含まれていますので、国内外の出張が多い企業に最適です。多言語・多通貨対応もしているため、海外取引が多い企業にもおすすめです。さらに、SAPとの互換性が良いため、既にSAPを導入している企業や導入を検討している企業にも適しています。
SAP Concur導入ならシステムインテグレータ
経理業務にはいまだに属人化した業務やアナログ業務が残っており、企業成長を阻む壁の一つとなっています。
当社はERPをはじめとする情報システムの豊富な導入実績をもとに、お客様一人ひとりのニーズに合わせた最適な改善策を提案します。
SAP Concurの導入検討はもちろん、バックオフィス業務に課題やお悩みをお持ちの方はお気軽に株式会社システムインテグレータまでご連絡ください。
まとめ
経理業務には、依然としてアナログ業務や属人化した作業が多く、改善の余地が残されています。こうした課題を解決するためには、業務を自動化してくれる経費精算システムの活用が非常に有効です。SAP Concurのような明細まで自動連携してくれるシステムであれば、経理業務の効率化と正確性の向上を実現できます。
また、業務効率化を進める上ではデータ基盤の整備が不可欠です。システムの連携や自動転記などを効果的に行うためには、データが正しく統合管理されている必要があります。ERPを導入することでデータの統合管理が可能になり、業務効率化にもつながります。ERPについて詳しく解説した資料もありますので、ぜひ併せてご覧ください。