BIツールとは?基礎から活用メリット・導入の注意点を解説

 2023.09.15  株式会社システムインテグレータ

BIツールとは、企業の財産であるデータを分析することで経営に活用できるツールです。近年では、ビッグデータの分析と活用のために、BIツールの需要が高まっています。

この記事では、BIツールの基本的な情報からメリットとデメリット、活用シーンなどを解説します。

BIツールとは

businessman hand working with modern technology as concept

まずは、BIツールの概要と活用シーンについて解説します。あらゆるビジネスの分野でBIツールは活用されていますが、具体的にはどのような場面で利用されているのでしょうか。

「BI」とは

「BI」とは、「Business Intelligence」の頭文字を取った言葉です。「Intelligence(インテリジェンス)」は「知性」や「理解力」を表しているため、BIは「ビジネスの意思決定に関係する情報」という意味として捉えられます。

BIは、企業内の情報システムによって蓄積されたさまざまなデータを分析・共有し、結果を経営や業務の意思決定に活用するための図表やグラフです。製品やサービスなどの改善につながる情報は、経営層だけでなく、管理職や従業員に対しても提供します。

BIツールとは

BIツールとは、蓄積されたビッグデータなどからビジネスの意思決定につながる情報を分析・可視化し、迅速な意思決定に役立てるためのツールです。対象のデータは売上や生産性、営業利益など多岐にわたります。

データを利用して迅速な意思決定を行うためには、BIツールが欠かせません。BIツールの支援によって、データサイエンティストといった専門家の力を借りなくても、専門知識を持たない経営者や従業員による意思決定が可能です。昨今では、モバイル端末でもツールを使用できる「モバイルBI」、AIを活用したBIツールなども開発されています。

BIツールの活用シーン

BIツールの活用はさまざまな分野で行われています。それぞれの活用シーンをみてみましょう。

経営部門

経営分析や財務分析、経営支援や予実分析などが可能です。売上や財務状況などを分析し、迅速な経営判断につなげられるでしょう。また、粗利益率や市場シェアなどをリアルタイムで把握できます。

営業部門

営業分析や売上分析、営業支援ができます。営業支援によって営業プロセスを可視化できれば、マネジメントがスムーズになり、的確なアドバイスを得られたりチーム全体の課題解決につながったりします。さらなる売上の創出と組織体制の構築が可能となるでしょう。

マーケティング部門

顧客分析や販売時期の分析、エリア分析などが可能で、これらはプロジェクトの企画や進行に役立ちます。顧客ニーズを明確にすることで収益性がある商品や購買層を把握でき、ターゲットのニーズにマッチした提案ができるでしょう。

人事部門

人事データの分析や残業分析を行えます。人事データと業績データを統合させた集計分析を行うことで、人事評価や人材育成を公正に進められるでしょう。また、勤怠管理システムとの連携によって、従業員の残業時間や有休の取得状況といった勤怠状況を可視化できます。

流通部門や小売部門

在庫分析やバスケット分析ができ、在庫管理や仕入れなどに有効です。在庫管理では過去のデータを参考にした在庫計画を作成しますが、BIツールを活用すれば仕入れ計画の問題点を分析して改善することが可能です。

製造現場の部門

故障率分析や製品不良率の分析なども、BIツールによって実現できます。

その他にもBIツールは、予算管理システムやデータ集計、帳票自動作成などを構築できます。 

企業がBIツールを活用する目的

企業に蓄積されるデータ量は膨大で、利用する際は集計や加工などに労力がかかってしまいます。こういった課題を解決しなければ、データを生かした経営の最適化は進みません。

そこで活用されるようになったのが、さまざまな分野の意思決定を支援してくれるBIツールです。上記の課題解決だけでなく、「顧客や市場動向の把握と予測」「業務における課題の発見と対策」「利益増加の導出」などを行えるようになります。

また、BIツールを利用すれば膨大な情報をExcelで集計する必要がありません。データが欲しい時に情報を集計し分析結果を出せます。BIツールをうまく活用できれば、意思決定を迅速に行えるでしょう。

BIツールでできること

BIツールを活用することで何ができるのか分からないという場合、ツールの具体的な内容について理解していないケースが多くあります。では、BIツールにはどういった機能があり、どのようなことができるのでしょうか。ここでは、BIツールを構成する主要機能を4つご紹介します。

データをさまざまな角度で分析できる

BIツールは多角的なデータ分析が可能で、利益率や商品別の売上、顧客別の売上の分析を行えます。BIツールのデータ分析には、「OLAP(Online Analytical Processing)」というオンライン分析処理機能が搭載されているのが特徴です。OLAPでは、蓄積された膨大なデータから情報の集計・分析ができます。

OLAPで行える処理は、「ドリルダウン」「ドリルスルー」「スライシング」「ダイシング」の4つです。

ドリルダウン

データを年単位から月単位へと、詳細に表示させる機能

ドリルスルー

別のレポートにワンクリックで移動できる機能

スライシング

データを基に必要な情報を抽出し二次元の表に切り出せる機能

ダイシング

スライシングの結果について、側面を可視化できる機能

また、BIツールのデータ分析では複数のデータソースから情報を分析・結合できるため、多角的な解析が可能です。

データの可視化と共有ができる

データを集計して分析を行うと、結果はレポートとして出力されます。BIツールのレポートは数字をただ並べたものではなく、グラフや表など分かりやすい形で表示します。レポートをカスタマイズすれば、営業活動にも生かせるでしょう。

データを可視化する際は、「ダッシュボード」機能が活躍します。ダッシュボードは、分析結果をグラフや表で表示したり、アラート通知を設定したりすることのできる機能です。グラフから問題点を可視化できるため、データの絞り込みや更新がスムーズに行えるでしょう。

また、「レポーティング」機能によって分析結果を状況に合わせて共有することも可能です。ExcelやCSV、PDFなどで出力できるため、情報共有をスピーディに行えます。

分析したデータから予測ができる

BIツールでは、「シミュレーション」や「プランニング」によって、分析結果から未来を予測した上で予算計画を立てられます。例を挙げると、時間帯や天気による売上予測を過去のデータを基にして、予算を組むということが可能です。

これらの他にも、「回帰分析」「決定木分析」といった分析方法を実施できます。

データから知識や法則を発見できる

BIツールには、「データマイニング」という分析機能も搭載されています。データマイニングとは、統計や機械学習を用いてデータを集め、情報を解析し特定の法則を導き出すことです。データの中から価値のある知識を発見することは、迅速な意思決定につながります。

BIツールにおけるデータマイニングは、「知識発見型」と「仮説検証型」の2つです。知識を採掘する知識発見型には、クラスター分析やアソシエーション分析といった手法があります。

BIツールを活用するメリット

BIツールは、データを活用し迅速な意思決定をサポートしてくれるツールです。ここでは、 BIツールを導入することで得られる5つのメリットを解説します。

社内外のデータを1つにまとめて分析できる

企業に集まるデータには、部門ごとに分かれているものや社外のものがありますが、BIツールではそれらの散らばっているデータを一つに集めて分析できます。システムを飛び越えたデータ分析はExcelなどのツールではかなりの手間がかかりますが、BIツールなら簡単です。

さまざまな分析手法が備わっているBIツールですが、活用するのに高度な専門知識は必要ありません。経営者や従業員の誰もがツールを使えるようになれば、意思決定のスピードの上昇と課題の早期解決が目指せます。

データ関連作業が効率化できる

BIツールによって、データの集計やレポート作成などデータに関する作業にかかっていた時間を大きく削減できます。BIツールで効率化できることはデータの一元管理や抽出の自動化、グラフ化されたレポートの作成などさまざまです。また、前述のとおりシステムを横断してデータの共有ができるため、他部門への集計依頼を行う必要はありません。

データ関連作業を効率化できれば、データ分析や改善策の立案など、他業務に多くのリソースを割くこともできるでしょう。

部門ごとの現状把握が簡単にできる

散在しているデータを一元管理し分析できるというメリットから、高度な分析も可能です。このことから、各部門での現状把握が容易に可視化できるようになりました。ただ数字を羅列しただけのデータでも、BIツールを用いることで見やすいグラフに表せられるため、現状の判断がしやすくなります。

課題に迅速な対応ができる

BIツールによって表示された分析結果からは、さまざまな問題や課題を洗い出せます。膨大なデータから問題や課題を浮き彫りにできるため、スピーディな対応と早期解決につなげられるでしょう。

データドリブンな経営ができる

BIツールにあるダッシュボードを確認することで、経営者はデータドリブン経営を行えます。「データドリブン(Data Driven)」とは、データを起点にして何らかの判断を下すことです。

データドリブンで用いられるデータは顧客データ、売上データなど多岐に渡りますが、BIツールを使えばスムーズかつ精度の高い意思決定を行えます。

なお、データドリブンに関しては、こちらの記事も参考にしてみてください。

データドリブン経営とは?実践方法やメリットを解説

BIツールのデメリット

BIツールには、データ作業の効率化やデータの一元管理といったメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。ここでは、BIツール導入のデメリットを3つ解説します。

導入にはコストがかかる

BIツールの導入にはコストがかかります。導入前に目的や利用人数を明確にしておかなければ、後から機能を追加しなければならず、さらにコストがかかってしまいます。

BIツールにはさまざまな形態がありますが、ユーザー数課金型のタイプは人数に応じて月額費用も高くなる仕組みです。ツールの料金体系に関しても導入前に確認する必要があります。

初期設定に手間がかかる

BIツールの初期設定には手間がかかります。分析に特化した多次元データベースと呼ばれる場所に、抽出したデータを格納する作業を行わなければなりませんが、この作業が非常に煩雑なのです。そのため、情報システム部門などの部署に初期設定を依頼するという手間が発生する場合があります。

操作性が悪いと負担が増える

BIツールを導入する前はトライアル利用し、従業員に使いこなせるかどうか実際に触って確かめてもらうようにしましょう。操作性が優れていないBIツールの場合、かえって作業が非効率になってしまったり、社内に定着できなかったりする恐れがあります。使用感を確かめて、操作性が良いBIツールを選びましょう。

BIツール導入時のポイント・注意点

BIツールの導入は慎重に進めましょう。導入する際のポイント・注意点は以下の通りです。

導入目的を明確にする

導入前に自社の抱える課題を整理し、導入する目的を明らかにしておきましょう。目的を明確にすることで、BIツールで本当に課題を解決できるかどうかを判断できます。

BIツールの導入実績を確認する

BIツールを開発・提供する企業は増加しています。その中で自社に最適なものを探すなら、機能のほかにも導入実績を確認しておくべきでしょう。

最初はスモールスタートで始める

BIツールの一斉導入は、社内に混乱を招く恐れがあります。まずは小規模のチームで利用を始めて、運用の仕方を決めていくとよいでしょう。

バックオフィス業務改善ならシステムインテグレータ

多くの企業で人手不足が大きな課題となっていますが、バックオフィス業務にはいまだに属人化した作業やアナログ業務が残っており、企業の成長と発展を阻む大きな壁となっています。
バックオフィスの業務プロセスを最適化することで、コスト削減や属人化の防止だけでなく企業全体の生産性向上にもつながります。
当社はERPをはじめとする情報システムの豊富な導入実績をもとに、お客様一人ひとりのニーズに合わせた最適な改善策を提案します。業務の洗い出しや問題点の整理など、導入前の課題整理からお手伝いさせていただきます。
バックオフィス業務にお悩みをお持ちの方は、お気軽に株式会社システムインテグレータまでご連絡ください。

まとめ

BIツール導入はさまざまなメリットを得られますが、既存の業務プロセス変更も発生します。そのため、導入時は使用感や活用事例の確認を行いましょう。

BIツールを活用すると、さまざまなデータを複合的に分析できるようになります。このことから、データ活用での業務改善にも有効です。

今回紹介したBIツールをはじめ、デジタル技術を活用して企業の変革を目指す「デジタルトランスフォーメーション」について詳しく解説した資料もありますので、ぜひご覧ください。


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