在庫管理のミスは、過剰在庫によるコスト増や品切れによる機会損失など、事業全体に深刻な影響を与えかねません。
複雑化する受発注や倉庫間の連携を円滑に進めるため、多くの企業がERPを活用しています。
本記事では、在庫管理システムの目的やERPと在庫管理システムの関係、ERPを用いて在庫管理を行うメリットなどをご紹介します。導入時のポイントも併せて解説しますので、自社に最適な形でERP導入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
そもそも在庫管理システムとは
在庫管理システムとは、企業が保管する原材料や製品などの在庫をリアルタイムに把握し、適切な発注や出荷をサポートする仕組みのことです。
小規模な事業ではExcelなどで管理される場合もありますが、商品点数や拠点数が増えると手作業の限界が見えてきます。情報の重複や入力ミス、在庫過多によるコスト増などのリスクが高まるため、システムによる一元管理を導入する企業が増えています。
在庫管理システムの目的
在庫管理システムが目指す主な目的は以下のとおりです。
- 在庫切れを防ぎ、顧客満足度を損なわない
- 必要以上に在庫を抱えないようにし、保管コストを最適化する
- 在庫金額を正確に算出して財務に役立てる
在庫管理システムを導入すると、過不足のバランスが取りやすくなり、経理面でも財務リスクを減らしやすくなります。
たとえば、仕入れ頻度や在庫滞留状況を可視化できるため、どの拠点でどの品目が余剰になっているかを即座に把握し、適正な発注計画につなげられます。
在庫管理システムが重要な理由
在庫管理に失敗すると、欠品や売上機会の逸失、在庫廃棄にともなう損失などが発生し、顧客との関係が悪化するリスクも高まります。扱う品目が多いほど管理は難しくなり、現場作業の混乱や不明在庫の増加を招きがちです。
システムによる一元管理があれば、どの商品がいつどれだけ入出庫されたかを自動で記録でき、担当者は在庫数やロット情報を素早く参照できます。
その結果、需給バランスを保ちやすくなり、全社的にロスを減らすことが期待できるでしょう。
ERPと在庫管理システムの関係
在庫管理システムだけでも十分な機能を備えている場合がありますが、多くの企業では、会計や販売、購買などの機能と併せてERPの一部として在庫情報を管理するケースが増えています。
ERPとは何か
ERP(Enterprise Resource Planning)は、会計・販売管理・購買・人事給与など基幹業務を一括管理するシステムで、業務フローの重複やデータ転記の手間を削減し、企業全体の最適化を図ることを目的としています。
在庫管理がERPに含まれていると、受注が発生した瞬間に在庫と会計処理が同時に更新されるなど、部門間連携がスムーズになるのが特徴です。単独の在庫管理システムではカバーしきれない情報とも連動できるため、業務効率や意思決定スピードをさらに高められます。
ERPで在庫管理を行うメリット
企業が在庫管理をERPで一元化すると、以下のようなメリットがあります。
- 業務効率化による生産性向上
- 在庫情報をリアルタイムで可視化できる
- 時間や場所を問わず利用できる
- 経費削減になる
- サーバー管理などの運用負担が少ない
順に解説します。
業務効率化による生産性向上
ERPを活用すれば、受注データから在庫数を自動更新したり、購買管理や会計処理と連動したりといった形で、複数の業務がまとめて効率化されます。
部門をまたいだ情報のやり取りがスピーディーになり、二重入力の削減やミスの防止につながります。
在庫情報をリアルタイムで可視化できる
在庫データが常時更新されるため、最新状況を踏まえて迅速な判断を行えるのが強みです。
過剰在庫や品切れを未然に防げるだけでなく、各部署が同じデータを参照することで、スムーズな意思疎通が可能になります。
時間や場所関係なく使用できる
最近はクラウド型ERPを導入する企業が増えており、インターネット環境さえあればどこからでもアクセスできます。
外出先や別拠点でもリアルタイムの在庫状況を把握できるため、リモートワークの普及や複数拠点での運営にも対応しやすいでしょう。
経費削減になる
在庫を適切にコントロールできるようになると、必要以上に抱える在庫が減り、倉庫保管費用や廃棄リスクが最小限に抑えられます。
購買から会計処理まで一気通貫で管理できることで、間接コストを下げる効果も期待できます。
サーバー管理などの運用負担が少ない
従来の在庫管理システムを自社で構築すると、サーバーのメンテナンスやセキュリティ対策などに大きな手間とコストがかかっていました。
クラウド型ERPで在庫管理を行う場合は、ベンダー側がシステムをホスティングし、セキュリティパッチやアップデートを適宜実施してくれるケースが一般的です。そのため、導入企業は常に最新のシステムを利用でき、管理部門の人的リソースや時間を他の業務に回せるというメリットがあります。
ERPで在庫管理を行う場合のポイント
ERP導入には費用もかかるため、十分な効果を得るには以下を意識することが大切です。
- 導入の目的を明確に設定する
- 将来的なカスタマイズ性や拡張性を考慮する
- 既存システムとの連携や互換性を確認する
- 自社の事業に適したシステムを選定する
順に解説します。
導入の目的を明確に設定する
「在庫を減らしたい」「在庫データの整合性を高めたい」など、目的や優先事項が曖昧だとシステム選定や運用計画がブレやすくなります。
経営層や現場が話し合い、どの指標をどう改善するかなどを具体的に決めましょう。
将来的なカスタマイズ性や拡張性を考慮する
事業拡大や新しいビジネスモデルへの参入に伴い、システムに追加機能やカスタマイズが必要になるかもしれません。長期的に運用する上で、柔軟に拡張できるERPかどうかは重要でしょう。
他の既存システムとの連携や互換性を確認する
販売管理システムや会計管理システムがすでに導入されている場合、これらも同時にERPへ統合すべきかを確認しながら進めると良いでしょう。また、在庫管理と親和性の高い生産計画システムや実績収集システムとのデータ互換性を確認することで、スムーズな連携が可能になります。
自社の事業に適したシステムを選定する
メーカー向け、流通業向けなど、業種に特化したERP製品も存在します。自社のビジネス特性に合った機能が充実しているか、またサポート体制が十分かを見極めたうえでベンダーを選ぶと安心です。デモを実施して操作感や導入事例を確かめるのもおすすめです。
まとめ
本記事では、ERPで在庫管理を行うメリットやポイントなどを解説しました。
在庫管理をERPで行うことで、リアルタイム性や他部門との連携強化、コスト削減など、数多くのメリットがあります。
特に多拠点展開やリモートワークを進める企業にとっては、クラウド型のERPが働き方改革の一助にもなるでしょう。ただし、導入には費用や社内体制の整備が必要のため、まずは自社の課題をしっかり洗い出し、導入後にどのような成果を得たいかを明確にさせることが大事です。
早めのタイミングでERP導入を検討し、スムーズな在庫管理と経営効率化を両立させてみてはいかがでしょうか。
当社では、さまざまな企業へのERP導入実績があり、在庫管理なども熟知しております。ERPのことなら株式会社システムインテグレータにぜひ一度ご相談ください。
また、本記事だけでなくERPをどのように検討すべきかより深く知りたい方に向けて、ERPの基本をまとめた資料も用意しています。お悩みの方は、こちらの資料もあわせてご覧ください。
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