外観検査を自動化するためのポイントと装置について

 2020.01.14  株式会社システムインテグレータ

製造業に対する品質要求は年々高まるばかりです。特に最近では、低価格競争が激化する一方で高品質を保っている商品が流通していることから、顧客や消費者の品質要求を満たすことが事業の維持、拡大に欠かせない要素となっています。

今まで、品質保証のために行われる検査といえば「目視検査」でした。人の目で製品の外観にキズ/へこみ/汚れ/異物やその他の不良がないかを確認し、後工程へと流していきます。

目視検査のメリットは、従業員やアルバイトを雇えばすぐにでも始められるところにあります。顧客からのクレームにより、納品した製品に外観不良が見つかり、急遽目視検査を取り入れたというケースも少なくありません。そんな時も、その場で検査を始められます。

一方で、人が検査を行う以上、ヒューマンエラーによって不良品が後工程に流れ、それに気づかないまま納品してしまう事例も多発しています。精神的/身体的疲れ、検査員による検査基準のばらつき、検査台/検査室の照明など外観検査に影響を与える要素はたくさんあります。

これを回避しようと、ポカヨケや限度見本などを用意しても不良品が流れるときは必ずあります。これが人による目視検査の大きなデメリットでしょう。

そこで注目されているのが「外観検査の自動化」です。センサーを使ったもの、画像認識を使ったものなど、さまざまな自動化の方法がありますが、自動化する際のポイントとは何なのか?そのメリットと何か?本稿では外観検査の自動化において気になる疑問にお答えします。

外観検査を自動化するポイント

いつまで経っても無くならない外観不良品の流出を防ぐためには、「ヒューマンエラーを発生させる人による作業工程を極力少なくする」ことがカギとなります。その答えが外観検査の自動化です。まずは、自動化にあたって重要なポイントをご紹介します。

1.画像認識技術の導入が一般的

外観検査を自動化するにあたり、何らかのセンサーを設置する場合と画像認識技術を取り入れる場合がありますが、現在一般的なのは後者です。この技術は撮影した動画や静止画から製品を認識し、さらにそれらの外観が正常な状態にあるかどうかを判別します。

最近のスマートフォンカメラには顔認識機能が付いていますが、原理は同じです。検査する製品の特徴を記憶し、画像からそれらを認識します。

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2.外観検査自動化はAIが担う

外観検査自動化の中核を成しているのがAI(人工知能)です。近年、AIがあらゆる分野で素晴らしい功績を残しており、製造業においてもAIの大きな波が打ち寄せています。

AIと聞くと、自律型ロボットを想像される方も多いでしょう。しかし外観検査自動化に用いられるAIはソフトウェアの一種で、さまざまな学習方法によって製品の正常、異常を学び、画像から外観不良を素早く発見するための特化型AIです。
そうした特化型AIは、その分野で人間の能力をはるかに超える性能を備えているため、人の目に頼った外観検査よりも圧倒的スピードで大量の製品の検査を完了させます。

3.学習プロセスの多様性がカギ

外観検査の自動化が上手くいくかどうかは、ソフトウェアに搭載されているAIがどのような学習プロセスを持っているかがポイントです。たとえば、「正常のみ」「異常のみ」など一方の学習プロセスしか持たないAIとどちらも備えているAIとでは検知性能に大きな差が出ます。

さらに、「教師ラベル付け学習(アノテーション)」「機械学習(ディープラーニング)」のいずれで学習するのかによって性能が大きく異なりますので、両方の学習方法を備えている方が有利です。

外観検査を実施する製品の特徴によって最適な学習プロセスが異なりますので、学習プロセスの多様性が外観検査の自動化を成功させるカギになると言えます。

4.動画/静止画ベースに対応している

画像認識技術には、大きく分けて動画ベースと静止画ベースがあります。動画はパラパラ漫画のように無数の静止画から構成されるものなので、ラインを流れる製品の外観検査や異なる種類の製品を同時に検査するのに優れています。

静止画ベースは、人が手作業でカメラの下に製品を置いて撮影する、カメラの下に製品が流れてきたのを自動検知して静止画を撮影するなどのケースに活用できます。

どちらにも一長一短がありますし、製品の特徴に応じて最適な方法が変わるため、動画ベースにも静止画ベースにも対応しているソフトウェアを選ぶとよいでしょう。

5.サポートが充実している

外観検査の自動化では、専用ソフトウェアを導入して適当にハードウェアを購入するのではなく、カメラや照明、フィルタや拡散版なども最適なものを慎重に選定することが大切です。判定を実施するコンピューターは必ずしもGPU性能がすべてではなく、CPUでも十分なパフォーマンスが得られる場合があります。

無数にある選択肢の中から、自社にとって最適なハードウェアを選択するのは難しいものです。だからこそ、外観検査の自動化を依頼する取引先のサポート体制が重要になります。

外観検査の自動化の導入だけでなく、ハードウェア選定まで付き合ってくれるか?運用本格化に向けて計画的なプロセスを持っているか?契約から運用まで、明確なドキュメントを都度提示してくれるか?など、サポート面の充実さに十分考慮した上で、依頼する会社を決めることが大切です。

外観検査自動化に用いる装置

外観検査を自動化するためには、新しいハードウェアとソフトウェアの導入が必要です。ソフトウェアは依頼する会社がどのような製品を開発しているかによりますので、事前の比較検討が大切です。一方、ハードウェアは外観検査を実施する対象製品の特徴に応じて、都度適切なものを選ぶ必要があります。また、両方を兼ね備えたシステムとして提供するパターンもあります。

<外観検査装置の一例>

外観検査装置

この外観検査装置は、ラインを流れるワッシャーとスポンジを検査するためのものであり、カメラ、レンズ、リングライトに加えてコンピューターと接続するためのUSBで構成されています。細かく言えば、外観検査装置を設置するための土台もハードウェアに含まれるので、それぞれが検査に合致したものでなくてはいけません。ちなみにこの外観検査装置は、下図のように動画ベースで検査を実施しています。

製品の流れ

このように、システムをどう構成するかによってどんな検査が実施できるかが変わります。外観検査自動化の導入を依頼する取引先としっかり協議を重ね、支援をあおいだ上で適切な外観検査の環境を整えることを目指しましょう。

外観検査自動化プロジェクトの進め方

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