【外観検査の自動化が進む!】自動化を進めるうえでのポイントとは?

 2021.05.28  株式会社システムインテグレータ

製品の欠陥は、クレームや会社の信頼を低下させる原因に直結するので、製造現場では不良品を出さないように外観検査が欠かせません。しかし、入念な検査を行っても不良品をゼロにするのは難しく、人海戦術で検査員を増員するには人材不足やコストの増加といった問題が発生します。

そうした課題を解決する有効な手段が自動化ですが、自動化にも課題があるのが現状です。

本記事では、外観検査を自動化する目的や方法、自動化を進めるときのポイントについて解説します。

外観検査を自動化する目的

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外観検査とは、製品や部品の外観に問題がないかチェックする検査のことです。主に製品や部品の表面に付着したキズや異物などが対象で、確認したあとに良否判定を行います。現在、外観検査は人間の目で確認する目視検査が主流ですが、システムによる自動化に取り組む企業も増加しています。

外観検査を自動化する目的は、主に4つあります。

  1. 人手不足解消
  2. コスト削減
  3. 業務効率化の必要性
  4. 教育の困難化

上から順に、詳細を確認していきましょう。

人手不足解消

1つ目の目的は、人手不足によるものです。

以下のような原因により、外観検査に十分な検査員を確保できていません。

  • 熟練工に依存していて後継者が育っていない
  • 少子高齢化によって働き手が不足している

高品質な製品を市場へ流通させるには外観検査が欠かせませんが、短時間で正確に検査を行うには経験の豊富な熟練者の存在が不可欠です。現状ではそういった熟練者に依存しているため、退職してしまうと現場から経験豊富な人材が少なくなってしまいます。

また、バブル崩壊以降は新規採用を見送っていた企業も多く、就職氷河世代と呼ばれる30~40代の中間層が抜けていることも人手・後継者不足に拍車をかけている要因です。

自動化が進むと最低限の検査員だけを配置するだけなので、人手不足は解消されます。

コスト削減

2つ目の目的は、コスト削減です。

検査員を雇うと人件費が発生しますが、習熟度が高くスキルのある熟練者の場合は高額な人件費が必要になる場合もあります。熟練工の再雇用により賃金を抑える企業もありましたが、現在では再雇用も難しいのが現状です 。

退職者の再雇用が難しい理由は、高齢者の就業率にあります。

総務省の調査(※)では、高齢者の就業率は2019年時点で892万人と過去最高でした。しかし、年齢階級別の就業率では、65~69歳が48.4%なのに対して70歳以上は17.2%です。極端に就業率が下がることから、再雇用から5年以内にリタイアする人が多いことがわかります。 

加えて、現在の日本では人件費が高騰していることも踏まえる必要があります。東京都における2011年の最低賃金は、時給837円でした。2021年現在は時給1,013円に改正されていることから、10年間で時給200円近く高騰していることがわかります。

外観検査が自動化できば、検査員にかかる人件費を大きく削減できます。

高齢者の就業|総務省

業務効率化の必要性

3つ目の目的は、業務効率化の必要性です。

働き方改革の推進などから、いかに業務効率を上げて生産性を高めるかが重要になってきています。生産性向上による企業のメリットは多く、人手不足の解消だけでなく労働環境が改善されたり国際競争力が向上したりします。

しかし、目視による外観検査では、何らかのトラブルが発生したときに検査員の負担が増えることから、検査員を増員して対応する場合がほとんどです。検査員の増員は、ほかの工程の人員が割かれてしまうため、結果として生産効率が落ちてしまいます。

教育の困難化

4つ目の目的は、教育困難化の解消です。

中には、実習や座学、実務作業を履修して試験に合格した検査員だけが取得できる認定資格を設けて教育を強化している会社もあります。一例ですが、以下のような認定プロセスを経なければなりません。

  • 適正チェック:座り仕事の適正、顕微鏡酔いの確認、視力検査など
  • 検査員教育:実務経験、基本動作の習得、検査時の注意点など
  • 仮認定試験:サンプルを使った模擬試験で合格点以下なら再試験
  • 認定取得試験:実際の製品で実践、見逃し0で合格

認定資格を設ければ検査員のレベルを一定まで高めることができますが、人材や予算に余裕のある会社でなければ、導入することは難しいといえます。

また、検査は検査員の経験に頼る部分も大きく、熟練者と同じレベルまで引き上げるのは困難です。

外観検査を自動化する方法

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外観検査の自動化には、「センサーを設置する方法」と「画像認識技術を取り入れる方法」の2つがありますが、現在は画像認識技術を活用して自動化する場合がほとんどです。

画像認識技術は、撮像した動画や静止画から製品を認識し、それらの外観が正常にあるかどうかを判別します。原理としては、スマートフォンカメラの顔認識機能と同じです。検査する製品や部品の特徴を記憶して、画像からそれらを認識します。

画像認識技術で自動化する際の主な検査パターンは、以下の通りです。

  1. 不適合品に人が対応する方法
  2. 不適合品に機械が対応する方法
  3. 不適合品を自動搬出する方法

人による不適合の対応とは、画像処理装置から発生する警報や警報の内容を確認して不適合品を仮置き場に静置して製造ラインを再開する方法です。機械による対応では、不適合品の外観の異常を確認してロボットコントローラに不適合品を取り出します。自動搬出では、異常の認知後に不適合品をNGラインへ送るために製造ラインを切り替えます。

外観検査の画像処理方法について

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外観検査において画像処理を行う際の手順は、以下の通りです。

  1. タイミング信号の入力により撮像する
  2. 撮像データより検査対象の切り出しを行う
  3. 撮像データに強調処理やフィルタ処理、マスク処理を施す
  4. 検査品の範囲から不具合のある箇所を検出する
  5. 判定ルールに基づいて良否判定を行う

撮像データの切り出しやマスク処理を行うのは処理量を減らすためで、フィルタ処理は乗っているノイズを除去するために行います。また、強調処理を行うのは不具合のある箇所を検出しやすくするためです。

なお、画像処理では輪郭を抽出することで、不具合のある箇所の大きさやワークの寸法測定を行うこともできます。

外観検査の自動化を進めるときのポイント

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ここでは、画像認識技術を活用して自動化する場合のポイントをご紹介します。

  1. 対応範囲を明確にする
  2. 適切なレンズ・照明を選ぶ
  3. AIを用いた画像認識技術を活用する

製造現場におけるコストの削減や生産効率の向上は重要な課題ですが、不良品検知の品質が低下してしまっては自動化を導入するメリットが得られません。外観検査の自動化を進めるのであれば、上記のポイントを守りましょう。

3つのポイントを、順番に説明していきます。

対応範囲を明確にする

検査システムにも、得意な検査と不得意な検査があるため、どこまでの検査を自動化するか範囲をあらかじめ明確にします。不得意な検査を行う場合は、高いスペックが要求され、コストが増加するためです。

検査システムは、「微小な欠陥の検出」や「高速な検査」は得意ですが、「細いキズの検出」や「ホコリなど欠陥でないものの判別」が苦手です。

仮に「キズ」を不良品として判断する製品を検査する場合、検査システムで「キズ」を検査対象にしてしまうと、気にしなくてよい小さな傷も全て検知し、不良品の過検出が生じる恐れがあります。この場合、キズ以外の欠陥を検査システムで検査して、キズは人間の目で目視検査した方が生産効率は高くなります。

外観検査の自動化を進める場合は、機械と人間の検査範囲を明確にしましょう。 

適切なレンズ・照明を選ぶ

外観検査の自動化を進めるうえで、レンズや照明選びも非常に重要です。

高精度かつ安定した外観検査を行うには、「ピントが合っていること」「対象物が大きく映っていること」「明るい画像が撮れること」が求められます。検査する製品や部品に合ったレンズや照明を使わないと、上手く画像処理できないのです。

では、適切なレンズや照明を選ぶためにはどういったポイントを押さえるべきなのか、詳しくみていきましょう。

レンズ選びのポイント

安定した検査を求めるのであれば、2つのポイントが重要です。

  • 焦点距離
  • 被写界深度

焦点距離とは、レンズの中心点である「主点」から撮像素子(※)までの距離のことです。

工業用レンズでは、主に8mm/16mm/25mm/50mmといったレンズがあります。おすすめのレンズはCCS社のもので、テレセントリックレンズ、マクロレンズ、集光レンズなどが販売されています。

被写界深度とは、被写体にピントを合わせたときにその前後のピントが合っているように見える範囲のことです。つまり「ピントの合う高さ」です。

焦点距離が短いレンズほど深度が深くなることから、被写体の前や奥がぼやけなくなります。また、対象物までの距離が遠くなるほど深度の範囲は深くなり、絞りを絞っている状態であるほど深度の範囲は深くなります。

高低差のある製品の外観検査を行う際は、接写リングやマクロレンズを使わずに対象物の距離が遠くなるレンズと明るい照明を使った方がピントが合いやすくなるのです。

※ 撮像素子:被写体の光を画像データに変換する部品のこと

照明選びのポイント

ピントの合った画像の撮像には、照明を均一に明るくすることが不可欠です。同時に、検出する製品の形状や材質、検査内容によって照明を選ぶ必要があります。

製品や検査の種類

最適な照明

金属表面の刻印有無検査

正反射タイプのLED照明

透明テープ越しのチップ印字検査

拡散反射タイプのLED照明

リード端子の寸法測定

透過タイプのLED照明

金属表面の凹凸を検出する場合は正反射タイプのLED照明を使うことで、刻印のエッジが際立ちます。

透明テープ越しの印字検査では、透明の映り込みが起こりやすい点が問題です。斜めから反射する拡散反射タイプのLEDにすることで、フィルムに照明が映り込まずに印字を撮像できます。

リード端子の寸法測定では、対象物の輪郭をシャープに映すことができる透過タイプのLED照明を選ぶことで、正確な寸法の計測が可能です。

照明は、工業用レンズと同じく、検査用LED照明トップシェアのCCS社のものがおすすめです。

AIを用いた画像認識技術を活用する

外観検査の自動化においては従来の検査システムに加え、AIの活用も進んでいます。

AIは、従来の画像認識技術の複雑な判定が難しい、不良データの設定に手がかかるなどという弱点を 補ってくれます。また、さまざまな学習方法によって製品の正常や異常を学んで、画像から外観不良を素早く検出してくれます。

人間の目を使う検査よりも速く、また多くの製品を検査が可能になります。

AI・ディープラーニング外観検査システム「AISIA-AD」

 AISIA-ADには、製品のキズや凹みといった異常をAIで自動検知できるAIソフトウェアパッケージです。

AISIA-ADには、学習データ管理、ラベル付け、機械学習、クラウド・エッジ連携、オブジェクト検知、正常・異常判定、異常個所表示、監視・訂正、追加学習などが備わっているので、イチからAIモデルを作成する必要はありません。

また、正常データだけを学習するモデルと、正常/異常の両方を学習するモデルの両方に対応している点もAISIA-ADならではの特徴でしょう。

AIに不慣れなユーザーやベンダーでも簡単に使えるので、すそ野を広げて、より多くの企業がAIを使った異常検知を短期導入できるようになります。

まとめ

外観検査自動化については、何を目的に自動化するのかを念頭に、どのような方法があるか、どのような検査手段を選択するかなどを検討する必要があります。

AIを活用した外観検査自動化について、どのような検査対象・検査項目であれば有効なのか、どれくらい効果があるのかなどをまとめた資料をご用意しました。生産現場で課題をお持ちでしたらぜひご覧ください。


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