製造現場の検査機器メーカー徹底比較【目的別・15選】

 2022.07.20  株式会社システムインテグレータ

製造現場ではさまざまな検査機器が使われています。正確な検査を実施し、製品の品質を維持・向上するためには、検査の対象や手法、環境などに応じて適切な検査機器を導入する必要があります。

本記事では、用途別に検査機器の代表例を比較します。検査機器の導入を検討される場合はぜひ参考にしてください。

外観検査AI化 始め方ガイド

製造における検査とは

製造における検査とは

製造現場における検査では、部品や完成品が品質の基準を満たしているかを判断します。欠陥や傷がある不良品が流出してしまうと、顧客からの信頼を失い、企業ブランドイメージの悪化といったリスクがあるため、非常に重要な工程です。

ひと口に検査といっても、さまざまな種類があります。例えば、製品や部品の表面にキズや変形などの不良がないかを判断する外観検査、パッケージ内に異物が混入していないかをチェックするX線検査などが挙げられます。

検査機器とは

検査機器とは、効率よく高精度で検査を行う装置です。

製造現場で品質検査は重要な工程ですが、従来は検査員が目視で行うケースが多く、人手不足や検査精度のバラつきなどさまざまな課題を抱えている企業が多いのも事実です。検査機器の導入による検査の自動化は、それらの課題の解決策として注目を集めています。

次章からは検査の種類と、それぞれの検査で使われる代表的な検査機器メーカーをご紹介します。

外観検査で使われる検査機器

外観検査で使われる検査機器

外観検査とは、主に製品や部品の表面のキズや異物、欠けなどの外観における欠陥の有無を確認して良否を判断する検査です。従来は検査員が目視で検査する方法が主流でした目視検査は、人間の五感を活用する官能検査の代表例です。

なお、官能検査と外観検査に関しては以下の記事でも解説しています。併せてご覧ください。
製造現場で行われる「官能検査」とは?手法やメリット・注意点を解説
外観検査装置でどのような欠陥を認識できるのか〜メリットや活用例を紹介
「画像検査機」を導入すべき理由と選び方

アダコテック

アダコテックはAIを搭載した外観検査ソフトウェアを開発しています。AIに関する知識がない方でも、ノーコードの扱いやすいUIで機械学習の検査モデルを自動で作成できます。

また、同社の機械学習HLAC(高次局所自己相関)は、形状や面積など検査対象物の特徴を瞬時に認識できるほか、処理がブラックボックス化してしまわないような工夫も採り入れられています。

導入企業には、欠陥の見逃しゼロを実現し、品質保証や作業効率が向上した事例もあるようです。

メイコー

メイコーは高精度な自動検査に加え、難易度の高い金属部品の検査やX線画像を利用した検査など、さまざまな現場のニーズに合わせた検査装置を提供しています。

例えば金属部品の検査では、照明の反射光によって欠陥の誤検出が発生するリスクを抑えるために同社独自の画像処理技術を用い、従来までは困難だった光沢の強い金属部品であっても安定した検査を可能にしています。

システムインテグレータ

システムインテグレータは、最新のAI画像処理技術を利用した外観検査システム「AISIA-AD」を提供しています。AISIA-ADはワークや検査環境に合わせた最適なAIモデルを構築し、幅広い検査に対応できます。

また、画像データをもとに学習データに基づくAIモデルによって製品の異常判定を行いますが、その際に照明やカメラ、各種センサーなどさまざまな機器が必要です。AISIA-ADは各種機器とデータを連携させ、外観検査の業務効率化に向けたトータルサポートを展開しています。

X線検査で使われる検査機器

X線検査で使われる検査機器

X線検査といえば、健康診断のレントゲン検査として聞き馴染みがあるかと思いますが、製造現場でも行われています。X線を使うことで外からは見えない部分の異常や欠陥を検知するために実施されます。

島津製作所

島津製作所は精密機器や計測器、航空機器など幅広く製造しています。事業は多岐にわたりますが、そのうちのひとつがX線検査に使う機器の製造です。

X線検査に関わるものでは、主に非破壊検査機器の分析や計測機器、CTスキャンシステム、デジタルX線システムなどが提供されています。同社のX線検査や分析は、医療系や異物検査、X線傾向分析などを得意としています。

日立ハイテクサイエンス

日立ハイテクサイエンスは日立ハイテクグループの分析計測装置メーカーです。表面分析や元素分析などを得意としています。X線検査機器関係では、蛍光分析装置を数多く取り扱っており、前述の島津製作所と並んで国内のトップメーカーといえます。

同社のX線異物解析装置は、透過と蛍光の2つのX線によって20μm級の金属異物を高速で検出できます。

コメットテクノロジーズ・ジャパン

コメットテクノロジーズ・ジャパンは、SMT・半導体・ラボのアセンブリアプリケーションに最適な検査・解析ソリューション「YXLON Cheetah EVO」を提供しています。

YXLON Cheetah EVOは、大型で複雑なPCBに最適で、広範囲の非破壊検査が可能です。オプションとして最大20kgの高耐荷重が用意されています。

複数の部品の同時検査や電動自動車マーケット向けの固定パッケージの電子相互接続を検査することが可能です。

ウェーハ検査で使われる検査機器

ウェーハとは半導体を構成するために欠かせないものであり、何通りもの回路パターンが刻まれてます。ウェーハ検査とは、回路パターンを転写する前の単結晶シリコンを対象に行われる検査です。ウェーハメーカーでは出荷時、半導体デバイスメーカーが受入時に実施します。

ウェーハ検査やウェーハの製造工程については以下の記事でも解説しています。併せてご覧ください。
半導体の検査装置とは?主な検査項目・種類を解説
シリコンウエハーとは?製造プロセスからニーズが高まる理由まで解説

東レエンジニアリング

東レエンジニアリングは、光学式の半導体ウェーハ検査装置を提供しています。

半導体製造の前工程から後工程までスピーディーかつ高精度で全数自動検査に対応しています。また、フォトルミネッセンスによる蛍光画像を用いており、これまでの目視検査では検出できなかった欠陥やクラック、発光不良を自動検出できます。

ほかにも内部欠陥検査、ウェーハ貼り合わせズレの測定ができる検査機器など、幅広い検査機器を展開しており、課題に応じて最適な検査機器が選べる点が同社の特徴と言えます。

ニコンインステック

ニコンインステックは、独自の高い技術力によるマイクロレベルの検査や検査の定量化、ウエハーの段階から半導体製造の最終段階までの検査を可能にする機器ラインナップがあります。

例えば、小物鋳物やプラスチック部品などの幅広い用途に適した検査装置、解像度に優れた検査装置、強力なマイクロフォーカスX線源を搭載している装置などを提供しています。光学機器メーカーとしての強みを存分に活かした機器で、より高精度な検査を実現します。

日立ハイテク

日立ハイテクはX線インライン異物検査システムなどを提供しています。同社のX線インライン異物検査システムは、電極板など可視光では発見できない不透明な製品に埋没した金属異物の検査を可能とします。

ラインスピードなどに応じて検査システムを選ぶことができ、生産ラインに組み込むインラインでの導入に加えて検査ラインを併設するニアラインでの導入にも対応可能です。なお、ニアラインの場合は現状の生産ラインを変更する必要がありません。

シート検査で使われる検査機器

シート検査とは、シートやフィルムを規格通りに仕上げられているか判断する検査です。

シートやフィルムは日常生活においてさまざまな場面で使用されており、製造業ではウェブと呼ばれることもあります。とても薄い形状のため、少しの傷や欠陥で破れなど不良品の発生につながってしまいます。そこで、特に強度が十分であるかどうか確かめるために、検査機器による検査が重要な役割を担います。

ヒューテック

ヒューテックは無地シート面検査装置として、検出性能が高い欠陥弁別の機器やカラー検査装置などを展開しています。

カラー検査機器は従来の欠点弁別処理にカラー要素を加えたことで、より人の判断に近い欠点の重要度判別が可能です。カラー画像を使うことで視認性がアップし、従来のモノクロ画像を使った検査では難しかったシート上の異物を判別できるようになりました。

オムロン

オムロンのシート検査機器は、独自のマルチウェーブセンシング技術で高い検出力と高精度の判別性能を実現しています。

金属と非金属、ピンホールとゲルの識別、ムラ欠陥、スジ欠陥、シワ欠陥、淡色欠陥など、幅広い不良の識別や検出が同社の機器の強みです。

東芝デジタルソリューションズ

東芝デジタルソリューションズは、ウェブ外観検査装置を提供しています。高速ラインセンサーカメラと画像処理装置により、高精度にフィルムなどのウェブ製品の表面検査を行います。

微細欠陥だけではなく、薄汚れや色ムラのような低コントラスト欠陥も同時に検出し、検出データを電子データとして管理することもできます。

印刷物検査で使われる検査機器

印刷物検査では、デザイン通りに印刷できているか、擦れや色のばらつきがないかを判定します。印刷工程では紙やインクといった繊細な素材が使われるため、作業ミスだけではなく、その日の気温や湿度などにも影響されます。品質のばらつきが生じやすく、高精度の検査が必要になるのです。

ウェブテック

ウェブテックの印刷検査装置は、独自のアルゴリズムによって、目視検査で見つけるのが難しいピンホールなどの微細な不良を検知します。

同社のオンライン枚葉検査装置は全数全面検査の対応が可能です。大企業への導入実績もあり、全国シェアでトップを誇っています。

ダックエンジニアリング

ダックエンジニアリングの印刷物検査機器は、紙の印刷物だけではなく食品ラベルなどにも対応しています。ブランクス検査機器「Trinity TLC401/401B」は、食品や医薬品ラベルとして形成される前のブランク状態の印刷物を検査できます。

そのほか、ビジネスフォーム印刷検査装置、高速オフセット輸転検査装置など、さまざまな印刷物の検査機器を提供しています。

シリウスビジョン

シリウスビジョンは画像検査に強みを持ち、グラビア印刷用シリンダー版や大判のPDF・印刷物を対象とした検版システムなどを提供しています。

大判検版システムは、スキャン時間が5秒以内、新規検査も30秒程度で完了するスピードが強みです。AIの応用も可能で、人間のスキルや経験では到達できなかった検査領域にもアプローチできます。

まとめ

製造現場において検査工程は品質管理に欠かせない重要な役割を担います。

検査機器を使って実施する検査が多いですが、検査の種類も多岐にわたるため、高精度な検査と生産性の向上を実現するためにはそれぞれの条件に適した検査機器が必要です。求められる検査精度や現場の環境予算などさまざまな要素を考慮して自社にマッチする機器を選定しなければなりません。

外観検査では近年、人手不足や検査の複雑化に対応するためにAIによる自動化の事例が増えています。外観検査の自動化について資料をご用意しましたので、ぜひご覧ください。

外観検査AI化 始め方ガイド

RELATED POST関連記事


RECENT POST「外観検査」の最新記事


外観検査

半導体の検査装置とは?主な検査項目・種類を解説

外観検査

検査装置とは?構成やメーカー、メリットや導入のポイントを解説

外観検査

画像を用いた不良検知とは?主な不良の種類や検知手法を解説

外観検査

外観検査装置とは?キズや異物を検知する仕組みや導入メリットを解説

製造現場の検査機器メーカー徹底比較【目的別・15選】

AISIA-AD TOPへ

外観検査AI化 始め方ガイド

RANKING人気資料ランキング

RECENT POST 最新記事

RANKING人気記事ランキング