Amazon Redshiftとは?特徴と使い方を徹底解説

 2025.06.02  株式会社システムインテグレータ

ログ情報のような時系列のデータを管理するには、従来のデータベース(RDB:リレーショナルデータベース)よりも、時系列データベースのほうが適しています。

本記事では、時系列データベースの基礎知識やソフトウェアについて解説します。

Amazon Redshiftの概要

Amazon Redshiftとは

Amazon Redshiftは、クラウドサービス「AWS」上でデータウェアハウスを提供するフルマネージドサービスで、SQLベースで高速な分析処理を実現します。

また、Amazon RedshiftはPostgreSQLをベースに開発されているため、既存のSQLクライアントアプリケーションに対しては最小限の変更で利用できる特徴があります。

Amazon Redshiftの構成要素

Amazon Redshiftは、主要なコンポーネントとして「クラスター」があります。クラスターは、以下の図のとおりリーダーノードと複数のコンピューティングノードによって構成されます。

image1それぞれのノードは以下の役割を担っています。

  • リーダーノード
    クライアントプログラムおよびコンピュートノードとの通信を管理する。クエリの実行計画とコードを作成し、それをコンピューティングノードに配分する。
  • コンピューティングノード
    リーダーノードから割り当てられたコードを実行し、分散されたデータストレージにアクセスして並列してデータ処理を行う。

Amazon RedshiftとAmazon RDSとの違い

AWSはAmazon Redshiftだけでなく、データベースサービスとしてAmazon RDSを提供しています。この2つの違いをみてみましょう。

 

Amazon RedShift

Amazon RDS

用途

データウェアハウス

リレーショナルデータベース

目的

大規模データの集計・分析(OLAP)

オンライントランザクション処理
(OLTP)

ストレージのタイプ

列指向

行指向

データ処理

並列処理

複数インスタンスでの分散処理

対応DB

PostgreSQL

MySQL

PostgreSQL

SQL Server

Oracle Database

MariaDB

Amazon RDSは、リレーショナルデータベースの運用をサポートします。用途としてOLTP(オンライントランザクション処理)向けであり、データの一貫性を保ちながらデータの検索・更新処理を行います。

一方、Amazon RedshiftはOLAP(オンラインアナリティカル処理)、つまり複雑なクエリや大規模なデータ分析に適したデータウェアハウスです。頻繁にデータの更新が発生する処理には向いていません。

Amazon Redshiftの利用料金

AWSの利用料金は従量課金制となっており、Amazon Redshiftでは以下によって課金されます。

・ストレージ:データを保存するためのディスク容量

・コンピューティングノード:使用するノードのタイプおよび数、利用時間

なお、コンピューティングノードの料金は、リージョンごとに単価が異なる場合があるので、事前に確認しておくとよいでしょう。

Amazon Redshiftの特徴

Amazon Redshiftには、大量のデータに対して高速処理を実現する多くの特徴があります。ここではRedshiftの特徴を4つ紹介します。

超並列アーキテクチャ

Amazon Redshiftは、超並列アーキテクチャ(MPP:Massively Parallel Processing)を採用しています。このアーキテクチャにより、複雑なクエリや大規模なデータセットに対しても、高速な処理を実現します。これにより、企業は大規模なデータ分析をスムーズに行えます。

列指向ストレージ

Amazon Redshiftでは、データを列指向で保存します。列指向ストレージは、同一の列のデータをまとめて保存する方法で、特に集計やフィルタリングを行う分析処理に最適です。データ検索時に必要な列のみを高速に読み込むことで、ディスクI/Oを最小限に抑え、パフォーマンスが向上します。

フルマネージドサービス

Amazon Redshiftは、フルマネージドサービスとして提供されています。インフラの管理や保守作業はAWS側が実施するため、ユーザーはデータ分析に集中できます。さらに、必要に応じてノード数やスペックを手動またはスケジュール設定により柔軟にスケールアップ・ダウンすることが可能です。

他のAWSサービスとの連携

Amazon Redshiftは、AWSの他のサービスとの連携が容易であり、さまざまなデータソースからデータを抽出し、強力なデータ分析が実行できます。例えば、以下の機能があります。

  • Redshift Spectrum
    RedshiftからAmazon S3に格納されたデータに対してクエリを実行できる機能。Redshiftのストレージを削減できる。
  • フェデレーテッドクエリ
    Redshiftから他のデータベース(Amazon RDSやAmazon Aurora)に対してクエリを実行できる機能。データ間の連携をシームレスに行える。これにより、異なるデータソースを統合し、複雑な分析が行えます。

 Amazon Redshiftのユースケース

Amazon Redshiftの優れた特徴を活かしたユースケースが多数あります。ここでは3つ紹介します。

大容量データの集計・分析

Amazon RedshiftとBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを使って、膨大なデータセットを迅速に処理し、リアルタイムにデータ分析結果を得ることが可能です。これにより、企業はマーケティングや販売データなどの分析を行い、意思決定の支援に活用できます。

機械学習の前処理

機械学習モデルのトレーニングを行うためには、大量のデータに対してクリーニングや変換などの前処理の実施が必要です。Amazon Redshiftなら、そのような前処理を高速で実行し、機械学習に必要なデータ準備を迅速に行えます。また、AWSの機械学習サービス「Amazon SageMaker」などと連携し、機械学習のワークフロー全体を統合して管理できます。

IoTデータの処理

IoTデータは、IoTデバイスからリアルタイムでデータが生成されるため、大量のデータを即時に分析し反映する処理が求められます。例として、Amazon Redshiftでは、Amazon Kinesisと連携することで、IoTデータのリアルタイム分析にも対応できます。

まとめ

本記事では、Amazon Redshiftについて解説しました。Redshiftは、高速な分析処理と柔軟なスケーリングにより、大容量データの集計や分析、機械学習の前処理などのさまざまな用途で利用されます。

また、フルマネージドサービスであるため、管理や保守作業をAWSに任せることができ、運用の負荷が低いというのも大きな特徴です。すでにAmazon S3やAmazon RDSなどのサービスを利用しており、それらのデータを分析するためのデータウェアハウスを構築する場合は、Amazon Redshiftの利用を検討してみるとよいでしょう。


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