製造業の品質検査とは具体的に何をするのか?品質管理や品質保証との関係も解説

 2020.01.24  株式会社システムインテグレータ

本稿では、製造現場における「品質検査」がどのようなものなのかをご紹介します。

そもそも品質とは「製品が本来持つべき特徴、性能が、要件事項を満たしている状態」を指します。つまり、外観ではキズや汚れがなく、仕様通りに機能が動作していることです。品質を保証することは、すべての製造業にとって1つの使命だと言えます。

顧客や消費者は常に一定の品質を求めていますし、そのニーズを満たせない限り、企業側が販売に繋げ、市場でシェアを拡大していくことは難しいでしょう。特に最近では、低価格にもかかわらず高品質な製品が多く流通していることから、製造業に求められる品質要件は一層厳しくなっています。

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品質検査とは何か?

品質検査は文字通り、「製品の品質を検査するための作業」です。これを大きく分類すると、「外観検査」と「機能検査」の2つのカテゴリに分かれます。

外観検査では、生産した製品を1つ1つくまなくチェックして、キズ/汚れ/へこみ/ホコリの付着など外観不良がないかを確認します。ただし、どんな不良も見逃さないというわけではなく、限度見本と呼ばれる「これくらいのキズや汚れならOKとしますよ」というサンプルを参考に、良/不良を判定していくケースもあります。

一方、機能検査では生産した部品や完成品が仕様通りに動くかどうかをチェックする検査です。たとえば自動車製造業ならば、生産した自動車の走行テストや各種機能テストを実施して、すべて仕様通りに動作することを確認してから消費者のもとへ届けられます。

外観検査も機能検査も、品質検査としてどちらも欠かせない検査項目です。ちなみに、細かい検査項目でいえば「抜き取り検査」や「耐久性テスト」などさまざまものがあります。

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外観検査に注目が集まっているワケ

近年、品質検査の中でも特に外観検査に注目が集まっています。その理由が「外観検査の自動化」がさまざまな企業で推進されているからです。

生産した製品にキズや汚れなどがないかの確認は、主に検査員が行います。生産ラインに立って流れ作業で確認するケースもあれば、検査室に運ばれてきた製品を確認するケースもあります。細かい検査方法は生産している製品の特徴や企業によって異なります。

共通点は、「目視検査が行われている」こととその目視検査で「人件費がかさんでいく」ことです。製品の外観を検査するのですから、当然ながら検査員が自分の目でキズや汚れなどがないかを確認します。ところが、人間ですからミスを犯すことはありますので、外観不良のある製品が後工程に流れてしまう可能性もゼロにはなりません。つまり外観検査には一定のリスクがあるということです。

さらに、既述のとおり低価格な製品を生産するためにコストを抑えなければならないにもかかわらず高い品質が要求されます。検査コストは製品の原価に直接加算されますので、検査をいかに効率的に行うかが問われてくるわけです。

そこで注目されているのが外観検査の自動化であり、生産ラインを流れる製品をカメラで撮影し、画像認識技術とAI(人工知能)を駆使して外観検査を自動的に行うためのシステムを構築します。

そうすればヒューマンエラーが発生することはないので、不良品流通のリスクを回避できますし、検査コストも軽減できます。

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品質管理と品質保証との関係

外観検査などの品質検査は、「製品の品質を管理する」ことや「製品の品質を保証する」ことに繋がりますが、品質検査自体が品質管理や品質保証になるわけではありません。品質管理と品質保証は、設計工程や製造工程によっても行われるものです。

実は、このことを理解していないと製品の品質向上を目指すことが難しく、いつまで経っても検査コストを削減できなくなります。

たとえば、外観検査はあくまで「外観上の不備が無いか」を確認するための作業であり、外観検査を続けているからといって品質向上は実現しません。大切なのは、どのような不備があったかを設計工程や製造工程の各現場にフィードバックし、その情報をもとに品質向上に向けた取り組みを実施することです。

特定の部位に同じようなキズが頻繁に発生している場合、製造工程に何らかの問題があるかもしれません。樹脂成形品などにおいて特定のウェルドラインが発生している場合は、製品設計に問題があるかもしれません。

そうした外観検査で発見した不備を上流工程へとフィードバックすることで、問題の原因を究明し、改善策を実行することで初めて品質向上が実現します。品質検査と品質管理/品質保証の関係を適切に理解することは、顧客満足度や生産コスト削減などにも繋がるのでとても大切なのです。

品質検査を自動化するには?

品質検査(特に外観検査)を自動化するニーズは、コンピューターが普及してから存在するもので、特に新しい概念ではありません。従来は温度やサイズ、加圧などのセンサーを用いて、そこから発生する情報をコンピューターで処理し、閾(しきい)値の範囲にあるかを確認すること外観検査(異常検知)をシステム化していました。

しかし、センサーでは検知できないキズや汚れ、ホコリの付着などに関しては検査員の目に頼る他なく、完全な自動化は実現できないままでした。それに対し、現代の製造業では高性能カメラとAIの技術によって、外観検査の自動化に成功する企業が増えてきています。

AIには高度な機械学習/ディープラーニングが実装されており、外観の不良データや正常データを大量に読み取って、良/不良の判定基準を自ら学びます。さらに画像認識技術を合わせ、熟練検査員と同等以上の検査精度を実現することも可能です。そうした外観検査の自動化を取り入れることで、以下のようなメリットがあります。

  1. 熟練検査員でも起こす可能性のあるヒューマンエラーを完全に排除して、より安心安全な外観検査を実施する
  2. 熟練検査員に依存していた検査作業を自動化し、外観検査システムを監視するだけの誰もが取り組める作業に変換する
  3. 増え続ける検査員の必要性を軽減し、外観検査にかかるコストを削減する
  4. 良/不良判定のミスが発生してもトライ&エラーを繰り返し、同じミスを二度と侵さない強力な外観検査システムを育てていく
  5. 品質管理/品質保証により明確なフィードバックを返すことができ、品質向上に向けた取り組みにより顧客満足度を維持できる

いかがでしょうか?外観検査を自動化するだけで、今ある製造プロセスは生まれかわり、品質管理や品質保証をより行いやすくすることができます。品質検査を自動化するニーズはあらゆる産業で広がっているので、一度検討されることをおすすめします。

「うちの製品は特殊だから…」とあきらめることはありません。撮影可能な製品ならば、どのような外観不良も検知できる可能性があります。この機会にぜひ、品質検査および外観検査の自動化について考えてみてはいかがでしょうか?

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