研修によって即戦力としてのプログラマーを育てたいという要望は、どの企業でも共通しているはずです。そこで、効果的な研修内容や効果的に研修を実施するために知っておきたいポイントについて解説していきます。また、個人の学習レベル別の研修コースや企業がプログラマー育成や採用に活用できるサービスもあわあせてご紹介します。
プログラマー育成に必要な研修内容
自社内で優秀なプログラマーを育てるには、段階別に適した内容を適切に教えていく必要があります。そこで、プログラマー育成に必要な研修内容を3段階に分けて紹介します。
プログラマー研修(入門編)
入門の段階では、まず社会人に求められるビジネスマナーの研修を行います。ビジネスマナー研修では、身だしなみ、言葉遣い、ビジネスメール、報連相など社会人として企業で働いていくために必要な教養を総合的に学びます。社会人としての基本を学ぶ通常の研修と並行して、IT分野における基本知識を学習させる企業もあります。インターネットを活用するビジネスの基本を社員に学習させたい場合は、社員がどれくらいITを活用できるのかを把握してから研修内容を決める必要があります。パソコン操作の段階から自信がないという社員が多い場合は、ソフトウェアやハードウェアの仕組み、クラウドやデータベース、パソコンのショートカットキー操作、アドオンの使い方など、用語や操作方法などから学んでいく研修が効果的でしょう。
ある程度パソコンやITツールを使いこなせる社員が多い場合は、JavaScriptやサーバーの知識、セキュリティ対策など、技術の話に踏み込んだ研修内容にすると、社員全員のさらなるステップアップが望めます。IT技術に関する研修は、研修機関によって呼び方が様々ですが、ITリテラシー研修という名称で呼ばれることが多くあります。
プログラマー研修(基礎編)
基礎研修ではプログラミング開発の全体的な業務フローを学んでいきます。担当外の工程で何が行われているのかを把握できるため、サーバーエンジニアやシステムエンジニアとの連携が円滑になります。各担当者に配慮した仕事ができるプログラマーは重宝されるため、開発工程全体を整理して理解する研修を行う意義は大きいと言えるでしょう。全体的な開発フローを学習したあとは、プログラミング言語を実際に扱うための文法など、実際の開発に必要な基礎を学んでいきます。C言語、Java、Python、Rubyなど基礎的なプログラミング言語を学ぶ研修と、自社の開発環境に応じた言語に集中した即戦力を育成する研修に分けて設計するとよいでしょう。
プログラマー研修(実践編)
入門・基礎編で学習したプログラミング言語を活用して、実際にシステムやアプリの開発を行います。実践の形は様々ですが、実際の業務と同じようにチームを作り、プロジェクト形式で研修を行うケースが一般的です。実践を伴う研修では、取り組む社員の学習レベルに合わせた課題の設定が大切です。通常は基礎から段階を追って実施しますが、経験者と未経験者が混在している場合もあります。状況に応じて、未経験者に向けた内容の研修を別途実施したり、実践の前に組み込んでおいたりするとよいでしょう。
プログラマー研修(応用編)
応用編では専門性を伸ばす研修を実施します。よくあるのが、WEBプログラマー、データベースエンジニア、システムエンジニアなど、特定の専門性を高める研修です。たとえば、WEBプログラマーであれば、プログラミング言語以外にもユーザーインターフェースに対する理解も研修に組み込まれます。データベースエンジニアは、大量のデータを管理するだけではなく、企業の戦略へのデータ活用も求められるので、経営的な研修も効果的です。システムエンジニアは、顧客の要望に合わせて仕様の設計を行う上流工程を担当するため、ほかの研修よりも学習が長期になりやすい傾向にあります。応用編の研修は、それぞれの専門分野に特化した知識やスキルの習得が目的ですから、それなりに時間や資金がかかります。研修先の選択は慎重に行いましょう。
プログラム研修で考慮するべきポイント
研修は企業戦略の一環ですが、単にプログラミング研修を実施すれば、社員が即戦力になるというわけではありません。そこで、プログラム研修で考慮するべきポイントについて解説します。目的を明確に
研修を計画する際に、プログラミング研修を実施する目的を明確にしておきましょう。研修を行う目的は企業によって様々ですが、エンジニアの育成もしくは社員のITスキルの向上に大別されます。エンジニア育成を目的とする場合は、その業務の性質上、プログラミング言語への深い理解が欠かせません。即戦力を強く求めるのであれば、独学ではなく研修を受講して学習を進めていく方法が一般的です。社員の独学やOJTのみでエンジニア育成を行おうとする企業もありますが、時間がかかる上に社員間の成長に差が出てしまうため、おすすめはできません。
一方、ITスキルの向上を目的にする場合は、エンジニア以外の社員も対象となります。なぜならプログラマー研修には、ITリテラシーだけではなく、業務フローに関する内容も含まれているからです。たとえば、顧客情報の取り扱いはプログラマーに限らず必要な共通事項ですし、取引先や顧客に商品の説明や自社サービスの紹介、アプリの開発期間などを説明するのもITスキルの一部です。全社員が基本的なITスキルを身につけられるように研修を実施する企業もあります。
個々のレベルに応じた内容
社員によってプログラミングのスキルに差があるのは当たり前です。未経験者にとっては、実務レベルのスキルまで習得するだけでもハードルが高いものです。頑張って取り組めるレベルからかけ離れた内容になると、挫折してしまう可能性が高くなります。社員のレベルに応じたカリキュラムを用意するなど、研修を受ける社員のレベルに合った研修を考案・受講させることが大切です。大勢で研修を行う場合は、一人ひとりがついていけるような環境作りを心がけましょう。たとえば、分からない部分を気軽に質問できる環境づくりや、研修を小分けにして振り返りの時間を設けるなどの方法があります。
プログラマー未経験者が意識するべきポイント
まずは、実際にプログラミングを経験させることが大切です。研修期間中は集中してプログラミングの学習に取り組めますが、実際にどこまで理解しているのかはわかりにくいものです。そこで、予習や復習を兼ねて、研修内容の理解度を意識しながら実際にプログラミングする機会を設けましょう。また、プログラミングの作業は集中力や根気が必要であるという意識も大切です。言語の学習ですから、内容の理解が早い人もいれば遅い人もいます。コードを記述するたびにエラーが出ることもよくあります。集中力を維持して淡々と作業をこなしていく姿勢を念頭に置くと、持続的に学習できるでしょう。
研修と並行して資格の取得を目指すのもモチベーションの維持に繋がります。未経験の場合は入門としてITパスポートの取得を目指すか、エンジニアを目指しているなら基本情報技術者の取得がおすすめです。
活用できるプログラム研修コース
研修を計画し始めた段階で、まず研修先の検討を行う必要が出てきます。研修先の選定で、一番の指標となるのが研修実績です。それに加えて、個人のスキル・学習レベルに応じた指導を行える講師がいるかどうかも確認してください。また、受講のしやすさも社員の意欲に関わります。研修の受講形式には、自社に講師を招く派遣型とそれぞれの社員が通う通学型があります。派遣型は移動時間を必要としませんが、会場を用意する必要がある一方、受講者によっては時間が合わず、進捗に差が出てしまう可能性も否定できません。社員の研修成果を目に見えた形で確認したいという場合は、テストなどを行って研修の成果を報告してくれる研修先を選ぶとよいでしょう。
活用したいプログラム研修コースとしては、「富士通ラーニングメディア」が挙げられます。ビジネススキルやIT技術者向けスキルアップ研修、セミナーの受講ができます。多種多様なコースを受講でき、その中でも新入・若手社員向けのIT研修として「プログラミング基礎」の研修がおすすめです。こちらはJavaやCOBOL、C言語などの基礎スキルを習得できる研修です。
未経験者・新卒者向けプログラム研修コース
未経験者や新卒者向けの研修コースであれば、次のようなものがあります。人材サービスを提供する「SODATEC(ソダテック)」の研修では、未経験からITエンジニアを育成するプログラムを提供しています。未経験者向けに特化しており、できないことを前提にプログラムが組まれているため、順番にステップを踏みながらスキルを身につけていける点が特徴的です。
法人エンジニア研修サービスを提供する「ITCOLLEGE」では、IT未経験・新人に特化した研修を行っています。現役エンジニア講師の対面指導、少人数制にこだわっており、一人ひとりの学習レベルに合わせたきめ細やかな指導が特徴です。
ほかにも、IT系の研修やオンラインセミナーを提供する「insource」の「新人IT研修」も未経験者・新卒向けのプログラムとしておすすめです。Java、PHP、C言語の3つのうちいずれかを学べるコースが用意されており、単元ごとに小テストを実施し、苦手部分を効率的に克服していく学習形式を採用しています。研修中は社員の様子がわかるように報告を受けたり、一人ひとりの日報を作成してもらえたりするので、研修の状況を把握できる点が特徴的です。テストの結果をレポートでもらうこともできます。
スキルアップ研修
中級者・上級者のプログラマー社員にはさらなるスキルアップができる研修コースがおすすめです。まず、「insource」が提供している「IT研修(情報技術研修)」や「Microsoft Office研修(Excelマクロ・VBAの活用)」が代表的です。IT研修ではプログラミングスキルの向上のほかにビジネススキルの底上げを目的とした取り組みもあります。たとえば、トライアンドエラーを繰り返して基礎技術を向上させる取り組みや、コミュニケーション能力を中心としたビジネススキルの向上を目指す学習が実施されます。また、プログラマーやSEが深みのある仕事を行っていくために必要な顧客の業務理解も研修内容に含まれています。企業に合わせた柔軟な研修内容のカスタマイズも可能で、講師によるきめ細やかなサポートがあります。
また、人材育成を中心としたサービスを提供する「エディフィストラーニング」では、「PM(プロジェクトマネージャ)実践強化プログラム」の研修を受けられます。経験豊富な講師から現場で活きるノウハウを学びながら初級~上級までのカリキュラムを学習できます。実際の現場で活用できる形で演習、ケーススタディが行われる、実践的な内容です。開発PMと運用PMの2種類のコースがあります。
社内プログラミングコンテスト
社内プログラミングコンテンスト(社内プロコン)の開催も社員のスキルアップに有効です。コンテストでは参加した社員で順位を決めるため、切磋琢磨される環境が醸成され、実力も可視化できます。社内プロコンの実施では、社員のコーディング速度や問題を理解する能力、回答するための思考力を養えます。また、共通の話題ができるため、異なる部署や年齢が違う社員同士でのコミュニケーションがしやすくなる効果も期待できます。
コンテスト後も問題の復習や解法についての考察が盛り上がり、社員同士のコミュニケーションが自発的に行われるなどチームワーク面の向上に役立ちます。また、人によって解法が異なる問題があると新たな視点の獲得に繋がります。
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関連資料:社内プログラミングコンテストを成功させる7つのポイント
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スキル判定には「TOPSIC」が有効
TOPSICとは、初級~上級のプログラミングスキルをリアルタイムで判定するサービスです。TOEICのプログラミング版と考えてよいでしょう。問題の作成は競技プログラミングで有名なAtCorderが行っています。プログラミングスキルの客観的な測定が可能になるのが本サービスの特徴です。サービスには、プログラミング力やアルゴリズム力を測定するTOPSIC-PGとSQLスキルを測るTOPSIC-SQLの2種類があり、必要に応じて使い分けることが可能です。
また、TOPSICは多くの企業や大学、高校で利用されています。プログラミングをする際に重要な考え方となるアルゴリズム力が鍛えられたり、エンジニアの技術力を測定し採用に活用できたりするなどのメリットがあります。
まとめ
プログラマー研修を効果的に行うには、社員一人ひとりの学習レベルに合わせたカリキュラムが必要ですが、それと同等に定期的な実力の調査が大切です。実績や研修の形式から適切な研修先を選ぶと同時に、「TOPSIC」などのサービスを導入し、研修の成果を評価しながらモチベーションの維持や苦手分野の見える化に活用してみてはいかがでしょうか。
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