日本の小学校でプログラミング教育が必修となり、今後は社会人にもその影響が徐々に及んでくるでしょう。社会人に必須のスキルとなる前に、初心者が今からプログラミングを学ぶのにおすすめの教科書をご紹介します。また、教科書だけでは十分でない実践力を身に付けるために役立つスキル判定サービスもご紹介します。
2020年からプログラミング教育が小学校で必修に
2020年度からプログラミング教育は小学校で必修の授業内容となりました。海外では1970年代から子どものプログラミング教育が始まっており、日本は大きく出遅れていると言われています。
パソコンや携帯電話の普及で子どもたちを取り巻く環境がデジタル化し、現在はSNSやIoTも身近なものとなりました。今後、AI(人工知能)やビッグデータなど、情報技術によって社会の大きな変化が予想される中、子どもたちにはプログラミング教育を通じて、コンピュータを積極的に使いこなす力と同時に論理的思考力を養うことが必要です。
小学校におけるプログラミング教育は独立した教科ではなく、算数や理科などといった既存の教科や総合学習の授業に取り入れられます。プログラミングを活用している身近な仕事やプログラミングでゲームを作る仕事を学んだり、電気の効率化を考えたりと、さまざまな取り組みが全国で広がっています。中学校や高校の教科書も内容が一新され(中学は2021年度、高校は2022年度に改定)、より高度なプログラミング教育が必修化されるため、大学入試にも関わってくる可能性があります。
学ぶ機会を得た一方で、内容には懸念も
小学生にプログラミング教育を必修化させるにあたって、まだコミュニケーション能力が十分でない子どもにパソコンの授業をさせることに賛否両論ありました。その結果、授業の内容は実用的なプログラミング言語ではなく、プログラミング思考とし、コンピュータに関する基本的な理解能力や、論理的思考力を養うことが主な目的となりました。現状の教科書ではプログラミングについては触り程度にしか記載がなく、どのように教えるかは各教師に委ねられます。小学生がプログラミングに触れる機会は増えますが、そこからプログラミング思考を深めていけるかは担当する先生の力量次第ということです。そのため、先生にプログラミング思考についての授業を組み立てる力がなければ、必修化したとしても子どもたちに十分な教育の質の提供は難しいでしょう。
教育現場で使用されているプログラミング教科書
小学生向けのプログラミング教科書は主に算数の教科に取り入れられ、学年の理解度に応じてゲームや教材ロボを使用したり、図形を描いたりします。高学年になると理科や図画工作、家庭、外国語などにも取り入れられ、生活の中のプログラミングに挑戦し、電気の有効利用や道案内などに活用します。小学生向け教科書は子どもがわかるようにやさしく解説しているのが特徴です。中学生向けの教科書の場合、LED教材やセンサカーを使用したプログラミングや、セキュリティ・著作権の知識、簡単なゲームの制御など基本的なプログラミングに関する情報を網羅しています。その上で、一歩踏み込んだ内容の教科書もあり、たとえば開隆堂出版が発行している教科書では、最終的に別売の教材を使用して実際にコーディングできるなど、理論だけでなく実践にもつながる内容となっています。
ただし、あくまで教科書のため、実際に通用するスキルとしては物足りなさがあります。実践力を身に付けるにはプログラミングスキルの判定ができる「TOPSIC」のようなサービスを併用すると、学んだことの定着にも役立つでしょう。
プログラミング入門におすすめの教科書5選
プログラミング初心者が学ぶときにおすすめの入門教科書を5冊紹介します。基礎からHTML、CSSまで学ぶ内容によって選べます。1. Webとプログラミングのきほんのきほん
「Webとプログラミングのきほんのきほん」は、未経験者がこれからWebプログラミングを学ぶのに最適な一冊です。代表的なプログラミング言語のPHPとJavaScriptを例にし、他の言語と共通する基本部分を詳しく解説しています。言語によって少しずつ特徴が異なりますが、基本の構造を理解しておけば、新しい言語を学ぶときも短期間で身に付けることができます。どの言語から学べばいいかわからない方にもぴったりです。他にインターネットの構造やWebページがコンテンツを表示する仕組み、クッキー、データベースなどの技術も、包括的に理解できるようにまとめられています。https://book.mynavi.jp/support/pc/5409/
2. Webエンジニアの教科書
「Webエンジニアの教科書」はWebエンジニアを目指す人なら押さえておくべき知識や技術のポイントを、分野別にわかりやすく解説しています。人気のRubyを支えるフレームワークRuby on RailsやPHP、さまざまな形式のデータを格納できるNoSQLデータベース、Webブラウザ側を制作するフロントエンド、ログの取り扱いなどの基本を学び、データ環境構築の自動化など、便利な外部ツールの紹介などもあります。特徴的なのは教科書を見ながら実際に手を動かして動作を試せることです。これからWebエンジニアになりたい人だけでなく、Webエンジニア歴2~3年の方や近年の動向を知りたいエンジニアにもおすすめの一冊です。https://www.c-r.com/book/detail/1006
3. これからはじめるプログラミング基礎の基礎
「これからはじめるプログラミング基礎の基礎」は2021年7月時点で3訂版が販売されているロングセラーで、初版から人気のあるプログラミング入門書です。プログラミングだけを取り上げるのではなく、コンピュータの仕組みから解説されており、1冊読み終える頃にはプログラミングの本質や全体像がイメージできるようになるでしょう。ただし実際にプログラミングできるような解説ではありません。プログラミングを学びたいけど、何から勉強すればよいかわからない方に最適な1冊です。改訂3版では例題がよりわかりやすく工夫され、小学校高学年でも学べる優しい語り口になっています。https://gihyo.jp/book/2018/978-4-297-10118-3
4. HTMLとCSSで基礎から学ぶWebデザイン
「HTMLとCSSで基礎から学ぶWebデザイン」はタイトル通り、Webデザインの基本となるHTMLとCSSを取り上げ、その基礎を解説したWebデザイン入門書です。最近はブログやSNSの普及によりHTMLを使用する必要性が薄れてきました。ただ、ブログやSNSは情報が常に更新されるため、情報を整理・蓄積した書籍のようにじっくり読むにはHTMLで構築したサイトが適しています。知識ゼロからWebデザインの基礎を体系的に学び、最新技術やデザインスキルも身に付きます。解説も多く、現場で役立つテクニックも学べるので、これからWebサイトの基本をじっくり学びたい方におすすめです。https://www.shuwasystem.co.jp/book/9784798029566.html
5. プログラムはこうして作られるプログラマの頭の中をのぞいてみよう
「プログラムはこうして作られるプログラマの頭の中をのぞいてみよう」は、ゲーム会社「セガ」のプログラマによる著書です。プログラム初心者が入門書を読む前に読んで欲しい、プログラムの作り方や考え方について書かれています。一般的なプログラム入門書では「プログラムを作成するためにどのように頭を働せるのか」という根本的な考え方は学べません。この本では著者オリジナルの言語「Sunaba」を使って1つのゲームを作る過程を通じ、プログラムに必要な思考法を身に付けることができます。プログラミング未経験者だけでなく、基礎から学びなおしたい方にもおすすめの一冊です。https://www.shuwasystem.co.jp/book/9784798039251.html
スキル判定には「TOPSIC」が有効
プログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」は、オンライン上でプログラムを実際に書いて、リアルタイムに判定できるクラウドサービスです。初級者から上級者まで幅広いエンジニアのプログラミングスキルの判定が可能で、TOEICのようにプログラミングスキルを客観的に測定します。プログラミングとアルゴリズムのスキルを測定する「TOPSIC-PG」と、SQLスキルを測定する「TOPSIC-SQL」の2種類があり、ニーズや用途に応じて柔軟に使い分けが可能です。「TOPSIC」は多くの企業で導入されている他、中学、高校、大学など教育現場でも活用されています。
まとめ
教育現場でプログラミングの授業が必修化される中、社会人の初心者が学べるプログラミングの教科書をご紹介しました。アルゴリズム思考やプログラミングの基礎、HTML、CSSまで目的に応じて学べる教科書が揃っています。実際のプログラミングスキルを判定するツール「TOPSIC」もあわせてご紹介しました。プログラミングの学習・教育にご活用ください。
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