多くの企業が取り組んでいるDX(デジタルトランスフォーメーション)は、従来のマーケティングや経営をデジタルに転換することで実現しますが、そのために必要となる「デジタル人材」の需要が高まっています。この記事ではデジタル人材の定義や、必要とされるようになった背景などを解説し、求められるスキルや効果的な育成方法について紹介します。「DX推進に取り組んでいるけれどもうまくいかない」「即戦力のデジタル人材がなかなか見つからない」といった課題に直面している場合は、ぜひ参考にしてください。
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デジタル人材とは
時代に合わせて、企業が求める人材像は変化してきました。インターネットが普及し、デジタル社会が進む近年においては、特に「デジタル人材」の需要が高まりつつあります。では、デジタル人材とはどのような特徴を持つ人材なのでしょうか。
デジタル人材の定義
言葉の通り、デジタルを活用してビジネスを実行する人材をデジタル人材と表現します。
このデジタル人材には何が求められるのでしょうか。デジタル人材はデータを活用しビジネスを成長させる実行役です。つまり、データ利活用のスキルが求められます。データ利活用のスキルとは、データサイエンティストのスキルと言ってもよいでしょう。
そもそもデジタル人材とは、IoTやAI、5Gなど、最先端のデジタル技術を駆使したり、日々蓄積されるビッグデータを分析・活用したりすることによって、企業のDXを推進するリーダー的な存在を指します。
つまり、デジタル人材は単にITのスキルを持つだけではなく、さまざまなデジタル技術を駆使してビジネスに新たな価値を提供する役割を果たす人材であると考えられるでしょう。こうしたデジタル人材はあらゆる業界で需要が高まっているものの、相応の能力を有した人材を確保することは容易ではありません。
デジタル人材が求められる理由
では、なぜ多くの企業でデジタル人材が求められるようになってきたのでしょうか。
経済産業省は2018年12月に「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DXガイドライン)」を公表しました。このガイドラインは、同年9月にまとめられた「DXレポート~ITシステム『2025 年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」を基に、企業がどのようにDX化を推進すればよいかを具体的な指針として提示しています。
これらの資料を読み解いてみると、企業にとってデジタル人材を確保することは必要不可欠であることが分かります。デジタル人材の登用によってDXが実現できなければ、レガシーシステムがデータ活用を阻み、将来的に多大な損失を被る可能性が指摘されています。この懸念は「2025年の壁」と名付けられ、警鐘が鳴らされているのです。
(参照元:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_01.pdf)
しかし、あらゆる企業で需要が高まる中、DX推進に必要とされるITリテラシーやデータサイエンスなどの総合的なスキルを備えた人材はまだ少なく、各社とも採用に苦心しています。そのため、企業は希望するスキルを備え、即戦力として活躍が期待できるデジタル人材を採用することだけでなく、その潜在能力を備えた人材を採用してから自社で着実に育成する方法も併せて考えなければならないでしょう。
デジタル人材とIT人材の違い
デジタル人材と同じような言葉で「IT人材」も耳にするようになってきました。両者ともITにまつわる技術を活用できる人材という意味では共通しています。ただし、厳密に定義すると次のような違いがあるため、注意が必要です。
まずIT人材は、中小企業庁がIT人材の活用について詳細にリポートした2016年版中小企業白書において「ITの活用や情報システムの導入を企画、推進、運用する人材」と定義されています。必要とされるスキルはITを駆使するスペシャリストとしての能力であり、担当する部署としては情報システム部門が第一の候補として挙げられるでしょう。
(引用元:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H28/h28/index.html)
一方で、デジタル人材の定義は様々ですが、ITを活用してビジネスに新しい風を起こし、より高い価値を提供することが求められます。そのため、必要となるスキルはITに関する知識や技術だけでなく、ビジネス能力やコミュニケーションスキル、リーダーシップなど、多岐に渡るスキルが求められます。部署も情報システム部門に限らず、総務や人事、経営企画など、幅広く必要とされる人材です。
日本国内のデジタル人材の状況
デジタル人材とIT人材の不足
労働人口の減少、DX推進などの背景から、デジタル・IT人材の需要と供給のバランスは崩れ、今後も人材不足になることが予想されています。
デジタル・IT人材の職種別確保状況
職種別のデジタル人材の確保状況を見ると、すべてのポジションで「大幅に不足している」「やや不足している」と回答がありました。アメリカと比べても不足している割合が高く、日本の各企業においてデジタル人材の不足が課題になっていることがわかります。
出典:DX白書2021_第3部_デジタル時代の人材(独立行政法人 情報処理推進機構)
https://www.ipa.go.jp/files/000093701.pdf
デジタル・IT人材の供給動向の推移
日本は労働人口が減少傾向にあります。IT人材においても非常に大きな人材不足に陥ると試算されています。経済産業省のデータによると、2019年をピークに、IT人材の入職率が退職率を下回り、2019年以降はIT人口は右肩下がりに減少すると見込まれています。
出典:「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果 報告書概要版」(経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf
デジタル人材の求人倍率
人材不足の影響からデジタル人材の求人倍率は他職種に対して非常に高い傾向にあり、各企業による人材の取り合いが激化している状況にあります。
特にIT系の技術者獲得の競争率は高く、各企業は人材獲得のため新たなターゲティングや手法が求められており、人事採用担当者の頭を悩ませています。
デジタル人材に必要なスキル
企業のDX推進は、デジタル環境を整える側とそれを活用する側のどちらかが欠けても難しくなります。例えば、IT推進部門がいかにシステム環境を整えたとしても、多くの社員がその重要性を理解せず、デジタルをビジネスに活用できなければ、環境を整えた意味がなくなってしまうからです。そのため、それぞれの立場においてデジタルに関する認識や知見を広げ、経験を積む必要があるのです。
では、デジタル人材には、具体的にどのようなスキルが求められるのでしょうか。まず、ITに関する基礎知識やプログラミングスキルは必須です。日々蓄積される膨大なデータの加工や分析、マネジメントといったデータサイエンス分野のスキルも非常に重要視されています。ユーザーにとって商品やサービスが使いやすいものかどうかを左右するUIやUXに関する知識も必要でしょう。
また、デジタル人材はプロジェクトリーダーとして、さまざまなスキルを持った人材を社内で適切に配置・管理する能力が求められます。また、組織間でうまく調整する力やコミュニケーション能力といったスキルも欠かせません。このように、デジタル人材が幅広いスキルを身に付けることで、企業のDX推進が実現できるのです。
これらのスキルは一人でこなすことは難しく、それゆえそれぞのスキルを身につけたデジタル人材への重要が高まっているのです。
デジタル人材を育成する方法
即戦力としてのデジタル人材採用が難しい現状においては、デジタル人材を社内で育成することも検討しなければなりません。ここでは、デジタル人材の育成方法のうち「外部研修の実施」「学習環境の整備」「業務の割り振り」「資格取得の支援」「人材育成ツール」をピックアップして紹介します。
レベルの高い外部研修を行う
デジタル人材の育成には、OJTなど自社で研修することも可能ですが、教える側の人材不足によって困難なこともあります。その場合は、より専門的でレベルの高い外部研修を利用することも検討してみるとよいでしょう。一定のコストはかかる一方、早期での育成が期待できます。
学習に適した環境を整備する
スキルの定着に向けては、自律的に学習を進められる環境づくりも重要なポイントです。例えば、最新の技術情報に触れられたり、気軽に質問して不明点を解消できたりするツールやサービスを導入する方法があります。新しいスキルの習得に対する心理的障壁をできる限り取り除くことで、スキルアップしやすい環境が提供できます。
スキルアップにつながる業務を任せる
研修などの座学で学んだスキルを定着させ、さらに向上させるためには、実際の業務を割り振ることが効果的です。実務経験でしか得られない経験や知識が身に付くほか、モチベーション維持にもつながり、責任感を持って業務遂行する力が養えるでしょう。
資格の取得をサポートする
スキルを客観的に評価するための資格取得に向けてサポートすることも有効な方法です。希望の資格が取得できれば本人の大きな自信にもなり、さらなるステップアップが図れるでしょう。
デジタル人材育成ツールを活用する
デジタル人材に求められるスキルは多岐にわたり、育成には多くの負担がかかるため、専門のツールを活用するのも一案です。必要とされるプログラミングスキルをオンラインにおいてリアルタイムで判定が受けられ、適切に管理できるクラウドサービス「TOPSIC」がおすすめです。
デジタル人材を採用するために
採用市況では、デジタル人材の需要に対して転職顕在層の数は非常に少なく、レッドオーシャンの中で各企業が人材の取り合いを行っている状況です。企業はまだ開拓の余地がある転職潜在層に対して広くリーチするべきであり、かつ転職潜在層の「転職したくなる」「転職しやすい」手法や仕掛けをすることが求められています。従来の採用活動のみでは競争にかず、SNSを活用した広報活動や、ブランディング、CSRの訴求等さまざまな方面からのアプローチが必要になっています。
リファラル採用では転職活動を始める前の優秀なデジタル人材に社員紹介からアプローチをすることができ、求人媒体や人材会社経由では難しい「生々しい自社の魅力」をリアリティかつ信頼度高く訴求することができます。そのためリファラル採用を取り入れる企業は増加傾向にあります。
まとめ
企業には、DX推進のプロジェクトリーダーとしてデジタル人材を育成することが求められています。そのためには、まず対象となるエンジニアのスキルを適切に把握する必要があります。プログラミングスキル判定サービスの「TOPSIC」は、初級から上級に至る幅広いエンジニアのプログラミングスキルをオンラインかつリアルタイムで判定できるため、人材育成担当者の負担軽減や業務効率化が図れます。デジタル人材の効果的な育成ツールとして導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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