プログラマーとして活動するためには、さまざまなプログラミング言語やハードウェアの知識が要求されます。プログラマーを目指すうえで「どのような資格があるのか」「どんな知識が必要か」など疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
この記事では、プログラマーに資格は必要なのか、どういった資格が役立つのかをご紹介します。
プログラマーに資格は必要か
プログラマーになるために必要な資格はありません。しかし、プログラマーという専門職である以上、実用的なプログラミングスキルやシステム構築の能力は求められます。
企業によっては未経験人材を求めるケースもありますが、特定資格を条件として求人募集を行っているケースも珍しくありません。そのため、プログラマーに関連する資格を所有しているに越したことはないのです。
資格は必須ではないものの、就職を有利に進める武器として活用できます。
プログラマーが資格を取得するメリット
前述のとおり、業務に関連する資格を持っていると、就職やキャリアアップに役立てられます。
ここからは項目ごとに3つのメリットをご紹介します。
自分の持つスキルの証明になる
まず挙げられるポイントが、自身のスキルレベルを示す材料になることです。
特に、募集内容に対応した資格を持っていれば、求人採用や仕事の募集などで有利に働くでしょう。なかには、専門性が高い仕事では特定の資格、もしくはその資格に相当する知識を持っているかどうかを重視している企業もあります。
知識を体系的に習得できる
2つ目のメリットは資格の勉強を行う過程において、試験内容に沿った知識を体系的に習得できることです。例として、ITパスポートや基本情報技術者試験などの資格には、情報セキュリティや法律などが出題範囲に含まれます。そのため、プログラムだけでなくITに関する知識も同時に学べます。
試験の際は、ITに関する知識を求められる資格もあるでしょう。試験の勉強は専門性を高めながらも広範囲な知識を身につけるのに有効です。
キャリアアップにつながる
プログラミングに関する資格の勉強は、プログラミングのスキルアップや、関連職種へのキャリアアップに役立つ知識を習得するうえで役立ちます。
IT業界では常に技術の更新が行われています。そのためプログラマーは就職後も新しい技術や知識の勉強が必要なのです。資格の勉強を通して知識を体系的に学習することで、プログラマーからキャリアアップする道も見えてくるでしょう。
国家資格と民間資格の違い
プログラマーの業務に関する資格の大半は民間のものですが、経済産業省が認定する国家資格も存在します。例えば、ITパスポートや基本情報技術者試験などは国家資格に該当します。
国家資格は一般に受験料が安いなどのメリットがありますが、IT業界では国家資格であることそれ自体はあまり重要視されていません。就職などにおいて資格が評価される場合も、あくまで個々の資格の難易度に基づいたブランドイメージによるところが大きいようです。
プログラマーにおすすめの資格8選
プログラマーの業務に関する資格には、プログラミング言語のスキルを認定するものや、IT全般に関する知識を計測するものなど、さまざまな種類があります。主催している省庁や企業、求められる知識や技術などから、プログラマーへの就職を目指すうえでおすすめの資格を8種類ご紹介します。
ITパスポート試験
ITパスポート試験は、情報処理推進機構(IPA)が主催しており、ITを利活用する社会人および学生が備えておくべき基礎知識を問う国家試験です。ITに関する技術や経営全般などが試験範囲に含まれており、幅広い分野の知識が問われます。
企業では、従業員の育成にITパスポートの資格試験が用いられるケースがあります。そのため、大学や高校などでもITパスポートの取得を目的とした講座を開設する学校が増えています。
ITパスポートを取得するメリットは、情報セキュリティや企業コンプライアンスなどの理解を深められること、IT関連の仕事で用いる基礎的な知識を体系的に習得できることです。また、企業によっては新卒採用でITパスポートの有無や、スコアを確認する場合もあるため、ITパスポートを取得していると就職活動を有利に進められるでしょう。
試験は四択問題が100問出題される形式です。合格するには、総合評価点が1000点中600点以上、ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の分野別評価点が各300点以上必要です。
ITパスポートの資格試験は全国の都道府県で毎月実施されており、受験者の都合に応じて試験日時や会場を選択できます。試験申し込みはITパスポートのWebサイトから行いましょう。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は情報処理推進機構(IPA)が主催であり、経済産業省によって認定されている国家試験です。
情報処理技術者に必要とされる基本的知識や技能、IT・経営全般・マネジメントなど、幅広い分野の知識が問われる試験です。ITエンジニアの登竜門になる資格として位置づけられており、合格を目指して勉強されている方が少なくありません。
基本情報技術者試験の取得を目指す主なメリットは、ITに関する知識を幅広く習得できることです。試験勉強を通してITの本質的な知識を備えることで、新しい技術の理解や関連業務への適応力が向上する効果が期待できるでしょう。
試験はCBT方式で実施されます。四択問題と多肢選択式の問題が午前と午後に分けて出題される形式になっており、それぞれ100点中60点以上必要です。
基本情報技術者試験の資格試験は年に2回実施されており、IPAのWebサイトで試験実施期間が毎年公開されています。試験申し込みはプロメトリック社のWebサイトから行いましょう。
C言語プログラミング能力認定試験
C言語プログラミング能力認定試験は、株式会社サーティファイが主催する資格試験です。
C言語を用いてプログラムを作成する能力を認定する試験で、難易度に応じて1級から3級までに分けられています。2級と3級は、筆記試験もしくはリモートWebテストによる選択式問題が出題される形式です。1級ではパソコンを用いて応用プログラムを作成する実技試験になっています。2級と3級はC言語の基礎的な知識、1級は業務レベルの知識を学習できる資格試験として位置づけられています。
C言語は数ある言語の中でも非常に汎用性が高く、歴史が古い言語ながらも未だに多くの分野で使われています。OSやソフトウェア、業務システムなど非情に幅広い分野の開発に活用できるため、習熟していればキャリアの幅も広げやすいでしょう。またC言語を活用できるようになることで、C++などの関連性のある拡張言語も扱いやすくなります。
需要が高い言語なので、プログラマーとして就職先を広く持ち高い方にとっては取っておいて損はない資格と言えるでしょう。
PHP技術者認定試験
PHP技術者認定試験は、PHP技術者認定機構が主催する資格試験です。経済産業省が定めたガイドライン「ITスキル標準」に登録されている資格試験であり、IT人材としてのスキルを図る基準として用いられています。
PHPはWeb開発に適しており、Webサイトを作成する際、使用する頻度が高いプログラミング言語です。世界における全Webサイトの43.2%、CMSの65.2%を占めるWordPressなどは、その大部分がPHPによって構成されています。PHPを習熟することで、SNSサイトの制作や問い合わせフォームや予約システムの実装など、Webサイトそのものに動的な仕組みを付与することが可能です。そのためPHP技術者認定試験はWebプログラマーを目指す場合に特に役立つ資格です。
試験はPHPの更新に応じて試験対象になるバージョンも更新されます。2022年7月時点で受験できる試験はPHP5初級・PHP7初級・PHP8上級と準上級・PHP5上級と準上級です。資格取得後に試験対象の更新が実施された場合でも、旧バージョンの認定証の有効期限は存続します。
Ruby技術者認定試験
Ruby技術者認定試験はRubyアソシエーションが主催しており、スクリプト言語のRubyに関する知識とプログラム設計技術を認定する資格試験です。認定試験はSilverとGoldに区分されており、Silverは基本的な技術レベル、Goldは応用的な知識とプログラム設計技術を持つことを認定する資格です。
試験はCBT方式で選択式問題が50問出題される形式で、正答率75%以上が合格基準です。Rubu技術者認定試験の申し込みおよび予約は、プロメトリック社のWebサイトから行いましょう。
ちなみに、Rubyは他言語よりもコードが短くシンプルな言語だと言われています。プログラミング初学者でも記述などを覚えやすく、各種OSでも動作するため開発環境による制約もあまり受けません。また、シリコンバレーなどITの本場でも安定的に使用されるなど、今後の需要を考えても良い選択肢だと言えるでしょう。
Javaプログラミング能力認定試験
Javaプログラミング能力認定試験は、株式会社サーティファイが主催する資格試験です。Javaに関する知識や、プログラム作成能力を認定する試験です。認定基準に応じて1級から3級に区分されています。2級と3級はリモートWebテストもしくは筆記試験、1級ではパソコンを用いてプログラム作成を行う実技試験です。
3級はJavaに関する基本的な知識、2級はJavaを用いて簡易的なプログラムが作成できる知識、1級はプログラムの保守を行えるスキルが要求されます。等級に関わらず、得点率60%以上が合格基準です。Javaプログラミング能力認定試験の申し込みは、株式会社サーティファイのWebサイトから行いましょう。
Python3 エンジニア認定基礎試験
Python3エンジニア認定基礎試験は、Pythonソフトウェア財団(PSF)が主催する資格試験です。経済産業省が定めたガイドライン「ITスキル標準」に登録されており、Python3の文法基礎に関する知識を認定する資格試験です。
試験はCBT方式で選択式問題が40問出題され、合格基準は正答率70%です。試験問題はオライリー・ジャパン「Pythonチュートリアル」の掲載内容から出題されます。
Python3エンジニア認定基礎試験の申し込みは、オデッセイコミュニケーションズCBTテストセンターのWebサイトから行いましょう。
アルゴリズム実技検定(PAST)
アルゴリズム実技検定(PAST)は、AtCoder株式会社が主催する資格試験です。1からプログラム作成を行う能力が問われ、検定結果に応じてプログラミング能力が5段階で認定されます。実際にプログラムを記述、作成する実践型の試験となっており、AtCoderのWebサイトに掲載されているすべてのプログラミング言語から使用する言語を選択して受験できます。
試験はオンライン形式です。そのため、AtCoderIDを取得することで自宅や職場等場所を選ばず受験できます。問題数は全15問で、100点満点中25点以上から点数に応じたランク認定が行われるシステムです。試験申し込みは、AtCoderのWebサイトから行えます。
プログラマーが資格を取得する最適なタイミングとは
プログラマーにとって役立つ資格は、年齢や実務経験を問わず受験できる資格がほとんどです。試験の頻度が毎年1~2回程度の資格もあるので、就職活動を開始する1~2年前のタイミングで資格取得に向けた学習のスタートをおすすめします。
新卒採用でプログラマーとして働きたい場合、大学の工学科やプログラミングの専門学校などに通学しながら資格取得を目指す方法もあります。他業種からプログラマーへの転職を考えている場合、プログラミングスクールを活用した短期間の資格取得もひとつの選択肢です。
まとめ
資格取得はプログラミングやITなどに関する知識を客観的に証明する方法としておすすめです。プログラマーになるために必須の資格はありませんが、特定の資格を持っている方をプログラマーとして募集している企業も目立ちます。
また、資格の種類はさまざまで、習得できる知識やスキルはそれぞれ異なります。そのため、プログラマーとして、どの分野の知識を伸ばしたいか慎重に検討して、目標の資格を選定しましょう。
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