システムやアプリケーションの開発は、フロントエンドとバックエンドの2つに大別できます。双方は開発に使用する言語や技術者に求められるスキルが大きく異なり、業務領域にも違いがあります。本記事では、今さら人に聞けないフロントエンドとバックエンドそれぞれの概要や業務内容、開発の流れ、今後の需要などについて解説します。
フロントエンドとバックエンドの違い
一般的に、システム開発ではフロントエンドとバックエンドを分けて開発が進められます。フロントエンドとは、Webサービスやアプリの操作画面など、ユーザーの目に直接触れる領域の開発を指し、バックエンドはユーザーの目に触れない機能やデータなど、裏側を開発する業務です。
それぞれの技術者は、フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニアと呼ばれ、求められる知識やスキルなどが大きく異なります。
使用するプログラミング言語の違い
フロントエンドで使用する言語として代表的なのは、HTMLやCSSです。HTMLは、Webサイトの構成をコンピューターへ指示するマークアップ言語であり、要素やタグ、属性などを用いて記述を行います。
CSSはWebサイトのスタイルを決定づける言語であり、文字の大きさや色などを変化させる役割をもちます。もうひとつ代表的な言語がJavaScriptです。こちらは動的なWebページの作成に使用する言語であり、ブラウザ上で動きを加えられる点が特徴です。
バックエンド開発では、JavaやRuby、PHPなどの言語がよく用いられています。JavaはGoogleが開発に使用している言語のひとつであり、汎用性や自由度の高さが魅力です。Rubyは日本で誕生したプログラミング言語で、主にWebアプリケーションやスマホアプリなどの開発に使用されます。
PHPは、ショッピングカートやお問い合わせフォームなど、動的なコンテンツ作成に適した言語です。他の言語に比べて文法がやさしく、初心者にも適しています。
具体的な業務内容の違い
フロントエンドは、ユーザーが直接見て操作する部分の開発を担当するため、仕上がりがユーザーの満足度に直結します。見栄えの良さだけでなく、操作性にも配慮した開発が求められるため、技術者にはUXやUIの観点が必要です。
HTMLを用いてWebページ全体の構造を作り、CSSを使って見栄えよくデザインを整えます。また、JavaScriptを使用し、Webページにポップアップを表示させるといった作業も担います。
バックエンドは、ユーザーから見えないサーバーサイド領域の開発がメインです。サーバーの管理やデータ処理、セキュリティ対策などを行います。
実務においては、JavaやRuby、PHPなどの言語を駆使し、サイト内の情報を検索するための機能や、検索内容をブラウザへ表示する機能などを実装します。システムそのものを稼働させる重要な部分を担うため、ERPやSNSなどの開発でも重要とされる分野です。
システム開発の流れ
では実際に、それぞれの開発がどのような工程を経て進むのかを確認しましょう。
フロントエンドの開発
フロントエンド開発は、一般的に以下の流れで進められます。
- 画面全体の初期設定
ユーザーの目に映るすべてのWebページにおいて、表示する情報や実装する機能などを決定します。また、ページとページのつながりを図に整理するのも業務の一環です。 - 共通パーツの定義
複数ページで共通するボタンやナビゲーションなどを定義づけるプロセスです。共通パーツの定義により、個別のページでボタンやナビゲーションを設定する手間を省けます。 - アクションやレスポンスの定義
ユーザーの特定アクションにおける動作を定義するプロセスです。ボタンをクリックしたときどのようなアクションを起こすのか、どの程度のスピードで表示するのか、などを定義します。 - マークアップの実装
HTMLを用いてWebページ全体の構造を組み立て、さらにCSSで装飾を行います。定義づけの内容に基づき、それぞれのページを構築していきます。 - JavaScriptなどを用いたパーツ実装
JavaScriptなどプログラミング言語を使用し、Webページに動きをつける処理を行います。 - 検証
実装したあとは、ブラウザ上で問題なく動作するかどうかを検証します。定義したとおりのアクションが行われているか、コンテンツが問題なく表示されているかなどを確認し、ユーザー目線で使い勝手の良さもチェックしましょう。
バックエンドの開発
バックエンド開発の流れは、以下の手順で進めるのが一般的です。
- 要件定義
要件定義は、クライアントがシステムに求める機能や解決したい課題を抽出し定義するプロセスです。双方で認識のずれが生じないよう、技術者は丁寧にヒアリングを行う必要があります。 - 基本設計
システムをどのように開発するのか、計画を練るプロセスです。クライアントの要件を漏れなく盛り込みつつ設計図を作成します。 - 詳細設計
基本設計に基づき、より詳細な設計を行います。 - 実装
設計に基づきプログラミングを行い、機能を実装します。 - テスト
実際にサーバー上で作動させ、問題なく動くかどうかをチェックします。テストで問題がなければリリースし、継続的な運用と保守を行いましょう。
フロントエンドとバックエンドのエンジニアの需要
フロントエンドエンジニアは高い需要が見込める一方、参入者も多く必然的にライバルが増えます。参入が多い理由は、HTMLやCSSといった基本的な言語で実務に携わることができ、案件も多いためです。ただ、案件こそ多いものの、高単価のものが少ない点には注意が必要です。
バックエンドエンジニアは、より難易度の高い言語を駆使する必要があり、フロントエンドに比べると参入者は多くありません。ライバルが少なく、高単価な案件も多いため、より高い年収を求めるのならバックエンドエンジニアが適しています。
なお、1人でさまざまな開発を担当できるマルチなスキルを有する技術者をフルスタックエンジニアと呼びます。たとえば、フロントエンドとバックエンド、どちらも1人でこなせる技術者です。幅広い知識と高度なスキルを有するフルスタックエンジニアなら、オールラウンダーとして活躍できるため、さらなる高年収が見込めます。
2030年には79万人のエンジニアが不足する?!
ITエンジニアはただでさえ人手不足と言われています。WebサービスやIT技術が多様化する現代においてエンジニアの需要は高く、多くの企業が積極的に人材を確保しようとしており、人材の奪い合いになっているのが不足している理由のひとつです。
経済産業省が2019年に公表した資料では、2030年にはエンジニアが約79万人不足するとの試算が紹介されています。エンジニア不足に陥る原因は、いまだ拡大し続けるIT需要です。また、少子高齢化に伴う労働人口の減少も、エンジニア不足に陥ると考えられているひとつの要因です。
参照元:IT人材需給に関する調査(概要) ※P2をご参照ください。
不足し続けるエンジニアを確保するため、多くの企業があらゆる手法を模索しており、今後も優秀な人材の奪い合いは激化すると考えられます。IT関連企業は競合に遅れをとらないよう、優秀な人材を正確に見極め、確保する手法を整備しなくてはなりません。
まとめ
フロントエンドとバックエンドでは、技術者が担う業務領域が異なります。いずれも需要が高く、今後さらに需要は拡大すると考えられるため、優秀な人材を求める企業は採用力の強化にも努めなくてはなりません。
フロントエンド・バックエンド技術者のスキルを正確に見極め、自社にマッチした人材を迅速に採用したいと考えているのなら、「TOPSIC」の導入を検討してみましょう。TOPSICは、プログラミングスキルを測れるクラウドタイプの判定サービスであり、採用試験や社内教育などに活用できます。
導入によってどのような効果を得られるのか、以下に導入事例を紹介するのでぜひご覧ください。
- カテゴリ: