ERPが日本企業に注目され一部の企業で導入されるようになってから10数年余りが経過しています。導入から早くて7,8年、遅くても10年ほど経過している企業は、インフラの老朽化、ERPパッケージの保守切れ、ビジネスの変化など様々な理由で、バージョンアップも含めた基幹システムの再構築を検討されています。今回は、ERPパッケージのバージョンアップについてその手順をご紹介し、新規に別のERPを導入する場合との違いをお伝えします。
ERPパッケージのバージョンアップとは
ERPパッケージは、メーカーの製品ロードマップに準じて機能がグレードアップされ、バージョンとして新たな機能プログラムがリリースされます。一般的に保守料金を支払っていれば、新たにリリースされたプログラムは保守料金に含まれるか、優遇された価格で購入することが出来ます。バージョンアップの形態も以下のように大きく2つに分類されます。
- マイナーバージョンアップ
- メジャーバージョンアップ
マイナー/メジャーの定義についてはメーカー各社で異なりますが、弊社が取り扱うGRANDITの場合であれば、マイナーバージョンアップは新たな機能提供や大幅な法改正による対応時に、約1.5年から2年サイクルで行われます。メジャーバージョンアップはプラットフォームが大きく変更される場合などに実施され、約5年サイクルで行われています。そのほか小規模な改善や法改正対応などはリビジョンアップとして、マイナーバージョンアップよりも更に短いサイクルで行われます。バージョンアッププログラムはメーカー側から一方的に提供されますが、新しいバージョンがリリースされても、カスタマイズ型ERPの場合はすぐに利用することは出来ません。詳しくは過去ブログ「ERPの多様な導入方法について」をご覧ください。
カスタマイズ型ERPのバージョンアップ手順とは
カスタマイズ型ERPでは標準プログラムに対し、自社固有の要件を満たすため、一部プログラムの変更を行っています。そのためバージョンアップで提供された新機能のプログラムをそのまま適用することはできず、必ずカスタマイズ箇所と新機能をプログラム単位で調査し、新機能適用時の影響度合いを確認する必要があります。カスタマイズ型ERPのバージョンアップを行う場合、この作業がポイントとなります。弊社が実施しているバージョンアップ手順を以下にご紹介します。
上記をご覧いただくと分かるように、バージョンアップは新たにERPを導入する手順とは大きく異なります。カスタマイズ内容のボリュームにもよりますが、新規導入と比べて比較的短期間で完了することが多いです。なお、ERPの新規導入の手順については、以下ブログもご参照ください。
バージョンアップのメリット
基幹システムを新しいシステムへリプレイスする検討の際、新たなERPを導入することも考えられますが、使用しているERPに大きな不満もなく新バージョンで提供される機能に自社が求めるものが含まれているのであれば、バージョンアップは有効な選択肢となります。バージョンアップには色々なメリットがありますが、特に資産であるカスタマイズやアドオンを最大限に流用し、新しいバージョンアップ基盤に移行できることは最大のメリットと言えます。このメリットはリプレイス作業において作業負荷や費用の軽減に効果が出ます。新たにERPを導入する場合とバージョンアップの比較は下記のとおりです。
まとめ
基幹システムのリプレイスを検討される際、様々な視点で現行システムを評価し、新たなERP導入も視野に入れて検討されるものと思います。また、これからERPの導入を検討されている企業にとっても、製品のライフサイクルとしてバージョンアップは重要な評価項目となります。今回はERPのバージョンアップに絞って紹介させていただきましたが、新規ERP導入をご検討している場合には、システムインテグレータにお問い合わせいただければ幸いです。
- カテゴリ:
- ERP導入