ERP導入を成功させるためには

 2019.06.12  株式会社システムインテグレータ

今では多くの企業で基幹システムの刷新を検討する際の選択肢としてERPパッケージが検討されるようになりました。 特に昨今はITへの投資意欲の高まりから基幹システムの刷新案件が増加傾向にあると日々の営業活動の中でも実感します。 しかし、ERPの導入はすべての企業において必ずしも成功するものではありません。
ERP導入を成功させるためのポイントについて、事例も交えて考えてみたいと思います

ERPのキホン~ERPの基礎からDXへの活用まで徹底解説~

ERP導入の成功とは?

ERP導入がなにをもって成功とするかその定義は導入企業により異なります。
一般的には、Q(品質)、C(コスト)、D(納期)の視点から成功、失敗の判断がされるのではないでしょうか。

Q(品質):期待した品質のシステムが構築されるか(障害がない、少ない)
C(コスト):導入費用が当初計画の予算範囲内に収まるか
D(納期):計画どおりの納期にシステム納品、稼働ができるか

また、QCDの視点だけではなく、それぞれの企業が抱える課題を改善する導入効果を得られるかということも成功、失敗の判断には重要なポイントとなります。
例えば、多くの時間を割いていた業務処理の時間短縮がシステム導入で実現され、業務処理の省力化、迅速化が図れた事により、企業の最大目的である利益を生み出す業務に人員の配置ができることなどが効果としてあげられます。

このようにERP導入の成功は、QCDや導入効果からその判定が下されると考えます。

成功に導くために

ERPの導入を成功させることは決して簡単なことではありません。
ERPパッケージを導入さえすれば企業の課題が解決され成功するものではなく、成功させるためには顧客(ユーザー)、導入ベンダーなどのステークホルダーごとに考えるべきポイントが多くあります。

失敗から学ぶERP導入プロジェクトの進め方
新規CTA

顧客(ユーザー)の立場

ERP導入は、導入ベンダーにお任せ状態では決して成功するものではありません。
ユーザーはその立場でやるべきことがあります。

まず、ERP導入にあたり、綿密に練られた計画が必要です。 計画ではシステム導入の検討フェーズから始まり、導入する製品を決定するまでのプロセスにおいて、システム導入の目的を明確化し、その目的を達成するためにシステムに求める必要要件を明確かつ詳細に定める必要があります。
これが検討フェーズにおけるRFP(提案依頼書)として具現化されます。
このRFPの内容が十分に煮詰まっていない場合には、これに対するベンダーからの提案も十分なものになりません。その状態でERP導入のプロジェクトを始めた場合には、その時から失敗のリスクを多く含んでしまうことになります。

ERP導入は時として旧来の業務処理の手順を変えることが求められます。
そもそも基幹システムの刷新を検討するということは、業務を今よりもよくしたいという発想に基づきますが、慣れ親しんだルーティンワークを変えることをユーザー部門が嫌がるケースが多くみられます。
しかしERPはパッケージです。パッケージを導入し、このメリットを最大限に受けるためにはできる限り業務をパッケージに合わせるという考えが時には必要です。
そのためには時として業務の手順や方法を大きく変えることもユーザーは覚悟しなければいけません。
そしてその意思決定を適切なタイミングで行い、ベンダーと共有していく必要があります。

ベンダーの立場

ERP導入の成功は導入ベンダーにも大きく依存します。
ベンダーがユーザーの意思を十分にくみとることは重要ですが、ただユーザーに言われるがまま導入を進めることには大きな失敗リスク発生の可能性があります。
例えば、業務要件から機能要件、ERPでの実現方法を検討する要件定義工程において、ユーザーが発する要件すべてをただただ聞き入れていくと結果として要件が増長してしまい、あっという間に想定予算や納期を超過する事態にもなりかねません。
ベンダーはERP導入のプロとしての立場から、ユーザーの要件に対してQCDを意識しながらその実現方法について積極的に提案をする必要があります。
実現手段の代替案や導入計画およびその手段の変更などを提案しながら、ユーザーと一体となり実現されるべきERPの導入像を描いていくのです。

また、ERP導入の過程においてはユーザー、ベンダーが共同で進める作業も多くあります。
要件定義、データ移行、並行稼働テストなど共同作業を進める際にはその作業の役割分担と責任分担を明確化することも成功の重要なポイントとなります。

では、弊社が経験した成功といえる事例を簡単にご紹介します。

ERP導入の成功事例

ここでご紹介するのは半導体の製造、販売をする企業グループに導入をした事例です。

この会社ではスクラッチ開発されたシステムを長年利用しており、業務の拡大や変更に合わせて都度システムに改良を加えていました。結果としてシステムが巨大になり、その維持にも高額なコストをかけていました。また会社や業務処理ごとに多数のシステムが存在し非常に複雑な仕組みとなっていました。

そこでERPの導入と業務改善を行うことでシステムのスリム化を図り、グループ全体の業務効率化を目指しました。

プロジェクトは約2年あまりの期間で当社としては大規模かつ難易度の高いERP導入の案件でしたが、結果としてシステムの稼働後から安定稼働期に至った際にはユーザーからはプロジェクト成功の評価をいただきました。

なぜ成功したか?

要件定義、基本設計といった上流工程において、ユーザーと十分な議論を行い、明確な判断が効果的に出されたことが大きな成功要因でした。
プロジェクト計画時点から予算、納期は決まっていたのでこれに合わせるためにどのようなシステムを構築するか十分な議論がなされました。
その中では、予算、納期を守るために、どうしても外せない必須要件以外は代替案にて業務処理を行う提案をベンダーの立場でしたり、まずはシステムを予定どおり稼働させることを目標として、必須要件についても初期稼働後に段階的にリリースをする方針とするなどの検討が十分になされました。
場合によっては当初想定していた実装機能をあきらめるということをユーザーが選択することもありました。
結果として、予算、納期を守るためのシステム像がプロジェクトの初期段階でユーザー、ベンダー間で合意形成されました。

また、ユーザー教育やユーザーテストなどの導入工程においてはベンダーだけでなく、ユーザーのプロジェクトチームがユーザー部門を強くけん引してこれを実行しました。ユーザー部門もこれにきちんとついてきたことでいくつかの課題はあったものの、結果として予定通りのシステム稼働を迎えることができました。

ユーザー、ベンダーともに多くの人が関わった大規模かつ難易度の高いプロジェクトであり、関わったメンバーには多くの苦労がありましたが、最終的にはユーザー、ベンダーともに成功という評価ができるプロジェクトになりました。
現在は、更なる機能改善を継続して実施し、より業務の改善が図れる仕組みへと進化を続けています。

ERP導入の失敗事例

成功事例とは反対に失敗した事例もあります。プロジェクトが途中で中断した事例です。

失敗理由として

ある案件では要件定義工程において、ユーザーの要望をそのままERPで実現することだけを考えてしまい、ユーザーに対する代替案などをベンダーから提案することがほとんどありませんでした。
ユーザーの要件に合わないものはすべてカスタマイズやアドオンで実現する提案がされたのです。
ユーザー側でも計画段階で業務要件、機能要件が詳細まで検討されず、また明確化されていなかったこともあり、要件定義工程を終える頃には当初の想定予算を大幅に超える結果となり、プロジェクトはここで中断しました。

これは成功事例とは反対に有効かつ十分な議論が要件定義工程においてなされなかったことが失敗の大きな要因となった典型的な事例です。

バックオフィス業務改善ならシステムインテグレータ

多くの企業で人手不足が大きな課題となっていますが、バックオフィス業務にはいまだに属人化した作業やアナログ業務が残っており、企業の成長と発展を阻む大きな壁となっています。
バックオフィスの業務プロセスを最適化することで、コスト削減や属人化の防止だけでなく企業全体の生産性向上にもつながります。
当社はERPをはじめとする情報システムの豊富な導入実績をもとに、お客様一人ひとりのニーズに合わせた最適な改善策を提案します。業務の洗い出しや問題点の整理など、導入前の課題整理からお手伝いさせていただきます。
バックオフィス業務にお悩みをお持ちの方は、お気軽に株式会社システムインテグレータまでご連絡ください。

まとめ

ERP導入の成功ポイントおさらい

ERP導入を成功させために主に以下のようなポイントが上げられます。

  • 検討段階において綿密に練られたシステム導入計画(RFP)が策定されているか
  • 要件定義等の上流工程においてユーザー、ベンダー間で十分な議論とこれに基づく適時、適切な判断がなされているか
  • ベンダーはユーザーの要望に対して、これを実現する案を多面的に考え提案できるか
  • ユーザーはERPに業務をあわせるために業務を変える覚悟と判断ができるか
  • ユーザー、ベンダーの役割分担、責任範囲が明確化されそれが実行できるか
  • 時には予定コストやスケジュールの変更をする判断をユーザー、ベンダー合意のうえで実行できるか

当社のERPとおすすめポイント

当社はERPパッケージのGRANDITを提案・導入し、現在では、120社を超える企業に導入をいただいています。

2004年に製品リリースされたGRANDITですが、当社はその企画、開発段階から携わってきたことで多くの経験を積んで参りました。
そのすべてが成功とは申しませんが、失敗からも多くのことを学び、現在では豊富な経験、高い技術をもつ技術者が多く所属しています。
今後もユーザーの視点に立ち、提案ができるベンダーとしてますます多くのお客様のERP導入を成功に導くお手伝いをしていきたいと考えております。

ERP導入をご検討の際にはお気軽にお問い合わせください。

ERP成功の秘訣をEブックにシリーズ化しております。この機会に是非ダウンロードしてください。
※ERP成功の秘訣 -第一弾- 失敗から学ぶERP導入プロジェクトの進め方はこちら
※ERP成功の秘訣 -第二弾- ERP導入「結局なにから始めるの?」はこちら
※ERP成功の秘訣 -第三弾- ERP導入のためのRFP作成ガイドはこちら

また、システムインテグレータのGRANDIT導入事例の一部をホームページで紹介しています。今後ご検討の参考にしていただければ幸いです。
※導入事例紹介ページはこちら

失敗から学ぶERP導入プロジェクトの進め方

RELATED POST関連記事


RECENT POST「ERP導入」の最新記事


ERP導入

ERPプロジェクトの進め方

ERP導入

クラウド型ERPの注意すべきポイント|PaaS型とSaaS型で考察

ERP導入

これだけは押さえておきたいERPの基本機能

ERP導入

「基幹系システム」と「情報系システム」の違いを徹底解説!

ERP導入を成功させるためには

GRANDIT TOPへ

国産ERPパッケージ比較表 2024年最新版

RANKING人気資料ランキング

RECENT POST 最新記事

RANKING人気記事ランキング