ERPプロジェクトの進め方【要件定義編】

 2018.03.08  株式会社システムインテグレータ

ERP導入プロジェクトでは、最初に要件定義もしくは適用分析という作業から開始されます。この工程をスタートする前に導入企業は新システム導入の目的や新しい業務要件に合ったERPパッケージを選定し、ERPベンダーと提案内容(条件)に基づく契約を交わします。

ただ、導入企業は提案依頼時に自社の業務要件を全て提示したつもりでも、要件が漏れていた、要件の解釈が違っていたなどということは普通に起こります。その逆にERPベンダーが深く考えすぎて提案内容がオーバースペックになっていたなんてもことも往々にして起こり得ます。このような乖離を埋め、導入費用の見積精度を上げるためにも、この工程はじっくり慎重に行う必要があるのです。また、この工程は導入企業が選んだパッケージを使用する前に詳しく知れる機会です。パッケージの機能だけではなく、製品のコンセプトなどもしっかり理解しておく必要があります。

導入企業にとって、ERPベンダーに支払うコストが発生するのは、この工程からになります。

ERPパッケージの導入方法

 ERPパッケージの導入方法には以下の2つの方法があります。

① ERPパッケージをベースに必要な機能の変更や追加を行って新業務システムを構築する。

※一般的に、ERPパッケージに機能の変更を行うこと(ソースプログラムやパラメータの設定を変更すること)を「カスタマイズ」、機能の追加を行うことを「アドオン」と言います。

② ERPパッケージの機能に業務を合わせる。 

このような2つの導入方法がありますが、一般的に①の場合は「要件定義」、②の場合は「適用分析」などと呼びます。
 

要件定義とは

要件定義は、まず導入企業の業務要件ありきでパッケージの機能に合うか、合わないかを確認していきます。要件・要望がERPパッケージ機能で満たされない場合、ERPベンダーは、その詳細内容を確認し、実現方法とカスタマイズ・アドオンに掛かるコストを導入企業に提示します。

ERPに関するお役立ち資料

従って、導入企業ユーザーの要件・要望をそのまま採用していくと、カスタマイズ・アドオンのコストは大きく膨らんでしまいます。その要件・要望が本当に必要なものか、費用対効果はあるのか、代替案はないのか、など様々な視点でカスタマイズ・アドオンの実施を判断しなければなりません。カスタマイズ・アドオンを行うということは、コストが膨れるだけではなく、それに伴い導入スケジュールも長くなり、品質管理も難しくなります。

適用分析とは

適用分析は、選定したERPパッケージの機能で新業務を運用するとの視点に立ち(かつ強い覚悟で)、それぞれの機能を確認しながら業務を適合させていきます。この進め方は、ERPパッケージが持つ効率性の効果や合理性を最大限に活用することができるとともに、導入コストを抑え、短期間での導入が実現できることが多いのでERP導入のメリットは大きいです。

ただ、しばしばこれまでの業務のやり方を変えて、パッケージに添った新しい業務プロセスを採用することになるわけですから、パッケージの機能を十分に理解したうえで、変更対象となる業務だけではなく関連する業務全てを見直す必要が生じる場合もあります。
 

要件定義や適用分析は実際にどのように進められるのか?

導入会社側は選定期間中にERPベンダーから提案を受け、パッケージの説明を聞きデモンストレーションを見たりしています。ですが、それだけでは選定したパッケージが新システムの自社の要件や要望を満たしているかどうかはなかなかわかりません。

また、新業務をパッケージに合わせる方針をとったとしても、本当にパッケージ機能だけで業務を実現できるのか定かではありません。そのため、導入会社のプロジェクトメンバーや現場のエンドユーザとERPベンダーの双方が参加し、業務単位毎に業務フローに添ったパッケージの機能適合確認を行っていきます。

例えば、見積業務であれば、見積入力機能の販売単価の決定ロジックや見積書のフォーマット、商品コードの桁数など細部にわたって確認を行います。導入会社は、ERPベンダーが行うERPパッケージの説明に対して、自社の業務要件に重ね合わせて、新しく行おうとしている業務が機能に合わせられるかを判断していきます。

もし、不適合な業務要件があれば(これをギャップと言います)、関連業務も含めた業務変更、(少し面倒にはなるけど)別の機能や複数機能での代替案を検討、要件・要望に合ったカスタマイズ・アドオンの実施などを検討します。要件定義も適用分析も進め方については、大きな差はありませんが、ギャップに対する対処方法が大きく異なります。

要件定義と適用分析の違いと重要なポイント

要件定義と適用分析のどちらのアプローチをとるか?それは新システム導入方針により異なります。どちらが正しいというものではありませんが、重要なのは、①パッケージを新業務に合わせる、②新業務をパッケージに合わせる、どちらの方針で新システムを導入するのかを遅くともこの工程の開始までには決定し、プロジェクト関係者に周知徹底しておくことが重要です。

そうしておかないと、ギャップが生じたときの対処方法が曖昧となり、必要以上にカスタマイズ・アドオンのコストが増加し、プロジェクトが迷走してしまいます。

この工程を上手く完了させるためには 

新システム導入方針をしっかり周知徹底した上でこの工程を上手く完了させるためのポイントを紹介します。

1、打合せにはユーザー部門を必ず参加させ、早めに巻き込む
2、ギャップが生じたときの対応の判断基準や検討ルールを決めておく
3、カスタマイズ・アドオンの発生コストを定期的に(早めに)把握しながら進める

1は、新システムを利用するユーザー部門を参加させて利用者の意見を確認しながら進めることで、要件・要求の抜け漏れやブレを防ぎます。それを行わずに進めると開発中や稼働近くになってからユーザー部門の反発が生じ、プロジェクトがストップするようなことになりかねません。そうらないためにも早めにユーザー部門を巻き込んでおくことが重要です。

2は、ギャップが生じたときそれらを課題として管理しますが、課題は現場レベルのものから経営レベルのものまで様々です。発生する課題の解決をスムースに処理するためには、そのレベルに応じて協議者や協議方法を予めルール化しておくことが重要です。例えば、請求書のフォームを変更せざるを得ないケースでは、その最終決定は定例の営業会議で行ってもらうなど課題解決の人と場を予め決めておくことでスムースに運ぶことが出来ます。また、経営レベルの課題の場合はステアリングコミッティを開催してそこで解決を促すことも一つの手段です。

3は、この工程の終盤でカスタマイズ・アドオンの総対応コストを算出しますが、その時点になって予算オーバーになることが判明すると計画通りに次の工程へ進めなくなったり、最悪の場合はプロジェクトを中断せざるを得なくなる場合があります。そうならないためにも、工程期間中にいくつか中間ポイントを決めておき、発生したコスト状況をチェックしながら進めていくことをお勧めします。
 

まとめ

要件定義工程や適用分析工程のポイントを紹介させて頂きました。

この工程の主体は導入会社、ERPベンダー双方になりますが、打合せの進行はERPベンダーがリードします。そのときERPベンダーが導入会社のプロジェクト方針をしっかりと理解し、プロジェクト推進のパートナーとしてその方針を強く意識した協力的な姿勢であることが重要です。また、打合せのなかでギャップが発生した時、何もかもカスタマイズ・アドオンで対応する姿勢は良いとは言えません。ERPベンダーは、ギャップに対して運用による代替案や他社事例を交えた提案など導入会社にとって最も有効な情報提供を行う必要があります。パッケージ製品は良かったが、ERPベンダーの情報提供が十分でなかったのでコストが膨らんだというケースもよくあります。

もしERPの導入をご検討している場合には、システムインテグレータにお問い合わせいただければ幸いです。

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