SCM(サプライチェーンマネジメント)とは?必要性が高まる背景やシステムの構成要素をご紹介

 2021.09.30  株式会社システムインテグレータ

商品の販売生産を行う企業にとって、物流コストは大きな課題です。せっかく大きな利益を得たとしても、物流コストによって利益が圧迫されることもあるでしょう。この課題を一つの企業だけで改善するには限界があります。

そこで、SCM(サプライチェーンマネジメント)という考え方が昨今注目を集めています。

この記事では、SCMの概要やシステムの構成要素についてご紹介します。

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SCM(サプライチェーンマネジメント)とは?

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SCMとはサプライチェーンマネジメント(Supply Chain Management)の略称です。SCの流れを総合的に見直して、最適化・効率化することを意味します。

SCMの基本は、「必要なものは必要なときに必要な分だけ作る」という「ジャスト・イン・タイム」の思想にあります。ジャスト・イン・タイムとは、原材料・生産・流通・販売・消費者という一連の供給プロセスがある場合、過去のデータから需要を予測し、必要な量の原材料を仕入れて、必要な量のみ生産し、売り出すという方法です。この考え方によって、過剰な在庫や無駄な工程が発生するのを防ぎ、総合的な最適化・効率化が図れます。

ただし、この考え方を実践するには、サプライチェーンすべてのプロセスを一つとして捉え、組織や企業の壁を越えた情報共有が必要になります。

サプライチェーンについては以下の記事で解説しています。
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SCM(サプライチェーンマネジメント)が必要とされる背景

ここでは、SCMが重要視される理由について大きく3つに分けて解説します。

ビジネスモデルの変化

インターネットが普及し、スマートフォンで簡単に注文できる通信販売ビジネスは急成長しています。そのため、多くの企業がインターネットを利用した通信販売を導入し、家具家電やアパレルブランド、日用品などの定期購入まで、簡単にできるようになりました。また、デリバリーを行っていなかった飲食店のメニューを専門の配達員が届けるタイプのフードデリバリーも登場し、「販売」と「配達」が切り離せない時代になっています。したがって、多くの組織や企業に、SCMによる管理体制の構築が求められているのです。

グローバル化の動き

企業のグローバル化の進展に伴い、生産や物流、販売をつなぐネットワークは世界中に広がりました。このサプライチェーンの広範化・複雑化により、各プロセスの情報を一元管理し、いろいろな企業資材を有効活用することで最適化・効率化を図るSCMが求められているのです。

労働環境の変化

少子高齢化などの理由から、現在は多くの業界で人材・人手不足が深刻化しています。また、労働条件の問題が影響して、トラックのドライバーなど物流配達員も足りていません。そうしたなかで、企業はより新しく、より効率的な物流の形を探り続けているのです。

SCMによって、仕入れ量を適正化して無駄を省くことや、配達のタイミングを最適化することが、こうした課題解決に繋がるでしょう。

SCM(サプライチェーンマネジメント)システムとは?

ここまで、マネジメント手法としてのSCMの話をしてきましたが、ここからはシステムとしてのSCMについて解説します。SCMシステムは、サプライチェーンの流れを見直し、最適化・効率化を図るためのシステムです。複数のシステムが組み合わさっているもので、これを導入することによりサプライチェーンの最適化・効率化が図れるだけでなく、自社業務の最適化・効率化が可能です。

自社内でどれだけコストを最適化しても、ほかの企業で無駄が生まれてしまうと、最終的な利益が減少してしまうこともあるでしょう。そうした予測可能な無駄を省くためには、SCMを導入し、各企業や組織が統制をとって最適化・効率化の努力をしていくことが必要なのです。

SCM(サプライチェーンマネジメント)システムの構成

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使うシステムにもよりますが、一般的にSCMシステムは「工場」「物流センター」「営業所」など、それぞれの在庫状況や能力を把握し、「生産計画」「輸配送計画」「在庫計画」「出荷計画」を作成できます。厳密には複数のシステムが組み合わさったもので、それらは「ERP」「SCP」「SCE」「ロジスティクス実務」の4つに分けられます。

では、構成要素ごとに詳しく 見ていきましょう。

業務統合

ERPは「Enterprise Resource Planning」の略称で、企業資源を一か所に集めて管理するシステムのことです。あらゆる業務データを集め、企業経営のカギとなる「人」「物」「金」といった資源を有効活用するために計画を立てるもので、業務効率化に役立ちます。ERPでは複数の要素を一元管理できるため、一つの要素を更新すると他領域の情報にも連動して反映されます。

例えば、商品の発注に 伴って仕入れ在庫数が減少すると、売上システムに計上されます。計上された数値は請求書データベースに連携され、売上管理機能や損益管理機能に記録されるのです。このように一要素の変更に 伴い、ほかの情報もリアルタイムで変化していくため、個別に情報を変更したり管理したりする手間が減り、業務効率化を図れます。

計画系(計画層)

計画系とはSCMシステムの中の「SCP(Supply Chain Planning)ソフト」のことを指します。これには「需要予測」や「生産計画」「在庫計画」「物流計画」「資材計画」「納期回答」「需給調整」といった機能があります。

SFA(Sales Force Automation)

SFAとは「Sales Force Automation」の略称で「営業支援システム」のことです。主な機能としては、顧客管理機能・活動記録機能・日報管理機能・データ分析レポート機能・ToDoリストや通知機能などが挙げられます。

SFAの登場により、これまでは受注数など数字でしか評価できなかったものが、商談内容や進捗など、営業活動のプロセスから管理・指導できるようになりました。特に昨今はテレワークが普及したこともあり、営業活動の可視化や営業メンバーの行動管理の目的で、広く活用されています。SCPの文脈では需要予測にこのSFAの案件状況が活用されます。

SFAは便利なシステムですが、導入するにあたって注意すべき点もあります。まず、導入する目的や課題を明確にし、要件を満たしているのかを考えたり、必要な機能が使いやすいか比較・検討したりすることは必要不可欠です。また、仮に導入したとしても現場での運用が浸透しなければ、意味を成さないでしょう。

こうした業務システムの多くは、あくまで導入ではなく運用を通じて効果を発揮するものです。実際に導入すると想定より効果が低いこともあるため、セミナーや展示会などで実際に操作性を確認したり活用事例などの情報を収集することも重要だといえるでしょう。

SCP(Supply Chain Planning)

SCPとは「Supply Chain Planning」の略語で、サプライチェーンの計画を行うCMの中心となるソフトウェアのことです。主に「商品の需要予測」「生産計画」「在庫計画」「物流計画」などの機能があります。特に「需要予測」は在庫や生産する量を決めるための基礎となる重要な要素で、小売店や卸店、メーカーなどの利益を大きく左右します。SCPはこれを過去の販売実績や前年度のデータと比較して導きます。

MPS(Master Production Schedule)

MPSとは「Master Production Schedule」の略称で「基準日程生産計画」ともいいます。製品がいつ、いくつ必要なのかを決める、生産計画のことを指す言葉です。突然大量の受注が入っても対応できるように、安全在庫の確保や負担の均一化など、さまざまな問題解決のために必要とされています。

MRP(Material Requirement Planning)

MRPとは「Material Requirement Planning」の略称で「資材所要量計画」ともいいます。必要な資材の数を「部品表」で管理する方法のことです。製品に必要となる資材の量や納期を把握し、計画を立てることで最適化・効率化を図ります。

MRPについては以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:MRPとは?生産管理の肝となる資材調達を効率化する

生産スケジューラ

生産スケジューラとは、人や設備などのリソースを生産量とを照らし合わせ、必要な場所に必要な分のリソースを割り当てるシステムのことを指します。

計画を立てるだけであれば生産管理システムでも可能ですが、生産管理システムは在庫や工程、品質の管理などの多くの機能を搭載しており、生産計画の立案には特化していません。一方、生産スケジューラは「生産スケジュール作成専用計算ツール」であるため、時間配分や作業員の配置を分や秒単位で管理するなど、より細かい計画を作成することができます。

実行系(実行層)

実行系とは、SCMの中の「SCE(Supply Chain Execution)ソフト」のことを指します。これには大きく分けて「物流センター管理」「輸配送管理」があり、「ロジスティック実務」を情報面からサポートします。具体的には、現在の在庫を確認したり、特定の荷物が今どこにあるかを特定したりする機能があります。ほかにも出荷や返品などの物流の関する全ての動きがSCEを通して管理されており、現場をサポートする「ロジスティック実務」を情報面で支える役割をもっています。

SCEソフトは、インターネットや電子データ交換などを介して、リアルタイムでSCPソフトやERPなどと連携し、需要や計画の変更に素早く対応できるようになっているのです。

MES(Manufacturing Execution System)

MESとは「Manufacturing Execution System」の略称で「製造実行システム」ともいいます。機能としては「生産資源の配分と監視」や「仕様・文書管理」「保守・保全管理」「品質管理」「作業のスケジューリング」「差立(作業手配)・製造指示」「作業者管理」「データ収集」「工程(プロセス)管理」「製品の追跡と体系管理」「実績分析」が挙げられます。これらの機能で各工程と連携し、生産性の向上を実現することが目的です。

MESについてはこちらの記事で解説しています。
関連記事:MES(製造実行システム)とは?生産管理に取り入れるメリット

SCADA(Supercisory Control And Data Acquisition)

SCADAとは「Supercisory Control And Data Acquisition」の略称です。これは、装置の作動状況や部品の数量、不具合や進捗状況などの情報をネットワークを通して1か所に集めて監視、コントロールをすることができる機能で、ひと目で施設内のあらゆる機器の情報を確認したり、必要に応じて装置のスピードを上げたり止めたり、パラメータの変更をしたりすることができます。

これまで国内事業の多くでは、メモ書きで対応していたことや、ほかに自動化する方法が存在していたこともあり、あまり普及していませんでした。しかし、近年はネットワーク関連の技術が進化したことで、こうしたシステムのオープンソース化やパッケージ化が進みました。その結果、メモなどのアナログなやり方や、DCS・PLCといった今まで使っていたシステムよりも汎用性が高く、情報を1か所に集める、すなわち一元管理に特化した「SCADA」が、安価に実装できるようになったのです。

SCADAについては以下の記事で解説しています。
関連記事:SCADAとは?仕組みからさまざまな業界で注目される理由を解説

WMS(Warehouse Managemenet System)

WMSとは「Warehouse Managemenet System」の略称で「在庫管理システム」や「倉庫管理システム」ともいいます。これは、その名の通り、倉庫の資材や商品、貨物の入出荷や保管などの管理を細かく行うシステムのことを指します。

ERPや基幹システムだけでは、在庫の数量の把握することしかできません。しかし、WMSは入出庫やピッキングなど、物流作業のサポートも可能です。そのため入出庫がよりスムーズになり、またバーコードを使用したデジタルチェックも行うため、誤出荷の防止にも繋がります。

TMS(Transport Management System)

TMSとは「Transport Management System」の略称で「輸配送管理システム」のことです。

物流センター全体を管理するシステムはWMSですが、こちらは商品が物流センターから出荷された後、届け先までの輸配送をトータルに管理できるシステムのことを指します。一般的に、「配車計画」と「運行管理」というシステムを中心に構成されています。

「配車計画」は毎日の運行スケジュールを管理し、トラックやドライバーの手配や割り振りをすることです。これにはデジタル地図で走行ルートのシミュレーションをしたり所要時間の計測ができたりするものもあります。「運行管理」はトラックに搭載した端末や携帯電話などで、全車両の状況を把握することができます。また、GPSでリアルタイムに、車両が今どこにいるのかを知ることも可能です。

制御系(制御層)

制御系は、実際の装置を動かし、データを蓄積するシステムです。実行系から渡された情報を元に装置を制御するための仕組みといえます。

PLC(Programmable Logic Controller)

PLC(プログラマブルロジックコントローラ)は、専用のコンピュータによってシーケンス制御を行うための装置です。

PLCは自動車や電気機器など製造ラインのFA(ファクトリーオートメーション)システムをはじめ、半導体製造から金属加工機械まで、さまざまな工場設備に用いられるほか、エレベーターなど身近な機械設備の制御にも利用されています。電磁リレーを利用した制御回路から発展したPLCは、プログラムによってシーケンス制御の変更と改良を可能にしました。

PLCについては以下の記事で解説しています。
関連記事:PLCとは?製造現場の機械制御の仕組みや必要な言語(プログラム)をご紹介

DCS(Distributed Control System)

DCSとはDistributed Control Systemの略称で、分散制御システムのことです。大規模なプロセス制御対象に対し、複数のコントローラで協調・統合した制御をするための装置です。

それぞれの制御装置はネットワークで接続され、お互いに通信を行って監視します。コントローラにはマイクロプロセッサ(MPU)が使用され、1台あたり1~数百ループの制御が可能です。

DCSの制御対象は主に流体で、その圧力・流量・温度などを制御します。

このコントローラ同士を制御ネットワークで接続し、化学系プラントや製薬会社のポンプなどで使用されており、大規模なプラントの操業を実現しています。

分析系

企業の情報システムなどで蓄積される膨大なデータを、必要に応じて分析・加工することで、業務や経営の意思決定に活かす仕組みを「BI(Business Intelligence)」と呼び、そのためのソフトや情報システムのこと「BIツール」「BIシステム」といいます。

従来の情報システムでは、蓄積されたデータは活用されることなく記録のために保管されるか、情報システム部門の人が専門的な技術や技能、システムなどを使ってマニュアル的に報告するのが一般的でした。しかし、BIの登場によって意思決定者や現場のスタッフが、自らソフトを操作してデータを抽出・分析することが可能になり、業務や意思決定にとって有用な情報にできるようになったのです。

データ管理系

ここでは、データ管理系と呼ばれる「PLM」や「PDM」「MDM」について解説します。

PLM(Product Lifecycle Management)

PLMとは「Product Lifecycle Management」の略称で「製品ライフサイクル管理」ともいいます。これは製品の企画から生産・販売・廃棄までの製品のライフサイクル全体を通し、関連付けながら管理する、業務効率化の取り組みのことを指します。

製品ライフサイクルを管理するためには、設計・開発部門や製造部門などの各部署が連携をとる必要があります。そのために開発されたのが「PLMシステム」です。

これは、ポートフォリオや要件管理、設計などのデータ管理、取引先情報管理、製品データやサービス部品の管理などの製品ライフサイクル全体を管理する機能が搭載されています。開発から廃棄までの業務を3段階に分けて、それぞれの段階で製品の市場を見極めるのです。

PLMについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:PLMとは?基本からIoT時代に必要とされる理由まで解説

PDM(Product Data Management)

PDMとは「Product Data Management」の略称で「製品情報管理システム」と呼ばれます。

CADや部品表などのデータを管理するもので、仕様書や設計データ、日程などの作成アプリが異なるデータを、製品ごとに一元化管理することが可能です。ファイルや図面のデータをキーワードで検索することが可能なほか、部品表のデータの把握・管理ができるため、変更前後の違いを確認できます。また、業務の流れに沿ったワークフローを設定することもできるため、ワークフローを可視化して進行状況を確認することも可能です。セキュリティ面も、データ共有したいメンバーのみで行えるようにユーザーやチームごとにアクセス権限を設定したり、担当以外のデータは更新できないようにしたりするなど、柔軟に制御することもできます。

PDMについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:PDMとは?搭載機能や導入メリット、PLMとの違いまで徹底解説

MDM(Master Data Management)

MDMとは「Master Data Management」の略称で、デバイスにおけるシステム設定の管理法のことです。また、それを実現するソフトや情報システムのことも、MDMと呼びます。自社の方針に沿ったセキュリティの設定、ソフトウェアの種類やバージョンの統一、アプリのインストールなどの機能制限といった機能が搭載されています。

そのほかにも、遠隔操作によるロックやデータの消去、GPSで使用者の居場所を把握することが可能な製品もあります。こうしたMDMの活用において「紛失時などの情報漏えい対策」「不正利用の防止」「端末情報の収集などの管理の効率化」などが重要視されています。

MDMを導入することで、その後の設定変更やアプリの追加も遠隔操作できるようになり、管理を劇的に改善できるでしょう。

まとめ

今回はSCMの概略と、システムの構成要素について解説してきました。発注・生産・物流・在庫など、複数のシステムが互いの情報をやりとりすることで、SC全体の細やかなサポートが可能になります。

大量生産・大量消費の時代が終わり、品質向上やコスト削減を強いられるなか、複数の企業が一丸となって無駄をなくす「SCM」の概念は、非常に合理的だといえるでしょう。

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