SCADAとは?仕組みからさまざまな業界で注目される理由までを解説

 2021.09.30  株式会社システムインテグレータ

皆さんは「SCADA(スキャダ)」という制御システムをご存じでしょうか。SCADAは、製造業やインフラ事業において重要な役割を果たすことが知られている制御システムで、ネットワークを用いて情報を一カ所に集約し監視・制御を行うことが特徴です。従来の制御手法に比べて柔軟に扱えることはもちろん、汎用性の高い技術であるため、広い分野での活用が期待されています。

この記事ではSCADAの仕組みについて解説し、なぜさまざまな業界で注目されているのか、その理由を解説します。

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SCADAとは?

businessman hand draws gear to success concept-2

SCADAは、Supervisory Control And Data Acquisitionの略称で、スキャダと読みます。SCADAは大きな施設、およびインフラを構成する装置・設備から得ることができる情報を、ネットワークを介して一カ所に集約して監視し、制御する監視制御システムです。

SCADAを使うことで、施設のなかに点在するあらゆる機器の状態を可視化し、制御できるようになります。まずはSCADAの役割と、PLCとの違い、そして日本においてSCADAの浸透が進まない理由について解説します。

SCADAの役割

組み込まれた設備のなかで、SCADAはどのような役割を果たしているのか解説します。

端的に説明すると、「現場を見える化して、設備全体を管理」する役割を果たしています。この役割は特別なものではないように見えるかもしれませんが、これまで設備全体の見える化と管理を同時に行うことのできるシステムはありませんでした。専用のハードウェアによって構成されるDCS(Distributed Control System)という制御システムは存在していましたが、あくまで機器ごとに分かれた制御を行う、分散型の監視システムでした。

データの取得と管理の2つの役割を行うためには、すべての機器がシステムと通信できるように接続される必要があります。そしてSCADAでは構成する機器との間で、ネットワークと外部への通信が確立されます。

こうした「わかりやすい表示によって見える化」を行い、「設備全体を一括管理する」ことは、近年の各国の製造分野で推進される「工場のスマート化」において必要とされる役割でもあります。スマート化された工場では、機器類やセンサーがすべてネットワークに接続され、それらから得られるデータを可視化して一括管理することが理想であり、SCADAはこの理想にかなう制御システムであるといえます。

SCADAとPLCの違いとは?

SCADAは情報の監視・集約・制御ができるシステムだと説明しました。ここでSCADAと近い役割をもつ、PLCについても併せてご紹介します。

「PLC(Programmable Logic Controller)」は、機械を自動的に制御する装置のことです。機械の操作を状況によって変更するのではなく、機械が行う動作に対してあらかじめ順序づけをして記憶させることで、効率的に機械を動かします。PLCは小型設計ができ、動作の変更が容易なことから、さまざまなシーンで使われてきました。工場や発電所などの大きな施設だけでなく、私たちが普段使っている全自動洗濯機やエアコンなどの電化製品、エレベーターや自動ドア、信号機などにもPLCが使われています。

詳しくは後述しますが、SCADAを構成する要素に「情報の管理・制御ツール」が含まれます。PLCはこの情報管理・制御ツールのうちの一つなのです。

PLCについて、詳しくはこちらの記事で解説しています。併せてご参照ください。

関連記事:PLCとは?製造現場の機械制御の仕組みや必要な言語(プログラム)をご紹介

SCADAが日本で浸透していない理由

SCADAはすぐれた制御システムですが、日本ではそれほど浸透しているとはいえません。それはなぜかというと、ほとんどのケースで「人が歩いて現場に行き、数値を目で確認してメモを取る」という形で対応できてしまうからです。

さらに、SCADAのほかにも機器の監視制御を自動で行う方法が存在していることも、SCADAが浸透しない理由の一つとなっています。先ほども少し紹介した「PLC」や、専用のハードウェアとプログラムを使用する「DCS(分散制御システム)」のみで運用が済むことも多く、日本国内ではそれほどSCADAは普及していませんでした。

しかし近年ではネットワークに関する技術が確立し、アプリケーションのパッケージ化やオープンソース化が進み、汎用性が高く一元管理に特化したSCADAを安い価格で実装できるようになってきました。とりわけ産業情報の一元管理を行い、業務効率化を図りたいというケースであれば、従来の現場に行ってメモを取る方法やDCS・PLCよりも、応用範囲が広く汎用性が高いSCADAを採用する事例が増えてきています。

また、IoT技術が進歩したことによって制御装置やセンサーの小型化、低価格化が進み、情報の量と種類が増えたことに伴って、監視制御ができるシーンも増えているようです。AIによって自動的に監視・制御を行ったり、5Gによる実時間的な処理などにも期待が集まっていたりして、より効率的に運用できる新型のSCADAの登場も予想されています。

サプライチェーンマネジメントの最適化においては、計画層、実行層、制御層がデジタルで連携されている必要があります。SCADAの登場により、SCMのさらなるデジタル化が進むことが期待されています。

サプライチェーンマネジメント(SCMについては)以下の記事で解説しています。
関連記事:SCM(サプライチェーンマネジメント)とは?必要性が高まる背景やシステムの構成要素をご紹介

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SCADAの仕組み

Double exposure of businessman working with new modern computer show social network structure as concept

SCADAの特徴として、利用するシーンに合わせてツールや技術を柔軟に変えられることが挙げられます。SCADAは「情報入力ツール」「情報監視・制御ツール(PLCなど)」「情報表示・管理ツール」、「通信基盤」の4つで構成されます。ここからはSCADAを構成する、4つのツールについてご紹介します。

情報入力

情報入力ツールの例としては、センサーなどの末端のデバイスが挙げられます。大型インフラ施設などにおいて、それぞれの場所のデータを取得するために使用されています。少し前の時代では、工場の作業員が手入力によって、それぞれの作業場の部品の作成数などの数字をパソコンやタブレット端末で記録していました。しかしIoTの登場に伴い、作業員がその場にいない場合でも、センサーが自動的に読み取った情報を制御側に送信できるようになり、手入力を行うことは少なくなりました。

なお、SCADAを活用するためには正確な情報のインプットが不可欠で、担当者には正確な状況や数値を伝えることが求められます。今後はさらに手入力が少なくなり、さらに自動化が進むことが予想されています。

情報の監視・制御

センサーなどの情報入力ツールから得られたデータは、監視・制御ツールへと転送されます。

監視・制御ツールの代表的なものには「PLC(Programmable Logic Controller)」と「RTU(Remort Terminal Unit、遠隔監視制御装置)」の2つがあります。従来のSCADAを使用しないケースの場合、PLCのみで構成されることもよくありましたが、全体を一括して監視・制御するわけではないため、個々のPLCの情報のやり取りなどを頭に入れておく必要があります。PLC・RTUのどちらを使うにしても、特徴を理解したうえで選択することが大切です。

情報の表示・管理

データは各所から集めるだけでなく、表示させたり管理させたりする必要があります。

管理は人の手によって行われるため、これらのデータはグラフィックやアニメーションを使って分かりやすいように表示させなくてはなりません。この情報表示・管理ツールでは、入力された情報を見ることができます。適正値を超えた入力がされたときは、グラフィック上にその旨を表示させる、アラームを鳴らすなどの仕組みで異常を知らせることが可能です。

そのほか、データの書き出しや保存も行えるため、報告や過去の状況を確認することにも活用できます。

通信

SCADAの構成要素を動かすためには、センサーなどの情報入力ツール~監視・制御ツール~情報表示・管理ツールという、通信のための一連のネットワークが必要になります。これらネットワークは、シリアル機器やEthernetを用いて構成されることが多く、SCADAのパッケージソフトを使う場合は、規格にあった通信基盤が必要になります。セキュリティ面においても、必要なネットワーク規格は慎重に選ぶ必要があります。

SCADAのメリット

SCADAを利用することで得られるメリットは、何といっても「開発コストを下げられる」ことです。PLCやリモートI/Oなどと通信する制御システムを開発するためには、通信機能・状態監視機能・ロギング機能・グラフィック機能・帳票での集計機能の5つを実装することが必須となります。これらはほとんどが中央監視システムで必要となる機能です。要求する仕様に応じて、そのほかの機能も必要となる場合があります。

しかし、これらの機能は開発のための費用や時間が必要であり、バグのない高い品質が必要になります。接続するデバイスごとの開発や、毎回ゼロから画面を作成する手法は手間と工数が多くかかってしまい、効率的ではありません。

SCADAは上記の機能を簡単に、かつ汎用的に利用できる形にしたものです。SCADAだけでPLCとの通信プログラムを書かなくとも、通信設定だけで読み取り・書き込みの通信ができ、ランプなどのグラフィック部品はPLCアドレスの割り当てが不要で、すぐに点灯・消灯ができます。

SCADAはどのような企業で活用されている?

Man with future high tech smart glasses concept

SCADAはビル管理やインフラ、公共関係などの企業で活用されてきました。

ビル管理では出入りする人の管理と、ビルの設備の管理をSCADAが行います。インフラ・公共関係では都市計画に必要な情報をSCADAが管理します。また、近年注目されているのが教育業界でのSCADAの活用です。「即戦力となる人材」を育成するためにSCADAが活用されており、一部の工業学校・専門学校などでは授業への導入が進んでいます。ものづくり大国と呼ばれながら人材不足が深刻化している日本国内で、次世代の産業や製造業の担い手となる若者を育成するため、教育の充実化が求められている結果でしょう。

そのほか、産業・製造業・食品業界においてもSCADAが導入されています。これらの業界は効率性・管理・安全性が求められますが、そのなかでIoTソフトフェアのプラットフォームとしての役割を果たすSCADAの必要性が叫ばれています。また、ごみ焼却施設でもSCADAが活用されており、施設の設備や計器類をSCADAが制御することで、安全な焼却処理を手助けしています。管理については中央監視システムによってデータ収集やモニタリングを行うことで定量的管理を実現しています。

このように、近年は幅広い用途・分野でSCADAの活用が進んでいるのです。

SCADAの導入事例

SCADAはさまざまな企業で導入されています。以下ではSCADAの実際の導入事例を2つご紹介します。

事例1:コマツキャステックス株式会社

コマツキャステックス株式会社は、製造原価の大半を占める電気の使用量を細かく正確に把握し、効率よく電気を使用する目的でSCADAを導入しました。

同社では、実際の使用電力を把握し制御するまで時間がかかっており、契約電力を超えずに最大限の電力を使うのが難しいという課題を抱えていました。コークス炉から電気炉に切り替えるにあたり、変電設備の発注先に更新工事を依頼したときにいくつかの計測システムを提案され、そのなかでSCADAのソフトを利用することに決めたのだそうです。選択の決め手となったのはSCADAのリアルタイム性で、いくつかの候補のなかのデマンド監視制御は、分単位のリアルタイム性しかありませんでしたが、同社が導入したSCADAのソフトは10秒単位でのリアルタイム性を実現し、さらに5秒単位での制御ができる性能がありました。

SCADAを導入した後は、消費電力量をリアルタイムで管理できるようになり、契約内の電力を最大限使い切れるようになったそうです。

事例2:大規模ビルの事例

とある大規模ビルでは、喫煙室の気圧の監視にSCADAを活用しています。

喫煙室の煙が外に漏れないように室内・外の気圧差を維持する差圧センサーを設置して、喫煙室の扉の閉め忘れなど煙が喫煙室から漏れると気圧差を検知してアラートを鳴らし、管理者に知らせる仕組みを導入しました。

オフィスビルにおいては、無線温湿度センサーによるモニタリングを導入する例もあります。インターネットを介してどこからでもモニタリングができる仕組みを整えて、空調管理の可視化を図り、従業員の作業効率を上げるためにSCADAの仕組みが活用されています。

まとめ

SCADAが登場したの1990年代のことで、現在はそのシステム自体が進化を遂げており、海外においてすでに広い範囲で使われています。日本においても、IoT技術の発展や周辺のPLC、RTUなどの装置の進化によって、導入が進むことが予想されます。重要なインフラ事業などに組み込まれているSCADAは、さらなる進化を続けるでしょう。

また、製造現場における工程の効率化を実現するためには、生産スケジューラの導入も不可欠です。

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