製造現場において、QCD(品質・コスト・納期)を維持するためには精度の高い生産計画を立てることが重要です。生産計画に問題があると、在庫の過不足や納期遅れといったトラブルが発生してしまいます。
従来は主にExcelで立案・管理されていましたが、近年は生産スケジューラを導入する現場が増えています。なかでも生産スケジューラの国内トップシェアを誇るのが「Asprova(アスプローバ)」です。
本記事では、Asprovaの機能や特徴などをご紹介します。また、生産スケジューラ5製品の比較もしていますので、生産スケジューラの導入をご検討中の方はぜひ参考にご覧ください。
生産スケジューラとは?
生産スケジューラとは、分秒単位の高精度な生産計画を立案し、生産効率を向上するためのソリューションです。必要な生産量に対して人員や設備といった製造現場のリソースを、制約や負荷を加味しながら適切に割り当てることで、無理や無駄のない生産計画を実現します。
一般的な生産管理システムやERPシステムの生産管理機能にも資材所要量計画(MRP)の機能がありますが、生産スケジューラのようにリソースの制約や負荷を加味した精緻な計画は立てられません。負荷平準化機能によって製造現場のリソースを最大限に活用できる点が、生産スケジューラの主な特徴の一つです。
生産スケジューラについては以下の記事で詳しくご紹介していますので、併せてご覧ください。
生産スケジューラとは?おすすめの製品や価格・解決可能な課題について解説
Asprovaの機能紹介
アスプローバ社が開発したAsprovaには、国内2,377本・海外934本もの実績のなかで蓄積されたノウハウが凝縮されており、あらゆる現場に対応できる豊富な標準機能を備えています。ここでは、Asprovaの主な機能をご紹介します。
1. 資源ガントチャート
作業員・設備などリソースの稼働スケジュールを時間・分・秒単位で表示するガントチャートです。徹底的に使いやすさと機能を追及しており、生産計画に関するすべての情報を俯瞰して確認できます。
さらに特急オーダがあった場合にも迅速にリスケジュールできるため、現場の状況に柔軟に対応して安定した製販サイクルを実現します。
2. オーダガントチャート
各オーダの納期・リードタイム・進捗など、工場全体の計画を見える化するチャートです。
各オーダの計画をガントチャート上で確認できるため、迅速に納期回答ができるようになります。また、資源ガントチャートと同様、特急オーダを追加して迅速にリスケジュールできます。
3. 製造BOMテーブル
使い慣れたExcelのような表形式のフォームでBOMを管理できるツールです。品目ごとの原材料や工程の情報、設備や作業者の能力など、スケジューリングに必要なすべてのBOM情報を一元化できます。
4. 在庫グラフ
製品・半製品・購買品ごとの過去と未来の在庫推移を見える化するグラフです。製品在庫、半製品在庫、購買品の未来の在庫推移を管理できます。在庫管理者は品目ごとの在庫推移をひと目で確認し、いつまでにどの品目が必要になるのかを簡単に把握できるようになります。
また、データをExcelでエクスポートし、グラフ作成やデータ分析などに活用できます。
5. 負荷グラフ
設備や人員などリソースごとにかかる負荷の大きさをグラフと数値で表示し、未来の負荷を見える化するグラフです。
負荷率100%以上なら赤色、100%以下なら青色など、負荷率の閾値に合わせてグラフの表示色を変えることでリソースの配置や生産計画に問題がある場合にもすぐに気付くことができます。
こちらも在庫グラフと同じくExcelでエクスポートし、グラフ作成やデータ分析などに活用できます。
6. 差立てビュー
その日、その週に製造すべき作業の順序がひと目でわかる作業指示の一覧です。設備や作業員ごとに着手すべき作業が上から順に並んだ表で表示されるため、作業者は簡単にタスクを管理できるようになります。
また、計画変更の内容が自動的に反映されるだけでなく、表のなかでもドラッグ&ドロップの簡単操作により作業の順番を自由に入れ替えてスケジュールを調整できます。
7. グラフィカル製造BOM
ERPからインポートした部品表をビジュアル化して確認できる機能です。完成品と半製品の工程構成を一つの画面上でビジュアル化し、直感的な操作で簡単に製造BOMのマスタメンテナンスを実施できます。
8. PSI表
品目の供給と需要を日・週・月単位でまとめ、在庫の推移を表形式で確認できるテーブルです。販売計画をもとにBOMマスタ情報を加味して計画立案を行うことで、現場の状況に応じた適切な生産計画を実現できます。
また、背景色の設定によって在庫に問題がある品目がひと目でわかるため、欠品や過剰在庫などの早期発見につながります。
Asprovaの価格
Asprovaは、ご利用目的に応じてモジュールを自由に選択できるライセンス体系になっており、かかる費用は導入費用とライセンス費用に分けられます。
導入費用は、プロトタイプ作成から検証、稼働支援など導入作業に関わる費用です。条件や要件などによって異なります。
ライセンスの標準構成価格は480万円で、選択したモジュールごとにライセンス費用が発生します。オプションを追加した場合も別途費用がかかるため、利用する機能を慎重に検討してモジュールを選択するのがおすすめです。
なお、システムインテグレータはAsprovaの検証サービスを提供しており、導入決定前の検証プロセスを一部無償で実施しています。詳しくは以下のページをご覧ください。
検証検証支援プログラム(PoC版)
無償検証サービス
Asprovaを導入するメリット
Asprovaは高精度な生産計画の立案が実現できる生産スケジューラですが、計画立案だけでなく製造現場に多くのメリットをもたらします。ここでは、導入の主なメリットをご紹介します。
- 現在の進捗状況から数カ月先の生産計画までひと目で確認できるため、迅速で正確な納期回答が可能
- 将来の設備や人員の負荷状況を把握できるためシフト変更や外注など早めの対応が可能になり、計画的かつ柔軟な生産体制を実現
- 秒単位の高精度な生産計画をシミュレーションすることで製造リードタイムを短縮
- 過去と未来の在庫推移を製品ごとに確認・管理できるため、在庫の削減につながる
生産スケジューラ5選 特徴や機能を徹底比較
ここまでAsprovaについてご紹介してきましたが、そのほか国内だけでも数多くの企業が生産スケジューラを開発・提供しています。
規模や業種に特化したものなどそれぞれ特徴が異なりますが、今回は5製品をピックアップしてご紹介します。自社の環境や要件にあったソリューションを検討する際にご参考ください。
FLEXSCHE
株式会社フレクシェが開発した「FLEXSCHE」は、多様な製造業のニーズに対応するための柔軟性と、永く使い続けられる操作性を追求した生産スケジューラです。
チャートやグラフによる現場の状況の可視化、直感的なドラッグ&ドロップで編集できる工程エディタなど使いやすいUIのほか、さまざまな機能を柔軟に組み合わせて生産計画の高度なモデリングを実現する仕組みを提供しています。
最適ワークス
「最適ワークス」は、株式会社スカイディスクが提供するAIを活用した生産スケジューラです。パッケージソフトはコストがかかりすぎて導入できない企業向けに、月額5万円から利用できるクラウドサービスとして提供されています。
独自開発のエンジンが初期設定の負担を大幅に軽減し、メンテナンスやアップデート版の購入も不要。手軽に生産スケジューラを導入し、属人化しがちな生産計画の作成業務を標準化・効率化できます。
WEB生産スケジューラ
株式会社メガ・トレンドの「WEB生産スケジューラ」は、初期導入費用がかからないクラウドサービスの生産スケジューラです。
工程完了後に次工程が開始されるといった配置だけでなく、パレットや箱単位などで後工程に流してさみだれ式に生産したい場合にもスケジュールに反映できる五月雨配置や、途中工程の段階で以降の工数の精算数を分割してスケジューリングする計画分割など、柔軟な生産計画が立てられる点が特徴です。
Seiryu
「Seiryu(セイリュウ)」は、株式会社テクノアが開発した多品種・少量生産の中小企業向けの生産スケジューラです。導入しやすい250万円からの低価格で提供されています。
機械の故障や特急オーダなど、急な計画変更にも対応でき、日・AM/PM・時間・分など管理の時間軸も柔軟に設定できます。
販売管理や生産管理の既存システムとの連携も可能なため、最小限の手間で工場全体の業務効率化を実現できます。
Anchor Hybrid
株式会社コスモサミットの「Anchor Hybrid」は、ガントチャート式の作業予定だけでなく、積み木型で負荷を可視化できる生産スケジューラです。計画と負荷の2種類のシミュレーションで現場の状況を詳細に把握できます。
必要最小限の項目設定でスケジューリングを始められるほか、外部連携やExcelファイルのインポート・エクスポート機能で基幹システムと素早く連携できるといった、現場作業との親和性の高さが特徴です。
まとめ
Asprovaは、国内トップシェアの豊富な実績から得た製造現場のノウハウを凝縮し、多様なニーズに対応可能な生産スケジューラです。国内外で数多くの生産スケジューラが提供されているなかで、製造現場の多様なニーズに対応できるよう機能とノウハウを凝縮したソリューションとして、さまざまな現場で活用されています。
本記事ではAsprovaの概要として機能や価格についてご紹介しましたが、さらに詳しくご説明している資料もありますので、ご興味をお持ちいただけましたらぜひご覧ください。
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