マイクロサービスアーキテクチャとは?概要や採用するメリットなどを解説

 2024.12.06  株式会社システムインテグレータ

近年マイクロサービスアーキテクチャが注目を集めています。本記事では、マイクロサービスアーキテクチャとは何か、今なぜマイクロサービスアーキテクチャが必要とされているのかについて解説します。

ぜひ参考にしてください。

マイクロサービスアーキテクチャを採用するメリット

マイクロサービスアーキテクチャには、ビジネスの機動力とシステムの柔軟性を強化する多くのメリットがあります。以下では、メリットをより具体的に説明します。

開発・改修の効率化

マイクロサービスアーキテクチャは、機能ごとに独立したサービスを持つため、開発や改修の効率化が図れます。例えば、特定の機能だけに変更が必要な場合でも、関連するサービスのみを更新すればよいため、システム全体への影響が少なく、素早い対応が可能です。

また、異なるチームが並行して作業できるため、リリースサイクルが短縮され、ビジネスニーズに迅速に対応できる点も大きなメリットです。

問題発生時のリスク軽減

マイクロサービスでは、各サービスが独立しているため、一部のサービスで問題が発生しても他のサービスに影響を与えない設計になっています。これにより、システム全体の停止リスクが低減され、ビジネスへの影響も最小限に抑えられます。

コードの再利用

マイクロサービスアーキテクチャは、各サービスが独立して構築されているため、再利用性の高いコード設計が可能です。同じ機能を他のプロジェクトやアプリケーションに取り入れやすく、開発コストの削減にもつながります。

耐障害性の向上

耐障害性とは、システムが故障や障害に強いことを意味します。マイクロサービスアーキテクチャでは、各サービスが分散しているため、一部のサービスが停止しても全体に影響を与えることなく、サービス提供を継続できます。また、必要な場合に一部サービスのみをリプレースすることが可能で、メンテナンスも容易です。

  目的、メリット 用途
マイクロサービスアーキテクチャ

・独立した小さなサービス群でシステムを構築

・開発効率、柔軟性の向上

・大規模で頻繁なアップデートが必要なシステム

・アジャイル開発

モノリシックアーキテクチャ

・単一のアプリケーションとして一体化した構造

・シンプルで管理しやすい

・小規模で一貫性が必要なシステム

・初期コストを抑えたい場合

サービス指向アーキテクチャ
(SOA)

・企業内の複数システムの連携と統合

・再利用しやすい

・エンタープライズ環境でのシステム統合

・再利用が必要なシステム

マイクロサービスアーキテクチャは頻繁なアップデートが必要なシステムに向いているという点は前の章でも解説した通りです。

マイクロサービスアーキテクチャを採用するデメリット

一方で、マイクロサービスアーキテクチャにはいくつかのデメリットも存在します。

データの一貫性を保つのが困難

マイクロサービスアーキテクチャでは、各サービスが独立したデータベースやストレージを使用することが多いため、データの一貫性を保つことが難しくなります。特に、同時に複数のサービスがデータを更新する場合、整合性が保たれないリスクが生じます。そのため、各サービス間でデータの同期を行う手法や、最終的な一貫性を保つアプローチが必要です。

統合テストが難しくなる

マイクロサービスアーキテクチャでは、複数の独立したサービスが相互に連携しているため、統合テストの難易度が高くなります。各サービスが独自の仕様を持つ場合も多く、全体としての動作確認を行うためには、それぞれのサービスの相互作用を考慮した複雑なテストが必要です。

コストが高くなる

マイクロサービスアーキテクチャは、独立した複数のサービスを管理するため、モノリシックアーキテクチャに比べてコストが高くなる傾向があります。たとえば、各サービスを個別に管理するためのツールやリソース、専門知識や人材が必要となる場合があります。運用コストや管理コストを考慮した予算計画が重要です。

まとめ

本記事では、マイクロサービスアーキテクチャについて解説しました。システム全体を複数の独立したサービスに分けて開発することにより、開発・改修の効率化、耐障害性の向上などのメリットが得られます。一方で、複数のサービスでデータの一貫性を保つための仕組みが必要であり、また統合テストが複雑になるといったデメリットも存在します。

マイクロサービスアーキテクチャ含めその他のアーキテクチャのメリット・デメリットを考慮し、適切なアーキテクチャを選択していきましょう。


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