工事業界のシステム化を考える

 2020.03.09  株式会社システムインテグレータ

2020年、いよいよ東京オリンピックが開催されます。前回開催年より実に56年もの時間を経て今回日本の総力結集を世界に「魅せる」恰好のシチュエーションではないかと思います。日本選手団の活躍は勿論の事、開催前後に関わる経済の流れや日本全体の景気も気になるところであります。

その中で56年前、当時高度経済成長の軸となった建築・土木に関わるところは、今回においても新国立競技場、選手村建設や高速道路整備等日本の「力」を見せる重要な事業と捉えられています。動くお金・人・貢献度など、どれをとっても「桁」が違います。
そういう業界であるからこそ、IT最先端の技術を取り入れて今以上により円滑に且つスピーディー・正確な業務運用を心掛けていくべきではと思いますが、実はそうなっていないのでは?という現実があります。工事業界はスーパーゼネコンなど、一部の企業や組合の様な連携事業体ではシステムを活用し、他業務に時間を割く・費やす手法が見受けられますが、業界全体としては他業界より遅れているのではと感じます。

本稿では業界内の現在をキャッチアップし、その課題と今後のあるべき姿をシステムに結びつけてお話しいたします。

工事業界の仕組み・構造、そして「人」

業界の方が本ブログをご覧になっているなら「釈迦に説法」ですがご確認も踏まえ説明させていただきます。どこの業界でもトップ企業が存在して、そこから順に仕事を請けてゆく「ピラミッド構造」が存在しますが、この業界にも当然の如く存在します。よく「ゼネコン」と言われる建設会社大手がトップに君臨し、サブコンや建築設計企業や建材企業、施工管理企業等々そのジャンルは数え切れません。ただ一つ言えるのは、ほとんどの工事において「元請け」が存在し、そこからより詳細に建物を完成に導くための業務を請け負う「下請け」という企業があり、これが2次請け、3次請け…と工事が大きいほどそこに業務を請け負う企業が存在するという事です。

よく工事現場で担当の請負企業名が記載されているのを見かけると思いますが、その現場で業務を実行(施工)している企業は、巷でよく聞く企業ではないケースが多いかと思います。建設物を建ててほしいと発注する企業、若しくは個人(施主)は元請けに発注し、その元請けは下請けに依頼するため、施主と実際の現場で仕事をしている企業とは一面識もないケースもあります。

とは言え、建物に万が一の不具合等が発生した場合は、これは受注した元請けが多くの責任を負う事になりますので、元請け企業は下請け企業の選定には慎重になるか、付き合いある企業を選定するケースが多くなります。また発注物に対する対価も元請けが多く手に入れる構造は今も昔も変わりません。この辺りは企業で業績責任を負うウェイトが高い社長や役員等、上席の方の収入が一般社員より多い構造と同じですね。

1

※【重量鳶 建設業界あるある】より抜粋
※大手ゼネコン(スーパーゼネコン):鹿島建設、清水建設、大成建設、大林組、竹中工務店の5社を指す。

さらに現在国土交通省が旗振りで「i-Construction」を軸とした施策に取り組もうとしている背景に深刻な人手不足があげられます。他業界に比べ新卒者が例年少ない状況もあり、例えばトンネルやダムの工事など、今まで人が請け負っていた作業は、作業ロボットに任せることで、解決の一助としてます。また、作業ロボットに人工知能(AI)を搭載し、これまで人が行ってきた作業を学習させてさらなる効率化を目指す動きも加速しており、「当社も他人事ではない」と感じている企業も少なくないのではないでしょうか。

また、以下のようなスローガンを掲げ、より多くの人材を採用できるよう業界内に啓蒙しています。

  • 一人一人の生産性を向上させ、企業の経営環境を改善
  • 建設現場に携わる人の賃金の水準の向上を図るなど、魅力ある建設現場へ
  • 建設現場での死亡事故ゼロに
  • 「きつい、危険、きたない」から「給与、休暇、希望」を目指して

※【国土交通省「i-Construction」~建設現場の生産性向上の取り組みについて~ 目指すべきものについて】より

工事管理とシステムの関わり

ここまでは業界の建築物に関わる一般的な構造や人についてお話しさせていただきましたが、元請けや下請けに任せたとは言え、「丸投げ」でよろしく頼む…ではありませんし許されません。責任を負う以上当然、

  • 完成までのスケジュールに沿って工事管理しているのか?
  • 施主が発注した金額の枠内で進めているのか?できない場合の対策共有と相談は?
  • 人手は足りているのか?

など様々なところでの「管理」が必要となってきます。2005年の「姉歯事件」に代表される設計偽装問題などが、この「管理」を疎かにした例であり、より一層の工事管理強化を求められています。

スーパーゼネコンは金額の他ゼネコンや地方建設企業とは桁違いの建造物を請け負っている事もあり、自社から現場の「●次下請け」企業まで1システムで「販売」「資材調達」「施工」「人員管理(給与含む)」「会計」等を下請け企業ごとに導入、数値連携する仕組みを整えて運用しているケースが多く見られます。その一連の運用の中では、上席の「請け企業」向けに正しい結果を報告するため、改ざんできないよう電子文書化して報告するなどの管理強化傾向が年々高まっています。

工事業界すべてシステム化できているのか?

お話ししたのは、スーパーゼネコンに関係したものであり、それより規模の小さい企業や地方の建設会社となると、ここまでは管理及びシステム化できていないのが現状です。
ゼネコンと言われる各社は上場企業もあるため、収支を開示することでそこから各工事の大まかな金額やコストがわかる場合もあります。ゆえに自社の取り分や資材調達コストなどを正しく記載入力し、財務会計に繋げ、自社単体および連結での収益などをシステムにて一元管理することで、健全な経営及び事業実績をアピールしています。

一方で中堅や地方ゼネコン以下の規模である工事会社は先述のとおり、そこまで社内システムの導入強化ができていない企業が多いと思います。

※【参考】基幹システム導入率(2019年):9~10%(建設業)、27%(国内)

会計こそ単体でシステム運用できていても、下請け管理は紙ベースで所定用紙に記述・報告させ、資材の調達も「いつもの業者にいつもの価格で」という付き合い調達でコスト計算や分析すらしていないところもあるようです。資材は品質管理も大事ですが、そこも資材製造元任せで自社確認する認識が薄く、何かあれば調達先の責任、揉めれば調達先を変更するなどの行動に走ってしまうことがあります。これにより建物に対する信用低下や、偽装事件の繰り返しが起きてしまい、悪しき「慣例」から抜け出せない業界内の特徴になるのではと考えます。

システム化が進んでいる工事業界

しかしながら、スーパーゼネコン以外はシステム化ができていないわけではありません。例えば、建設業の協会では公平化を図るため

  • 建築案件の協会員への公平振り分け
  • 賦課金や企業仕切の均一化
  • 遂行率管理
  • 施主企業の与信管理

をシステムで一元管理し、それらを協会員だけでなく、自治体や外部に開示している取り組みも存在します。ERPのようなデータの一元管理ができる基幹システムを利用したり、個別のシステム間で必要なデータを連携して運用していたりします。

また、一部の工事会社では、AIやIoT技術を採用することで資材の品質管理を強化し、品質基準データをラーニングさせ、資材の良品・不良品判定や在庫数・必要数などを素早く計算し、発注や払出に関連するデータ表やコスト一覧表を作成するなど、DX(デジタルトランスフォーメーション)に対する取り組みを進めようとする会社も増えています。

システム化のポイント

各企業の業務すべてをシステム化できるに越したことはありません。しかし、スーパーゼネコンと違って、中堅以下のゼネコンや各工事会社は投資額にも限りがあり、投資効果もより重要になってくると考えます。各ベンダーで販売しているパッケージシステムも数十万から数千万クラスと様々で、一体どのシステムを検討すれば自社にとってベストなのかと考えてしまいます。

ここで大事なのが「システム化する最大のテーマは何か?」をしっかり見つけて検討することです。スーパーゼネコンを真似して、同じベンダーを採用しても上手くはいきません。まずは社内でしっかりと議論し、自社が目指すゴールを設定することです。

システム化をより成功に導くために

さらに押さえておきたいのは「すべてを変える」のではなく「ボトルネックや優先すべき課題がある業務領域を改善させる」ところから着手するということです。
「建築物の品質を向上させる」ならAIを駆使した各品の画像や内部3D撮像管理ができるシステムを、「工事の契約から売上金の回収までの各種データを一元管理させる」なら工事管理システムを、「経営状態、事業実績を社内で共有したい」ならBIツールシステムなど、経営者から社員までが納得する業務改善理由と、目標達成のために必要なシステム選定が重要です。

もう1つ大事なポイントがあります。それは「経験あるベンダーと共にソリューション(課題解決)を実行する」ということです。自社だけで課題を発見することや、システムを検討することが間違いではありません。しかし、より早く・正確に重要課題に辿り着き、安心して業務改善に進みたいのであれば、その改善成功に欠かせないパートナーを選定し、タッグを組んで取り組むことをお勧めいたします。

最後に

当社では国産ERPパッケージシステム「GRANDIT」を通じ、工事業界だけでなく各業界の課題をお客様と共に解決して参りました。システム化を検討される際には、ぜひ当社営業までお問合せください。

新規CTA

新規CTA
新規CTA

RELATED POST関連記事


RECENT POST「ERP」の最新記事


この記事が気に入ったらいいねしよう!
【大阪開催】多様な働き方を支援する “進化系” ERP GRANDITハンズオンセミナー
失敗から学ぶERP導入プロジェクトの進め方

RANKING人気資料ランキング

RECENT POST 最新記事

RANKING人気記事ランキング