間接費とは?直接費との違いや計算方法、削減のポイントを解説

 2022.01.11  株式会社システムインテグレータ

企業がコスト削減を進めていくときに、間接費の削減がどうしても手薄になりやすいという傾向があります。コスト削減を有効に進めていくためには、間接費と直接費の違いについてしっかりと理解した上で、間接費の特徴を熟知することが必要です。
間接費は一つひとつの費用は大きくはありませんが、これが積み重なると全コストに占める割合が大きくなるため、コスト削減の際にはしっかりと間接費を把握することが重要です。

この記事では、間接費と直接費の違いや間接費の計算方法や、間接費削減のポイントについてご紹介します。 

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間接費とは?

間接費とは?直接費との違いや計算方法、削減のポイントを解説 1

間接費は直接費と同様に、企業においては必ず発生する費用です。原価計算の際には、直接費と同じように間接費の正確な把握が必要となります。ここからは、直接費と間接費の違いについて、また直接費と間接費を分ける理由について解説します。 

直接費と間接費の違い

直接費とは、製品やサービスに直接関係するコストのことを指します。例えば製造業においては、工場で毎日製品を生産し、消費者に提供しています。このとき、作られる製品に直接対応づけられるコストが直接費に分類されます。

直接費は、製造原価を算定するため「経費」「労務費」「材料費」の3つに分けられます。製品の組み立てなどを外部委託する際に発生する外注費は直接経費に、工場内の従業員に支払う人件費は直接労務費、製品を作るための原材料の仕入れは直接材料費にそれぞれ分類できます。 

それに対して間接費とは、製品やサービスに付随的に関係し、直接には対応付けられないコストのことを指します。一つひとつの製品ではなく、複数の製品やサービスに対して横断的に支払われる特徴があります。

間接費の例としては、工場の照明などの電気代、複数の製品を作成する際に必要である塗料などの消耗品などが挙げられます。

間接費もまた「経費」「労務費」「材料費」の3つに分けることができます。減価償却費や工場の水道光熱費は間接経費、従業員以外の管理者などに支払う給料には間接労務費、補助的な材料は間接材料費に分類します。

集計した間接費は、販売数量や直接材料費などの配賦基準をもとにそれぞれの製品へと配分されます。このように間接費については、何らかの基準を設定した上で各製品への対応づけを行います。 

直接費と間接費を分ける目的

直接費や間接費の分類は流動的であると考えるべきでしょう。同じ項目であっても、異なる基準のもとでは分類も変わるためです。

例えば、製品単位の基準では間接費に分類されていた工場長の労務費や補助部材、機械の修理費用などは、基準を工場単位とした場合には直接費として扱われるようになります。

直接費と間接費とを分ける分類方法に絶対的な決まりはなく、税務申告におけるルールもありません。直接費と間接費を分けることは、コストを異なる側面から把握することが大きな狙いのひとつといえます。

また、販売費と一口に言っても、人件費や広告宣伝費、発送・配達費など、計上できる項目は多岐にわたります。分類先を細分化することで経費計上をより正確に行うことが可能になります。 

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間接費の種類

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間接費とは、製品やサービスを製造するために間接的に発生したコストのことを指します。先ほど間接費は、以下の3種類に分類することができると解説しましたが、ここからはより詳しく掘り下げて見てみましょう。 

間接材料費

製品を製造する際に、複数の製品製造に使われる材料費のことを「間接材料費」と呼びます。

間接材料費の例として、製品の運搬をするときなどに使われる軍手や、製品の組み立てをするときに共通して使われるネジやボルトなどの部品が挙げられます。これらはあくまで工場内の備品であり、製品を製造するために直接使用されてはいないため間接材料費として計上されます。

そのほか、間接材料費に属する費用として、「工場消耗品費」「補助材料費」などが挙げられます。製品の生産をするときに確実に消費されているものの、製品を作るための構成内容には含まれないものはほとんどの場合、間接材料費のうちの補助材料費となります。 

間接労務費

製品の製造過程とは関係なく、人にかかったコストが「間接労務費」です。

間接労務費の例としては、評価制度の一環として社内で社員を表彰したときにかかった賞与手当などがこれにあたります。この場合、製品の製造とは直接関係がないコストのため、間接労務費に該当します。

そして、間接労務費のなかで大きな割合を占めるのが、間接工の人件費です。機械の修繕や清掃などを行う業務員は間接工と呼ばれ、間接工の賃金が間接労務費として計上されます。

間接労務費は、直接労務費に該当しない労務費をすべて合算するか、労務費から直接労務費を引くことで算出できます。また、そのほかの間接労務費に該当する費用として、「間接作業賃金」などがあります。 

間接経費

製品の製造に対して、間接的に必要となった経費を「間接経費」と呼びます。間接的に発生したコストのなかで、先ほどご紹介した間接材料費と間接労務費を除外したものが間接経費です。間接経費の例としては、通信費や水道光熱費、旅費、交通費などがあります。

上記のような勘定項目のなかにも、ユースケースによって費目が異なるものもあります。例えば通信費では、携帯電話料金、固定回線や固定電話料金など、さまざまな費目項目の積み上げによって構成されている場合も少なくありません。 

間接費の計算方法

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直接費であれば、生産に要した時間や費用から生産数を割ることで簡単に計算できるものの、間接費の計算は直接費と比較すると複雑な構成になっています。

間接費の計算方法として一般的なものが、何かに比例して製品別に配賦(はいふ)するという原価計算方法です。配賦については後ほど詳しくご紹介します。

間接労務費や製造経費は、直接作業に使われる時間に比例してかかるものが多いという傾向があります。例えば、間接人材は直接作業員の仕事を援助し、作業員の着用する作業着は、時間が経つにつれて汚れていき、軍手も長く使用していると交換する必要が出てきます。また、生産ライン内の照明には常に電気代もかかるでしょう。

このように間接費は直接作業に使われる時間に比例してかかることが多いため、部門別の間接費を「製品を作るためにかかった工数」「発生した時間」に比例してそれぞれの製品に配賦します。こうすることで、単純な間接費を計算することができるのです。 

配賦とは

配賦とは、製品や部門間をまたがって発生する費用を、配賦基準にのっとって配分処理することをいいます。建物や備品などの減価償却費といった間接費を厳密に配賦することは難しいため、一定の配賦基準を作成し、それにのっとって部品や製品に費用配分処理を行います。

配賦は基準次第で、どのような費用配分にもなりえます。例えば、売上高を基準に配賦する場合と、人員数を基準に配賦する場合では、全く異なる費用配分結果になることが想定されます。そのため、配賦する費用がどういった原因で発生し、どのように利益に貢献しているかを十分に検討して、その上で配賦基準を設定することが求められます。

正確な配賦を行うことは、原価計算の精度を上げる上でも大切なことです。配賦は費用を合理的に配分するためのものであるため、基準が細かすぎると計算が複雑になってしまい、原価計算の効率が悪くなってしまう恐れがあります。 

配賦基準として採用されることが多いものに「部門別配賦」と「製品別配賦」があります。

部門別配賦は、費用を「直接部門」と「間接部門」に分けて、間接部門の費用を直接部門に配賦する方法です。部門別配賦によって集計した費用は、製品別に配賦されていき、大きく「直接配賦法」「階梯式配賦法」「相互配賦法」の3つに分けることができます。

製品別配賦とは、製品に直接付加できない費用を製品別に配賦する方法です。配賦の基準となるのは直接工数や直接費用、人員数、設備稼働時間などがあります。これらの基準を定めて、その基準に従って費用を製品ごとに振り分けます。個別の配賦基準を使い、部門別計算を行わない分、計算時間を短縮できでしょう。

計算の順序や配賦の計算方法は企業によって異なるため、自社に適した配賦基準を定めることが大切です。

配賦については以下のブログでより詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
配賦とは?目的やメリット、配賦基準の決定方法について解説 

間接費を削減するには?

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では、間接費を削減するには、どのような方法を取ればいいのでしょうか。以下に間接費の種類ごとに削減するポイントをご紹介します。 

間接材料費を抑えるポイント

間接材料費とは、製品を製造する際にかかる、直接の材料ではないものの間接的に発生する材料費のことです。間接材料費には工場消耗品費や消耗工具器具備品費などが該当します。

材料費を削減するためには、必要になる分をできるだけ安く仕入れて、不要な在庫を抱えないことが重要です。具体的には単価の交渉や一括仕入れへの変更、不要在庫の厳格な統制などの管理の見直しといった方法が挙げられます。 

間接労務費を抑えるポイント

間接労務費とは、製品製造に直接関係のないところで、人材に対してかかった費用のことです。例えば従業員の賞与や手当、間接作業賃金、福利費などが該当します。

労務費を削減する一般的な方法としては、IT化によって効率化を図ることや、不要な業務がないか見直しを図ること、奨励制度などを採用して、社員のモチベーションを上げて生産性を向上させること、業務を勤務形態ごとに振り分けて人件費を下げるといった方法が挙げられます。 

間接経費を抑えるポイント

間接経費は、製品の製造に間接的に関わる費用のことです。

間接経費の例としては、オフィスや工場の賃借料、機器の減価償却費、電気代やガス代、出張時の旅費交通費などがあります。

経費を削減する一般的なポイントは、電気代であれば料金コースを見直す、長寿命のLED電球に交換するといった対策があり、水道代やガス代についても同様の見直しができます。

従業員の出張時の旅費交通費については、出張手配をシステム化することが有効といえます。例を挙げると、法人向けの割引運賃や、プランの優先利用によって出張手配ができるシステムを導入することによって、出張旅費を大幅に削減できたという事例もあるようです。出張手配をシステム化することによって作業の効率化や、人員の削減も期待でき、間接労務費も削減できることが見込めます。

また、すべてのコスト削減に共通して言えることとして、コスト削減を考える場合は、削減したい費目を可視化することが大切です。費目を可視化すると問題点や改善点も明確になります。闇雲に施策を行うよりも、コスト削減率を上げつつ短い期間で削減ができるようになるでしょう。 

間接費をはじめとする原価管理はERPで効率化しよう

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原価計算や間接費の計算において最も大切なことは正確性です。原価計算や間接費の把握をマンパワーで行おうとすると、どこかの工程でミスが発生する可能性があり、正確性を欠くケースも少なくありません。

原価計算や間接費の把握を正確に行うための方法として、「ERP(Enterprise Resource Planning)」の導入が挙げられます。ERPは、財務会計システムなどの基幹系システムとその他の情報系システムを統合したもので、ERPに含まれるすべてのITシステムと相互連携を取って、円滑にデータの受け渡しを行うことが可能です。

ERPを導入することによって、企業内のあらゆる情報を一元管理でき、データ分析のスピードが格段に上がるだけでなく、管理しているデータを即座に分析して、経営指標として画面上に表示できるようになります。

繰り返しになりますが、原価計算や間接費の把握は、スピードと正確性の高さが重要です。ERPを活用することで効率的な管理体制や正確な原価計算のシステム化が構築できるでしょう。 

バックオフィス業務改善ならシステムインテグレータ

多くの企業で人手不足が大きな課題となっていますが、バックオフィス業務にはいまだに属人化した作業やアナログ業務が残っており、企業の成長と発展を阻む大きな壁となっています。
バックオフィスの業務プロセスを最適化することで、コスト削減や属人化の防止だけでなく企業全体の生産性向上にもつながります。
当社はERPをはじめとする情報システムの豊富な導入実績をもとに、お客様一人ひとりのニーズに合わせた最適な改善策を提案します。業務の洗い出しや問題点の整理など、導入前の課題整理からお手伝いさせていただきます。
バックオフィス業務にお悩みをお持ちの方は、お気軽に株式会社システムインテグレータまでご連絡ください。

まとめ

間接費は直接費と比べると金額が小さいものが多いですが、計上する件数が多い分、より正確な管理が必要です。適切に管理することができれば費用削減の取り組みに活かすことができます。

計算を正確に行うためには、会計システムの活用やERPの導入が有効です。ERPを導入することで、企業内のあらゆるデータを一元管理でき、データを即座に分析できるようになり、間接費の把握にも大いに役に立ちます。

ERPとはなにか、どのように役に立つのかなど、わかりやすくまとめた資料もありますのでぜひご覧ください。

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