原価計算とは?方式からシステム化のポイントを解説

 2021.06.23  株式会社システムインテグレータ

原価管理とは、企業の業務改善や利益向上を目的として、製品を製造する際に必要となる原価を管理することです。
商品やサービスの計画を立案する際に原価計算が必要なことも多く、ビジネスのさまざまな場面で活用されています。

そこでこの記事では、原価計算の概要や必要性、原価計算の費用項目などについて解説します。また、スムーズな原価計算を実現するための具体的なシステム導入についてもお伝えするので、ぜひ参考にしてください。

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原価計算とは

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原価計算とは、製品やサービスを提供するためにかかった費用を計算することです。一口に原価と言っても、材料費や現場社員の労務費など製品・サービスの提供のために発生する費用(直接費)に加え、販管費や地代家賃など、特定の製品・サービス提供にかかわらず発生する費用(間接費)も含まれるため、原価を「正確に」計算することは簡単ではありません。しかし企業にとって原価を把握することは開発の意思決定や企画立案へと繋がるため、原価計算は経営活動に欠かせない要素です。

今回は原価計算について詳しくご説明します。まずは、原価計算の目的についてです。

原価計算の目的

原価計算の目的は大きく分けて5つあります。

財政状態を把握する財務諸表作成

期末などに作成する財務諸表は、企業にとって財政状況を表すための大事な諸表です。この財務諸表に載せる原価も重要な数字となります。

出資者や債権者、経営者にとって、正確な収支状況を把握するためにも、正確な原価を提示する必要があります。

販売価格の決定

販売価格を決める際に原価の算出は必須です。販売価格は原価に利益分を加算して決定する必要があります。原価を低く見積もりすぎると、いくら売っても利益が出ません。逆に原価を大きく考えすぎると、販売価格が高くなり製品自体が売れないということもあるでしょう。販売価格を決めるうえで、原価計算は非常に重要です。

原価管理(コスト把握)

原価の構成を把握し、削減可能な費用を見つけ出すことはとても大切です。余計なコストを削減することで原価を抑え、それによって販売価格を下げる、利益分を大きくする等の対応ができるようになります。

予算管理

予算を立てる際には、原価と利益を考えながら生産計画を作り、それをもとに年間や月間の計画を立てていきます。

原価がいくらで、予算としていくら必要なのか、どのように生産するのかを検討して生産計画を作るため、予算を立てる際には原価計算が必要になります。

経営計画の策定

原価は経営の意思決定にも大きな影響を与えます。製品にかかっている原価をもとに、利益率等を確認し、力を入れて販売する製品、逆に販売を縮小するべき製品などを判断します。

財務会計と管理会計

原価計算と原価管理について学ぶ際には、財務会計・管理会計についても確認しておきましょう。

財務会計の目的は外部のステークホルダーに向けて経営状況を可視化することです。販売実績や支出の記録、財務状況等の経営状況を決算報告書としてとりまとめ、開示することでステークホルダーが取引や融資の決定をスムーズに行えるようにします。

一方で、管理会計は経営判断をするための企業会計を指します。財務会計との違いは、管理会計が自社内に掲示するのに対し、財務会計は外部へ掲示する点です。管理会計は企業内部の経営管理者(経営トップ・マネージャー)が経営管理に役立てることが主な目的とされます。自社内向けに行うものとなるため、企業ごとに管理の方向性は異なります。
財務会計は主に企業外部の利害関係者(ステークホルダー)に企業の財政状態と経営成績を開示するためのものですので、目的が大きく異なります。

ここまで財務会計と管理会計について解説しましたが、原価計算において、管理会計は特に欠かせないポイントだと押さえておきましょう。
冒頭でも触れた通り、原価計算は自社で行う商品開発やサービスに関連した計算です。原価計算を適正に行わないと、内部ステークホルダーに提示する会計情報が曖昧になり、企画の方向性を定められません。そのため、原価計算は経営に直結するという認識を持つことが大切です。

財務会計・管理会計について、さらに詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。

財務会計とは?

管理会計とは?財務会計との違いからその必要性、スムーズな管理の方法までご紹介

原価管理と原価計算の違い

原価計算と似ている言葉に原価管理があります。

原価管理とは、利益確保のために設定した原価に応じて販売・経営・生産に関する計画や分析を行い、適切な標準原価と原価低減を設定することです。標準原価とは、製品を製造する際に目標とする原価です。製造に必要な材料や人件費等を事前に算出して定めます。一方、原価低減とは原材料費や流通費など、製品を製造する過程で発生する費用を抑える活動を指します。

原価計算との違いを説明すると、原価計算が正確な数値を算出するための方法であるのに対し、原価管理は原価計算という技術を使って適正な管理をするための方法であるということです。原価計算を使って開発や売上にかかる原価を導き出し、その原価を適切に管理することを原価管理と呼びます。混同しやすい言葉ですが、原価計算と原価管理はどちらも健全な経営に欠かせない要素です。

原価計算の必要性

Multiethnic group of happy business people working together in office

原価計算は、実際の会社運営のどのような場面で用いられているのでしょうか。

ここからは、代表的な活用シーンについてそれぞれ解説します。

適切な販売価格を設定するため

原価計算をすると、商品やサービスに応じた適切な販売価格を設定できます。商品やサービスを提供する際、実際に販売する価格と原価のバランスが重要です。原価に対して販売価格が安過ぎては利益が出ず、逆に原価に対して販売価格が高過ぎると販売が困難になります。

そのため、原価計算は売上に繋がる販売価格を決めるための判断材料として使われます。購買に繋がりやすい原価計算を正確に行えれば、経営活動が円滑に進むでしょう。

コストを把握するため

原価計算をすると原価自体の構成が見えてくるため、どこにどれくらいの費用がかかっているかといったコストの把握も容易です。コストを把握し、導き出した原価に応じて販売価格を調整したり、開発の余分なコストを削減したりできます。原価計算を基にコストを把握すれば、利益が出やすい販売価格を設定できるため、経営において必要不可欠な要素です。

また、コストを把握するだけでなく、来期の予算決定の判断材料としても原価計算が使われます。予算編成には原価の情報が必須になるため、正確で不足のない情報を用意しなくてはなりません。利益を生む販売計画・経営計画を進めていくためには欠かせないステップです。

経営戦略策定のため

原価計算を含めた原価に関する情報は、経営戦略を策定する判断材料としても活用されます。

一般的に、キャンペーン活動などの販売戦略は原価をベースに施策が決められます。反対に、原価計算の結果によっては縮小すべき商品やサービスも明確になるため、的確な経営戦略を策定するための情報として重要な要素と言えるでしょう。

原価の種類

原価自体は開発や製造に直接関わる金額の「直接費」と、それ以外の箇所に発生する「間接費」に分類されます。また、売上の増減にかかわらず発生する「固定費」、売上の増減によって変動する「変動費」にも分類されます。原価計算はこれらの種類を正しく把握して行う必要があります。

それではそれぞれの分類について詳しくご説明します。

直接費

直接費とは、製品サービスに直接関係するコストです。製造業では工場で日々製品を生産していますが、作られる製品1つ1つに直接対応づけられるコストは直接費に分類されます。

さらに製造原価を算定するため、材料費・労務費・経費の大きく3つに分けて使われています。具体的には、製品を作るための原材料の仕入は直接材料費、工場内の工員に支払う人件費は直接労務費、加工や組み立てを外部に委託するのにかかる外注費は直接経費に分類できるでしょう。ちなみに、販売業の場合は、販売するのに直接要したコストを販売直接費(もしくは直接経費)として分類します。

間接費

間接費とは、製品サービスに直接対応づけられない、付随的に関係するコストです。製品1つ1つに支払われるものではなく、複数の製品サービスにまたがって支払われるものです。具体的には、工場の電気代、複数の製品に使用する塗料や接着剤などの消耗品などが分かりやすいでしょう。直接の製品1つ1つに分けることが難しいので、全体的にかかるコストとして分類されます。

間接費も直接費と同様に、材料費、労務費、経費に分けて使われます。具体的には、補助的に使う材料は間接材料費、工員以外の管理者などに支払う給料は間接労務費、機械の修繕や減価償却費、工場の水道光熱費は間接経費と分類できるでしょう。ちなみに、販売業の場合は、販売間接費(もしくは間接経費)として分類します。

集計した間接費は、販売数量や販売額、直接材料費などの基準(配賦基準といいます)をもとに、それぞれの製品に配分されます。つまり、間接費については何らかの基準を自ら設定して各製品に対応づけを行うことになります。

固定費

固定費(不変費)とは、売上の増減にかかわらず発生する一定額の費用のことです。固定費に該当する具体的な費用には、人件費、地代家賃、水道光熱費、接待交際費、リース料、広告宣伝費、減価償却費などがあります。会社が事業を営むにあたっては、製造・販売などの操業をしていなくても、必ず支払いが発生する費用があります。たとえば、事務所の家賃は毎月必ず発生しますし、設備を使っていなくても減価償却費は発生します。人件費も同様で、従業員を雇っている以上は必ず支払わなければならない費用です。このように、原則として“固定”の金額が発生するものは固定費に分類されます。

変動費

変動費(可変費)とは、売上の増減によって変動する費用のことです。一般的に変動費に該当する費用は、原材料費、仕入原価、販売手数料、消耗品費などです。固定費が売上に関係なく一定額発生するのに対し、変動費は売上に比例して増減します。たとえば、1,000個の製品を製造する場合、1,000個分の原材料を調達する必要があり、その分の原価が発生します。このように、原則として金額が“変動”する費用は変動費とされます。変動費は、製造・商品の販売などの企業活動に付随して発生するコストであることから、「活動原価(アクティビティコスト)」とも呼ばれます。

原価計算の費用項目

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ここまで原価の種類をご説明しましたが、正確な原価計算をするためには、開発に発生する費用を種類ごとに確認し、それぞれを計算する必要があります。主な費用項目は材料費・労務費・経費の3種類です。

そして、先ほど簡単にご説明したように、原価は直接費と間接費に分かれています。直接費とは、開発に必要な材料費や労務費など、製品そのものに関連する原価です。一方、間接費は商品やサービスに関連する家賃や販管費など、その他経費が該当します。

これら3種類の費用項目は原価計算に必要な基礎知識として挙げられる「原価の3原則」と言われています。それでは、3種類の費用項目それぞれについて詳しく確認していきましょう。

材料費

材料費は主に商品の製造に使う材料などの費用で、製造する数に比例してかかる費用は高くなります。

たとえば、おにぎりの場合だと、お米や中に入れる具材、海苔や塩などが材料費です。おにぎりを作る際に使うビニール手袋なども材料費に該当します。

また、材料費でも直接材料費と間接材料費というように細かく分類されています。おにぎりならお米などのメインの材料にかかるのが直接材料費で、具材などが間接材料費です。

さらに、ガス代や部品なども材料費として分類されます。詳しくは以下の表をご参照ください。

費用名

内容

素材費

製造に使用する材料

買入部品費         

外部から購入して使用する部品

燃料費

定期的に使用するガス代など

工場消耗品費

製造で使用する消耗品

消耗工具器具備品費

耐年数1年以内、10万円以下の器具

労務費

労務費とは、製造の現場で働く人の賃金や給料、賞与や退職金などを指します。分かりやすく説明すると、製品が製造されるまでに必要な労働力に対する費用のことです。材料費と同じように細かく分類されているため、以下の表を参考にしてみましょう。

費用名

内容

賃金

現場で就業する方に支払う

給料

現場以外で就業する方に支払う

雑給

パートタイム・アルバイトの方に支払う

賞与

年に数回のボーナスとして支払う

福利厚生

社会保険など

退職金の繰入

退職金としての積立金

経費

材料費と労務費以外に発生する費用が経費で、種類も多く金額にも幅があります。なかでも特に大きな金額となるのは、工場などの稼働する使用する毎月の電気代です。燃料費と混同しやすいですが、燃料費は機械や部品を動かすための燃料として扱われます。材料費や労務費と少し分類方法が異なるので、違いに注意しながら以下を確認してみましょう。

費用名

内容

支払い経費

使用した理由が直接把握できる

月割経費

数ヶ月に分けて支払う(家賃や保険)

測定経費

消費量から計算される(電気代や水道代)

発生経費

発生ごとに経費として換算しておくもの

原価計算の方式

business documents on office table with smart phone and laptop computer and graph financial with social network diagram and three colleagues discussing data in the background-2

原価計算は、目的に合わせて3種類に分類されます。

ここからは各種類、「標準原価計算」「実際原価計算(全部原価計算)」「直接原価計算」それぞれの計算方法について解説します。

標準原価計算

標準原価計算は、品やサービスそれぞれに理想とされる原価を導き出すための計算方法で、目標原価計算とも呼ばれています。

主に予算編成などに使われる計算方法で、材料費・労務費・経費それぞれに設定された目安から算出することが特徴です。万が一、予算が目安の金額以上になった場合にはその都度分析を行い、理想的な原価を導き出します。

実際原価計算(全部原価計算)

実際原価計算は、実際に発生した金額をベースに計算をします。

全部原価計算とも呼ばれており、実際の金額で計算をするため正確なデータが把握できることが特徴です。先ほどの標準原価計算で算出した原価と比較して、コストに関する分析も効率的に行えます。

直接原価計算

間接費を換算せず、直接費のみで計算する方法を直接原価計算と言います。固定費・変動費に分かれている製造コストから、変動費に重点を置いて計算をします。

間接費は加えないで計算をするため、固定費を回収するためにどれだけの売上を立てるべきか、分析しやすい点が直接原価計算のメリットです。

スムーズな原価計算を実現するには?

Determined businessman climbing building with help of rope

原価計算ではExcelなどを活用した計算や管理も可能です。しかし、計算を行うために工数がかかってしまったり、ミスが発生しやすかったりするなど、いくつかの課題は軽視できません。

そうした際に原価計算にシステムをうまく活用すると、スムーズな計算や管理を実現できます。ここでは、原価計算をスムーズに行うためのシステムについて詳しくみていきましょう。

原価管理システムの活用

原価管理システムを活用する際には、機能や条件をよく比較検討しましょう。

たとえば、システムの特性が自社の事業とマッチしているか否かという点は特に意識したいポイントです。提供形態がパッケージなのかクラウドなのか、従業員規模や売上規模、対応する機能が自社の業務に合致しているかという点などを総合的に確認する必要があります。そして、システムの操作性も重要です。どれだけ便利なシステムでも、使いこなせる人材がいなくては十分に機能しません。誰でも直感的に分かりやすい操作性をもつシステムが良いでしょう。

そして、カスタマイズ性が高いかどうかもチェックしておきましょう。自社の事業に合ったカスタマイズができると、より柔軟性のある経営判断が可能です。

また、生産管理や帳簿などのシステムと連携可能かどうかも事前に確認しておきましょう。システムの機能や条件と自社の事業を照らし合わせたうえで、どのようなシステムを活用すべきかを分析する必要があります。

原価計算に役立つERPとは?

原価計算の効率化には、ERPを導入するという方法もあります。

ERPは「Enterprise Resource Planning(企業資産計画) 」の略称で、会計・販売・在庫購買管理・生産管理・人事給与管理などの基幹となる業務を統合したシステムのことです。ERPを導入すれば、複雑な原価管理業務の効率化を図り、情報の一元化が可能です。

また、ERPの中にはBIツールが搭載されているものもあるため、ビッグデータを活用した総合的なデータを原価計算と並行しながら分析が行えます。導入までに少し時間がかかる点はありますが、さまざまな観点で意思決定をする際に、有効なツールだといえるでしょう。

ERPというツールは基幹システムをまとめて管理できるほか、原価計算以外の業務でも効果が期待できるため、原価計算をスムーズに行いたい企業は導入を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は原価計算について詳しく紹介しました。原価計算は適切な戦略で経営を行うために欠かせないステップです。

しかし、いまだにExcelで原価計算を行っていて不要な時間がかかっていたり、情報管理への不安を抱えていたりするなど、現状の原価計算に限界を感じている企業は多く存在します。

弊社が提供するWeb-ERP「GRANDIT」では、仕入れた商品を販売する商社・卸売業はもちろん、売上と仕入が1:1で結びつかないケースの多い製造業や、開発リソースの工数管理が必要なプロジェクト型ビジネス業などの原価管理に対応するための機能が備わっており、複雑かつ負担の大きな原価管理業務を効率化することが可能です。原価計算に課題を抱えている場合は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。

また、ERPに関するお役立ち資料も公開しているので、こちらもぜひご利用ください。プロジェクトを成功に導くエッセンスをまとめています。

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