損益計算書とは?記載されていることやその意味も解説

 2022.09.13  株式会社システムインテグレータ

損益計算書を活用して自社や競合他社の経営状態を把握し、今後の経営に役立てたいけれども、その見方がよく分からない、といった悩みはありませんか。この記事では、損益計算書とはどのようなものかを解説した上で、貸借対照表との違いや損益計算書に記載されている項目、活用方法などを紹介します。

損益計算書とは

損益計算書とは?記載されていることやその意味も解説 1

「損益計算書(Profit and Loss Statement)」とは、企業の利益についてまとめられた決算書類のことです。一定の期間(通常は1年間)において、企業が収益としていくらお金を稼ぎ、費用としていくらお金を使い、その結果、利益としていくらお金を残せたか、ということが読み解けます。英語の頭文字から「P/L」の略称で表記されます。

損益計算書は、「貸借対照表」および「キャッシュ・フロー計算書」と並んで財務三表のひとつに数えられる極めて重要な決算書です。

貸借対照表との違い

「貸借対照表(Balance Sheet)」とは、決算日における企業の財政状況を資産・負債・純資産という3つの要素を用いて表した決算書のことです。英語の頭文字を取って「B/S」と表されます。損益計算書も貸借対照表も財務三表としてくくられるため、混同されることがありますが、全く別の書類です。

どちらも企業の決算時に作成される書類という性格を持っていますが、損益計算書が決算の対象となる期間内の経営状態を示すのに対し、貸借対照表は決算の対象となる期間の最終日の財務状態をピンポイントで表します。

貸借対照表についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
貸借対照表とは?記載項目や分析結果から読み取れることを解説します!

損益計算書に記載されている項目

損益計算書を読めば企業の経営状態が分かりますが、前提知識を持たない状態で損益計算書を目にしても何が書かれているのかを理解できずに戸惑ってしまうでしょう。ここでは、損益計算書に記載されている主要な項目である5種類の利益について解説します。

利益の指標を表す売上総利益

損益計算書において、5種類の利益の中で最も上部に記載される項目が「売上総利益」です。これは、本業の事業活動によってどれくらいの利益がもたらされたかを示す項目で、「粗利」とも呼ばれます。売上高から売上原価を引いて計算するため、先に売上高と売上原価を出しておかなければなりません。

このうち「売上高」とは、製品の製造・販売やサービスの提供など、企業などが事業を行うことで得た収益のことで、損益計算書の一番上に書かれます。「売上原価」とは販売用商品の仕入れや自社製品の製造に必要な原材料などにかかった費用のことで、売上高の真下に書き入れます。そして、売上高と売上原価の差から求めた売上総利益は、売上原価の真下に記入されます。

本業でどれだけ利益を得ているかを表す営業利益

「営業利益」は、売上総利益から販売費及び一般管理費を引いたものです。その金額によって企業が本業でどれだけ利益を上げたかが示され、本業以外で得られた利益は含まれません。

このうち「販売費」とは販売や営業を行う際の費用のことで、テレビCMやホームページ制作などにかかる広告宣伝費、従業員が出張する際にかかる旅費交通費、商品サンプルの配布などにかかる販売促進費などが該当します。「一般管理費」とは企業の運営に必要な費用のことで、従業員に支払う給与、電気代や水道代などの水道光熱費、事務用品などの消耗品費、社有地にかかる固定資産税などの租税公課など、さまざまな経費が含まれます。

経営に関する効率性を表す経常利益

「経常利益」とは、本業で得られた利益だけでなく、本業以外も含めた全ての事業活動において得られた利益のことです。経常利益は営業利益に営業外収益を足し、営業外費用を引くことで計算します。

このうち「営業外収益」とは本業以外で得た収益のことであり、企業が株の売買など金融商品を運用して得た受取利息や受取配当金などが含まれます。また、「営業外費用」には借入金に対する支払利息や社債利息、有価証券を購入額よりも安く手放した際に生じる有価証券売却損などの費用が該当します。

税金を支払う前の利益を表す税引前当期純利益

「税引前当期純利益」は、経常的な利益に臨時発生の利益や損失を含めた、法人税や法人事業税などの税金を支払う前の利益です。経常利益に特別利益を足して、特別損失を引くことで算出します。

このうち「特別利益」とは、通常であれば企業が得ることのない一時的な利益であり、具体例としては、自社ビルの売却に伴う固定資産売却益や子会社の株式を売った際の売却益などがあげられます。また、「特別損失」は通常では発生しない損失を計上する項目です。火災による事務所の焼失などの災害損失や、感染症の拡大による休業要請で発生した損失などが含まれます。

会社の最終的な利益を表す当期純利益

当期純利益とは、支払うべき税金を全て納めた後に残る最終的な利益のことです。税引前当期純利益から法人税等を引くことで算出します。

ここで「法人税等」に該当する税金は、法人税・法人住民税・法人事業税の3種類だけです。これ以外の税金は租税公課の扱いになり、営業利益の計算に利用する販売費及び一般管理費として計上されます。

ここまで見てきたように、それぞれの利益は「売上総利益→営業利益→経常利益→税引前当期純利益→当期純利益」の順に計算され、損益報告書においても上から順に記載されるのです。

損益計算書を見てわかること

損益計算書には、以上に示した5種類の利益とそれに付随する項目があわせて記載されています。これらの情報を活用することで、企業の経営状態を把握できるのです。ここからは、損益計算書を見て把握できることの中から、特に重要な点を解説します。

売った商品でどれだけの利益を得たかがわかる

売上総利益率(粗利率)は、売上高のうちどれだけの割合が売上総利益につながっているのかを示すもので、収益性を計る指標として利用されます。例えば、小売業であれば店舗で販売した商品でどれだけの利益を出せたのかが分かります。この数値があまりにも低い場合には、仕入れにかかる費用と販売価格を見直す必要があるでしょう。

売上総利益率の算出方法は、売上総利益を売上高で割った数値を100倍します。この数値が高ければ高いほど利益率が高く、ビジネスがうまくいっていることを示しています。ただし、売上総利益率が低めでも、薄利多売でビジネスを成り立たせて順調に成長している企業もあります。業績が好調でも売上総利益率が低い場合は、そのような経営戦略を取っている企業と分析することが可能でしょう。

本業で得られた収益の割合がわかる

売上営業利益率とは、売上高の何パーセントが経営利益につながっているのかを示す指標のことです。営業利益を売上高で割り、それに100を掛けることで求められます。売上営業利益率の数値が高いほど本業で利益を上げていることを示しており、数値が低すぎる場合には経費の見直しが必要です。

通常営業で生じる利益がわかる

売上高経常利益率は、売上高のうちどれだけの割合が経常利益につながっているのかを示す指標です。本業以外の資金調達なども含めて、通常の事業活動が支障なく行えているかを表します。

売上高経常利益率を求めるには、経常利益を売上高で割った数値を100倍することで計算します。この数値がマイナスである場合は赤字経営を意味するため、ただちに経営を立て直す必要があるのです。

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まとめ

損益計算書は、財務三表のうち利益についてまとめた書類です。損益計算書に記載された項目を精査することで、その企業の経営状態を読み取れます。

そのため、損益計算書を分析することで企業の経営改善に繋げることができます。損益計算書の作成に時間をかけるよりも、分析に注力した方が良いでしょう。

ERPを活用すると、損益計算書の作成に必要なデータがすべてそろっているため、効率的な作成が可能になります。経理を含む10のモジュールで構成された完全統合型Web-ERPの「GRANDIT」は、業種・業態・目的に応じたソリューションやテンプレートを用意しているため、あらゆる企業におすすめです。


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