CAPEXとOPEXとは?4つの違いと削減方法・注意点

 2023.07.10  株式会社システムインテグレータ

経済産業省が推奨するDXの推進では、2025年の壁を超えるためのさまざまな改革が求められています。企業会計の支出にはCAPEX(資本的支出)とOPEX(運用維持費)というものがあり、これらの支出を適切に管理、計算することでキャッシュフローの改善が見込めるでしょう。CAPEXは設備投資に関するコストを指し、設備を見直すことはDX推進に大きく関係します。一方、OPEX(運用維持費)は事業のランニングコスト(人件費を含む)を指し、業務の見直しは労働環境の改善に効果的です。

今回はこのCAPEXとOPEXに注目し、両者の概要や特徴、2つの違いや注意点などを解説します。

CAPEXとOPEX

まずは、CAPEXとOPEXそれぞれの言葉の定義や内容を整理していきます。

CAPEXとは

CAPEXは「Capital Expenditure」の略称で直訳すると「資本的支出」、つまり設備投資や初期費用を指します。固定資産の購入や維持、改修など価値や耐用年数を伸ばすために行う支出がCAPEXです。

支出には減価償却が伴うため、積極的に設備投資を行う企業などはCAPEXが増加傾向にあります。また、常に最適に機能させようと設備を増大すると、保守・運用費用がかかります。設備投資が過剰になれば資産の価値は下がり、支出としても会計を圧迫するでしょう。

OPEXとは

OPEXは「Operating Expense」もしくは「Operating Expenditure」の略称です。多くは損益通算書の販売費や一般管理費(配管費)に含まれ、事業運営上継続して必要な費用の総称となります。業界によって指すものが異なり、製造業ならば作業人員の人件費、工場の水道光熱費などです。不動産業ならば不動産維持にかかる固定資産税や損害保険料などが挙げられます。この他、OPEXには以下のような費用が含まれます。

  • 人件費(給与手当・退職金・福利厚生費など)
  • 広告宣伝費
  • 研究開発費
  • 旅費交通費
  • 通信費
  • 水道光熱費
  • 修繕費(メンテナンス費)
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CAPEXとOPEXの違い

CAPEXとOPEXは主に4つの違いがあります。税務会計上ではこの違いに注意しながら取り組まなければなりません。

会計・経理上の扱いの違い

会計・経理上では、CAPEXは「資産」、OPEXは「経費」に分けられます。CAPEXは長期的に減価償却を行う資産のため、固有の勘定項目がなく損益計算書で把握しにくいという特徴があります。明確に管理できる会計手法がないため、資金繰りを定期的に見直す必要があるのです。ただし、CAPEXの一部に関しては、減価償却費などから確認できる費用もあります。

一方、OPEXは発生した都度計上されるため、金額を容易に把握できます。損益計算書の「販売費及び一般管理費」に計上されるほぼすべての費用が対象です。なお、ローン金利や減価償却費などはOPEXに含まれません。

税金の扱いの違い

CAPEXは、自社の資産価値を挙げるための支出にあたるため、固定資産税の課税対象です。一方、営業費用など一部のOPEXの支出は、「DX 投資促進税制」という税控除を活用できます。ソフトウェアや繰延資産、機械装置や器具備品などの設備が対象で、3~5%の税額控除もしくは30%の特別控除を受けられます。なお、適用にはデジタル要件(D要件)と企業変革要件(X要件)両方を満たす必要があります。

管理方法の違い

CAPEXとOPEXは、企業の規模に応じて増加する傾向です。どちらも経営状態を把握する事業指標として用いられますが、管理方法は異なります。CAPEXは既に手元にある「固定資産」で、経費として計上できるのは減価償却費に限られます。多額の購入費用となりやすく、費用そのものではなく資産を計上するようなイメージです。

OPEX はいわゆる「経費」で、損益通算書で数値を把握します。日次処理や仕訳といった経理をきちんと行っていれば、改善策も検討しやすくなるでしょう。イメージとしては、個人加入しているサブスクリプションのような意味合いです。CAPEXの管理には、会社の経営や財務状況が分かる財務諸表、いわゆる決算書が便利です。特に「財務三表」とされる「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」は「財務三表」はCAPEXの管理に欠かせません。

OPEXに関しても、規模が大きくなり従業員も増えれば消耗品費や光熱費は増加します。業界によって占める比率は異なりますが、むやみに減らすと現場の混乱や業務効率を低下させるリスクがあります。特に、人員削減においては人員配置の適正化や業務改革と並行させるのが大切です。

増加が意味することの違い

CAPEXもOPEXはいずれも事業運営にかかるコストのため、採算がとれないほど増加してしまうことは防がなければなりません。また、現在のコストに関しても定期的な見直しや削減も必要です。

設備投資を積極的に行う企業の場合、CAPEXの指標は増加します。指標には、新たな工場や事業所の増設、自社のPC設備の刷新などが含まれます。しかし、投資には費用対効果が求められるため、当初予測していた利益が出ない場合、財務状況や資金繰りを圧迫してしまいます。

OPEXはいわば経費のため、定期的な見直しと削減が大切です。増えすぎた経費は削減が必要なものの、悪影響ばかりではありません。OPEXが増加している場合は事業運営に投資しているか、OPEXモデルへの移行を進めている可能性があるでしょう。

CAPEXの削減方法:CAPEXのOPEX化

では、なぜCAPEXを削減することが求められているのでしょうか。続いては、CAPEXのOPEX化について解説します。

OPEX化の例

設備投資などのCAPEXは、一度資産になると維持コストが赤字であっても容易に手放せるものではありません。しかし、時代遅れとなった非効率なシステムを使い続けるほど、収支を圧迫するのも事実です。そこで注目されているのが、CAPEXのOPEX化です。パソコンやソフトウェア、サーバーなどの運用コストがかかりやすい設備は、導入から年数が経つほど保守運用に人手や時間を要しやすく、OPEX化を検討する余地があります。現在はさまざまなクラウドサービスが普及してきたこともあり、大容量の環境を自社で構築するより、維持面・コストの面で負担を減らせるでしょう。

OPEX化は、DX推進にも通じるものです。既存のITシステム環境から各種クラウドサービスへの移行により、リスク軽減や生産性の向上、時代に即したITシステムを構築できるでしょう。

CAPEXをOPEXに移行する理由

DX化に伴い、特にIT分野でCAPEXモデルからOPEXモデルへの移行が後押しされています。これはCAPEX(設備投資)から、OPEX(運営費)に比重を置くことを意味しています。特に、大企業のIT設備投資では、自社で社内システムを構築してきました。しかし、それでは開発人材からシステムの運用コストだけでなく、設備が資産となっても償却までに年単位かかり、廃棄費用の計画も必要となってしまいます。

また、古いシステムの場合はレガシーシステムと化しているケースは少ないため、障害が起こりやすく保守運用に過剰な費用を必要とするでしょう。つまり、CAPEXへ必要以上に投資すると、OPEXの費用も圧迫されます。採算が合わないCAPEX(設備)に投資し続ける意義は見いだせないことからも、OPEXへの移行が重要視されているのです。

CAPEXをOPEX化する際の注意点

CAPEXモデルからOPEXモデルが進められていながらも、OPEXも費用である以上増えすぎてしまわないよう注意する必要があります。また、自社の市場競争力を高めることを考えれば自社事業のコア(核)領域に密接な業務などを内製化するのも重要です。やみくもにCAPEXを削減するのではなく、状況を注視しCAPEXにかかるコストと価値の最適化を図る視点が大切です。

OPEXの削減方法

OPEXは事業規模が大きくなるにつれて増えていきますが、OPEX(経費)削減で重要なのは「企業の利益を最大化させること」です。ここでは、3つの経費の削減方法を紹介します。

なお、コスト削減についての詳細は「コスト削減(経費削減)とは?期待できる効果と見直しのポイント」を参考にしてください。

人件費の削減

人件費の削減は、既存従業員のパフォーマンスを向上させるような業務改革(BPR)を優先しましょう。人員配置の最適化により業務効率や生産性が高まれば、従業員の働きやすさも改善し残業代といったコストを削減できます。業務を見直さないまま人員を減らせば、残った従業員の負荷が増え、職場の環境を悪化させてしまうでしょう。業務フローの見直しや研修、マニュアル作成は結果として人件費の削減につながります。人件費削減には「売上高人件費比率」の考え方が役立ちます。

売上高人件費比率は、その企業の売上高に占める人件費の比率を指す言葉で、以下の計算で求めます。

売上高人件費比率=(人件費÷売上高)×100(%)

比率が高いほど売上に占める人件費の割合が多くなるため、この比率を下げるような取り組みが必要です。人件費という金額にばかり注目した結果、売上高まで下がってしまえば売上高人件費比率は下がりません。特にリストラや賃金カットを行えば、従業員のモチベーションと労働生産性低下につながり、比率を上げかねないでしょう。

消耗品費の削減

経費の中でも消耗品費は削減に着手しやすく、目に見えた効果が出やすいのが特徴です。また、消耗品費の経費削減は、利益向上を見込めるメリットもあります。しかし、従業員の協力なしでは成功しないため、掲示物や目に見える結果を周知させる対応が必要です。

削減には電子化によるペーパーレス、再生紙の使用や消耗品のまとめ購入などのアイディアがあります。長期的な視点を持ち、従業員の自主的な行動を促せられれば、結果として現れてくるでしょう。ただし、製品やサービス、従業員のモチベーション低下につながるような支出を削ることは避けなければなりません。

支払い手数料の削減

事業が拡大すれば、取引先への振り込みといった回数も増加します。売買を盛んに行う企業の場合、優先して支払い手数料削減を検討しましょう。回数自体は減らせませんが、振り込みの際に発生する支払い手数料は削減できる項目です。支払手数料は手数料単価を下げるのが基本で、インターネットバンキングや当座預金、振込代行サービスの利用が効果的です。この他、従業員の給与振込口座を同一銀行の同じ支店にするなどの方法もありますが、強制できないため協力を働きかける程度にしましょう。

OPEXを削減する際の注意点

OPEXに含まれる支出は企業のビジネスを支える根幹にあたる支出のため、やみくもに支出削減を図るのは好ましくありません。OPEX削減には以下に挙げるような注意点を意識して進めましょう、

OPEXの削減がサービスの低下を招くことがある

OPEXの支出を適切に管理すべき理由として、OPEXの比率が高くなる傾向の業種では、OPEXを削減しすぎたことでサービス低下を招く恐れがあることが挙げられます。通信業や製造業、サービス業やIT業界が該当します。

例えば通信業は、仮想移動体通信事業者(MVNO)の中でも特にOPEX比率が高く、自社に投資設備を持たない分OPEX削減における長期的な計画が必要です。また、サービス業で特にハイクラスのサービス提供を行っている場合も同様に、OPEX比率は高い傾向です。ブランド価値や顧客満足度向上を重視していることから、他業種に比べOPEXの削減が難しいとされます。

業務改革と並行する必要がある

OPEX削減は、業務改革と並行して進めることも大切です。事業規模に比例してOPEXは拡大する傾向にあるため、消耗品費や光熱費といったOPEXの支出をむやみに削減すると従業員に対する負荷の増加や、生産効率・サービスの質の低下を招きかねません。

例えば人件費は、人員を減らしただけでは現場の従業員の負荷が増えてしまうのは明らかでしょう。人員削減と共に人員配置の適正化を行えば、残業代削減や業務量の適正化が可能です。従業員が日々感じる「働きやすさ」にも関係してくるメリットも期待できます。また、アウトソーシングの比重が多いIT業界なども、業務要件を見直しながらサプライヤーと価格交渉を進めていくと良いでしょう。

一度の見直しではなく定期的な見直しが必要

CAPEXにも通じますが、OPEXは定期的な見直しを必要とします。OPEXを見直せばコスト効率化が可能なため、自社の持続的な成長につながるでしょう。業界や市場の流れは常に変化し続けているため、利益が順調に生み出せている場合でも見直しは必要です。売り上げが伸びているにもかかわらず計上利益が増えていないときは、OPEXの管理になんらかの問題があるといえます。

バックオフィス業務改善ならシステムインテグレータ

多くの企業で人手不足が大きな課題となっていますが、バックオフィス業務にはいまだに属人化した作業やアナログ業務が残っており、企業の成長と発展を阻む大きな壁となっています。
バックオフィスの業務プロセスを最適化することで、コスト削減や属人化の防止だけでなく企業全体の生産性向上にもつながります。
当社はERPをはじめとする情報システムの豊富な導入実績をもとに、お客様一人ひとりのニーズに合わせた最適な改善策を提案します。業務の洗い出しや問題点の整理など、導入前の課題整理からお手伝いさせていただきます。
バックオフィス業務にお悩みをお持ちの方は、お気軽に株式会社システムインテグレータまでご連絡ください。

まとめ

CAPEXとOPEXの削減について解説してきましたが、削減よりも重要なのは無駄を省きコストを最適化することです。移りゆく市場の中で生き残るには、企業会計においてこの2つの支出を常に把握しなければなりません。むやみに削減した場合、作業効率や生産性、従業員のモチベーションが低下しかねないでしょう。CAPEXやOPEXなどの支出の見直しは、DX推進を進められていなかった企業にとって良い機会となります。

ERPを活用することで、お金だけでなく様々な情報を一元管理することができるので、コスト削減の検討もすばやく進めることができます。

比較資料をご用意していますので、ぜひご覧ください。

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