会計システムとは?導入の目的と失敗しない選び方のポイント

 2023.07.10  株式会社システムインテグレータ

会計システムは、会計業務を効率的に進めるために必要なシステムです。このシステムを導入することで企業取引の効率的な記録が可能となり、適切な財務諸表作成に役立つ効果があります。

会計業務は何よりも正確性が求められる業務であり、その業務内容は多岐にわたるため、アナログ対応だと担当者の負担が増えてしまいます。このような会計業務の課題の改善と業務効率化のために、会計システムの導入は欠かせないといえるでしょう。

この記事では会計システムの概要や導入の目的、失敗しない選び方のポイントを紹介します。

会計システムとは

会計システムとは、電子的な取引を記録し、会計帳簿を作成する機能を持ったシステムのことです。このシステムでは、データの入力作業や帳簿の作成、決算書の作成などの会計業務が効率化できます。

これまでの会計業務では、「伝票作成→帳簿転記→試算表作成→決算書作成→経営分析→管理」というように作業が分かれていました。そのため、従来のやり方ではデータを連動させられず、効率が悪かったのです。しかし、現在では会計システムが分けられた作業を連動させ、データを一元化することで会計業務の効率化が可能となりました。

もちろん、会計システムを利用しない従来のやり方で会計業務は行えますが、担当者の負担が増えてしまいます。お金にまつわる業務は心理的負担がとても大きい業務です。担当者の負担が増えてしまうと、帳簿に転記する時にミスすることやストレスによる休職・退職のおそれがあります。

会計システムの種類

会計システムには、クラウド型とオンプレミス型の2種類があります。ここでは、双方のメリットやデメリットを詳しく見ていきましょう。

クラウド型会計システム

クラウド型は、サービス提供会社に使用料を払ってサービスを利用します。インターネット経由で利用できるため、ソフトウェアそのものを購入する必要はありません。

クラウド型のメリットは主に3つです。

  • データはクラウドサーバー上に保存されるので破損の心配をしなくて良い
  • 最新の会計ソフトを利用できる
  • ネット銀行やカード会社の情報と連動可能なので経費処理が楽

クラウド型の場合、会計データはPC本体に保存されず、クラウドサーバー上に保存されます。そのため、PC本体の故障・ウイルス感染などがあってもデータを失わずに済むのです。

また、会計ソフトが法改正や会計基準の改正などでバージョンアップした場合でも、再度会計ソフトをPCにインストールする必要がありません。インターネットにさえつなげれば常に最新の会計ソフトをクラウド上で利用できます。将来的に法改正や会計基準の改正が起こることは避けられませんが、クラウド型ならすぐに対応できるため担当者の負担が増えすぎずにすみます。

さらに、クラウド型はネット銀行やカード会社の情報と連動して自動的に明細を取得するように設定できるため、企業内で発生した経費処理の負担が軽減されます。

一方、クラウド型のデメリットは主に3つです。

  • ランニングコストがかかる
  • インターネットに繋がらなければ利用できない
  • 全ての機能を使いこなせるようになるまで時間がかかる

前述したように、クラウド型は会計ソフトをPCにインストールする必要がなく、インターネットに接続してクラウド上で最新の会計ソフトを利用します。つまり、会計ソフトを利用し続ける限り毎月一定のランニングコストがかかるのです。

また、インターネットに繋がらない環境ではクラウド型会計システムを利用できません。障害が発生した場合や大規模な停電が生じた際は利用が困難です。

さらに、最初から会計ソフトの全ての機能を使いこなすことは難しいため、必要に応じて会計ソフトの提供会社からサポートを受けつつ、クラウド型の会計ソフトを理解しましょう。

オンプレミス型会計システム

オンプレミス型は、パソコン本体に会計ソフトをインストールして利用します。さまざまな企業で利用されているもので、インターネットに接続せずに利用できる点が特徴です。社内ネットワーク内のみで利用するため、セキュリティ面でも安心です。

反対に、バージョンアップのたびに再度ソフトをインストールしなければならない点はデメリットといえます。PCを買い替えた際に再度インストールが必要な上、複数人のPCに導入するとなった場合、再インストールに手間がかかります。

会計システムの役割・機能

会計システムに標準で搭載されている機能は財務会計システム、管理会計システム、債務・支払管理システムの3つです。ここからは、それぞれの役割・機能について解説します。

財務会計システム

財務会計システムは会計システムの中でも基本的な機能であり、企業の経営状況の開示をするために財務諸表などを作成する役割があります。自社の経営状況を外部の株主や経営者に明示することは、取引の際にとても重要な要素です。財務会計システムは、日常的な仕訳入力サポートや決算書の自動作成・帳簿出力などの機能が搭載されています。これらの機能を活用することで、煩雑な会計業務を効率化できるのです。

なお、会計システムを利用して財務諸表を作成することがメインの目的のため、あえて財務会計としてはタグ付けしていない会計システムも多いようです。

管理会計システム

管理会計システムは、自社の経営状況を管理するためのシステムです。財務会計システムが外部の株主や経営者向けなのに対して、管理会計システムは自社の経営に生かすための資料作成などの機能が搭載されています。自社の経営状況はどうなっているのか、セグメント利益・負債は適切な数値になっているかなどをデータとして確認可能です。このシステムのデータを確認することで、経営状況のどこに課題があるのかが分かります。

また、これまでの業績と比較した表やグラフなどを利用できる管理会計システムもあり、最近では各グラフの色分けされたものが自動的に生成される機能が増えています。表やグラフから、お金を意識させるのか取引先を意識させるのかなど、サービス提供会社の工夫がうかがえるでしょう。

債務・支払管理システム

債務・支払管理システムは、未払金や買掛金などの債務情報、入金や売掛金などの債権情報の集計をして一元管理するシステムのことです。支払予定日や債務残高の把握、債務の支払処理、債権の入金確認を行います。管理会計システムや財務会計システム、その他の部署のシステムと連携することで債務や債権の計算、仕訳処理などが可能です。企業の予算がどのように使用されているのか正確に把握し、問題があれば改善するために必要なシステムといえます。

また、債務管理は外部へのお金の流れを管理するため、入金よりも慎重にならざるをえません。そのため、中には支払予定に締めを設け、権限者が事前に確認するステップが搭載されているシステムもあります。

会計システム導入の目的

会計システムを導入するときは何のために導入するのか目的を明確にしておかなければなりません。ここでは、会計システムを導入することによる効果を解説します。

業務の効率化 

経理業務は、毎日発生する取引を手動で入力する作業が不可欠です。経理業務の中でも仕訳伝票の起票作業が大きな負担となっていますが、会計システムを導入することで効率化が可能になり、担当者の負担が減ります。例えば、定期的に発生する仕訳を一括入力したり、販売管理システムや外部ファイルの取引データを元に自動で起票したりすることで効率化を実現できるのです。このように、業務の効率化はバックオフィスのコスト削減につながります。

コスト削減については「コスト削減(経費削減)とは?期待できる効果と見直しのポイント」の記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。

ミスの防止

会計システムを導入することで手書きや手入力による人的なミスを防げます。よくある人的なミスの例を挙げると、入力ミスや残高の不一致、二重計上などです。これらのミスを防げるだけでなく、万が一ミスが発生しても該当箇所の特定ができるため簡単に修正ができます。その結果、月末や期末で行う締め作業の負担の軽減が可能です。

また、会計システムの機能には、計算が合わないデータが入力されたときに警告を出すような機能が備わっています。この機能のおかげで計算が合わないといった問題を解決し、修正にかかる時間を大幅に短縮できるのです。

税制改正への対応

税制が改正されても対応可能なのが会計システムの魅力の一つです。税務署に申告する機能も搭載されており、アップデートにより税制改正に対応します。そのため、企業側で制度変更に伴う対応を減らせます。クラウド型の会計システムは自動的にアップデートされ、制度が改正されても変更に伴う負担を最小限にできるというのがメリットです。

また、IFRS(国際会計基準)に対応する帳簿を用意する場合、通常は複数の帳簿が必要ですが、会計システムなら複数の帳簿の作成と管理が可能です。もちろん、入力するデータは普段通りで問題ありません。普段通りのデータを入力するだけで、これまでと切り口の違う帳簿を出力できます。

電子帳簿保存法への対応

電子帳簿保存法の要件が緩和されたことで、これまで紙で保存していた帳簿をデータで保存しておけるようになりました。会計システムなら、最初からデータで保存しているのでコストがかからず、容易に対応できます。

リアルタイム分析と経営判断の迅速化

会計システムを導入するとリアルタイムで自社の経営状況が分かります。具体的には、財務分析や経営管理、損益分岐点分析や事業部別損益計算書などの分析が可能です。早く・正確に自社の経営状況が分かるため、もし業績が悪化するような兆候があれば早めに察知して軌道修正ができます。

会計システムの選び方のポイント

会計システムを選ぶ時は、「必要な機能が備わっているか」「複数人で利用できるか」「導入しやすいか」「セキュリティ対策がなされているか」「サポート体制は十分か」を確認した上で自社に合ったものを選ぶようにしましょう。最後に、それぞれのポイントを紹介します。

必要な機能が備わっているか

会計システムには、専門的な知識がなくても日々の業務をスムーズに行える機能があります。例えば、事前に銀行口座やクレジットカードと連携しておくことで取引履歴から自動仕分けができる自動仕分け機能、用語の説明をしてくれるサポート機能などです。会計システムによって搭載されている機能が異なるため、会計システムを導入する目的にそった機能を搭載しているものを選ぶと良いでしょう。

複数人で利用できるか

会計データを顧問税理士や会計事務所に確認してもらう場合もあるでしょう。しかし、リアルタイムで会計データを共有できる会計システムでないとその都度判断を仰ぐことになり、他の業務が滞ってしまいます。これを回避するためには会計データを複数人で利用できる会計システムを選ぶ必要があります。

また、複数人で利用できるという機能は大切ですが、リアルタイムで誰がどの部分の作業をしているのか作業状況を把握できる機能があるとより効率的に作業できるでしょう。 

導入しやすいか

導入しやすいかどうかも大切なポイントです。ただし、導入した会計システムに自社にとって必要な機能が搭載されていなかった場合、調整が必要なこともあります。また、システム運用を長期的に考えると会計システムの導入後に制度改正が実施されることもあるでしょう。制度改正が実施された時に対応できるような、拡張性や柔軟性を併せ持った会計システムを選ぶことは導入しやすさにも通じます。また、他のシステムとの連携や無料トライアル期間の有無なども確認し、長期間運用することを前提に導入のしやすさを考えるようにしましょう。

セキュリティ対策がなされているか

会計システムは入力や修正がしやすいという特徴がある反面、データの改ざんも容易です。紙の帳簿は書き換えできませんが、会計データは印刷さえしなければ証拠が残らないことから、不正行為をしやすいという特徴があります。会計データの改ざんリスクを回避するために、パスワードを設定したり作業者によって権限を制限したりするなど対策を立てておくことが重要といえるでしょう。

また、一般的な会計システムには必ずバックアップ機能が搭載されており、簡単に帳簿データが消失しないようになっています。しかし、帳簿データが同一のディスク上にある場合、通常のデータとバックアップが同時に損傷することもあります。そうならないためにも、バックアップデータをどこに保存するかという点が大切になります。通常のデータとバックアップデータが同時に損傷しないように、異なる場所に保存しましょう。

サポート体制は十分か

会計システムを導入して効率的に運用していくためには、十分なサポート体制が不可欠です。会計システムを導入する前にサポート体制はどうなっているのか確認し、サポート受付時間は何時まで対応してもらえるのかなども調べておきましょう。なぜなら、業務中にサポートを受けられないと業務に支障をきたす恐れがあるからです。サポートの受付時間と、自社の業務時間が合っているかをよく確認しましょう。

バックオフィス業務改善ならシステムインテグレータ

多くの企業で人手不足が大きな課題となっていますが、バックオフィス業務にはいまだに属人化した作業やアナログ業務が残っており、企業の成長と発展を阻む大きな壁となっています。
バックオフィスの業務プロセスを最適化することで、コスト削減や属人化の防止だけでなく企業全体の生産性向上にもつながります。
当社はERPをはじめとする情報システムの豊富な導入実績をもとに、お客様一人ひとりのニーズに合わせた最適な改善策を提案します。業務の洗い出しや問題点の整理など、導入前の課題整理からお手伝いさせていただきます。
バックオフィス業務にお悩みをお持ちの方は、お気軽に株式会社システムインテグレータまでご連絡ください。

まとめ

会計システムを導入することで、業務のミスを低減しつつ、負担を軽減できます。何のために会計システムを導入するのか目的を明確にし、選び方のポイントを参考に自社に合った会計システムを選択しましょう。

また、会計システムだけでなく、ERPを活用することで、お金だけでなく様々な情報を一元管理することができるので、さまざまな経営判断をすばやく下すことができます。

比較資料をご用意していますので、ぜひご覧ください。


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