画像処理アルゴリズムとは?使用するメリットや導入時の注意点を解説

 2022.12.13  株式会社システムインテグレータ

「画像処理アルゴリズム」は、高度な画像処理に用いられるコンピュータ技術であり、製造物の外観検査やレントゲンの画像診断、スマートフォンの個人認証など、さまざまな場面で活用されています。

当記事では、画像処理アルゴリズムの詳細をはじめ、使用するメリットや導入時の注意点などを解説します。

画像処理アルゴリズムとは

「画像処理アルゴリズム」とは、高度な画像処理に用いる技術で、画像のノイズ除去や明瞭化、圧縮、特徴の抽出、強調、補正などが可能です。

近年の製造業においては、製品の外観検査をAIで自動化する際に画像処理アルゴリズムを用いるケースが増えてきました。外観検査に用いるアルゴリズムはメーカーによって異なるため、導入の際には注意して選定する必要があります。

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画像処理を行うためのアルゴリズムの種類

画像処理アルゴリズムにはいくつかの種類があります。ここでは画像処理の基本と、画像の強調や解析を行うアルゴリズムについてご紹介します。

画像処理の基本

画像処理の基本操作には「ROIベースの処理」「近傍処理」「ブロック処理」の3つがあります。

ROIは「関心領域(Region of Interest)」の略で、処理を実行する対象領域のことです。関心領域を1、それ以外の領域を0として設定するバイナリマスクを作成することで定義します。画像の一部分にだけ処理を施す場合に行われる操作です。

次に「近傍処理」は「イメージ処理演算」の一種です。対象となるひとつのピクセルと、それに対する位置によって定義されるピクセルの集合「近傍」を処理します。よく用いられるのが、ピクセルの近傍の情報を活用して、1イメージにつき1ピクセルずつ処理する「スライディング近傍演算」です。

そして「ブロック処理」は、対象のイメージを複数の重ならないセクションに分割し、個別にアルゴリズムを適用する手法です。

画像の強調

画像を強調する手法には、「コントラスト調整」や「フィルター処理」「モルフォロジー演算」「ブレ除去」などが挙げられます。

コントラスト調整は、画像の明るさを変化させて改善する手法、フィルター処理はフィルターを適用して、特徴の抽出や除去などを行う手法です。モルフォロジー演算は、画像に入り込んだノイズを除去する処理で、一般的に膨張と収縮のアルゴリズムを用いられます。

画像解析

画像解析には、「オブジェクト解析」や「テクスチャ解析」のほか、画質の測定やセグメンテーション、画像変換などが含まれます。

オブジェクト解析は、製品の輪郭やコーナーを検出する手法です。円や直線の検出には「ハフ変換」のアルゴリズムが用いられます。テクスチャ解析は、テクスチャの内容から表面の粗さや光沢などの質感を解析し、関数として定量化します。

画像処理アルゴリズムを使用する3つのメリット

画像処理アルゴリズムはさまざまなシーンで用いられていますが、その代表例が外観検査システムです。ここでは外観検査における画像処理アルゴリズム導入のメリットとして、人件費の削減、業務精度の向上、自動化による事故防止についてご説明します。

人件費の削減

画像処理アルゴリズムを搭載した外観検査システムが製品の検査を行ってくれるため、従来のように検査員を配置する必要がなくなり、人件費を削減できます。

検査に必要な人員を減らせばその分、ほかの業務へ多くのリソースを割けるようになるでしょう。コア業務に多くのリソースを投入することにより、生産性の向上効果も期待できます。

検査の精度向上と効率化

外観検査システムの導入により、業務精度の向上を実現できます。AIは人間のように疲労が溜まったり、集中力を切らしたりする心配がありません。常に一定のパフォーマンスを発揮するため、ヒューマンエラーの発生を防ぎ、検査精度の向上が期待できます。さらに、AIは稼働すればするほど学習し、それに比例して精度も向上します。導入後も継続的に学習することで検査精度が高まっていきます。

事故の防止

検査プロセスの自動化により検査に人員を割く必要がなくなるため、従業員の負担を軽減し、事故や怪我の防止につながります。

過酷な職場環境では、従業員の疲労が溜まりやすくなり、ミスによる事故の誘発、集中力の低下による怪我の発生などのリスクが高まります。検査システムを導入することで、人間の対応が不要になるため、このようなリスクを排除できます。

画像処理アルゴリズム導入時の注意点

画像処理アルゴリズムの導入には、相応の初期費用が発生します。自社にマッチしたアルゴリズムの開発費用に加え、カメラやセンサーなどの導入費用や設置費用なども必要です。また、システムをいきなり開発して運用を始められるわけではなく、検証や実証も行わなければなりません。運用開始までに工数とコストが発生するほか、サービス提供企業のサポートを受ける場合、別途その費用も必要でしょう。

検査のプロセスがなくなれば、業務の取り組み方も変わります。それに伴い、新たなルールの策定や従業員への指導、配置変換なども欠かせません。このように、画像処理アルゴリズムの導入時には、さまざまな手間やコストが発生することを留意しておく必要があります。

まとめ

昨今は画像処理アルゴリズムを使ったシステムの導入により、人件費の削減や業務精度の向上などを図る企業が増えています。特に製造業においては画像認識技術を使った外観検査の自動化が注目を集めています。外観検査の自動化についてまとめた資料もありますので、ご興味がある方はぜひご覧ください。


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