今改めて考えたい「IT教育」の在り方!国内と海外の取り組みの違いを紹介

 2021.10.04  株式会社システムインテグレータ

現在、日本は国を挙げてIT技術の活用に取り組んでいます。しかし、肝心のIT人材の確保ができるまでIT教育が普及しているとはいえません。そこで、本記事では海外のIT教育の現状に触れつつ、改めてIT教育の意義について考えていきます。最後にはプログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」についても紹介します。

日本のIT教育の現状

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2021年度のデジタル庁の開庁からもわかるように、現在の日本ではIT技術の活用が進められています。このIT活用の流れは教育分野にも及んでおり、2020年には全国の小学校でプログラミング教育の必修化がスタートしました。

こうしたIT教育への取り組みの背景には、主要先進国に比べて日本のIT人材が社会的に不足していることへの危機感があります。2021年3月に経済産業省が発表した「我が国におけるIT人材の動向」においても、日本のIT人材は大都市のIT関連企業に集中しており、他国に比べてユーザー企業に就職する割合が顕著に低いことが報告されています。つまり、IT人材やIT技術は極度に専門化されており、社会全体に十分に広がるには至っていないことが示されています。こうしたIT人材の偏りは国全体・社会全体でデジタル化を進めるにあたって、大きな障害になることは想像に難くないでしょう。
(参照元:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_jinzai/pdf/001_s01_00.pdf

ITの活用が社会全体に広がっていない深刻な実態は、教育現場にも影響を及ぼしています。たとえば、2018年に実施された国際調査を比較した資料では、日本は教室の授業でデジタル機器を使う時間や、学校の勉強のためにインターネットを活用する頻度が、OECD(経済協力開発機構)加盟国の平均値を大きく下回っていることが示されています。学校のIT環境の整備が十分ではなく、IT機器を活用して授業をする教師の不足も影響していると考えられます。
(参照元:https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/06_supple.pdf

今の子どもたちは生まれたときからパソコンやインターネットが身の回りにあった「デジタルネイティブ」世代ですが、それでもデジタル機器の活用の仕方は非常に限定的な範囲にとどまっていると言えます。そのため、日本のIT教育は遅れを取り戻していかなければなりません。

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ITとICTの違い

デジタル化とともによく知られるようになった言葉である「IT」と類似したものに「ICT」があります。両者は大抵同じような意味合いで使われますが、ニュアンスは若干異なります。まず、ITは「Information Technology」の略語で、「情報技術」と訳される言葉です。対して、ICTは「Information and Communication Technology」の略で、「情報通信技術」と訳されます。

ITがPCやネットワークなどハードウェアも含めた情報技術一般を指すのに対して、ICTはとりわけインターネットを用いたコミュニケーションなど、技術活用の方法などに対して使われる言葉です。とはいえ、近年この2つの言葉の境界線はますます曖昧になってきており、海外ではITの意味合いまでも含めてICTという言葉が多用されています。そして、日本においても海外基準に合わせて、ICTという言葉を使う機会が多くなりつつあります。

IT教育の目的

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IT教育の主な目的は、2つの側面から述べられます。

第一の目的は「IT人材の育成」です。先に触れたように、日本社会におけるIT人材の分布は非常に偏っていて、各産業に広げていくには人材不足が問題視されています。今は幼い頃からパソコンやタブレットを使い慣れている子どもが増えていますが、さらにプログラミング教育など「IT技術を提供する側」に回るための教育を実施することによって、国民全体のITリテラシーを向上させ、将来的なIT人材を充実させる狙いがあります。

第二の目的は、デジタル機器やICT技術の活用による「教育活動の効率化」です。これは子どもたちの学習効果を上げるだけではなく、教員の労働負担の軽減なども含まれます。たとえば教育現場では大量のプリントを使用しますが、それがペーパーレス化されれば教員は煩雑な印刷業務から解放されます。また、インターネットや教育アプリを使った学習法が広がれば、家庭学習の質を上げる効果も期待できるでしょう。

なぜプログラミングを勉強する必要があるのか

先だって触れたように、日本の小学校においては2020年にプログラミング教育が必修化されました。しかし、全員が全員プログラマーになるわけでもないのに、なぜプログラミング教育が必要なのでしょうか。

まず、前提として押さえておきたいのは、「プログラミングを習わせること」は「プログラマーを育てること」とイコールではない点です。近年は習い事として子どもをプログラミング教室に通わせる保護者も増えていますが、そうした保護者の方にしても、必ずしも子どもをプログラマーにしたいわけではないでしょう。

小学生にプログラミングを習わせるのは、あくまでも子どもたちの可能性を広げるためです。現代社会においては、ICT技術をまったく使わない職場はほとんどないと言っても過言ではありません。それゆえに、たとえプログラマーを志望していなくても、プログラミングの基本知識やその考え方を教養として身に付けておくと実社会で役立つでしょう。

これは作家や記者を目指していなくても、説明能力や読解能力といった基礎的な能力を鍛えるために全国民が国語を学んだ方がよいというロジックと同じです。実際、プログラミングの学習は、子どもに論理的思考能力を身に付けさせるのにも適しています。

また、プログラミング教育を通して国民のITリテラシーを底上げできる点は、日本社会全体にとって大きなメリットがあります。たとえば、DXのために自社に新しいシステムを入れる際にも、なぜそのシステムが必要なのか、そのシステムの特徴は何かを知るためには、やはり基本的なIT知識は必要になるでしょう。このように国全体でITの活用を進めていくためにも、プログラミング教育は非常に重要なものだと言えます。

IT教育に関する国内の取り組み

主な国内の取り組みとしては、第一に、教育系アプリの開発やタブレット端末の配布、電子黒板の導入が挙げられます。これらはどれも子どもの学習効果を上げるのに有用なものです。

また、教師をサポートするシステムの充実も進められています。教員の過重労働は日本が抱える長年の課題ですが、提出物の作成や受取といった煩雑な管理業務を効率化するシステムの導入で、教員の負担が軽減され、子どもの教育やコミュニケーションにより専念できる環境を整えられると期待されています。

IT教育に関する海外の取り組み

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IT教育の推進は、海外においても積極的に取り組まれています。そこで、日本よりも進んだIT教育を実践している諸外国の取り組みについて簡単に見ていきましょう。

アメリカ

多くの世界的IT企業が本拠を置くIT大国であるアメリカは、官民が共同して積極的にIT教育を行っています。州の方針によって教育が左右される側面はありますが、学校によってはJavaやVisualなど基本的なプログラミングの学習や、オンライン授業も積極的に導入されています。またAppleやMicrosoft、Googleなど、世界的IT企業の協賛によって設立された「Code.org」というサイトでは、無料でIT教育を受けることも可能です。

イギリス

積極的にIT教育に取り組む国が多い欧州において、イギリスはとりわけ早い時期からIT教育に注力していた国として有名です。1995年には既に「IT」という科目を学校に取り入れています。さらに2014年には小学校の教科として「Computing」を追加し、「コンピューターサイエンス」「情報技術」「デジタルリテラシー」の3つを柱に初等教育から一貫してIT教育を実施しています。

オーストラリア

オーストラリアではITの授業に限らず、普段からパソコンを利用した授業が実施されており、教育に関するデジタルコンテンツの提供など国からのサポートも万全です。また、インターネットを利用した自宅学習の整備も進められています。

エストニア

エストニアは行政サービスの99%が電子化されているなど、積極的にITを社会に取り入れている国です。コミュニケーションツールとして有名なSkypeが、エストニアで生まれたことを知らない人も多いのではないでしょうか。エストニアでは2012年に発足した政府関連組織「Tiger Leap基金」が主導となり、プログラミング教育を進めています。プログラミングの教育や普段の生活を通じて、多くのエストニア国民がIT技術を身近なものとして受け入れています。

ロシア

多くのエンジニアを輩出しているロシアもIT教育に注力している国のひとつで、国の定めた基本カリキュラムを土台に州ごとに教育を実施しています。ロシアの初等~中等教育に当たる2年生から11年生にかけて、全ての子どもがITを学習します。初等教育ではアルゴリズム、中等教育ではプログラミング教育が主な学習内容です。初等教育からプログラミングに触れることで、ロシアの国民は自然とITを身近なものとして捉えています。

IT教育に最適なプログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」

IT先進国と言われる国では多くの場合、初等教育の段階からIT教育を実施することで、国民のITリテラシーの向上を図っています。IT以外の勉強や習い事と同じように、プログラミング学習に向けたモチベーションを向上させたり、より学習効果を上げたりするためには、定期テストのように自分の実力を見える化する機会を設ける方法がおすすめです。

当社、株式会社システムインテグレータは、プログラミングスキルを客観的に判定できるサービス「TOPSIC」を提供しています。従来、プログラミングスキルは客観的な指標による判断が難しいスキルでした。しかし、TOPSICは、初心者から上級者まで、エンジニアのプログラミングスキルをリアルタイムに判定できます。TOPSIC は、TOEICのプログラミング版で、多くの企業が採用人事の評価項目として用いているほか、大学や高校などの教育現場においても活用されています。

TOSPICには、TOPSIC-PGとTOPSIC-SQLの2種類があり、TOPSIC-PGはプログラミングの基礎であるアルゴリズムを中心としたスキル判定に対応しています。一方、TOPSIC-SQLはデータベース言語であるSQLの実務的スキルを判定するサービスです。このようにTOPSIC-PGとTOPSIC-SQLはそれぞれ重点を置いているスキルが異なるので、TOPSICを利用する際は自身のニーズに応じた判定サービスを選択しましょう。

まとめ

現状の日本のIT教育はIT先進国と比較して遅れていますが、今後プログラミング教育の必修化などによって好転していくと期待されます。誰もが将来プログラマーになるわけではないですが、「IT人材の育成」においてプログラミング基本スキルの習得が日本でも注目されています。プログラミングの教育・学習、IT人材の採用(スキルチェック)に活用できるサービス「TOPSIC」についてもご紹介しました。

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