ERPで帳票のペーパーレス化は実現できるか

 2018.08.28  株式会社システムインテグレータ

領収書で財布がパンパンという経験はありませんか。領収書が電子化されたら、さぞかし財布もスッキリしますよね。
企業のオフィスを見渡すと、棚や引き出しも紙の書類でパンパンとなり、オフィススペースや業務効率、利益を圧迫しています。そんななか国も時代の流れに乗って企業のペーパーレス化を推進する法律を定めました。今回は、ペーパーレス化がどのくらい進んでいるのか、またその実現方法について、ご説明します。

帳票の種類

まず、最初に企業にはどんな書類(帳票)があるのでしょうか。

①法定帳票

法人税法や会社法において、保存期間が定められている帳票を「法定帳票」と言います。「法定帳票」には以下のような種類があります。

保存期間

帳票種類

10年

決算書、総勘定元帳、仕訳帳、B/SP/L、キャッシュフロー計算書、補助元帳

7年

見積書、発注書、発注請書、請求書、領収書、小切手、有価証券取引に関する書類

5年

監査報告書、会計監査報告書

上記は一例ですが、この他にも多くの法定帳票が存在し、個々に保存期間が定められています。個人に置き換えると、お店でもらった領収書を種類ごとに、何年も保管しないといけないということです。個人だと領収書で財布がパンパンになり、財布が型崩れするくらいのダメージですが、企業が紙で帳票を保管すると、多くの問題が発生します。

先ずは保管スペースです。多くの帳票を最大で10年間保管するため、その分のオフィスや倉庫のスペースが必要となります。

ERPに関するお役立ち資料

次に紙の書類で運用するための紙代やインク代です。また監査法人の監査を受ける際にも紙の資料だと検索性が非常に悪いため、監査法人の拘束時間が非常に長くなり、監査費用の増加にもつながります。

②法定外帳票

1以外の社内で作成される独自の帳票です。例えば、部門別売上や営業担当者別売上、予算実績対比表といった、自社の状況を把握するために経営者や管理者が使うものです。

このような、いわゆる管理用の帳票は上層部の人たちが集まる会議で紙に印刷して、配られることが多いです。そうすると、印刷ミスや直前の修正などが発生すると、既に準備された書類を破棄して印刷し直すこともよくあります。また配布された資料は見ることも少ないのにアシスタントがインデックスを付けてファイリングするというようなことも、しばしばあります。

ペーパーレス化とシステム

①ERPと法定帳票

法定帳票をペーパーレス化するためには、国が定める電子帳簿保存法の以下の要件を満たす必要があります。

真実性の確保

訂正・削除履歴の確保

帳簿に係る電子計算機処理に訂正・削除の履歴が確認できること。

相互関連性の確保

帳簿とその他の帳簿間で、相互の関連性を確認できるようにしておくこと。

関係書類の備付け

帳簿に係る電磁的記録の保存等に併せて、システム関係書類(システム概要書、仕様書、捜査マニュアル等)を備え付けること

可視性の確保

見読可能性の確保

電磁的記録をディスプレイ及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で出力できること。

検索機能の確保

取引年月、勘定科目、金額、その他の項目を検索条件として設定できること。

これらの要件は最近の会計システムであれば、概ね満たすことができます。しかし、会計システムよりもERPの方が要件の充足度は高いのではと考えます。
例えば、「訂正・削除履歴の確保」「相互関連性の確保」の要件について、単に仕訳伝票の訂正・削除の履歴を保持するだけなら、会計システムでも問題ないでしょう。しかし、その会計仕訳を発生させた取引の訂正・削除記録の保持を要求された場合は会計システムでは対応できません。ERPであれば、会計仕訳の発生元の取引までトレースできるため、そうした要求にも対応できます。

②ERPと法定外帳票

法定外帳票の作成においてもERPは会計システムだけより優位性があります。ERPであれば、会計以外の販売・購買・債権債務・人事といった情報も統合的に管理されているので、金額だけでなく数量や取引の明細をリンクさせるなど様々なデータを出力して、帳票の作成が可能です。
昨今では、BI機能を備えたERPもリリースされているため、法定外帳票でもERPを使ったペーパーレス化が実現できるようになっています。

ペーパーレス化を実現するには

①ペーパーレス化の現状

しかし、ERPを導入しても完全にペーパーレス化が実現するわけではありません。なぜなら、日本では紙の文化が根強く残っているからです。

冒頭に申し上げた領収書は、ほとんどのお店が紙で渡してきます。一部では、電子化した領収書をメールで配信したり、クラウド上にアップされた領収書をダウンロードできますが、まだまだ紙の領収書が多いのが現状です。

ERPを導入している企業でも、会議資料を紙で印刷したり、各種伝票の計上を紙で承認したりするケースがあります。
たしかに紙は、会議中にメモを取りたい場合や、必要な情報を手元に揃えておけるという点で、非常に便利です。

このような状況でペーパーレス化を進めるには、システム導入に加えて社内の仕組み作りと意識改革が必要ではないでしょうか。経営トップが紙からの脱却を強力に推奨していくことで、無駄な印刷や保管はなくなっていくのではと考えています。

②完全ペーパーレス化への道

企業単位ではなく、政府が主導してペーパーレスを実現した国があります。1991年にロシアから独立したエストニアです。エストニアでは選挙や医療、各種行政手続きを全てインターネット上で行える仕組みを構築しています。
これを実現させているのが、X-Roadと呼ばれる、行政や各企業のデータベースを連携させている仕組みです。この連携で国民の個人情報を多くの行政機関や企業が共有することができます。国民にはIDカードが付与されており、その付与されたIDで会社の設立登記や選挙への投票、納税、銀行口座へのアクセスなどを全てインターネット上で行うことができるようになったのです。

この例は国(政府)の取り組みですが、企業でのペーパーレス化を進めるにも、場当たり的に帳票1つずつをペーパーレス化できるかどうかを検討するのではなく、「紙を全てなくすには」「全てがデジタル化されたらどうなるか」などダイナミックなアプローチが必要かもしれません。
見積書や注文書、請求書などの各種書類は企業によって異なるので、書類の作成業務は各社が導入しているERPで行うことが最善でしょう。
しかし、その後の印刷費やインク代、郵送費用がかかり、到着までに時間もかかります。
これを無くすために、エストニアと同じく、政府が主導し、対外的な帳票のやり取りをデータで行うプラットフォームを作成すれば、多くのコストと時間が削減できます。
政府主導でこうした取り組みを行えば、根強く残る日本の紙文化が薄れ、ペーパーレス化が加速度的に進んでいくでしょう。

上記は夢物語かもしれませんが、企業のコスト削減や業務効率化だけでなく、環境問題にも貢献できるものです。

GRANDITは企業のペーパーレス化実現に向けて、機能改善をしています。BI機能を標準で備えているのも、その一つです。
また帳票電子化システムであるPaples(日鉄日立システムエンジニアリング株式会社様)との連携を可能にしており、業務効率とペーパーレス化をご提案しております。
帳票の作成、保管について何かお困りのことがあれば、是非お声がけください。

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