データベース製品は数多くありますが、長年世界シェアNo.1を誇っているのが「データベース界の巨人」とも言われる、Oracle社のOracle Database(オラクル データベース)です。
本記事では、データベース業界だけでなくIT業界に携わる方なら知っておくべき製品「Oracle Database」についてご紹介します。
そもそもデータベースとは
データベースとは「構造化した情報の集合体 」であり、データベース管理システム(DBMS)によって管理されます。データベースは構造によって主に「階層型」「ネットワーク型」「リレーショナル型」に分けられます。
Oracle Datebaseとは
Oracle Databaseは、行と列からなる表形式の構造をもつ「リレーショナル型」のDBMSです。今日では、Oracle Databaseを始めDBMSの多くがリレーショナル型であるため、事実上リレーショナル型がデータベースのスタンダードとなっています。
Oracle Databaseは長い間世界第1位のシェアを誇っています。
引用:solid IT(DB-Engines Ranking)
さらにOracle社はクラウドサービス「Oracle Cloud」を展開しており、Oracle Cloudの中でもOracle Databaseが利用可能です。また、最新バージョンでは「自律型データベース」として、今までユーザーにて管理してきたメンテナンス作業が自動化されており、扱いやすくなっています。そのことから、今後も高いシェアを維持されていくものと見られます。
Oracle Datebaseの特徴
Oracle Databaseの大きな特徴は「高い堅牢性を誇り障害に強いこと」「ロックによる待機が起こりにくいため、パフォーマンスが高い」点です。ここでは、Oracle Databaseの特徴をさらに詳しく見ていきます。
1. 高い堅牢性
Oracle Databaseは、障害に対する機能が豊富で、耐障害性が高いです。複数サーバーで同時稼働させ、1台サーバーが停止しても稼働し続けられる「Real Application Cluster(RAC)」機能、災害対策としてデータベースを遠隔地に複製する「DataGuard」機能、データベース内のデータを巻き戻す「フラッシュバック」機能など、障害に対するさまざまな機能により、データベース停止を防げます。
2. 行レベルロック
データ更新中は、他の人が同じデータを同時に更新することがないよう、ロックをかけます。Oracle Databaseでは、このロックの最小単位がレコード(行)となっています。そのため、同じ表であっても行が異なれば更新可能であり、待ち時間発生確率が低いです。
3. 移植が容易
Oracle DatabaseはWindows、Linux、Unixなどさまざまなプラットフォームに対応しており、異なるプラットフォーム間であってもデータ移行は容易です。また、JDBC、ODBCといった規格に対応しているため、アプリケーションからOracle Databaseへの接続もスムーズです。
4. 読み取り一貫性
Oracle Databaseでは、データ読み取り時点の情報を取得できることが保障されています。これは、そのデータを誰かが更新中であっても、更新前のデータを別で保存しているためです。この機能により「誰かが更新中のため読取りが待たされる」ということがありません。
5. サポートが充実している
サポート契約を締結することで、製品の重大なバグや修正パッチの提供が得られます。そのため、Oracle Databaseを扱うには、サポート契約の締結が必須という意見も多いです。
6. 他の製品と比べると高額
Oracle Databaseは高性能な分、他のデータベース製品に比べると、高額なイメージがあります。
- 大規模向けのEnterprise Editionでは1CPUあたり570万円と高額
- オプション機能を使用するにも追加のライセンス費用が発生する
- サポート費用は年々値上がりしていく
Microsoft SQL ServerはEnterprise Editon(2コアパック)$13,748(約145万円)、MySQLやPostgreSQLはオープンソースソフトウェアなため初期費用を抑えられることを考えると、Oracle Databaseは高額といえます。また、可用性を高めるReal Application ClusterやDataGuardといった機能の使用にもオプションのライセンス費用が発生します。
これらのことから、Oracle Databaseは大企業向け、大規模向けというイメージが強いです。しかし、昨今ではクラウドサービス「Oracle Cloud」を使用することで、高機能なOracle Databaseを利用した分だけ支払う形で利用できます。
他のデータベースとの比較
ここでは、同じRDBMSでも特に人気の高い「MySQL」「PostgreSQL 」との比較をご紹介します。
Oracle Database | MySQL | PostgreSQL | |
概要 |
Oracle社が販売する 商用RDBMS |
オープンソースデータベースだが、現在はオラクル社が管理 | カリフォルニア大学バークレー校で開発されたオープンソースデータベース |
ライセンス | 商用ライセンス |
・GPLライセンス ・商用ライセンス |
BSDライセンス |
特徴 | 様々なプラットフォームに対応しており、オラクル社からの手厚いサポートがある。高い安定性を誇る | 複数のストレージエンジンがあり、扱いやすさで評価が高い。 | 基本利用が無料で導入コストを抑えられる |
サポート | Oracle社によるサポート契約あり | Community Editionはサポートなし。その他は有償サポートあり | サポートサービスを提供する企業あり |
ストレージアーキテクチャ | 更新型(対象レコードを更新) | 更新型(対象レコードを更新) | 追記型(対象レコードを残し新規レコードを追加) |
Oracle Datebaseを勉強するなら資格取得がおすすめ
Oracle Databaseに関する知識を得るには、資格取得がおすすめです。Oracle Databaseに関するスキルの照明となる「Oracle Master」は、IT資格の中でも知名度が高く、転職にも有利です。
Oracle Masterは、以下のカテゴリに分かれます。
- Bronze / Foundations Associate:エントリーレベル向け
- Silver / Associate:中級レベル向け
- Gold / Professional:上級レベル向け
- Platinum / Master:実技試験を伴う最高レベル
- Specialist:一部の機能に特化したカテゴリで、基礎レベル
- Expert:可用性やパフォーマンスなど特定分野に特化したカテゴリで、上級レベル
Oracle Databaseは高性能かつ多機能であるため、すべてを把握するのは大変です。そのため、Oracle Master資格の取得を目指して、段階的に知識を深めていくことをおすすめします。
まとめ
本記事では、Oracle Databaseについてご紹介しました。「データベースといえばOracle」と言われるほどメジャーな製品であり、高い堅牢性やパフォーマンスは世界でも高い評価を受けています。システムエンジニアやプログラマーでも何らかの形でOracle Databaseに触れる機会があるため、Oracle Master資格取得を目指すなど、製品知識を得ておくとよいでしょう。