システム運用保守とは?仕事内容、役立つ資格を詳しく解説

 2023.02.10  株式会社システムインテグレータ

昨今では多くの業界・企業で情報システムが使われており、我々の生活には欠かせないものとなっています。システムに障害が発生し停止すると、銀行からお金がだせなくなったり、飛行機が離発着できなくなったりするなど、利用者に大きな影響を及ぼします。

そのため、システムはできる限り稼働し続けなければなりません。システムが稼働し続けるために行っている作業が、システムの「運用保守」です。

本記事では、システムの運用保守の仕事内容・役割について解説するとともに、運用保守エンジニアになるために役立つ資格、必要なスキルをご紹介します。

システム運用保守とは

「運用」と「保守」の2つがある

システム運用保守の作業は、大きく「システム運用」と「システム保守」の2つに分かれます。システム運用とは、システムを日々安定稼働し続けるために行う作業です。システム保守とは、不具合や障害などでシステムに異常が発生した場合に、原因を取り除き復旧させる作業です。

情報システムは開発者によって構築された後、情報システムが安定かつ継続して稼働しつづけられるように守っていくのが運用保守の役割です。運用と保守は作業内容が異なりますが、規模の小さいシステムの場合や、中小企業の現場などでは「運用保守」として担当を兼任する場合もあります。

運用保守の両方を兼任する場合、通常時は運用作業を行い、障害発生時は保守を行いますが、一人が両方を同時に行うことはできません。そのため、規模の大きなシステムなどでは運用担当と保守担当を分ける場合もあります。

 「運用」はシステムを止めないようメンテナンスを行う

システム運用の具体的な仕事内容について見ていきましょう。運用は「システムを安定稼働し続ける=システムを止めない」ことが目的です。そのため、以下のような作業を行います。
・システム稼働状況の監視
・定期的なデータのバックアップ
・定期的なサーバーの再起動
・ソフトウェアのバージョンアップ、パッチ適用
・セキュリティ脆弱性対応
・手順書による定型的なメンテナンス作業

システムの稼働状況を日々監視し、障害が発生するのを未然に防ぐことが主な仕事です。たとえば、長時間稼働によるメモリの断片化解消のために定期的にサーバーを再起動する、障害が発生した際にデータ損失するのを防ぐためにデータのバックアップをとる、といったことが挙げられます。

また、ショッピングサイトのセール期間のように、一時的にシステムへの負荷が大きくなる場合もあります。システムが停止する前にすぐに対応できるよう、稼働状況を監視することも重要な仕事です。

「保守」はシステムに発生した問題を取り除き復旧すること

保守は「システムを障害から復旧させ、安定稼働の状態に戻す」ことが目的です。運用と違い障害が発生してからの作業となるため、突発的に発生する場合がほとんどです。システムが24時間365日稼働し続けている場合は、深夜に対応しなければならないことも少なくありません。

保守の仕事内容は、以下のようなものがあります。
・システム障害の原因究明及び復旧作業
・データ損失時のデータのリストア・リカバリ
・ハードウェア故障時の機器交換
・不具合を解消したプログラムやシステムの導入

システムが稼働できない状況は大きな損失となるため、迅速な復旧作業が求められます。想定外の障害が発生した場合でも、影響範囲の特定および問題となる箇所を早期に突き止め、復旧する必要があります。そのため、保守作業を行うエンジニアは十分な知識・スキルが求められます。

システム運用保守エンジニアになるには

システム運用保守の仕事内容について解説しました。システム運用保守専門の技術職として、「運用保守エンジニア」があります。この仕事をするために必要なスキルや役立つ資格について解説します。

 ITインフラに関する幅広い知識が必要

システムが安定に稼働するためには不具合のないプログラムだけでなく、プログラムが稼働するためのサーバーやネットワーク、データベースなどのITインフラが安定していることが大切です。プログラムは開発者が詳しいので開発者にて対応してもらえますが、ITインフラに問題があった場合はシステム運用保守エンジニアにて原因の切り分け、対応が必要です。

運用業務で稼働状況を把握する、保守業務で原因箇所を特定することを迅速に行うには、ITインフラに関する幅広い知識が欠かせません。また、想定外のトラブルにも対応できるようにするには、知識だけでなく経験も必要です。

エンジニア未経験の人でも、システム運用保守エンジニアを目指せます。最初は稼働中のシステムを監視してシステムの稼働状況を理解することから始め、正常・異常の切り分けをできるようにし、また業務経験を積むことで少しずつ運用保守の仕事ができるようになります。

運用保守エンジニアに役立つ資格

サーバーやネットワーク、データベースなどのITインフラについては、各ベンダーで認定資格を行っているものもあります。たとえば、Windows サーバーOSの場合はMicrosoft認定資格、Linux の場合はLPIC等があります。ネットワークではシスコシステムズが行っているCCNA、データベースであればオラクル社のOracle Masterなどが有名です。

運用・保守作業を行うには、対象のサーバーやネットワークに関する知識が必須です。認定資格を得ることで、その知識を得られるとともに対外的なアピールにも繋がります。

また、製品に限らずシステム運用保守に関する資格もあります。IPA 情報処理推進機構が行っている国家資格「システム運用管理エンジニア」や、ITILファンデーション認定資格などです。

ITILとは、ITサービスマネジメントのベストプラクティス集のことです。ITILファンデーション認定資格はITILの基本的な概念・用語が理解できているかを問われる資格で、世界中で広まっています。

運用保守ガイドライン

運用管理エンジニアによって効率よく、また確実にシステムを安定稼働させるために、運用ルールを定めているものもあります。

政府CIOポータル(https://cio.go.jp/guides)では、政府情報システムの共通ルールとして「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」を公開しています。この中の運用・保守の項目では、運用・保守作業の事前準備から計画、業務の引継ぎなど一連のガイドラインを定めています。

行政・金融システムでは、システム停止の影響が致命的な問題になりかねません。そのため、運用・保守においてルールを決めて安全に作業をすることでシステムを安定稼働させるよう努めています。このような運用保守業務の計画立案、設計も運用保守エンジニアの重要な仕事です。

まとめ

本記事では、システム運用保守について解説しました。我々が当たり前のように利用しているシステムは、運用保守エンジニアの方によって支えられているのです。

運用業務は、システムが安定稼働を続けるために監視やメンテナンスなどの作業を行います。保守業務は、システムに障害が発生したときに迅速に復旧させ、元の状態に戻す作業を行います。

システム運用保守は幅広い知識が求められますが、未経験でも挑戦できる仕事です。運用と保守の違いをしっかり理解しましょう。


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