ETLとは?基本と手順、活用のメリット

 2025.02.10  株式会社システムインテグレータ

社内外のさまざまなデータソースを統合し、効率的にデータ活用を行うには ETL(Extract、Transform、Load) が重要です。本記事では、ETLの基本概念と活用のポイントを紹介します。


本記事では、ソフトウェアテストの重要性や7つの原則などに解説します。

ETLとは

ETLとは「Extract(抽出)」「Transform(変換)」「Load(読み込み)」の頭文字をとった略語です。主な目的は、多様なデータソースからデータを収集し、統一された形式に変換した上で、分析やレポーティングに適したデータストアに格納することです。ETLを導入することで、企業は一貫性のあるデータを活用し、データドリブンな意思決定を支える基盤を構築できます。

ETLは通常、次の3つのステップで構成されています。

ステップ① データの抽出「Extract」

Extract(抽出)により、様々なデータソース(データベース、APIなど)から、必要なデータを取得します。ETLの最初のステップは、業務要件や分析目的に基づいて必要なデータを特定し、関連するデータソースを洗い出すことです。次に、洗い出したデータソースから必要なデータを抽出します。

抽出の方法は、データソースの種類によって異なります。例えば、データベースからのデータ抽出にはSQLクエリを使用し、APIからのデータ取得にはRESTやSOAPといったプロトコルを利用します。

また、抽出の際には、データ量やパフォーマンスにも配慮が必要です。大量のデータを一度に抽出すると、システムに過剰な負荷がかかる可能性があるためです。

ステップ② データの変換「Transform」

Transform(変換)により、抽出したデータを整理し、分析に適した形式に変換します。不要なデータの削除やフォーマットの統一も行います。

多様なデータソースから抽出されたデータは、そのままの形式では分析に適さない場合があります。例えば、データフォーマットが統一されていない場合や、不要なデータが含まれている場合などです。そのため、次のステップとして「データの変換」を行います。

このプロセスでは、以下の作業を行います。

  • データのクレンジング(不要なデータの除去)
  • データフォーマットの統一
  • 新しい変数の作成
  • 欠損値や異常値の処理
  • データ型の整合性チェック

これらの作業を行うことで、データの信頼性を高めていきます。データの変換には、専用のETLツールやプログラミング言語(Python、R、SQLなど)が使用されます。

ETLツールには、オープンソースのものからクラウドベースのサービスまでさまざまな種類があります。選ぶ際には、データ量、リアルタイム処理の必要性、クラウド対応、価格、使いやすさなどを考慮することが重要です。興味のある方はETLツールを解説している記事をチェックしてみるとよいでしょう。

【最新ランキング】ETLツールおすすめ14選を比較!選び方も紹介(ITトレンド)

ステップ③ データの読み込み

Load(読み込み)により、変換後のデータを目的のデータストアに読み込みます。読み込み先は、DWHやデータマートといった分析用のデータベースであることが一般的です。

読み込みの方法は、データストアの種類によって異なります。リレーショナルデータベースへの読み込みにはSQL文が使用され、NoSQLデータベースへの読み込みにはAPIが利用されるケースが多いです。また、読み込みのタイミングに関しても、リアルタイム処理とバッチ処理のどちらを選択するかを検討する必要があります。

データの読み込みは、その後の分析やレポーティングに大きな影響を与えます。そのため、読み込み先のデータストアや、読み込み処理のパフォーマンスの面も慎重に設計する必要があります。

ETLを活用するメリット

データ移行にかかるコスト・時間の削減

ETLを導入する最大のメリットの一つは、データ統合にかかるコストと時間を削減できることです。従来、異なるシステムやデータソースから情報を収集し、分析用のデータストアに取り込むためには、多大な手作業が必要でした。しかし、このプロセスを自動化できれば、作業量を大幅に減少し、人件費などのコストも抑えられます。

定期的なデータ更新が可能

ETLのもう一つの大きなメリットは、定期的にデータを更新できることです。今日のビジネス環境では、迅速な意思決定が求められています。ETLを使えば、データソースから最新のデータを定期的に抽出し、分析用のデータストアに読み込んで使用することができます。

人為的な入力ミスの削減

ETLのもう一つの重要なメリットは、人為的なデータ入力ミスを削減できることです。手作業でデータを入力する場合、誤入力や入力漏れが発生するリスクがあります。しかし、ETLを使ってデータの抽出と読み込みを自動化することで、このようなミスを防ぐことができます。

まとめ

ETL(Extract、Transform、Load)は、データの抽出・変換・読み込みを行うプロセスであり、企業がデータを統合・活用するために不可欠な技術です。本記事では、ETLの基本概念と手順、メリットについて紹介しました。

■ETLの手順

・抽出(Extract): データベースやAPIなどのデータソースから必要な情報を取得
・変換(Transform): データの整理・フォーマット統一・不要データ削除などを実施
・読み込み(Load): 変換後のデータをDWHやデータマートなどのデータストアへ格納

■ETLを活用するメリット

・データ統合の自動化により、コストと時間を削減
・定期的なデータ更新が可能で、リアルタイム分析を支援
・人為的なデータ入力ミスを削減し、データ品質を向上

近年、データ分析だけでなくAI学習など大量データを扱う業務が増えてきました。本記事を参考に、ETLの活用を検討してみてはいかがでしょうか。


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