データの整理と管理の最適化のためには、一般的にデータベースの正規化を行いますが、場合によっては「非正規化」をすることもあります。非正規化する理由やメリットはいったい何でしょうか?本記事で詳しく解説します。
データベースの正規化とは
まずはデータベースの正規化について簡単におさらいです。データベースの正規化は、データベースの更新や管理をより効率的にするための技術です。
正規化は、第1正規形から始まり、より複雑なレベルへと進むいくつかの「正規形」が存在します。
・第一正規形
・第二正規形
・第三正規形
・第四正規形
・ボイスコッド正規形 など
正規化についての詳細は以下の記事をご覧ください。
https://products.sint.co.jp/ober/blog/create-er-diagram#toc-8
2.データベースを非正規化するメリット
データベースの非正規化は、正規化されたデータベース設計から意図的に逸脱するプロセスです。しかしながら、いくつかの目的・メリットのために非正規化を実施することがあります。
非正規化のメリット①:クエリのパフォーマンス向上
非正規化により、クエリのパフォーマンスを向上できる可能性があります。これは、パフォーマンスが求められるWebアプリケーションやモバイルアプリケーションにおいて特に価値があります。
非正規化のメリット②:データアクセスの遅延低減
非正規化は、リアルタイム処理が必要なアプリケーションにおいて、データアクセスの遅延を減らす効果も期待できます。一方で、非正規化はデータの冗長性を増し、データ整合性の維持などに配慮を要するため、慎重に検討することが重要です。
非正規化を検討すべきケース
非正規化を行う主なケースとして、以下のようなものが挙げられます。
(1)大量のデータを使った集計・分析
(2)リアルタイムで集計を行うダッシュボードやレポート出力
正規化を進めると、関連する情報を取得するために複数のテーブルを結合する必要があり、それがパフォーマンスのボトルネックになる可能性があります。非正規化によりデータの冗長性を許容し、あらかじめ結合されたテーブルを設計することで、パフォーマンスの最適化を実現できる可能性があります。
非正規化のリスクと対策
ただし、非正規化には、以下のリスクがあります。
(1)データの冗長性が増加し、データの一貫性が崩れるリスクが高まる
(2)データの更新時に、データの不整合が生じるリスクが高まる
このようなリスクを抑えるためには、アプリケーション層でのデータ管理ロジックの実装や、トリガーやストアドプロシージャによるデータの整合性の維持など、データの一貫性と整合性を維持するための工夫が必要です。
まとめ
データベースの設計・運用においては、データの正規化を行うことが一般的です。しかし、関連する情報を取得するために頻繁に複数のテーブルを結合し、それがパフォーマンスのボトルネックになるようであれば、非正規化を検討できる可能性があります。非正規化を検討する場合でも、データの冗長性を増加させ、データの一貫性を維持する点で課題もあることを認識したうえで検討することをおすすめします。
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