データモデリングとは?種類やメリット、ツールについて解説

 2024.05.08  株式会社システムインテグレータ

データモデリングは、効率的なデータベースや情報システムの設計において重要な知識です。本記事では、データモデリングの定義、目的、重要性、種類などを解説するとともに、データモデリングがビジネスにもたらすメリット、役立つツール、についても紹介します。

データモデリングとは何か?

データモデリングの定義

データモデリングは「情報システムにおいてデータがどのように格納され、相互接続されるかを図表や記号を用いて可視化し、その構造を明確にするプロセス」です。
これは、データベースやアプリケーション開発の基盤となる設計図を作成するようなものであり、エンティティ(実体)、属性、エンティティ間の関係などを定義することで、システム全体の整合性や効率性を高めます。

3つのデータモデル

データモデリングのプロセスでは、データの抽象化レベルによって分類され、以下の3種類のデータモデルを構築します。
・概念データモデル
・論理データモデル
・物理データモデル

これらのデータモデルは、それぞれが特定の目的を果たします。以下では、それぞれのデータモデルについて、更に詳しく解説します。

 概念データモデル

概念データモデルは、最初に構築される最も抽象レベルが高いデータモデルです。
以下の図のように表現されます。

image1
  図1.概念データモデル


このモデルの主な目的は、システム内の主要なエンティティとその関係を視覚化し、ビジネス要件を反映することです。概念データモデルは、データモデリングの初期段階で利害関係者間のコミュニケーションを促進し、ビジネスの概念とデータの構造間のギャップを埋めるために用いられます。

論理データモデル

論理データモデルは、概念データモデルをもとに構築され、例として以下の図のように表現されます。

image2
  図2.論理データモデル

 
このモデルでは、データ構造がより詳細に定義され、エンティティの属性、キー、関係が明確にされています。論理データモデルの段階では、特定のデータベース管理システムに依存しない形でデータを表現していることも特徴です。

物理データモデル

物理データモデルでは、倫理データモデルをもとに、データがデータベースにどのように物理的に格納されるかを詳細に記述します。具体的には、テーブルの構造、インデックス、アクセス方法、ストレージパスなど、実際のデータベースシステムの実装に関連する要素が含まれます。物理データモデルは、データベースのパフォーマンス最適化と管理のために重要です。 

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  図3.物理データモデル

 

データモデリングの目的

データモデリングの主な目的として、以下が挙げられます。
・コミュニケーションの促進
・データの整合性と品質の向上
・システム開発の効率化

ここでは、これらの目的についてさらに掘り下げて解説します。

コミュニケーションの促進

データモデリングは、プロジェクト関係者同士のコミュニケーションの促進に役立ちます。例えば、概念データモデルや論理データモデルを通じて、ビジネスアナリストやデータベース管理者、システム開発者など、役割の異なるステークホルダー間で共通の理解を築くことできます。
また、データモデルによって、ビジネス要件やデータ関連の制約を視覚的に表現し、誤解を防ぎ、効果的な意思疎通を実現できます。また、将来的なシステムの拡張や変更にも柔軟に対応できるようになります。

データの整合性と品質の向上

論理データモデルでは、エンティティの属性、キー、関係が明確になり、データ構造がより詳細に定義されます。特定のデータベース管理システムに依存しない形でデータが表現されるため、データの整合性および品質の向上に役立ちます。
3.3 システム開発の効率化
データモデルを早い段階で定義することで、開発過程における要件の変更や誤解を最小限に抑えることができます。また、物理データモデルを使用してデータベースを構築することで、システムの実装とテストにかかる労力を削減できます。結果として、システム開発時間の削減とコストの節約につながり、高品質なシステムを開発することが可能になります。

データモデリングに役立つツール

データモデリングは複雑であり、多くの時間を要する作業です。効率よく、かつ正確に行うには、ツールの活用が役立ちます。ここでは、データモデリングツールの基本的な機能と、市場で人気のあるいくつかのツールを紹介します。

データモデリングツールの概要

データモデリングツールは、データモデルの作成と分析を支援するソフトウェアです。これらのツールを使うことで、複雑なデータ構造を簡単に可視化できます。
ツールには主に以下のような機能が備わっています。
・概念的、論理的、物理的データモデルの作成
・SQLコードの自動生成
・既存のデータベーススキーマからのリバースエンジニアリング
・データモデルのドキュメント化


これらの機能活用することで、データモデリングのプロセスが大幅に簡略化し、時間とコストの節約につながります。

代表的なデータモデリングツールの紹介

市場にはさまざまなデータモデリングツールがありますが、いくつかの代表的な例を紹介します。

・Erwin Data Modeler

Erwin Data Modelerは、Quest Softwareが開発するデータモデリングツールです。豊富な導入実績をもち、包括的なデータモデリング機能を提供しています。

・Oracle SQL Developer Data Modeler

「Oracle SQL Developer Data Modeler」は、オラクル社が開発を手掛けるデータモデリングツールであり、無料で利用できます。各データモデルの作成が簡単にできるだけでなく、フォワードエンジニアリング、リバースエンジニアリングを含めた多次元モデルの作成も可能です。

・SI Object Browser ER

「SI Object Browser ER」は、弊社が開発・販売し、国内で多くの導入実績を持つデータモデリングです。直感的ER図の作成や、フォワードエンジニアリング、リバースエンジニアリングだけでなく、データベースと直接連携し、テーブルの作成やER図の逆生成も可能です。

まとめ

データ主導の意思決定がビジネスの成功に不可欠である現代において、データモデリングは大変重要です。

データモデリングを行うことで、ビジネス要件やデータ関連の制約を視覚化し開発プロジェクトにおけるコミュニケーションを円滑にするだけでなく、データの品質と整合性を保ち、またシステム開発の効率化を実現します。

データモデリングの効果的な活用は、企業にとって、サービス品質・顧客満足度の向上や、システム運用コストの削減などさまざまな面で役立つ取り組みとなるでしょう。

 


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