日本国内の動画広告市場
近年ネットの動画広告に対する注目は高まる一方です。
スマートデバイスで動画を視聴すること、動画を撮影すること、撮影した動画をシェアすることが当たり前になった今、消費者はスマートデバイスの登場以前とは比較にならない程多くの種類の動画に触れていると言えます。
そうした消費者をターゲットとしたとき、スマートデバイス向けの動画広告に注目し、シフトしていくのは自然の流れと言えます。
株式会社サイバー・コミュニケーションズ社と株式会社D2Cが2017年に発表した、「2016年 インターネット広告市場規模推計調査」では、日本国内の動画広告について以下の推計を出しています。
(引用元:https://www.cci.co.jp/news/2017_04_17/1-9/)
動画広告市場の拡大は、すなわち広告用動画作成市場の拡大を意味しています。広告用の動画を内製するのか、外注するのかは企業のリソースと方針によりますが、いずれにせよ動画クリエイターのニーズは連動して高まっていると言えるでしょう。
また、”動画慣れ”している目の肥えた消費者を惹き付けることのできる動画を作成することは、以前と比べると容易ではなくなっているのかもしれません。
拡大する動画広告市場は魅力的に見えますが、リソースの確保と質の観点で他の広告よりもハードルが高いと感じるEC事業者も多いのではないでしょうか。
動画制作コストを考えると、取り扱う商品が絞られている、ある程度単価の高い商材でないと動画広告を出しづらいこともあるので、動画広告のシェアがこのまま増加する流れになると、取扱商品点数と価格での訴求はますます難しくなるのかもしれません。
ライブコマース
一方で、動画は広告だけでなく販売チャネルとしても注目を集め始めています。
2017年はライブコマースへの注目が集まった年でしたね。
動画ストリーミングサービスのShowroomが運営するShoproomや、メルカリのメルカリチャンネル、Yahoo!ショッピング LIVEなどが話題になりました。
話題になった背景としては、ライブ動画配信が流行っていることと、配信者とリアルタイムのコミュニケーションが取れることの新しさがあります。
ライブコマースはインフルエンサーマーケティングやソーシャルコマースの文脈で語られることが多いですが、同じ動画であってもテレビショッピングの文脈で語られることが少ないのは、このリアルタイム性と双方向性の違いが大きいでしょう。
ただ自社もライブコマースに参入しようとしても、ECのノウハウがそのまま使えるわけではないのが難しいところです。
どの商品を扱うのか、動画に出る出演者はどうするか、構成はどうするか、動画の制作とは異なるノウハウが求められることになるからです。
ライブコマース用の仕組みを作るのもコストがかかるので、まずはライブコマースが可能なプラットフォームに乗っかることからスタートすることとなると思いますが、どのプラットフォームで行うのが良いのかの判断も難しいですよね。 [RELATED_POSTS]
まとめ
コンテンツとしての動画、広告としての動画、ライブコマースとしての動画、これだけ動画にまつわるトピックが増えてくると、これからは動画とどう向き合っていくか、どれくらい向き合っていくかが重要になってきそうですね。
ただ、これまではプロモーションの手段でしかなかった動画が、販売チャネルになってきたというのは無視できない市場の変化です。
ECサイトが当たり前になったように、ライブコマースが当たり前になる時代がやってくるかもしれません。
早い段階で動画制作のノウハウを蓄積することが今後の明暗を分ける一つの要素になるのかもしれませんね。
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