商社はいらない?役割や機能をもとに考える「商社不要論」

 2023.03.08  株式会社システムインテグレータ

商社とは、海外や国内企業から原材料や製品を調達し販売を行う企業を指します。海外や国内に多くのネットワークを持ち、原材料の調達や営業のサポートなどを行うことでメーカーを支えています。

しかし、最近では自社による製品の製造・販売に加えて、商社のように顧客のニーズに合わせて原材料や製品の調達も行うメーカーが増えてきているのが現状です。また、インターネットの普及に伴い、生産者側と製造者・販売者側が直接取引しやすくなったことがあり、「商社不要論」がたびたび取り上げられるようになりました。

この記事では、商社の歴史や機能とともに、「商社不要論」について詳しく解説します。併せて、商社の新しい価値や将来性も見ていきます。 

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商社とは

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商社とは、海外との貿易や国内での原材料や製品の調達・販売を中心に業務を行う会社のことです。商社の主な仕事内容は「トレーディング」と「事業投資」です。 

トレーディング

トレーディングは、海外貿易や国内企業との取引により、生産者から原材料を仕入れてメーカーへ販売する業務です。生産者側には「売手の拡大」、メーカー側には「ニーズを満たす調達」といった役割を果たします。 

事業投資

成長が期待できる分野の事業に対し、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」といった経営資源を投資し、リターンを得るビジネスです。単なる資金の投資だけでなく、社員を派遣したり商社のノウハウを提供したり、様々な手段で企業の成長を後押しします。 

また商社には、「総合商社」と「専門商社」の2種類があります。「総合商社」が幅広い分野でビジネスを行うのに対し、「専門商社」は特定の商材や分野に特化したビジネスを行うのが特徴です。 

代表的な大手商社

ここでは、代表的な大手商社を紹介します。どの商社も長い歴史があり、それぞれの強みを持っています。 

三菱商事

三菱商事は、「三菱財閥」の流れを汲んだ三菱グループの企業です。豊富な資金力により、資源分野・非資源分野ともにバランスよく事業経営を行っています。中でも資源分野や天然ガスの利益が高く、金属資源も強みです。総合商社の中でも、トップの座に位置するといえるでしょう。

三井物産

三井物産は、明治期に設立された日本初の総合商社です。資源分野に強く、金属資源に強みを持っているのが特徴です。最近では、資源分野の価格変動リスクを抑えるため、機械・インフラ分野にも力を入れています。

伊藤忠商事

伊藤忠商事は、1858年に初代伊藤忠兵衛が麻布の行商で創業しました。とくに非資源分野に強みがあり、高い収益力を有しています。生活消費関連分野を中心に事業を展開しており、資源価格の影響を受けやすい資源分野に偏っていないため、収益基盤が安定しているのが特徴です。

丸紅

丸紅は、もともと伊藤忠商事と同一の企業でしたが、戦後に分割され誕生した商社です。丸紅は穀物事業と電力事業分野に強みを持っています。穀物の取扱量は国内最大であり、飼料や肥料の分野でも大きな収益の基盤を持っているのが特徴です。また電気事業においても、IPP(独立系発電事業)の分野で高い実績を誇っています。

住友商事

住友商事は、銅山経営で発展した住友財閥を源流とし、戦後に商事会社として誕生した商社です。堅実な経営が強みで、多種多様な「モノ」を取り扱っているのが特徴です。メディア事業においてケーブルテレビ事業の「J:COM」などに取り組み、収益基盤の強化に力を入れています。

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商社の歴史

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現在では、さまざまな分野において大規模に展開する商社ですが、そこに至るには多くの歴史的なターニングポイントがありました。ここでは、商社の歴史を見ていきましょう。

商社の成り立ち

財閥系総合商社の中で、最も歴史が古いのは三井物産です。江戸時代に呉服商や両替商を行っていましたが、産業が大きく発展した明治に入ると米や生糸、石炭などとビジネスの範囲を拡大していき、三井財閥を形成していきます。

その後、明治初期に誕生したのが後の三菱商事となる九十九商会です。明治から昭和初期にかけて積極的に石炭開発を行い、殖産興業政策のけん引役として大きく貢献しながら発展していき、三菱財閥を形成していくことになります。

財閥系総合商社の中で、一番遅く誕生したのが住友商事です。住友自体は、最も古い財閥といわれており、江戸時代より前からある名家とされています。当初は金融業や倉庫業を中心に行っていましたが、明治時代に入ると炭鉱開発や製糸工業を手掛けるようになりました。その後、戦後1949年に総合商社として住友商事が誕生しています。

一方、非財閥系総合商社である伊藤忠商事と丸紅は、いずれも1858年に初代伊藤忠兵衛が創業した麻布の卸売が起源です。戦時中までは同一企業として事業を営んでいましたが、戦後1949年に分割され、現在の伊藤忠商事と丸紅が誕生しました。

高度経済成長期(1970年代)

1970年代の高度経済成長期になると、国内における急速なエネルギー需要の高まりに合わせ、各総合商社は積極的に海外に駐在員を派遣し、海外での資源開発や市場開拓を進めていきます。こうしたビジネスの拡大で着実に売上を伸ばしていき、高度経済成長の一翼を担ったのです。

オイルショック(1970年代)

1970年代のオイルショックを迎えると、大手商社への逆風が強まります。当時の小売店では、石油関連商品のみならず、トイレットペーパーといった生活必需品までもが争奪される状況でした。その影響から、日本の重工業や素材産業は倒産が多発しました。原因として、商社が重工業や素材産業を中心に取引を行っていたからだとされています。

物価は高騰し、消費者の不満は輸出入を支えていた商社に向けられたのです。

バブル崩壊(1990年代)

1980年代になると、バブルが崩壊し「商社冬の時代」と呼ばれる時期を迎えます。所有していた株式や不動産価値の暴落に加え、不況による取引数の減少により、商社にとっては厳しい経営環境が続いたのです。このような苦境を打開するため、商社は不良資産を減らしながら積極的に新しい分野へ進出を進めます。小売分野にも進出し、中でもコンビニエンスストアに積極的に投資を行いました。

いざなみ景気(2002年~2008年頃)

2002年ごろには経済が回復し始め、「いざなみ景気」と呼ばれる緩やかな好景気を迎えます。商社がこれまで行っていた事業投資や資源開発が芽を出し始め、現代の総合商社のビジネスモデルが確立されたのです。

商社のもつ機能

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商社は具体的にどのような役割を持っているのでしょうか。ここでは、商社が持つ機能を4つ紹介します。

商取引機能

「モノ」や「サービス」を売りたい国・企業と、買いたい国・企業を見つけ、スムーズな売買取引が行われるよう仲介する商社のコア機能のことです。近年では、インターネットを使って世界中の売手と買手を結びつける「eマーケットプレイス」と呼ばれる市場や取引所を運用し、グローバルな最適調達や販売も模索されています。

情報・調査・市場開拓・事業経営機能

商社は、世界中にある支店や支社といった拠点を通して、世界各地の政治や経済、法律などさまざまな情報を収集しています。集めた情報を分析することで、今後どのようなビジネスに生かせるか検討する際に役立てられるのです。これまでの事業に関する知識や経験を生かしながら、世界中のさまざまな事業に資金や人材を提供し、事業を成功に導きます。

オーガナイザー・リスク管理機能

資源開発など大型プロジェクト推進の場合は、一つの企業で行うよりも複数社が集まり、それぞれの得意分野を組み合わせた方が成功確率を高められます。その際、商社はいろいろな企業をまとめてグループを作る役割を果たします。

大型プロジェクトの場合は、規模が大きい分、失敗した時のリスクも大きくなるでしょう。商社はこれまでの知識や経験、責任分担の適正化や各種保険制度の活用により、リスクを最小限に抑える役割を果たすのです。

物流・金融機能

商社は商取引を進める際、陸路・海路・空路を問わず最適な物流手段を提供します。近年では、IT技術を活用した物流情報システムの構築、倉庫や流通センターなどの物流施設の運営にも力を入れています。

また、商社は銀行などの金融機関とは異なる独自の金融機能を有しているのが特徴です。ベンチャー企業など、まだ実績の少ない企業との取引に不安を感じる買手に対し、商社が代わりに信頼性を保証します。最近では、有望なベンチャー企業に対する融資も実施中です。

なお、商社が持つ機能については、以下の記事で解説しています。詳しく知りたい方は併せてご覧ください。

商社のおもな機能とは?総合商社と専門商社の違いやメーカーとの関係も解説

商社不要論とは

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近年、盛んに「商社不要論」が唱えられています。商社不要論とは、「商社は取引の間に入り、中間マージンを抜いているだけなので必要ない」という主張のことです。実は商社不要論は、商社の長い歴史の中でもかなり昔から言われ続けています。商社不要論の歴史や具体的な主張内容について、時系列に沿ってみていきましょう。

1980年代

一部の家電メーカーや自動車メーカーは、高度経済成長期を経て急速に成長します。それに伴い、潤沢な資金力や事業規模を生かして、商社を通さず独自に原材料の調達に乗り出したのです。また、販売網の構築にも成功したため、商社は必要なくなり商流から追い出され、「商社不要論」が叫ばれるようになりました。

1990年代

IT技術がめざましい発展を遂げ、メーカー・販売者・消費者が簡単に直接取引できるようになりました。取引の間に入る商社は不要という声が高まり、一層「商社不要論」が取り上げられるようになったのです。

価値ある商社は生き残り続ける

幾度となく商社不要論が叫ばれ、その度に商社は存続の危機に陥ってきました。しかし、現在でも商社は存続しており、むしろ業績を大きく伸ばしています。なぜなら、商社は単に商流の橋渡しを行うだけでなく、事業内容を多様化させ、取引先のさまざまなニーズに対応してきたからです。例えば、「物流・金融機能」や「情報・調査機能」、「市場開拓・事業経営機能」などが挙げられるでしょう。

最近では、成長産業に人材や資金を出し、積極的に事業拡大を図る「投資事業」にも力を入れています。投資事業の収益は、現在の総合商社の大きな収益基盤となっており、従来の商社とはイメージが変わってきているのです。

一方で、単に取引の間に入って、中間マージンを取っているだけの専門商社がいまだに存在するのも事実です。また、一部の業界では「帳合」と呼ばれる古い慣習が残っており、特定の商社を通さないと取引ができないケースもあります。そのため、既得権益を持った専門商社が幅を利かせているケースも少なくありません。そのような商社は買手・売手双方に必要とされず、いずれ淘汰されていくことになるでしょう。反対に、取引先のさまざまなニーズに対応する独自の機能を持つ商社であれば、将来に渡り生き残りさらに業績を伸ばしていくことが可能です。

今後は「DX」で新たな価値が生まれていく

近年のデジタル化は、多くの産業に対し変革をもたらしました。商社も例外ではなく、従来の業務スタンスから、幅広いデータを活用した時代に合ったサービスに変革することが求められているのです。

ECサイトなどが一般化し、売手と買手が直接取引しやすくなった現代においては商社の介入は必要とされないため、業績を上げにくくなった商社は多いでしょう。そのため、大手商社はパフォーマンスを最大化するために、積極的にDXに取り組み業務を効率化したり、新しいビジネスの創出に力を入れたりしているのです。商社のこうしたDXに対する取り組みは、「商社不要論」を過去のものにするような、新たな価値が今後も生まれていくと予測されます。

なお、商社のDXに関する取り組みについては、以下の記事で詳しく紹介していますので、併せてご覧ください。

総合商社でのDX事例を解説!推進のポイントも紹介

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まとめ

商社は、長い歴史の中でさまざまな変革を遂げてきました。幾度も「商社不要論」が取り上げられてきましたが、商社は事業を多様化させ、取引先のさまざまなニーズに対応することで生き残ってきたのです。今後生き残るには、近年のデジタル化の発展に合わせ、テクノロジーを活用した新たな価値を創造していく必要があるでしょう。

この際に有効とされるのがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。DXについて紹介した資料もご用意しておりますので、ぜひ併せてご覧ください。

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